野矢茂樹のレビュー一覧
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ネタバレウィトゲンシュタインの「危険」な思考は、なんて魅力的なのだろう。
たしかにそうだ、語ることがその人の思考を作る。
当然それが限界となる。
しかも思考は言語でおめかしして、その真意を明らかにはしない。
他の問題が解決できても、生の問題は残る。
それを解消するまで考えねばならないのか。
神秘主義に、言葉遊びのような要素に、数式も現れる。
そして最後には梯子を外して、ウィトゲンシュタインを超えてゆけというのだから。
では限界を作る言葉を持って、いかにウィトゲンシュタインの世界を壊し新しい世界を構築すればいいのか。
何度読んでも刺激的だ。
ちなみに、円城塔の『次の著者に続く』にはウィ -
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もう最高。センス抜群。
無限がなにかなんて「聞かれる前はわかってたけど聞かれた瞬間わからなくなる」ような例のアレ的なものだけど、突き詰めて考えていけばそれこそ話題としてもどこまでも広がっていく。
自然数論自体魅力的なだけに、一つ一つのトピックスが面白く、けっこう頭を使ったりしてとても心地よい。しかも、田jおっとタジマ先生のどこかひねくれた立場が、いや全くもって健全だとは思いますが、分かったつもりになっているコチラの常識的ななにかを尽く粉砕してくれるのがとても良い。対角線論法に文句言う辺りちょっとハラハラしたりします。
更には、3人の登場人物が妙に魅力的なんだよなあ。下手な小説なんかよりずっと面 -
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誰でも一度は、しみじみと何かを考えることはあるだろうし、それの多くをこれから見出すことができると思える。
人と話をしていても、また何かで悩んでいる時、わりと「何かの定義」で割れていることもある。知らないことについては、何も言わない方がいいのではないか、と思うことも多い。
哲学は学説ではなく、行動である。哲学とは、「何かをしみじみと考えること。」に他ならない。
ヴィトゲンシュタイン自体は、この本を書いたあと哲学界から一度身を引く。何もかもやり尽くしたと思ったのだろう。彼は当たり前のことをだらだらと小難しく書き連ねているが、この本が評価されるくらい、哲学界は混迷に満ちていたのだろうか。 -
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大学の試験からの逃避として読んでました。この本は「世界は成立していることがらの総体である」と始まり「語りえぬものについては沈黙せねばならない」という結論に至る。言いたい事はハイデガーが「存在と時間:第1章 存在の問いの必然性、構造および優位:第2節 存在への問いの形式的構造」で「問われているもの(存在)が、ある存在者の存在様態たる問いそのものへ、再帰的にあるいは先行的に、連関している」って言った事と似ているのかなぁと思った。問われる存在は、問う存在へ逆説的に問いの構造を作っているって言う事、そして僕らが普段「喋る」「話す」「書く」と第三者に問いているのは存在了解の上なのかなと考えさせられた。
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平易な語りかけるような文体であるが、「考える」とは何かという根本的な命題を取り扱う骨太な一冊。
論理的思考(ロジカルシンキング)が巷で喧伝されていた時代を思い出す。ビジネスに欠かせない能力で、論理的な判断ができないとヤバいよという煽りに焦らされていたあの頃。
本書によれば、論理はあくまでことばの意味をきちんと捉えることであり、考えるとは論理によって現れる情報を問題に合わせ取捨選択すること。一緒くた理解をしていた私に新たな知識がインストールされる。考える素材が一つ増える。
自分の頭で考える。苦手なフレーズだ。どんだけ1人でうんうん唸ってても光明は差さず自分の至らなさに辟易しては落ち込んでいる -
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【星:4.5】
哲学者として有名な野矢氏が生徒で、認知言語学者の西村氏が講師という形で、両者のやり取りを通じて、言語学、特に認知言語学とはどんなものなのかということを解き明かしていく内容。
両者の会話形式で進んでいき、会話内容もわかりやすくなっているので、私のような言語学初めてみたいな人にとってのとっかかりとしては良いと思う。
テーマとして挙げられている具体的内容も興味深いもので良かった。
ただ、上記のようにフリーな会話形式で進んでいく形なので、「で、言語学とか認知言語学って結局何なの?」と聞かれると、「言語学は言語を研究する学問全般のことで、そのうち人間の認知という側面から研究するのが認 -
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「考えさせない時代に抗して」というタイトルに惹かれた。
自分に考える能力が乏しいということには薄々気づいていたが、避けて生きてきた。30も半ばを超え、目を背けられなくなってきた。遅い、遅すぎる。こうも怠惰な人生を送ってきたが故に、今更「考えろ」と言われても到底無理な話である。
まずは知覚する。まずは第一歩を踏み出す。
そんな一歩目として手に取ってみた本書である。
なぜ本書に至ったかというと、「考えることは哲学である」と初めて知ったからである。いうなれば”哲学”なんてものに近寄ろうとしたことなんてなかったので、「哲学とは何か」なんてことをそもそも考えたことがなかった。
哲学=考えること、を知ら