野矢茂樹のレビュー一覧

  • 言語学の教室 哲学者と学ぶ認知言語学

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     人間は言語を道具として操ることで他の動物にない進化を遂げた。とか何とかいうのは近代的な認識で、20世紀初頭の言語学の勃興以降、言語によって人間の認識が影響を受けるといった言語論的転回がおこり、極論すれば人間こそが言語の道具である、というのが現代思想であった。
     しかし、学問というのは進歩するのではなく振動するものらしく、そうした言語中心主義も揺り戻しが来て、ふたたび人間の心理が言語に影響を及ぼしているという認知言語学が出てきた。本書は言語哲学の野矢茂樹が認知言語学の西村義樹に教えを請うという形の対談によって、認知言語学を解説したものである。茂樹と義樹、ふたつの樹が認知言語学に迫る。

     一般

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    2016年02月10日
  • 哲学な日々 考えさせない時代に抗して

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    所在:展示架
    請求記号:104/N97
    資料ID:11501501
    選書担当:ハー

    思考している時は行動が停止しており、行動している時は思考が停止している。だが、どちらの時間も重要である。

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    2016年01月17日
  • 哲学な日々 考えさせない時代に抗して

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    野矢先生相変わらず素晴らしい。哲学界隈としてこういうスタイルがどうかというのは知らんけど、文章読むの好き。

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    2015年12月19日
  • 言語学の教室 哲学者と学ぶ認知言語学

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    言語のしくみと心の動きとの関係。従来の言語学では重視されていなかったが、やはり無視することのできない要素だと思う。西村さんと野矢さんがわかりやすく鮮やかに考察されている。
    言葉の不思議について日頃から考えている人にとってはとても面白い本。哲学に近い面白さ。ひょっとすると大学の言語学研究室ではこういうことはやってないかも。

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    2014年11月10日
  • 哲学の謎

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    この本は哲学の本ですが、「生物が絶滅しても夕焼けは赤いか」「死と他者」など、様々なテーマについて考察するといった内容です。哲学史の本ではありません。
    一言で答えも出ないし、客観的に確かめようもない問題はたくさんあります。例えば、本文中に出てきた話で「木から舞い落ちる(ように見える)枯れ葉に意志はあるか」という問題もそうです。ないだろうと思っても確かめる方法はありません。そういう問題を考えるとき、哲学が考えるヒントを出してくれるように思います。
    枯れ葉に意志があるかどうかは生活上考えなくてもよい問題です。しかしこれが、異文化コミュニケーションだったり、新しい医療技術に対するモラルだったりすると、

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    2014年10月22日
  • 言語学の教室 哲学者と学ぶ認知言語学

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    哲学者の野矢茂樹先生が生徒役になって認知言語学者の西村義樹先生に聞くという対談形式で認知言語学者について分かり易く教えてくれる本です。

    何と言っても野矢茂樹先生の「予習をきちんとしてくる」「分からない点は納得がいくまで質問する」という態度に心を打たれました。

    内容については半分くらいしか頭に残っていない感じですが、認知言語学のこだわりや、メトニミーの概念が理解できてよかったです。

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    2014年03月29日
  • 論理哲学論考

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    「論理哲学論考をよむ」を読んだ後に思い切ってページをめくってみた。
    当時これはきっと既存の知の積み重ねだけでは理解ができなかったんだろうなと思う。
    頭を空っぽにして一度、その思考にどっぷりと浸かって初めて片鱗を感じることができそうだ。
    なんども「論考をよむ」と往復しなければとても自分には読むことができない。

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    2014年09月05日
  • 論理哲学論考

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    ネタバレ

    パラッと開いてみたらぶったまげた本。

    「二・0一二四」という数字が各行(各論か?)の頭に振ってあり、その下に「全ての対象が与えられるとき、同時にすべての可能な事態も与えられる」とかいう文句がある。
    この短くも長くもない明晰であり、しかし強く惹かれる怪しい魅力を放っている文章になんだか溜息がもれてしまう。

    とにかく、タイトルと目次と段落と行の塊のような物語小説やビジネス書を読んでいると、この記述に面を食らってしまうこと間違いなしだ。
    でも「ケッ!なんだこれっ」みたいな、つばつけてポイするような本でもなく、とにかく魅力を持っている。怪しくて魅力的なのだ。
    本棚に入っていると気になってしょうがな

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    2013年11月29日
  • 言語学の教室 哲学者と学ぶ認知言語学

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    認知言語学の取り扱うテーマについて、平易な語り口で、対話形式で進めていく。言語学についてほとんど全く予備知識は持っていなかったが、とても楽しく読み進められました。

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    2013年11月21日
  • 無限論の教室

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    3人のキャラ造形が抜群にいい。特にタジマ先生。
    読んでて理解が追いつかないなー、と思った箇所では必ずと言っていいほど和尚さんもついていけなくなってて、いったんまとめてくれるのがうれしい。
    ただタカムラさんは別に不美人設定じゃなくてもよかったんじゃないかなー!?

