池内紀のレビュー一覧

  • 闘う文豪とナチス・ドイツ トーマス・マンの亡命日記

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    ナチス政権台頭時、動乱の世界情勢に著名人が新たな権力に迎合する。音楽や作家への痛烈な批判。
    凡ゆる事物への観察眼はジャーナリストよりも正確無比。
    終戦後、晩年の限界を感じた哀切ある感情が印象的だった。
    「私のいる所にこそドイツ文化がある」
    マン自身の言葉である。
    WWⅡ開戦後に国籍の剥奪、大学名誉職も除籍される。心中穏やかではなかった...
    新聞の情報を信頼しない。思惑を込めた政府筋から流された報告、ガセネタ、記者の思い込みを避けるためだと云う。作家としてのポリシーが垣間見れる。
    彼は終戦後、帰国先を祖国ドイツではなく、スイスを選んだ。愛国者というより、平和主義者ではなかったか。

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    2022年01月13日
  • すごいトシヨリ散歩

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    お二人のどの話も興味深く、少しずつ味わって読んだ。こうしたかけがえのない友人を亡くした川本さんの心痛はいかばかりかと思う。また、晩年の池内さんの著作を巡る騒動は、これで寿命を縮められたとしたら悔しいとしか言いようがない。
    ローカル線に乗って小さい町を訪ねたり、喫茶店に入ってみたくなる。

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    2022年01月01日
  • すごいトシヨリ散歩

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    同世代、話の合う盟友の存在がどれだけ人生を豊かにすることか。ドイツ文学者と評論家の途切れることのない対談。

    4歳違いのお二人。紀行文好きの自分にとってレジェンドのお二人の夢のコラボ。残念ながら池内紀氏は亡くなってしまった。妻を亡くしさらに敬愛する先輩も亡くなり川本氏の絶望たるやいかに。

    映画、旅、読書。人生には1人の友があれば良い、という言葉の重みを感じる、気の合った二人の興味深い対談でした。

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    2021年12月20日
  • ヤマケイ文庫 山の朝霧 里の湯煙

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    ドイツ文学者の池内紀さんによる山の旅の本。
    東大教授だった頃の池内教授の授業を受けたことがあるが、穏やかで楽しい講義だった。
    その人柄の理由の一端に触れた気がした。
    柔らかな日差しの中の山歩きとその後のゆったりした温泉浴、そういう時間があの授業の穏やかな語り口の根っこにはあったのだと思う。
    山梨の山も収録されていて嬉しかった。

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    2021年10月25日
  • カフカ短篇集

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    池内紀さんによるカフカの翻訳。
    大学時代に池内教授の授業を受けたことがあるが、穏やかな語り口が印象に残っている。
    授業でも取り上げた「流刑地にて」など所収。
    話の急展開、ぐらりと地平が歪む感覚、不思議な読後感。
    訳者による解説も興味深かった。
    短編ばかりなので、原文で読めたら面白かろうと思う。
    ドイツ語は赤点スレスレだったので無理ですが。

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    2021年10月25日
  • なぜかいい町 一泊旅行

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    独文学者でエッセイストの情緒豊かな紀行。
    西欧文化に精通したからこそ。
    日本古来の風景の魅力を伝える良作。

    筆者の紀行文は川本三郎と並んで好きである。小難しい小説などを読む合間、方の力を抜いてのんびり楽しめる。本当はお二方なように旅行に行ければリフレッシュできるのだが、時間も金銭もそんな余裕を与えてはくれない。
    本書には16の街が登場する。津和野の他は極めてマイナーな街の感。北から順に、斜里、上川、岩内、金山、登米、三春、大多喜、渥美、朝日、木之本、岩美、上関、佐川、星野、湯前。

    筆者の作品は紀行に良くある嫌みがない。豪勢な料理も豪華な宿も登場しない。本数の少ないローカル線か路線バスでふら

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    2021年06月19日
  • ドイツ 町から町へ

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    ドイツの有名な街からマイナーな街まで、1テーマが短く纏められておりテンポよく読み進められた。
    筆者の見ている風景から、歴史や文化の背景がとてもよく見えた。
    自分もこのように、様々な目線で物事を見ながら旅できたらなと思う。

