仲野徹のレビュー一覧
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前著「こわいもの知らずの病理学講義」もおもしろかったが、これはさらにわかりやすく、楽しんで読めた。「病気ってなに?」と題したまえがきに始まり、うんうん、なるほどねという話題が次々出てくる。第1章の、腸内フローラとハイパーベンチレーションの話だけで、すでに元を取った気になった。その後も、興味深い話ばかり。誰でもできるダイエット法、自分のゲノムを知るということ、アルコール中毒とは?、ガンは予防できるのか、風邪とはなにか、などなど。
健康や医療についての情報はあふれかえっているけれど、どうも肝心なところがわからなかったり、不安感だけが募ったりすることが多い。その点本書は、まあ人間いずれ死ぬんだし、あまりキツキツ考えずに、そこそこ気をつけて暮らそうかという、ちょっとゆったりした気持ちにさせてくれる。
これは、著者独特の柔らかい大阪弁の語りによるところも大きいと思う。テレビなんかで耳にする大阪弁には、どうも響きのきついものが多いし、読むにしても、田辺聖子先生がお書きになるような春風駘蕩といった風のものには、最近あまりお目にかかれない。著者の、軽く自分に合いの手を入れながら流れていく文章は、実に私の好みなのだった。 -
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下の味覚地図は今は否定されている。
色で味覚を分けている。色がわからなければかき氷の味はわからない。
苦味は毒や腐ったものを避けるため。閾値は他の味覚に比べてはるかに低い。
ビタミンK=血液凝固因子を作るために必要。
DNAはA,C,G,Tの並び方による情報。次世代シークエンサーで安価に解析できるようになった。
赤ちゃんは無菌。腸内フローラは生まれてからできる。産道にある菌が最初。帝王切開だとその菌はない。
腸内フローラはかなり安定。すぐに調節はできない。
息を止められないのは、炭酸ガスが増えるから。大きな深呼吸を素早く繰り返す(ハイパーベンチレーション)とそれが無くなるので長く息を止めていられる。
潜水泳法が禁止されているのは、苦しくなくても血中酸素が無くなって突然意識消失に陥る可能性があるから。
炭酸が好きならビールを炭酸水に変えればよい。
常にダイエットをしていることを意識していればちょっと我慢する。指にキ、と書く。いつもダイエットのことを意識する、だんだん余り量を食べなくなってくる。美味しいものを食べた時の満足度が上がる。
痩せるためにゆっくり食べる、ではなくゆっくり食べられるようになったら、自然に痩せている。
チンパンジーとヒトはゲノムの差は1.2%しかない。個人間は0.1%程度。遺伝的な素因と後天的な素因では、背丈や知能は後天的な影響が大きい。
ゲノムでなりやすさがある程度わかるが、あまり大きくない。
胎児期の低栄養は生活習慣病のリスクになる=バーカー仮説。エピジェネティクス。
アルコールはアセトアルデヒドから酢酸に分解される。
飲んですぐ吸収されるわけではないところがミソ。
アル中は差別的な用語。アルコール依存という病気。
アルコール依存はアディクション=別人格が乗っ取ること。
依存は物質依存だけでなく、ネットやギャンブルなど行為依存もある。
アルコール用のサプリは、ウコンかアミノ酸。
アルコールの代謝のためのMEOS系の酵素ある種の薬は効きにくくなる。
がんはDNAの複製に失敗した細胞。活性酸素やアセトアルデヒドはがんへの変異を引き起こす。
タバコ、ヘリコバクターピロリ、B型C型肝炎ウイルス、ヒトパピローマウイルスによる子宮頸がん。ワクチンがある。
副作用と副反応。ワクチンは副反応という。
アルコール飲料と加工肉は発がん性が認められる。
加工肉は疫学調査によるだけ。
日焼けサロンはフランスでは使用停止勧告が出ている。
ガンは長生きの宿命=細胞が分裂する回数が多ければ複製ミスも多くなる。運によるもの。
代替医療だけを受けた人の死亡リスクは2.5倍。
ビタミンCや笑いがガンに効くとは限らない。
細胞の死に方はネクローシス=壊死とアポトーシスがある。
オプジーボやヤーボイは免疫チェックポイント阻害剤。免疫細胞のアクセルを踏むのではなく、T細胞のブレーキを外す方法。2~3割しか効果がない。
人が耐えられる程度の不快な思いをすることも幸福感を永続的に深く味わわせることに有効=本庶祐
