野矢茂樹のレビュー一覧

  • 無限論の教室

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    新書にしては珍しく物語調。控えめなライトノベルといった趣のある良書。

    意図的なのか、先生のキャラがやや陰険で素っ頓狂なのが徐々にツボに入った。『数学ガール』よりも読みやすくてコストパフォーマンスが高い。

    アキレスと亀、ゼノンのパラドクスを取っかかりとした「実無限」と「可能無限」の話は、示唆に富んでいる。

    本が好きな人ならば、読むことと書くことのあいだにも、「無限」を見つけるのではないだろうか。

    授業1コマが1話という形式で、全12話。この授業はぜひ受けておくべき。

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    2012年06月25日
  • 論理哲学論考

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    ネタバレ

    ウィトゲンシュタインの「危険」な思考は、なんて魅力的なのだろう。

    たしかにそうだ、語ることがその人の思考を作る。
    当然それが限界となる。

    しかも思考は言語でおめかしして、その真意を明らかにはしない。

    他の問題が解決できても、生の問題は残る。
    それを解消するまで考えねばならないのか。

    神秘主義に、言葉遊びのような要素に、数式も現れる。

    そして最後には梯子を外して、ウィトゲンシュタインを超えてゆけというのだから。

    では限界を作る言葉を持って、いかにウィトゲンシュタインの世界を壊し新しい世界を構築すればいいのか。

    何度読んでも刺激的だ。


    ちなみに、円城塔の『次の著者に続く』にはウィ

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    2012年05月20日
  • 無限論の教室

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    もう最高。センス抜群。
    無限がなにかなんて「聞かれる前はわかってたけど聞かれた瞬間わからなくなる」ような例のアレ的なものだけど、突き詰めて考えていけばそれこそ話題としてもどこまでも広がっていく。
    自然数論自体魅力的なだけに、一つ一つのトピックスが面白く、けっこう頭を使ったりしてとても心地よい。しかも、田jおっとタジマ先生のどこかひねくれた立場が、いや全くもって健全だとは思いますが、分かったつもりになっているコチラの常識的ななにかを尽く粉砕してくれるのがとても良い。対角線論法に文句言う辺りちょっとハラハラしたりします。
    更には、3人の登場人物が妙に魅力的なんだよなあ。下手な小説なんかよりずっと面

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    2012年03月25日
  • 論理哲学論考

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    1921年に出版された哲学書なんだけど、IT技術者が読むと、まるでプログラミングついて語られているかのように錯覚してしまう不思議な本。

    たとえば「世界が私の世界であることは、この言語(私が理解する唯一の言語)の限界が、私の世界の限界を意味することに示されている。」とか。

    論理的考察の果てにたどり着く真理が実に美しい。

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    2012年02月27日
  • 論理哲学論考

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    誰でも一度は、しみじみと何かを考えることはあるだろうし、それの多くをこれから見出すことができると思える。
    人と話をしていても、また何かで悩んでいる時、わりと「何かの定義」で割れていることもある。知らないことについては、何も言わない方がいいのではないか、と思うことも多い。
    哲学は学説ではなく、行動である。哲学とは、「何かをしみじみと考えること。」に他ならない。

    ヴィトゲンシュタイン自体は、この本を書いたあと哲学界から一度身を引く。何もかもやり尽くしたと思ったのだろう。彼は当たり前のことをだらだらと小難しく書き連ねているが、この本が評価されるくらい、哲学界は混迷に満ちていたのだろうか。

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    2012年02月08日
  • 無限論の教室

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    笑える文章で楽しく読めますが、理解が難しかったので2回読みました。
    実無限派と可能無限派のせめぎ合い。結局勝ち負けはつかないのだけど、
    無限の捉えどころのなさというのを実感できました。

    √2やπ(パイ)は数字ではなく、その数を導き出すための法則である。
    すべての偶数を足したものは偶数ではない、自然数でもない。
    カントール的な考えでは人間が概念を作るのではなく、すでに存在している概念を発見することになってしまう。とか面白い。

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    2012年02月20日
  • 論理哲学論考

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    大学の試験からの逃避として読んでました。この本は「世界は成立していることがらの総体である」と始まり「語りえぬものについては沈黙せねばならない」という結論に至る。言いたい事はハイデガーが「存在と時間:第1章 存在の問いの必然性、構造および優位:第2節 存在への問いの形式的構造」で「問われているもの(存在)が、ある存在者の存在様態たる問いそのものへ、再帰的にあるいは先行的に、連関している」って言った事と似ているのかなぁと思った。問われる存在は、問う存在へ逆説的に問いの構造を作っているって言う事、そして僕らが普段「喋る」「話す」「書く」と第三者に問いているのは存在了解の上なのかなと考えさせられた。

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    2011年07月21日
  • 無限論の教室

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    無限について。
    この先生がうざい。

    でも、無限に対しての考え方をいろんな角度からわかりやすく解説してあり、最終的にゲーデルの不完全性定理まで持っていく。

    とても分かりやすかった。

    でも先生がうざい。

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    2011年03月28日
  • 論理学

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    2006.12.19。東京大学出版会だから難しいんだろうな、と思って読んだら、こんなにも分かりやすい本だったとは!と驚き(と言っても、後半につれて十分理解したとは言い切れないが)詳しい感想は後日書こう。

