野矢茂樹のレビュー一覧
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認知言語学について知りたくて読み始めた本。
対談形式で、東大の哲学の先生が、東大の認知言語学の先生に、認知言語学に関する疑問をぶつけ、言語学の先生もその視点にハッとさせられながら、認知言語学の視点で答えていく。
「雨に降られた」「彼女に泣かれた」などの間接受身という文は、「自分にはどうしようもないという、諦めの感覚」があり、「言葉の問題を言語だけに狭く閉じ込めないで、事柄に対するわれわれの見方や態度と結びつけて考えていこうというのが、認知言語学の特徴」である。
読むのにかなり時間がかかってしまったが、認知言語学の世界に少し近づけたような気がする。 -
Posted by ブクログ
認知言語学者に哲学者がツッコミを入れていく対談。まだ新しくて発展途上の認知言語学の視点から言語学全体の簡単なレビューもしてくれる。対談はざっくばらんで面白いが、意外と咀嚼するのは大変。
古くは言語学といえば言語のルーツなどを調べる学問だったが、ソシュールが共時態の言語学を唱えて言語の構造を調べる方向へ。そしてチョムスキーが単に言語のあり方をブラックボックス的に記述するのでなく、なぜそうなっているかの学問として生成文法をはじめる。言語知識を他の知識から独立したものとして捉えて(狭義の)文法に意味を認めない生成文法に対するアンチテーゼとして生成意味論がおこったが敗北。しかし生成意味の後継者として -
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はじめは言語学の系譜から始まり、認知言語学とは何かを解く。では、認知言語学とは何かといえば言語を可塑的でかつ流動的なものととらえ、言語における主観や含意を認識しようとせんものである。チョムスキーの生成文法が多様性の中で普遍的な核を探求するプラトン的な、科学的な、理系的なものであるのに対し、認知言語学は多様性を掬い取ろうとするアリストテレス的で文系的なもの。生成文法と比較すれば科学的ではないが、心理学との親和性も高く、人間の認知のあるかたというビッグテーマに対し示唆に富んだもの。印象的だったのはメトニミーを参照点理論で説明するものであった。人間は未知のものに遭遇したとき自分の経験から近いものを想
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Posted by ブクログ
哲学者・野矢茂樹が、「論理学ってけっきょく何なんだ。何をやっているんだ」ということを著した、論理学の入門書である。
本書の最大の特徴は、「はじめに」で語られる通り、現代の論理学の主流は「記号論理学」と言われ、入門書も横書きで記号が頻繁に出てくるものが大多数である中で、本書は縦書きで、普通は記号を使って書かれる部分も文章で説明されているところである。
著者はまず、「論理的」であるということを、「ことば」は意味の連関性を持っており、その連関性によってつながる意味のネットワークを踏み外すことなく正確に行き来することである、と述べる。
そして、
「A」と「Aではない」(否定)、
「AかつB」(連言