野口英世は梅毒で死んだ。黄熱病は峠を越えていた。
アインシュタイン「論理はあなたをA地点からB地点へと導く。しかし、想像力はあなたをどこへでも連れて行く」
初期の抗菌剤はサルファ剤=第二次世界大戦中に活躍。耐性ができやすいため今は使われていない。
その後抗生物質ができた。
チャーチルの肺炎を救ったのはペニシリンとされているが、実際はサルファ剤。サルファ剤はドイツで開発された。
MRSAはメチシリンに耐性を持つ細菌。
ストレプトマイシン=結核の特効薬。
耐性ができると怖いのでなるべく使わない。風邪には不要。
ウイルスには抗ウイルス剤。50年ほど前に生まれた。
特異性が高い。ヘルペスウイルス、インフルエンザウイルス、などに特化している。
南極では風邪をひかない。寒くても風邪ウイルスがないから。
風邪とインフルエンザは別物。
風邪をひくウイルスは200種類ある。
歳をとると風にかかりにくくなる=免疫ができる。
睡眠不足やストレスは風邪にかかりやすい。疲労とは関係ない。適度な運動は善玉。
風邪をひくのは飛沫より接触のほうが多い。マスクより手洗い。手で顔をさわらない。
ポモドーロテクニック=25分仕事に集中、5分休み、で仕事の能率を上げる。 -
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ネタバレ<目次>
長いまえがき 病気って何?
第1章 生きるということ
第2章 ダイエット「入門」の達人
第3章 遺伝+環境=わたし
第4章 酒は呑んでも呑まれるな
第5章 (できるだけ)がんにならない暮らし
第6章 病原体との闘い
第7章 番外編
<内容>
積水ハウスの「住むフムラボ」連載の記事を加筆したもの。
前回の『こわいもの知らずの病理学講義』に比べ、ご本人も語るようにわかりやすい。医学界の近年の様子がよくわかるとともに、大学医学部の内情もちらほらとわかる。
一番教えられたのは「呼吸」。よく「吸って、吐いて」と言われるけど、「呼吸」の「呼」は「吐く」こと。つまり、「吐いて、吸って」なんだということ。その方が体に良い(というか、身体が欲している)。 -
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読書メモ
病気をしない暮らし 仲野徹
ずっと読んでみたかった内田樹の界隈(?)の病理学者の本。
生きるとは、ダイエットやがん、お酒との付き合い方などキャッチ―な話題を専門的に解きほぐしていく内容で、ド文系の自分も読んでいて面白かった。
味覚には酸味や甘味と同一カテゴリーにうま味というものがあり、それを発見した明治時代の化学者・鈴木三郎助が興したベンチャー企業が今の味の素であるという豆知識から本に引き込まれていった。味覚と体への影響という観点では、苦みは体に悪いものを表しているという一文もあった。また、つわりの際に味覚が変化することに関して、特定の食べ物を食べれなくなるという現象に対して、胎児が奇形になるリスクを孕む物質=催奇形性生物を含んでいるものを、味覚のフェーズで除外しているという説がある。人間の体も神が創り賜うし一つのシステムであると考えると、非常の合理的なものである。個人的には、苦みの代名詞であるゴーヤをよく食べる沖縄人に長寿が多いのは、この本の主張からすると例外的なのかもしれないと思った。一方で、沖縄の温暖な気候がストレスフリーな生活を促進させ、そういった環境的な要因も多いのかなと。
かつて阿部謹也の本に中世の人々は体内は小宇宙、体外は大宇宙と認識していたと書いてあったが、この本も腸内フローラという37兆個の菌の集合体が体内にあるという点で、おなかの中の小宇宙と表現している。赤ちゃんのときは無菌状態であるが、そこから環境に合わせてフローラが形成される。国によってフローラの構成は異なり、日本人が海外でおなかを壊すのはフローラの違いによって起こるとも結論付けられる。最近のWIREDの記事で、腸内環境が性格にも影響を与えるという記事があった、腸内菌を移植すると性格も変わるのだとか。。
呼吸は吸呼ではない。何を言おうとしているかといえば、吸うことより吐くことの方が大事であると。まず、吐いて、そして吸う。これは呼吸中枢のメカニズムとも連動している。