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    2009年10月04日
  • 論理学

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    おもしろい!の一言に尽きる。特に、「無門」「道元」のすっとぼけた対話が、ケケッと笑わさせられて勉強している気にならない。しかも、そのすっとぼけた質問が結構「痒い所に手が届く」ような質問で、役に立つ。練習問題や論題もたくさんあり、解きながら読み進めば、理解度がさらに向上するのかも。

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    2009年10月04日
  • はじめて考えるときのように 「わかる」ための哲学的道案内

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    考える時に、こうしたら良いということを教えてくれる本。でも、読んだからと言って、結果はすぐに出ないよ。考える時の奥義のような本。

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    2025年12月07日
  • 入門!論理学

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    タイトル通り、論理学の入門書。
    1~4章くらいまでは、高校数学で習う「集合と論理」の単元を丁寧に深掘りしたような内容で、中高生くらいでも読みやすいんじゃないかなぁと。
    それ以降の章は少々難解さが増したような気がします。私の理解力の乏しさ故でしょうか……。
    しかし、入門書として、論理学という分野への興味・関心がよりいっそう沸き立つ一冊であることは間違いありません。砕けた表現の文章によって、学ぶことのハードルの高さも随分と緩和されます。
    筆者の他の著書も読んでみたくなりました。面白かったです!

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    2025年12月02日
  • はじめて考えるときのように 「わかる」ための哲学的道案内

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    なにげなく見る夜空の星から「問題」の本質が浮かぶ・・・
    身近な例を挙げて「考える」ことの本質に迫る書です。

    イラストがほのぼのしていて、隙間が感じられて、
    それが思考の時間となりました。

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    2025年12月01日
  • はじめて考えるときのように 「わかる」ための哲学的道案内

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    平易な語りかけるような文体であるが、「考える」とは何かという根本的な命題を取り扱う骨太な一冊。

    論理的思考(ロジカルシンキング)が巷で喧伝されていた時代を思い出す。ビジネスに欠かせない能力で、論理的な判断ができないとヤバいよという煽りに焦らされていたあの頃。
    本書によれば、論理はあくまでことばの意味をきちんと捉えることであり、考えるとは論理によって現れる情報を問題に合わせ取捨選択すること。一緒くた理解をしていた私に新たな知識がインストールされる。考える素材が一つ増える。

    自分の頭で考える。苦手なフレーズだ。どんだけ1人でうんうん唸ってても光明は差さず自分の至らなさに辟易しては落ち込んでいる

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    2025年10月09日
  • 言語学の教室 哲学者と学ぶ認知言語学

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    【星:4.5】
    哲学者として有名な野矢氏が生徒で、認知言語学者の西村氏が講師という形で、両者のやり取りを通じて、言語学、特に認知言語学とはどんなものなのかということを解き明かしていく内容。

    両者の会話形式で進んでいき、会話内容もわかりやすくなっているので、私のような言語学初めてみたいな人にとってのとっかかりとしては良いと思う。
    テーマとして挙げられている具体的内容も興味深いもので良かった。

    ただ、上記のようにフリーな会話形式で進んでいく形なので、「で、言語学とか認知言語学って結局何なの?」と聞かれると、「言語学は言語を研究する学問全般のことで、そのうち人間の認知という側面から研究するのが認

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    2025年07月19日
  • はじめて考えるときのように 「わかる」ための哲学的道案内

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    何をしていると言えるのか?改めて問うと難しいことを、軽妙な語り口で解きほぐす。
    爽やかな読後感。

    ・あることにチューニングされた状態。感じることに鋭敏になり、新たな関係、新たな意味を求めること。

    ・論理は手段であり、思考ではない。

    ・見えない枠と戦うこと。それを見えるようにしてくれるのは「変な」ひととの出会い。

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    2025年07月19日
  • 哲学な日々 考えさせない時代に抗して

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    「考えさせない時代に抗して」というタイトルに惹かれた。
    自分に考える能力が乏しいということには薄々気づいていたが、避けて生きてきた。30も半ばを超え、目を背けられなくなってきた。遅い、遅すぎる。こうも怠惰な人生を送ってきたが故に、今更「考えろ」と言われても到底無理な話である。
    まずは知覚する。まずは第一歩を踏み出す。
    そんな一歩目として手に取ってみた本書である。

    なぜ本書に至ったかというと、「考えることは哲学である」と初めて知ったからである。いうなれば”哲学”なんてものに近寄ろうとしたことなんてなかったので、「哲学とは何か」なんてことをそもそも考えたことがなかった。
    哲学=考えること、を知ら

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    2025年07月06日
  • 哲学な日々 考えさせない時代に抗して

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    私たちはポリフォニー的世界の主人公。その物語の中にありながら、客観的に眺めることは可能。
    丸裸の自分にこそ生きる力が備わっている。
    本来無一物
    手に入れたものは全部おまけ

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    2025年06月22日
  • 論理哲学論考

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    正直、脳が溶けるほど難解。
    人類は言語の枠組みからは出られず、
    前提、つまり言葉が無ければ論理を立てられない
    語り得ぬものについては、沈黙せねばならない

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    2025年05月23日
  • それゆけ! 論理さん【大人のための学習マンガ】

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    ゆるいキャラクターの漫画が挿入されているので、甘くみていると、徐々に内容が難しくなってくる。

    初心者向けと著者は言っているが、ちゃんと理解しようとすると、なかなかに骨がある。用語もそれなりに出てきて判別が難しくなってくる。正直、日常生活において、ここまでキッチリ必要だとは思わない。

    しかしながら、楽しみながら知識として取り入れる量としてはちょうど良い

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    2025年05月06日