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    2021年04月23日
  • カフカ寓話集

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    私は基本的にネガティブで心配性で厭世的なところがあるので、カフカと物事の捉え方がたぶん似たタイプなのかなとおもう。
    身に覚えのある話が多すぎてとても心に刺さった。

    好きだったのは、

    『皇帝の使者』
    『ロビンソン・クルーソー』
    『アブラハム』
    『メシアの到来』
    『だだっ子』
    『十一人の息子』
    『断食芸人』

    あたりかな。

    カフカは刺さる人には刺さるし、全く共感できない人にはなにをいってるのかさっぱりで良さが伝わりづらいかもしれない。

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    2021年03月30日
  • 散歩本を散歩する

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    散歩とか、町歩きの本は多い。「散歩」とは名付けていなくても、読んで、歩きたくなるエッセイや小説も多い。
    著者は、数ある散歩本をお供に、各一箇所ずつ歩いている。基本ひとりで歩いているのだが、(今回は)「散歩本」というお供が、きちんとお相手していてとても楽しい。私自身、手にするのは「散歩本」が多い。というか、最近は「散歩本」ばかり読んでいる。そうした散歩本をこの本のように分類してみるのはいいなと思った。
    この本では、「水の都」「江戸の面影」「明治・大正・昭和をたどる」「東京生まれの東京育ち」「味の散歩」などに分けられている。私としては、もう少し細かく「城を見に行く」「銅像を見に行く」「落語を歩く」

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    2020年05月21日
  • すごいトシヨリBOOK トシをとると楽しみがふえる

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    ネタバレ

    カフカなどの翻訳で知られるドイツ文学者の池内紀さんが、70歳に書き始めた「すごいトシヨリBOOK」。序文で「77にはこの世にいない」と書いている。今年の8月に78歳で亡くなられた。▼「老い」を笑って私たちに見せてくれる。老いが自然に受け入れられる。▼堀口大学の詩の紹介:〈深海魚光に遠く住むものはつひにまなこも失ふとあり〉▼『尊厳死協会会員』になって延命治療を拒否する意思を明示する。▼「あの映画を見に行こう」と思っていても、億劫になって結局見に行かなかったりするものです。ただ億劫がって出歩かなくなると急速に老いてしまいますから、スケジュールを作るというのは、常に自分を移動させる方法、自立の一つの

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    2019年10月29日
  • きまぐれ歴史散歩

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    ネタバレ

    歴史の洗礼を受けた場所は、不思議なオーラがあるという。
    歴史散歩の仕方にはどうも2種類あるようだ。
    著者は事前の下調べもなく、フラッと行くタイプで、変な先入観を持たない方が新しい発見があって面白いという。
    この真逆が司馬遼太郎のようだ。司馬は事前に徹底的に調べ上げて、現地ではそこの空気を感じるのみ。

    どちらが良いのかは各個人の好み次第であるので、何とも言えないが、私を含めて普通の人は池内流が多いのではないだろうか。
    とは、言いながら私は大の司馬ファンで「街道をゆく」は愛読書である。
    やはり、読むのと実際に行動するのでは、大きな違いが出るようだ。

    本書では歴史の裏側の隠れた面も随所で紹介され

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    2019年10月02日
  • カフカ寓話集

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    こうしてさまざまな短編を読むと、カフカに対する印象が変わります。
    この短編集、断食芸人を含んで、なかなか興味深かったです。

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    2019年07月28日
  • カフカ短篇集

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    カフカの短編はほぼ読んだことがなかったのですが、ドイツ文学者の池内先生の編訳になるこの一冊で、カフカの作品世界は深く、広いのだと実感しました。

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    2019年07月20日
  • カフカ短篇集

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    特に印象に残った章を二つ。

    ・判決
    ゲオルグは父と話したことで、他者の視点による事実を知る。自分の見ていた現実がただの世界の一面に過ぎない事実を突きつけられる。
    階段を転げ落ちるようなスピードで急速に崩壊してゆくゲオルグの現実。