息を止めると、体内の二酸化炭素の排出が止まってしまい、血中の二酸化炭素濃度が向上する。それをトリガーに呼吸中枢に働きかけ、人は息を吸うのである。息をしたくなるセンサーは、実は血中の二酸化炭素の増加にあるとのこと。潜水泳法が禁止されているのは、このことからきている。ハイパーベンチレーションという深呼吸をして、二酸化炭素濃度を下げた状態で泳ぎ始めると、運動により酸素は減っていくが、センサーが危険を感じるほど二酸化炭素濃度は上がらないため、人は酸欠状態でも気づかなくなってしまう。その結果、突如として気を失ったり、脳に大きな障害が起きたりすることが研究で分かっているため、この泳法は実は禁止されているのである。
ゲノム:DNAの中にある60億ものACGTの塩基の配列によってもたらされる人間の全遺伝子情報。 -
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高校生が文章を読むに当たり、基本的な考え方をあたえてくれる、良本。
平川克美「人口減少社会について根源的に考えてみる」ではグラフの見方とともに、当たり前のようにように言われている言説について批判的な見方を示唆する。
仲野徹「科学者の考え方-生命科学からの私見」ではパラダイムシフト、疑う、シンプルに考えるなど科学を発展させている考えが書かれている。
白井聡「消費社会とは何か-『お買い物』の論理を超えて」ではボードリヤールの考えを援用し、いわゆる「消費」的な感覚が政治や教育にも適用させようとする現在の社会のゆがみと弊害を述べる。
山崎雅弘「『国を愛する』ってなんだろう」では、政治的無関心が生む危険と愛国の意味の多義性について分かりやすく述べている。 -
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【読書メモ】
p185
・何のために勉強するのですか?
自分の頭で考え、自分の言葉で自分の意見を言う。ただそのためだけに勉強するのです。山本義隆
p190
・同じことを、違った側面から考える視点を与えてもらうためにディスカッションをするのです。当たり前のことですが、自分は自分の考えに染まりきっています。そこへ、違う刺激を与えてもらって、自分の考えを方向転換させたり、バージョンアップさせたりすることが重要なのです。
p103
・科学がグローバルである最大の理由は、真実をあつかうからということです。
…科学的な視点は予測できない社会を生きるうえでの全員にとってマストなものの見方なのかもしれない。情緒的に考えたとしても、それを相手に理解できる自分の言葉で伝えて、ブラッシュアップしていかなきゃいけない。誰かが先に答えを用意してくれている時代でないのであれば、自分の考え、意思を言語化して、まず自分を納得させることができなければ、何も頼りにするものがなくなってしまうから。自分を納得させるために、何故自分がそう考え、思ったのか、その前に何が頭に浮かんだのかを自分自身に伝えなければならない。
科学的なものの見方とは、パラダイムが人間の思考をいかに制限・固定・維持しているかを理解したうえで①まず疑う、②データに基づいて具体的に説明する③合理的に考える④いっしょに考えてグロ−バルに展開してくという流れ。
・消費社会について
…資本主義がすすみ、消費社会が到来した。最初は「必要だから」何かを求めていたものが、今では「これを持っていると周りから羨望の眼差しを向けられるから」といった“意味”に価値が置かれている。だって、物が溢れる時代に、物をほしがり続けてもらわないと資本主義は回らないのだから。
しかし、そうした消費社会の高度化が人間精神の在り方に異常を来していると筆者は述べる。「お買い物」の論理を、その論理が当てはまらないもにまで当てはめようとしているからだ。
選挙の投票や教育はその良い例。
投票は、投票したい候補者がいないし行っても無駄、という合理的な考えで処理されることがあるが、その危険性はでかい。あなたがほしがるものをお膳立てしてくれるわけではない。あなたが何もしなかった行為そのものが、結局はあなたとあなた以外の人にふりかかることになる。だから、「もっともマシ」だと思う人に投票することが求められる。
また、教育はお金を払えばすぐに分かりやすい商品価値が返されるものではない。つまり、商品として捉えるならば出来損ない。さらに教育が商品とみなされたが、教育は不可能になる。学ぶ主体が「消費者である」と自己認識している限り、最低限の支出で最大限の有用性を得ようとしている限り、教育は死ぬ。お客様→学ぶ主体
