周木律のレビュー一覧
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「館」をテーマにした6名の作家による書き下ろしアンソロジー。
東川篤哉『陽奇館(仮)の密室』
キャラというかギャグ?のテイストにあまり付いていけない。終わり方は短編ならでは、で面白いと思う。
一肇『銀とクスノキ ~青髭館殺人事件~』
この本の中で罪善くんのキャラが一番好きかも。ミステリーとしてあのオチは何でもアリになるのであまり好きじゃないかな。
古野まほろ『文化会館の殺人 ――Dのディスパリシオン』
手記から読み解く謎とお耽美な空気感。
青崎有吾『噤ヶ森の硝子屋敷』
ラノベにありそうな個性の強いキャラ。全部硝子でそんな風になるのかとか想像がし辛かった。
周木 律『煙突館の実験的殺人 -
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ネタバレ○ 総合評価
永らく続いた「堂」シリーズのトリを飾る作品。黒幕的存在である藤衛と善知鳥神,宮司百合子の対決が描かれる。
大きなテーマになっているのは「リーマン予想」。リーマン予想が数学上の重要な未解決問題であることは間違いないが,このシリーズの中では,リーマン予想の解を知ることが神に近い存在になることであり,藤衛はその解を知っている。藤衛は,リーマン予想の解に近づく数学者を殺害しており,十和田只人は,藤衛からリーマン予想の解を聞くために,シリーズにおける「探偵役」の地位を捨て,藤衛側に付いて藤衛の犯罪に手を貸している。
ということなのだが,リーマン予想の解を知れば神に近い存在になるという -
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ネタバレ○ 総合評価
シリーズ6作目。あとがきによると5作目の教会堂の殺人を書いたあと,しばらく続編が出ず,3年半近くの期間があいてこの作品が出たとのこと。時間軸でいうと,眼球堂の殺人よりはるか前。シリーズの重要人物である建築家の沼四郎が,黒幕である藤衛に挑戦した事件という位置付けとなっている。
物語の構造としては,沼四郎が数学者の久須川剛太郎と料理人である村岡幸秀の二人を協力者として,藤衛に殺人劇で挑戦をしようとしていた。沼四郎が鏡面堂に仕掛けたトリックは,焦点の合わないスコープをコンタクトレンズを利用して使えるようにするというもの,楕球が2つの焦点を持つという性質を利用して,光を集めて照明にし -
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ネタバレ○ 総合評価
今作は,これまでの4作とは,かなりテイストが変わった作品になっている。本格ミステリ要素は無く,いわゆる「デスゲーム」をテーマにした小説になっている。
ゲーム理論を扱っており,舞台となる教会堂は,訪れた人を閉じ込め,次に訪れる人を殺すか,自分を殺すかの二者択一を迫る。教会堂が持つ「回転」は輪廻。次から次へと訪れた人が死んでいく。
教会堂を訪れた小角田という数学者,脇という記者(この2名は,前作,伽藍堂の殺人にも登場),船生警部補,毒島,宮司司は,教会堂の輪廻にはまり,二者択一で自分の死を選択して死亡する。
善知鳥神と宮司百合子は死を免れる。教会堂があるY山は活火山。そのY山 -
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ネタバレ○ 総合評価
堂シリーズの4作目。このシリーズの解決編から雰囲気が変わる。具体的には,伽藍堂の殺人では,これまでシリーズで探偵役を務めていた十和田只人が犯人。十和田只人が,シリーズの黒幕である藤衛の指示を受けて,伽藍島の管理人だった品井秋を利用して連続殺人事件を実行した。
善知鳥神が犯人であり,ハウダニットのミステリと見せかけて,真犯人は十和田只人。これはサプライズではあるが,シリーズの探偵役である人物を犯人にするというのは,いわば禁じ手。サプライズはそれなりにある。しかし,驚愕の真相というほどのサプライズではなく,どこか予想できる展開。それは,善知鳥神と十和田只人のキャラクターがややぶれ -
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ネタバレ○ 総合評価
シリーズ第3弾。前作,双孔堂の殺人に出てきた警視庁警視正の宮司司と,その妹の宮司百合子が再登場。百合子は,同じゼミの志田悟と一緒に,志田悟の相続に立ち会うために,沼四郎が設計したという「五覚堂」に行く。
同じ頃,十和田只人は,善知鳥神に呼ばれ,五覚堂で起こった惨劇の映像を見せられる。善知鳥神は途中で去り,最後は宮司司と十和田只人が事件を解決する。
非常に凝った仕掛けがされた本格ミステリである。
まず,仕掛けられたトリックとして五覚堂が全部で5つ存在するというものがある。善知に呼ばれた十和田が映像を見ていた五覚堂以外にも4つの五覚堂が存在する。十和田が見ていた映像は,十和田