    ・流刑地にて
    ある流刑地にて犯罪者の処刑を行ってきた将校は、自分の信念によって自らの命を絶つ。
    自分の死によってその信念を立証するために。
    しかし、その死すら最後に彼を裏切った。

    絶望名人カフカによる悲しい、ユーモアのこもった作品集。

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    2018年10月07日
  • すごいトシヨリBOOK トシをとると楽しみがふえる

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    ネタバレ

    凄く面白かった! 老いるということ、自分がその立場にならないとわからないことが読める。また、理解し難かった年寄りの行動あるある、こういうことなのねーとちょっとわかった。

    カラダは老けても心は老けてない、というのは錯覚で、心は老けてないと思うこと自体がまさしく老化のしるし。心も老けるからこそこれまでと違う人生の局面が見えてくる、老いて初めて若さがわかるということ。

    老いの進行、老人は過去をねつ造する。年配者同士が昔の自分について話していることはかなりフィクション。そうであってほしかった願望をいつの間にか自分で現実とすりかえる。
    老いの初期では、失名症や人の話を急に横から取って自分の話に持って

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    2018年07月14日
  • カフカ寓話集

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    世界一好きな短編、「皇帝の使者」が収録されているという一点で迷わず購入。他のものもカフカらしさ満載で満足です。

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    2018年06月11日
  • すごいトシヨリBOOK トシをとると楽しみがふえる

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    77歳の池内紀さんが書いた、老いに向き合う本。
    『老いに「抗う」のではなく、老いに対して誠実に向き合うこと。老いの中で起きる面白くないことも、目を背けたり、すり替えたりしない。』
    カッコいいですねぇ!しびれました!
    私も今年で68歳、なんとなく、75歳で一区切りかな、と思っていたところなので、あと7年半でなにができるか、向き合ってみようと思います。

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    2018年06月06日
  • すごいトシヨリBOOK トシをとると楽しみがふえる

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    1940年生まれ、独文学者、エッセイストの池内紀(おさむ)氏の「すごいトシヨリBOOK」(2017.8)、面白かったです!70の時、77の時には自分はもういないと思い、あれをしよう、これをしようと思ったそうです。(決断がしやすくなる)満期が来たら3年単位で延長してるそうです。また、お金を意識しないで生きるのが本当のお金持ちとの考えで、毎朝所持金を点検(小銭、お札、リュックに安心用5万円)し、それ以後はいっさいお金を考えないそうですw。リュックは散歩用、国内・国外旅行用と3つ準備し、必要な小物が入ってると!

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    2018年03月29日
  • 魔法の学校 エンデのメルヒェン集

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    ネタバレ

    この本に入った短編を一つ一つの読み終えるたびあったかい気持ちになる。
    読者を引き込む文章力もあるんだけど、大人が読んでも童心に返させてくれる話の発想や言葉選びが素敵。
    基本的に子供が主役の話が多いんだけど、彼等をあたたかく見守り、時折光の方向に導いてくれる大人たちの目線もいいなと。

    個人的に一番最後の「オフェリアと影の一座」が好き。
    仲間にした影たちと舞台を開いて旅する道中で、「死」と出会うシーンは美しくも恐ろしいんだけど、死すらも迎え入れた先の結末がすごく救いと開放感に満ちてるというか。

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    2018年02月15日
  • カフカ短篇集

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    2009年4月1日~2日。
     これだよこれ! と思わず大声で叫びたくなるのは、数日前に読んだ「カフカ寓話集」の面白味の無さに呼応してのこと。
     この「カフカ短篇集」を読むと「カフカ寓話集」は残りものを集めたんじゃないの? って疑問すら湧いてくる(強ち外れているとも思えないが)。
     各作品の面白さから解説に対する力の入れ方まで、なにから何までが雲泥の差としか思えないのだ。
    「カフカ寓話集」の冒頭に収録されていた「皇帝の使者」にしても、こうして「カフカ短篇集」の最後を飾る「万里の長城」に収まったこそ、その意図が明確になるのでは、と思ってしまう。
     やはりカフカは面白い。

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    2018年01月06日