野矢茂樹のレビュー一覧
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ウィトゲンシュタインが生前に刊行した唯一の著書。
文章をいじくりまわして世界の可能性を思考の限界まで探っていく論理実証主義と呼ばれる思想の流れは、このウィトゲンシュタインに始まったと学生のころ学んだ気がします。
ふと思うところがあって今こうして読み返してみると、一切の実存への意思を排除したかのような内容が逆にスリリングであらたな魅力を感じました。
語りうる領域と語りえない領域との境界線画定を試みたと言われている本ですが、「語り得ないものについては沈黙せねばならない」というフレーズはあまりにも有名。
当たり前ですが、これは「語り得ないもの」を排除しようとしたのではなく、そうしたものを希求するがゆ -
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本屋さんを物色していると思わぬ類の本に遭遇することがあります。この本もその一冊。本の帯にあった「昨日、財布に落ちられました」はどうしておかしいんだろう?というペンギンの絵のセリフに目を奪われて中身をぱらぱらめくると、さらに「雨に降られた」はごく自然な日本語なのに「財布に落ちられました」は?・・の理由が、対談形式で述べられている・・というわけで、普段意識しない言葉の使い方の世界を覗きみてしまった感じで無視できず、つい買ってしまいました。
対談形式ですが、中身は言語学の格闘技のようなお二人の議論が延々と続きます。認知言語学という分野を研究している西村さんを師として、年下の哲学者の野矢さんがこの分野 -
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言語を文法だけでなく人間の認知として捉えることが認知言語学らしい。
本書は対談のテープ起こしであるが、そのライブ感だけでなく、二人の感性、本文では違和感と表記されるもの、が伝わってくるのか面白い。
工学の立場からすると、こんな曖昧なものが学問として成り立つのか、プログラムに出来ないものが金になるのか、とも思ったのだが、感性が殆んどであろうUX/UIの話にも似ていて参考になる。
画像の話もそうだが、結局認知とは、そもそも人間に備わっている機能、その機能に関する記憶、他の機能、特に感情に関わるものとの相互作用だと思う。
同じものを見たとして、認知はその人で異なるのはもちろんのこと、コンテキ -
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最近、ラネカーの「参照点」と「ターゲット」の概念モデルが、UIとUXの関係性について捉えるのに役立つと思っていたところでしたので、色々自分自身整理ができて良かったです。もっとも、UIとUXの場合は明確に一方向性が強いので単純に適用はできないけど、今一番ホットな話題のskeumorphismとかタッチインターフェイスにおけるページ捲りの動作とかは大体これで捉えられます。
第5,6回については、ドナルド・ノーマンの『複雑さと共に暮らす』で書かれていた、世界は複雑でありデザインはその複雑さを反映したものである、という趣旨(iOS 7の紹介でJony Iveが同じことを言っていましたが)が言語の「創 -
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「無限」とは何か、をテーマに、教授と二人の大学生が講義を進めていく形で話が展開します。抽象的で難しいテーマでしたが、かなり丁寧に解説されている印象を受けます。数学が苦手な僕でもストレスをあまり感じませんでした。
ベキ集合のところの感覚を掴むのが少し大変でしたが、非常に興味深く読むことが出来ました。特に、可能無限という考え方(実無限の考え方が頭から離れなくてなかなか考え込んでしまいましたが、一度しっくり来てからはこちらのものですねw)やそれに基づいた実数の捉え方、対角線論法、ヒルベルトプログラムについてが面白かったです。
高橋昌一郎先生の「限界シリーズ」にもゲーデルの不完全性定理が出てくるの -
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何回読んでも難解な本ですが、ようやくこの本の提示するスコープが見えてきたような気がしました。
①成立していることがら(=事実)から構成要素に分解する。
②それらの可能な組み合わせ(=事態)を記号(=像)にマッピングする(=命題)
③命題についていろいろ語って思考の限界を探る。
④語りえないものについては、沈黙しなくてはいけない。
正直なところ、解説を読まないと、何を言っているのかさっぱり意図がつかめないです。でも、解説を読んだ後で流し読みしてみると、そういうことか!という発見があります。
この本は、解説本を読んだ後にまた再読したいです。 -
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ネタバレ場が主流で、でも著者は可能無限の立場であると述べています。
『無限の可能性が秘められている』と言われれば希望的観測が持てますが、『無限の可能性なんて実は無いんだよ』と言われれば何だかちょっと実も蓋もない感じがして肩を落としたくなります(笑)
数学を用いて無限の可能性を解いています。まず、そもそもその出発点が怪しいんじゃないのか、というのが率直な疑問です。数学以外でも、何か取っ掛かりがあるような『気がします』。
僕も可能無限派になるのかな?例えばリーマン問題やゴールドバッハの問題なんかも、何か法則性が見付かるんじゃないか、と淡い希望を持っています。
未来の事は分からないですが、大抵の事は、過去の -
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哲学者によって書かれた論理学の入門書。ただし、論理学のテクニックを習熟するための教科書ではない。ところどころに、無門と道元という二人の禅僧と著者とのユーモラスな掛け合いが挟まれており、論理学のキモを分かりやすく解説している。
数学的な素質のある人が読むと、余計なことが書かれていてかえって分かりにくいと感じるかもしれないが、個人的にはたいへん理解しやすい本だった。ただしこれをメインのテキストにすることはさすがに無理だろう。論理学の初心者が他の教科書とともに使う副読本といった位置づけの本だと思う。
内容は、第1・2章でそれぞれ命題論理・述語論理の意味論と構文論がわかりやすく説明される。タブロー -
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本書は基本的に学術書である。よって、専門家でない限り、なかなか評価するのは
厳しいものがあるが、改めて論理学を学び直した者のざっくりとした評価ととって
もらえれば。。。。
著者は、野矢氏である。東大の助教授である。ちなみに本書は、東大の論理学の
教科書になっている。(出版も東大だし(笑))
しかし、内容はかなりわかりやすく記載されている。また、会話文によって
進んでいく形式もなかなか良い。また、網羅性も十分であると思う。というのは、
本書一冊で不完全性定理まで理解できるからだ。まぁ、ここまで理解する必要も
ないとは思うが。
学び直して思った事は、論理学というのは完全ではない。この一点に尽