野矢茂樹のレビュー一覧
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★頭の中のねじがゆるんで、分解されていく感覚…
挿絵を描いている方が好きで、その上タイトルも好き!となって、開いた本。手に取った当時は知らなかったけれど、著者はとてもとても有名な哲学者・論理学者。
著者のおしゃべりに導かれながら、「考える」にまつわる「なぜ?」が立ち上がっていく。ー「考える」って何をすることなのか?、動物は「考えて」いるのか?、「論理的に考える」って?
著者から伸ばされた手を取りながら、一緒に「考える」の森の中へ分け行っていけるような本です。
たくさんの挿絵が、考えるための余白時間を作り出してくれいるようで、まるで外を散歩しながら読んでいるような気分になれました。 -
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全6回構成でその主題は次の通りです。
第1回:チョムスキー以後の言語学史
第2回:認知言語学の意味論
第3回:プロトタイプ意味論
第4回:使役構文
第5回:メトニミー
第6回:メタファー
第3~6回は、言語学に興味があれば、そこだけ読んでも面白いです。
反対に第1、2回は、事前知識なしだとよく分からない話をしています。
そして、哲学寄りの話をしている第2、3回こそ、哲学と言語学の先生の対談にした意義が表れているのかなと思います。
全編にわたって大変面白い本です。
普通に読んでいたら素通りしてしまいそうなところでも、聞き手の野矢先生がバシバシ突っ込みを入れてくるのですが、そういう頭のいい人の -
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クリーニャー。ネコまたは掃除機のことを指す。なんのことやら。概念の説明で出てきた、著者のアイデア。「語りえぬものには沈黙せねばならない。」、「論理哲学論考」でのウィトゲンシュタインの言葉。本当にそうなのか。著者はその姿勢を否定しているが、真っ向から反論している。大物に向かってのガチ問題提起は面白い。
正直に話すと、私は哲学に詳しくない。センター試験で倫理を選択したくらいだ。でも倫理と倫理の先生が好きだった。カントの純粋理性批判に挫折した。「神は死んだ」とかいうニーチェがかっこよかった。その程度のレベルである。なのでウィトゲンシュタインもよく知らない。
この本の内容はむつかしい。抽象的なお話 -
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「考えること」ってなんだろうって思ってたけど、霧が晴れるようなそんな気がした。
考えることってあまりにも意識しなさすぎてわかろうともしていなかったけど、あ、そういうことか!って閃いた。
問いが何であるのか、ということについての記述がこれまた面白くて。
あるがままを受け入れ続けるのであれば問題は発生しないけど、それはそれで何もないということでもある(ということがあると言える?笑)
いろんなことを知れば知るほど問いは生じる。
だからこそいろんな角度から世界を見ることができるのかなーなんて思ったり。
アンテナをいっぱい張って、時にはそれを手放して…そうやって思考することを楽しもうかなって思えま -
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哲学に興味がある人に勧めたい1冊。
私が哲学科へ入学後、入門授業で使用しました。
大学生なりたての入門授業で使うくらいですので、
とてもやさしく読みやすいです。
が、著者は現代を代表する哲学の大教授の方なので、
中身はしっかり「哲学書」です。
それまで「哲学」というと、
ソクラテスやアリストテレスなど、
所謂The古典哲学をイメージしてとっつきづらく、
個人的につまらなかったのですが、
この本でその概念がガラリと変わりました。
あ!これも?
え、そういうのもいいの?!
言われてみると確かにそれってどうなんだろう...?