    一回読んだだけでは最後までは理解できず、再読するたびに理解が少しずつ深まっていくのがなんかトンネルを掘り進めているようで快感。

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    2014年08月23日
  • 言語学の教室 哲学者と学ぶ認知言語学

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     野矢茂樹は、私の好きな哲学者だ。日常を眺める角度を少しだけずらせてみせて、気が付くと哲学的な思考の深みへと自然に誘ってくれる。この人が、「認知言語学」に興味を持ち、自分が生徒になって、その道の研究者である西村義樹に教えを請うという形の対談本なので、これは見逃すわけにはいかない。面白い例文が次々と飛び出してきて、退屈する暇はない。
     「雨に降られる」とは言うが、「財布に落ちられた」とは言わない(これは、「間接受身」とか「迷惑受身」と呼ばれる)。
     「嘘」は、広辞苑では「真実でないこと」とあるが、「嘘をつく」というのは「①事実でないことを言う、②発話者自身が事実ではないと思っていることを言う、③

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    2013年08月28日
  • 言語学の教室 哲学者と学ぶ認知言語学

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    実に楽しく、明快で、かつ高揚感に溢れる一冊。異なる言語間の形式的差異を文化の違いに帰するだけの本ならいくらでもあるが、この本が読み手を連れて行く(←語彙的使役)場所はそれより遥かに深く鮮やかな色彩に満ちている。言語学者と哲学者の、どちらが主とも従とも、教師とも生徒ともつかないままの対談形式は澱みもなく、豊富な例とも相まって読み手の理解を大いに助けてくれる。「言語学」「哲学」などというと堅苦しいが、難解な所は全くなく、肩肘張らずリラックスして読める良書。巻末のブックガイドと索引も有難い。

    ところで何年か前、大学の農学部を舞台としたマンガが人気を博したことがあったが、その中で「かもす」という動詞

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    2013年07月10日
  • 哲学の謎

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    出会ったのは高校時代の現代文の教科書に載ってたことだったと思う、正直普通の人はこのレベルの疑問でいいと思う。自分も色々背伸びして少し難しそうなのに飛びついたりしたが純粋に疑問にもつこの段階が楽しいと思う

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    2013年05月27日
  • 無限論の教室

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    とある架空の大学ゼミのお話。
    小説形式で進行し、「無限」というものを数学者たちが如何に扱ってきたか、その議論の歴史、要点を教えてくれる。
    数学の専門知識がなくても楽しんで読める本だと思う。
    「無限とは何か?」に興味を持ったことがある人には絶対お勧め。

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    2013年02月19日
  • 哲学の謎

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    対話形式で書かれていて初心者にも分かりやすいと思う。
    いつも当たり前だと思っていることに疑問を投げかけてくれる。
    しかし参考文献が一切示されていないので、興味を持った人はより深く学ぶには自分で調べる必要がありそこは不便だと思った。

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    2012年12月19日
  • 無限論の教室

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     哲学的な話題で始まるがかなり数学的。タジマ先生が現代数学の常識とされる実無限を否定するところから論旨を始めるのが刺激的だった。結局可能無限か実無限かは読者の判断に委ねる形となるが、そこまでたどり着くのに、無限集合の濃度、ラッセルのパラドックス、ゲーデルの不完全性定理を通過するのでかなり難しい。その分読みごたえがある。
     どう考えても本の展開には関係ない、タジマ先生と男女二人の学生の雑談が本をなじみやすいものにしている。さすが今年度(2012年冬学期)単位がこない座禅の授業をやろうとした野矢先生らしい。

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    2013年03月04日
  • 論理学

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    論理学の仕組みが分かる内容。
    とても読みやすいはずなのに理解が追いつかないので、
    本来の論理学が持つ硬さを感じる。

    論理は何を説明しようとするのか、何を説明できないのか。
    そんな線引きまでしてくれている。

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    2012年11月02日
  • 論理哲学論考

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    言語の限界を明らかにすることで思考の限界を指し示し、命題に対する操作によって語られうることは全て明晰に語られうるのだと証明した上で「語りえないことには沈黙しなければならない」と断言する、20代のウィトゲンシュタインが残した生前唯一の哲学書。大半が難解な論理による分析方法に関する考察で占められているのだが結論直前では一転、倫理や幸福、死生観について触れられている。沈黙すべきなのは決して不要だからなのではなく、本当に大切だからうかつに語るものではないと言おうとしていたのではないか―そう考えるのは飛躍だろうか。

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    2012年10月31日
  • 無限論の教室

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    「可能無限」か「実無限」かをめぐる無限論。かなり、数学的には高度な話題だが、学生二人に講師の三人の対話形式で進み、なんだか分かったような気にはなれる。まぁ、まさに大学の講義でその議論の「さわり」を学んだというような感じだろうか。「可能無限」、「実無限」の議論を歴史的な感じで追っていき、最後は、ゲーデルで一応の落ちがつく。
    本書の形式としては、多分、『数学ガール』なんかが近いのだろう(といいつつ、こっちは読んでないが)。それが楽しめたひとなら、本書も楽しんで読めると思う。
    ところで、なぜ、ぼくは、そもそもこの本を手に取ったかが謎だ。数学には縁遠く、ちょっとした数学ネタ本ならまだしも、対話形式の新

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    2012年09月18日
  • 無限論の教室

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    ひと癖もふた癖もあるタジマ先生に導かれて、無限論の世界へ。
    大学時代、哲学の授業の教科書がわりになった本。
    無限論ってなにさ!?って遠い世界のことのように思っていた人でも、
    物語に引き込まれてしっかり楽しく学べる一冊。
    この授業、受けなきゃ損。

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    2012年07月07日