あらすじ
失われつつある風景のなかに、現代人が忘れかけた「たいせつなもの」をひろいあげていく。池内流山里紀行の集大成。
ドイツ文学者にして幅広いテーマで執筆活動をつづける著者が、長年取材を重ねてきた「山里」に関する紀行集。本編では、30もの山里を実際に訪ねて歩き、見て、そこに暮らす人びとと語らって感じた、現在の山里に残る「知恵」や「伝統」、そして「希望」や「危機」を綴ります。あえて「永遠のよそ者」に徹し、実際目にした「山里」の現実を写生しつつ、ときに文明批評的な鋭い視線を投げかけ、ときに山里の人びととその暮らしをあたたかな眼差しでつつみます。山里の現在が概観できる、池内流山里紀行の集大成。
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Posted by ブクログ
「限界集落」という嫌味な名づけられ方をしている日本の30箇所の山里をめぐる紀行文。不便で効率が悪く仕事もない・・だから益々人が住まなくなる山里は、古来は太陽が降り注ぎ水脈があればそこに定住し暮らしを立ててきた人々が暮らしを紡いできた場所だ。
汗を流し息をぜいぜい言わせながら登った山道の先に突如として集落が現れる光景の描写はとてもいい。
いくつか訪ねたい場所を知る。しかしさらに荒廃は進んでいるのかもしれない。足で歩く旅の魅力を十分に感じた。