・「愛国心」について
…そもそも「国」をどう捉えるかは3種類ある
①外国的に「独立国」として承認されている国家の領土
②その領土内に住む国民を特定の政府が統治する国家体制
③政府に統治される側の、一人一人の国民の命と生活環境
時代的背景によって、上記の優先順位は前後する。
第二次世界大戦で、ドイツ軍に攻め入れられたフランスは、わずか6週間で降伏を宣言した。③市民の命を最優先にし、①領土の半分を失い、③ドイツ寄りの中立の立場をとることになった。
一方、太平洋戦争中の日本は、軍人や市民の命が犠牲になったとして、早く負けを認めて戦争をお渡せようという空気は起きなかった。なぜなら②天皇とその天皇が統治する国家体制が何よりの崇高なものであったわけで、③はそれを支えるために存在していると解釈されていたから。
日本で「愛国心」というと、この戦時中のイメージが先行されてしまうきらいがある。なぜなら、平和な時代の③を優先する愛国心(いわゆる新バージョンの愛国心)の概念ができあがっていないから。
反戦運動をする人に対して「裏切り者」や「売国奴」などど軽々しく言うひとにとっての愛国心は、②と③を最優先にさせたもので、指導者が決めた物事について疑いをかけずに従順に突き進んでくれる都合の良い存在。いわゆる「馬鹿」なのだけれど、そんな存在を刺激するには近隣諸国に敵をつくって、危機を煽れば良い。そういったかれらにとっての愛国心は、本当は国を破滅に導くとも知らずに、彼らはついてくるから。
「もしかしたら、自分の国の指導者は間違った判断をするかもしれない」と考える市民、そして命を最優先に考える市民にとっての「愛国心」は上の人たちとは違うことを理解しておく必要がある。
自国の黒歴史、つまり、戦争のために命を落とした人たちの死が無駄であったか、そうでなかったかは軽々しく結論付けられないが、それを決めるのは現在と将来の私達の行動にかかっている。
P281
ブレーズ・パスカル「われわれは絶望が見えないようにするために、何か目をさえぎるものを前方においた後、安心して絶望のほうへ走っている」(パンセ) -
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エピジェネティクスのepiは「後で」を意味する接頭辞でありエピソードと言われるとなんとなくそんな気もする。ジェネティクスは遺伝学、同じDNAを持つ双子も育ち方によっては遺伝子の発現に差が出てくる。後天的な遺伝子発現に関わるのがエピジェネティクスでだが最大公約数的な定義が「エピジェネティックな特性とは、DNAの塩基配列の変化をともなわずに、染色体の変化によって生じる、安定的に受け継がれる表現型である。」なのだがこれではなんのことやら。
DNAはヒストンと言うタンパク質に巻きついているのだが、DNAやヒストンが化学的に修飾されることにより、遺伝子の発現が活性化されたり、抑制されたりする。例えばある疫学調査で生まれた時の体重が軽いほど高血圧や糖尿病などの生活習慣病のリスクが高いというのだ。遺伝ではなく母親の胎内にいる時の栄養状態が遺伝子に化学的な修飾を施し生活習慣病を発現させるスイッチが入る。
育てられ方によりストレス耐性が違ってくるという研究もある。ストレスにさらされるとアドレナリンやコルチゾールと言うホルモンが出るのだが、コルチゾールはまず脳の脳下垂体から出る副腎皮質刺激ホルモン(CRH)によって刺激されるが、視床下部にはコルチゾールの受容体がありコルチゾールを受け取るとCRHの分泌が抑制される。つまりストレスによる防御反応が時間とともに減る=ストレス耐性があると言うことだ。そしてラットの実験ではよく可愛がられ、丁寧な親に育てられた方がほったらかしの親より、ストレスにさらされた時の血中コルチゾール濃度が低くストレス耐性がつよい。ほったらかされた方がストレスに強いイメージは間違っているのだ。毛づくろいなどスキンシップを受けるとセロトニンが分泌されどうもこれがDNAの修飾に関係があるらしいというところまではわかっている。
エピジェネティクスのよく知られた例は同じ遺伝子を持ちながらロイヤルゼリーを与えられたメスだけが女王蜂になることや、同じ遺伝子を持つ三毛猫が同じ模様にならないことが挙げられている。三毛猫が一般にはメスだけなのは2本あるX染色体の一方が茶色を発現し、もう一方が茶色を発現しない遺伝子という組み合わせになっているからだ。X染色体の片方は不活性化されるため、茶色かバックグラウンドである黒になり白はさらに白斑を作る遺伝子で決まる。
