野矢茂樹のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
今年読んだ中で一番面白い本かもしれない。そんなこと考えて何か良いことあるの?てな感じの重箱の隅をつつきまくる議論なのだが、素人目線に立った解りやすい解説でどんどんページが進む。ジョンロックの一般観念論の行き詰まり、フレーゲの文脈原理と合成原理によるその打開、指示と意義による言葉の定義、ラッセルによる意義の否定と確定記述の概念導入。ここまでくると何が正解なのかわからなくなる。そして極めつけはウィトゲンシュタインの『論考』。なぜそうなのか?に答えることを放棄し、実世界のありようをそのまま認めるというコペルニクス的転回で、それまでのモヤモヤがすっきり腹落ちするというオチ。『論考』の議論から何故外国語の理解が難しいのかわかった気がする。要はそれぞれの単語の論理形式、つまりその語がどんな文に結合しうるかの可能性を理解していないから、文の分節化ができないという訳だ。哲学も役に立つではないか!
-
Posted by ブクログ
これはきっと、通読することに大きな価値はないと思った。読むという一時の体験で終わる話ではないからだ。そうじゃなくて、持っておいて、時折開いて、見て、長く付き合っていくと、この本がボロボロになるのと比例して価値も大きくなっていくのだと思う。
問題を抱えて、揺さぶって、空っぽにする。そしてまた問題を抱えて…繰り返して途切れない。つまり、考えるということを通して、生きるということを問うみたいな、そんな身近にある壮大な話だ。
そして、沢山詰め込まれている絵には意味は無いけど大きな意味があるんだ。
言っている意味分からないけど、また、引き続きこの本と付き合っていきたい。
また、これは学生がまさに考えることに向かう時に読んでもいいが、たくさん考えてきた大人が読むことにも価値があるだろう。まさにはじめて考えるときの「ように」ね。
なんか、そんな意図はあるのかしらないけど、なんだか励まされるような、そんな不思議な力がこの本にはあるなって思う。 -
Posted by ブクログ
全6回構成でその主題は次の通りです。
第1回:チョムスキー以後の言語学史
第2回:認知言語学の意味論
第3回:プロトタイプ意味論
第4回:使役構文
第5回:メトニミー
第6回:メタファー
第3~6回は、言語学に興味があれば、そこだけ読んでも面白いです。
反対に第1、2回は、事前知識なしだとよく分からない話をしています。
そして、哲学寄りの話をしている第2、3回こそ、哲学と言語学の先生の対談にした意義が表れているのかなと思います。
全編にわたって大変面白い本です。
普通に読んでいたら素通りしてしまいそうなところでも、聞き手の野矢先生がバシバシ突っ込みを入れてくるのですが、そういう頭のいい人の考え方が覗けるのも興味深い。
ただ、体系的な理解ができる形式ではないので、本書を手に取るのは、言語学と言語哲学の入門書を読んだ後がいいのでしょうね。 -
Posted by ブクログ
ピエール・アド「ウィトゲンシュタインと言語の限界」後に再読。学生時代に1度、社会人のまだ若い頃に1度読んでいるが、今回改めて自分の読みの浅薄さを思い知らされた。丁寧に読むとかなりの時間を要する著作なのに、あまり読むのに苦労した記憶がないのだ。野谷茂樹氏の訳者あとがきに「『論考』という著作は妖しい光を放っている。読む者を射抜き、立ち止まらせ、うっとりさせる力を擁している。それはおそらくすばらしいことなのではあるが、危険でもある。うっとりしながら哲学することはできない。」とあるが、若い頃の僕はまさに『論考』の詩的かつキャッチーなセンテンスにうっとりし、それだけで何事か重要なものを把握したような錯覚に陥っていたのだ。それはもちろん僕だけではなかろう、本書からあの「語り得ぬものについては沈黙せねばならない」という命題のみを形式的に取り出し、「未だわかっていないものについては結論を出してはならない」などという陳腐で卑俗な読み替えを適用し、それをもって本書の主題だとする例に数多出くわすのだから。
以前読んだ時は、クライマックスの命題6.4あたりからそれまでの理知的な論調から離れて、「倫理」「美」「神秘」「永遠」などの形而上学的な色彩の言葉が並ぶのに面食らい、なぜウィトゲンシュタインがそのような論理的なものから遊離した(と当時の僕には思えた)概念をこの段に及んで持ち出すのか、と訝しんだ記憶がある。だが上記「…と言語の限界」を経由した今ではそうは思わない。世界を「完結した総体」として「永遠の相のもとに」捉えると、そこには確かに論理では語り得ぬものが浮かんでくる。「倫理」や「美」「神秘」は、「物自体」のように全くリーチ不可能な形而上学的概念ではなく、言語の形式では表現できないが確かに我々に示されるものであり、だからこそ畏敬の念を伴って表されるものなのだ。 -
Posted by ブクログ
クリーニャー。ネコまたは掃除機のことを指す。なんのことやら。概念の説明で出てきた、著者のアイデア。「語りえぬものには沈黙せねばならない。」、「論理哲学論考」でのウィトゲンシュタインの言葉。本当にそうなのか。著者はその姿勢を否定しているが、真っ向から反論している。大物に向かってのガチ問題提起は面白い。
正直に話すと、私は哲学に詳しくない。センター試験で倫理を選択したくらいだ。でも倫理と倫理の先生が好きだった。カントの純粋理性批判に挫折した。「神は死んだ」とかいうニーチェがかっこよかった。その程度のレベルである。なのでウィトゲンシュタインもよく知らない。
この本の内容はむつかしい。抽象的なお話で言葉もなかなか使わないものがあるので、理解するまでは私レベルでは苦労する。でも、なぜかスっと入る部分があり、1章を読み終えると授業が終わったかのような安堵感がある。
その発想はなかった、ということが多々あるからだろうか。たとえば、「翻訳できなければ、言語ではない」ということに反論する話。そもそも、概念があってそれを言葉に言い表す、というのは私の頭にあったが、翻訳できるから言語なのだ、という発想がなかった。言葉というものをまた考えさせられてしまった。
本当はもっと腑に落ちて読みたかった。しかし私の頭が足りなかった。なので正直にいって星4.5くらいな燃焼感である。これは、また歳を重ねて読む本だろう。いつか、また。 -
Posted by ブクログ
野矢茂樹の「入門!論理学」を4年ほど前に読んでから久々の論理学。また一から学び直しになりましたが、一見当たり前のことを言ってるのだけど、いざ考えてみると意外と分からなかったり。
必要十分条件とか、逆・裏・対偶とか出た出たという感じのテーマに対して、漫画でとっつきやすくギャグも織り交ぜながら導いてくれて、解説で具体的に説明してくれる。最後には練習問題があり、やってみると何故かできなかったり。
一般的な感覚と論理学の定義がずれており、特に否定は一般感覚では反対を意味しちゃうところだけど、論理学的には、それ以外のすべての可能性を包含することが否定なのだというすれ違い感。条件文の~ならば・・の裏は真ではないとかは、日常会話では完全に裏も真との前提で会話を組み立てちゃう。奥深し、論理学。
次は、やっとこさ記号を駆使したものに挑戦してみようか。乗り越えられるか心配だけど、頑張る。