というふうに、
「哲学っておもしろい!!」
と私が沼にはまったきっか -
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野矢茂樹の「入門!論理学」を4年ほど前に読んでから久々の論理学。また一から学び直しになりましたが、一見当たり前のことを言ってるのだけど、いざ考えてみると意外と分からなかったり。
必要十分条件とか、逆・裏・対偶とか出た出たという感じのテーマに対して、漫画でとっつきやすくギャグも織り交ぜながら導いてくれて、解説で具体的に説明してくれる。最後には練習問題があり、やってみると何故かできなかったり。
一般的な感覚と論理学の定義がずれており、特に否定は一般感覚では反対を意味しちゃうところだけど、論理学的には、それ以外のすべての可能性を包含することが否定なのだというすれ違い感。条件文の~ならば・・の裏は -
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タイトルの通り、まさに「無限論の教室」が文章で表現されていた。物凄く面白く、またどこか懐かしく、どこか羨ましく……色々な気持ちが刺激されながら無限について探求ができる、大変素晴らしい本だった。タイトルを見て難しそうだと思っていたが、実際は読み進めやすいテンポ・表現・文章で構成されており、いい意味で裏切られた感があった。この本の一番の良さは、共に考える仲間がそこに在ることである。教師が一方的に教える構図ではなく、共に考える、共に掛け合いの中で生まれる思考や議論がそこに在ることである。これが自分の頭を引っ張ってくれる。共に世界に引き込み、学びを高めていってくれる。これはかけがえのない学びの体験でも
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考え続ける日々は尽きない。それが哲学であれ、数学であれ、物理学であれ、論理学であれ、存在という宇宙を考えることが人間の性質なのだと思う。
どのような論理でもって存在に向かっていくか。存在と学問が結びついた瞬間は何にも代えがたいartsだ。学問とはそれすなわちそれを以て生きること。その為人そのものだ。無限論の世界を数学、論理学、哲学をもって進める。永井先生のアインジヒトの対話もそうだが、考えることは対話という形式をとらざるを得ないようだ。
無限ということばがあってしまう。死とか神とか無もまた同じなのかもしれない。対角線がひかれ、無限ということばがことばであるところに行きつく様は、学問、ひいては生 -
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特に以下の一文が刺さった。
共に喜べる人になりたい。
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ほめるものはほめられるものよりも優位に立つ。だからほめられたいと思う気持ちは、自分より優位のものを求めることにつながる。
子供は大人たちを出し抜き、追い越していかなければならないのに、ほめられようとして上目づかいになり、ほめてくれる人に自ら進んで隷属しようとする。
ほめて育てようとする人たちは、おそらく無自覚のうちに、そうして子供を支配しようとしている。
では、どうすればいいのか。ほめるのではなく、共に喜ぶこと。何かがうまくできたなら、一緒に喜んで、子供が感じている喜びを増幅する。そうして、その子が自分の内側から感じる -
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よく練られた入門書は、とても面白い。
目次を見たときは高校数学で学ぶような論理学の基礎が並べられてるだけなのかと思ってしまったが、全くそんなことは無かった。
演繹的推論で用いられる言葉の本質的な部分を抽出して公理系を形成し、それが健全性と完全性満たすことを示す、というような論理体系の構築の流れが驚くほど平易に書かれており、ワクワクしながらスラスラと読み進められた。読んでいて「あれ?」と引っかかった部分にも後の部分で全て答えを与えてくれていて、伏線が回収されたようなスッキリとした感覚が何度もあった。
ともすれば難解になってしまう論理学をとにかく噛み砕いて読みやすく説明してくれた。これから数学や -
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わかりやすい!
面白い!
こんな風に習いたかった。
一つ一つ確認問題を解きながら読んだので、かなり時間がかかったけれど、長年あやふやだった部分がすっきりわかった。
こういう本は誤解なく伝わる例になっているかが命だと思うけれど、そこがよく練られていると感じる。
論理の言葉と日常の言葉の意外なギャップにも改めて気づかされた。
例えば、「たら」「れば」。
仮定条件を表すものなのに、日常的には前後関係程度の意味で用いられる。
こういう小さなギャップが、まだあちこちにあるのかもしれないと思った。
で、今俄然気になってきたのが、論理学はなぜそれを問題にするのかということだ。
例えば、否定という概念。