生命科学における思考法が紹介されているがこれは一般にも当てはまる。
①確実なデーターに基づいて考える。
②単純に考える。
③一つづつ考える。
④できるだけ厳しく解釈する。
⑤できるだけ甘く解釈する。
①〜③は理詰めの部分だが④と特に⑤が面白い。科学者と言うよりベンチャー起業家のような考え方だ。 -
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『生命科学者の伝記を読む』というユニークな本の著者の中野徹が自身の専門でもあるエピジェネティックスについて書いた本。
エピジェネティックスは、DNAの塩基配列でない方法で生物の特質が親から子へ受け継がれるというものだ。生物の表現型は、DNAによって伝えられ、獲得形質は遺伝しない、という原則に反する事実があるというものだ。DNAの発現と抑制を行う仕組み - ヒストン修飾やDNAメチル化など - が世代を通して伝わるというものだ。セントラルドグマ - DNAによる遺伝によって伝わる情報からRNA等の機構に基づきタンパク質などの生成が行われて生物個体での特質が顕現するというもの - を破るものとしてエピジェネティックスが注目を集めているように見える。
最終的に、エピジェネティックスに過大な期待を抱いて読むとやや肩透かしを食ったように思うかもしれない。著者も誠実にも書く通り、「エピジェネティックな状態が遺伝することを確実に示す例は多くない」。そのため、「生命観を変えるとまで言うのは少し大げさな気がしている」というのは正しい認識なのだろう。
いずれにしても、このあたりの技術ってすごく面白いし、急速に発展しているなあ、というのが全般的な感想。 -
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DNAが解析できれば生物のすべてがわかると思われがちであるが、DNAは生物をつくる材料のレシピであるに過ぎず、材料をつかっていかに体を作り上げるかはDNAには記録されていないのである。
そもそも、すべての細胞に同じDNAが入っているのに、なぜ脳や大腸や皮膚や骨の細胞に分化していくのか。
DNAの特定部分はどのやって読まれるのか。
こうした現象にエピジェネテクスが大きく絡んでいるらしい。らしいというのも、まだまだ研究途上の分野で、こういうことに関連しているのではないかと考えられながらも確実に関係すると思われる部分は多くないようである。
そのためか、仲野先生の書きぶりもかなり慎重である。しかしながら慎重に書かれながらもこれはとても応用分野の広い学問ですよ言いたげである。
正確を期すような書かれ方をしているので、仲野先生がもくろまれたような一般読者向けの入門書とは言い難いが、何がわかったことが、何がわかっていないことはということを明確にしているので類似書を読む為の指針になる本といえるでしょう。 -
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エピジェネティクスという現象について科学初心者にでもわかるように、という触れ込みだけれども、実際は、二章のかなり技術的に深いことが書いてあってなかなか読み応えがあった。難しくて半分くらいわからなかったけど。
ものすごーく簡単に言うと、DNAだけで説明できない現象を、その読み取り方?によって解釈できないか、という学問分野かな。著者も書いているけれど、無限の可能性を秘めているけれど、その実はもしかしたら一部の現象しか説明できないのかもしれない、というくらい、未だ発展途上の生命科学。ただ、実例として挙げられている明らかにエピジェネティクスが関わっている現象(植物の春化)を見ると、そこまで否定的になる必要もないのかなと思う。コンピューターの二進法のように0か1かという単純な議論はできないけれども、何らかの法則に従っているのではないかなと思う。そもそも、生命に二元論はありえないのだし。
論理学的思考で、まるでプログラミング言語を読み解くように解析していけばある程度深くまで理解できるのではないかな?そこにはある強烈な仮説と信念を持たないと、データ量が多すぎて大変な気もするけど。逆に、人工知能などの学習パターンに応用できる現象ではないかなと思う。