野矢茂樹のレビュー一覧
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「可能無限」か「実無限」かをめぐる無限論。かなり、数学的には高度な話題だが、学生二人に講師の三人の対話形式で進み、なんだか分かったような気にはなれる。まぁ、まさに大学の講義でその議論の「さわり」を学んだというような感じだろうか。「可能無限」、「実無限」の議論を歴史的な感じで追っていき、最後は、ゲーデルで一応の落ちがつく。
本書の形式としては、多分、『数学ガール』なんかが近いのだろう(といいつつ、こっちは読んでないが)。それが楽しめたひとなら、本書も楽しんで読めると思う。
ところで、なぜ、ぼくは、そもそもこの本を手に取ったかが謎だ。数学には縁遠く、ちょっとした数学ネタ本ならまだしも、対話形式の新書とはいえ無限論などという高度なものを扱っているのに。「無限」という言葉の深遠な響きに導かれてしまったのかもしれない。その意味では、その期待には応えてくれる本である。 -
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ネタバレウィトゲンシュタインの「危険」な思考は、なんて魅力的なのだろう。
たしかにそうだ、語ることがその人の思考を作る。
当然それが限界となる。
しかも思考は言語でおめかしして、その真意を明らかにはしない。
他の問題が解決できても、生の問題は残る。
それを解消するまで考えねばならないのか。
神秘主義に、言葉遊びのような要素に、数式も現れる。
そして最後には梯子を外して、ウィトゲンシュタインを超えてゆけというのだから。
では限界を作る言葉を持って、いかにウィトゲンシュタインの世界を壊し新しい世界を構築すればいいのか。
何度読んでも刺激的だ。
ちなみに、円城塔の『次の著者に続く』にはウィトゲンシュタインからの引用があるのだが、なるほどウィトゲンシュタインと円城塔の思想というか作風は似てなくもない。
円城塔の前世はウィトゲンシュタインかもしれぬ。 -
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もう最高。センス抜群。
無限がなにかなんて「聞かれる前はわかってたけど聞かれた瞬間わからなくなる」ような例のアレ的なものだけど、突き詰めて考えていけばそれこそ話題としてもどこまでも広がっていく。
自然数論自体魅力的なだけに、一つ一つのトピックスが面白く、けっこう頭を使ったりしてとても心地よい。しかも、田jおっとタジマ先生のどこかひねくれた立場が、いや全くもって健全だとは思いますが、分かったつもりになっているコチラの常識的ななにかを尽く粉砕してくれるのがとても良い。対角線論法に文句言う辺りちょっとハラハラしたりします。
更には、3人の登場人物が妙に魅力的なんだよなあ。下手な小説なんかよりずっと面白いんじゃないかと思える。しかも随所に笑いが散りばめられていて、なんかすごく読むのが楽しい。すごいなあ。 -
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誰でも一度は、しみじみと何かを考えることはあるだろうし、それの多くをこれから見出すことができると思える。
人と話をしていても、また何かで悩んでいる時、わりと「何かの定義」で割れていることもある。知らないことについては、何も言わない方がいいのではないか、と思うことも多い。
哲学は学説ではなく、行動である。哲学とは、「何かをしみじみと考えること。」に他ならない。
ヴィトゲンシュタイン自体は、この本を書いたあと哲学界から一度身を引く。何もかもやり尽くしたと思ったのだろう。彼は当たり前のことをだらだらと小難しく書き連ねているが、この本が評価されるくらい、哲学界は混迷に満ちていたのだろうか。 -
Posted by ブクログ
当たり前そうなことの根本をこねくり回す感が面白い。存在とは何か、心とは何か、時間とは、意味とは、意志とは、…。対話形式で読みやすい。普段の会話でこんなことしてたら面倒臭い奴だな?暇なのか?になるだろうけど、それがいい。思考実験の過程が面白いし刺激に。どこかで聞いたような話も多いけど。
自由意志と決定論の話は、量子力学とか脳科学とかAIにも触れてほしかったような。偶然(ランダム性)と自由意志は違うは、その辺りも意識してる気もするけど。十分に高度な科学技術は魔法と区別できないのと同様、高度に複雑化した振る舞いは自然現象(決定論)か意志行為(自由意志)か区別できないのでは。単に自由意志が魔法に見えているだけなのかもしれない。今の人類では。昨今のAIの進歩を見ると意識とは?意志とは?の定義が結構揺らいでいる感が。それだけで一冊なので本書のscope外かな。
本書の狙いは謎の提示である。あとがきにあるとおり疑問に思うところもツッコミたくなるところも筆者の想定であり、哲学に興味を持つ入口としては良き。