周木律のレビュー一覧
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ー 人類が有史以来続けてきた営みは、まさしく還元の一言に尽きるのだ。生活、争い、そして俗に愛と呼ばれるものに至るまで、これを理解するため人類はあらゆる還元を行った。
例えば生活とは、人間の生命に対する必要条件を要素に分解し充足する営みのことと還元される。争いも、資源や富の合理的または利己的配分に向けた暴力による解決手段のことと還元される。愛もまた、生殖活動とDNA保存という単純な要素に還元され、容易に説明される。
人類は、事象を還元作用により単純なものに定義し直し理解を進めてきたのだ ー
期待を裏切らないフィナーレ。
衆人環視の中で講義を行いながら、160キロも離れた孤島でいかに事件を起 -
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ー 光…それは、空間と時間を超越した存在。過去、現在、未来、すべての時間を超え、すべての空間と相互に干渉しながら、すべてを照らし出す…
まさしくこれは、数学そのものよ。その定理は宇宙のどこにいても普遍的なものとして存在し、現在も、未来も、そして過去のどの時代においても…宇宙の開闢以前でさえも、あまねく在り続ける。
だから、誰かが数学を発見したなんていうのは幻想、ただのまやかしよ。ましてや発見者が特別の存在だなんてことも、超越することもない。超越しているのはただ、数学そのものなの。発見者が超越するはずがない…自らが、神なのだということもね ー
“堂シリーズ”6作目。これは『眼球堂の殺人』で -
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ネタバレシリーズを通して、そしてこの作品単体としてもとても面白かった。伽藍堂のときもそうだったけど、大胆過ぎる仕掛けに驚いた。ミステリというエンターテイメントだから得られる真相が解明されたときの高揚感を最大限感じさせていただきました。
ちょっとだけ気になったことを備忘として書いておく。以下ネタバレ
凍死した死体を発見したときの、焼死死体の状況については言及があったかどうか。大聖堂の断熱膨張と断熱圧縮によるトリックなら、あらかじめあった焼死死体のほうも凍ってると思ったんだけど、そこについて言及あったかな。あったからどうとか、なかったからどうこうということはないんだけども。
もう1つ -
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ネタバレ『失覚の病』を患った名探偵・六元十五、とその助手・三田村の物語
最終章
<あらすじ>
第5の事件が発生
悪徳企業の花純似社員が斬首される
この事件も六元が解決するが、聴覚を失う。
そして六元のもとに手紙が届く。
「畜から人へ。君の大切な人と引き換えになるのは、君の人生」
手紙の差出人は鹿野和義。
花純は誘拐され、次の事件の犠牲者として六元が指名されたのだ。
第6の事件
六元と三田村は鹿野から指示された場所に向かう。
そこにいたのは鹿野ではなく花純だった。
花純は三田村を銃撃し、その銃口を六元に向けた。
六元は今までの5つの事件の犯人全員が花純とつながっていたことや動機を推理し披露する。 -
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ネタバレ『失覚の病』を患った名探偵・六元十五、とその助手・三田村の物語
第1章
<あらすじ>
昭和15年
喜怒哀楽愛憎の六情を見立てた連続殺人事件が発生。
六元十五は事件の真相を突き止め、人を操る術を駆使する凶悪犯・鹿野和義と対峙。
鹿野は崖から飛び降り、後日捜索するも発見されず生死不明扱いとなり、事件は終局。
その後、六元は表舞台から姿を消した。
昭和22年
六元の助手をしていた三田村は7年ぶりに六元と再会。
六元は六情連続殺人事件の生き残り・因埜花純と共に暮らしていた。
そこで六元が表舞台から姿を消した理由を聞かされる。
それは『失覚の病』を患ったからだった。
『失覚の病』とは人間から嗅覚・聴 -
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ネタバレ眼球堂の殺人 〜The Book〜
面白かったが、もう少しキャラクターに喋らせて欲しかったという印象
各界の才能が集められ一同に会する場で不可解な殺人事件が!というのは素晴らしいコンセプトだと思ったが、せっかくの天才たちなのだから各キャラクターごとにその天才性を活かして協力しながら謎を解き進めていって欲しかった
芸術家の先生なんて震えてただけじゃないか
トリックについては大がかりであればあるほど良いので(偏見)楽しめた
特に堂の図面を毎回載せてくれたのはとても助かる
図面なんてあればあるだけ解いてみようと試みるものなのだから
惜しむらくは似たトリックを読んだことがあったことで読みながらなん -
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三浦半島の中ほどにある二子山に作られたニュータウン、「うさぎが丘」という俗称で呼ばれているその町に、黒田父娘は越してきた。娘の進学が理由だ。うさぎの多くいるこの町では最近、おかしな事件相次いでいるらしい。ひとつはウサギの惨殺事件でもうひとつは大学生の連続自殺。連続自殺の続く大学サークル、『道下』と『道上』の住む地域による差別意識、突然の娘の失踪、『暗躍』する謎の団体までいそうで……と何かがおかしい町。この町には何が隠されているのか。
というのが、本書の導入。このタイトルを聞いた時は、のどかな田舎町を舞台にしたコージーミステリを想像したのですが、内容は衝撃かつ恐ろしいものでした。最後まで驚