仲野徹のレビュー一覧
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エピジェネティクスのepiは「後で」を意味する接頭辞でありエピソードと言われるとなんとなくそんな気もする。ジェネティクスは遺伝学、同じDNAを持つ双子も育ち方によっては遺伝子の発現に差が出てくる。後天的な遺伝子発現に関わるのがエピジェネティクスでだが最大公約数的な定義が「エピジェネティックな特性とは、DNAの塩基配列の変化をともなわずに、染色体の変化によって生じる、安定的に受け継がれる表現型である。」なのだがこれではなんのことやら。
DNAはヒストンと言うタンパク質に巻きついているのだが、DNAやヒストンが化学的に修飾されることにより、遺伝子の発現が活性化されたり、抑制されたりする。例えばあ -
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『生命科学者の伝記を読む』というユニークな本の著者の中野徹が自身の専門でもあるエピジェネティックスについて書いた本。
エピジェネティックスは、DNAの塩基配列でない方法で生物の特質が親から子へ受け継がれるというものだ。生物の表現型は、DNAによって伝えられ、獲得形質は遺伝しない、という原則に反する事実があるというものだ。DNAの発現と抑制を行う仕組み - ヒストン修飾やDNAメチル化など - が世代を通して伝わるというものだ。セントラルドグマ - DNAによる遺伝によって伝わる情報からRNA等の機構に基づきタンパク質などの生成が行われて生物個体での特質が顕現するというもの - を破るものとし -
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DNAが解析できれば生物のすべてがわかると思われがちであるが、DNAは生物をつくる材料のレシピであるに過ぎず、材料をつかっていかに体を作り上げるかはDNAには記録されていないのである。
そもそも、すべての細胞に同じDNAが入っているのに、なぜ脳や大腸や皮膚や骨の細胞に分化していくのか。
DNAの特定部分はどのやって読まれるのか。
こうした現象にエピジェネテクスが大きく絡んでいるらしい。らしいというのも、まだまだ研究途上の分野で、こういうことに関連しているのではないかと考えられながらも確実に関係すると思われる部分は多くないようである。
そのためか、仲野先生の書きぶりもかなり慎重である。しかしなが -
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エピジェネティクスという現象について科学初心者にでもわかるように、という触れ込みだけれども、実際は、二章のかなり技術的に深いことが書いてあってなかなか読み応えがあった。難しくて半分くらいわからなかったけど。
ものすごーく簡単に言うと、DNAだけで説明できない現象を、その読み取り方?によって解釈できないか、という学問分野かな。著者も書いているけれど、無限の可能性を秘めているけれど、その実はもしかしたら一部の現象しか説明できないのかもしれない、というくらい、未だ発展途上の生命科学。ただ、実例として挙げられている明らかにエピジェネティクスが関わっている現象(植物の春化)を見ると、そこまで否定的にな -
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ネタバレ最近取り上げられることの多いエピジェネティクスという学問分野について紹介した本です。
新書はこうあるべき、と自分が思っているものに合致した内容だったので、読後の満足感がありました。
(なんか自己啓発本が新書を侵食している感じがして個人的になんだかなあと・・)
脚光を浴びているイマココ分野への冷静な目、
けれどわくわくさせてくれる確かな情熱、
そして(あとがきでも狙ったと書いていたが)少し背伸びをすれば読めるレベルの内容、
とてもバランスの取れた良著だと思います。
☆関連本として『世界は分けてもわからない(福岡 伸一)』をおススメします。
以下、内容紹介。
私を構成する細胞は、爪先だろうと心 -
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Honz被害者の会から加害者の仲間入りしたなかの先生の専門は「いろんな細胞はどうやってできてくるのだろうか」学
18人の生命科学者の伝記レビューは絶版の本ほど読みたくさせる、迷惑なこった。同時代の人達なので話はいろんな所で交差している。
日本一好かれている科学者と言える野口英世、梅毒菌の発見は「断固とした決意と粘りと鋭い視力」が武器で、スピロヘータの研究では光学顕微鏡では見えないはずの構造を見つけている。
ヒトゲノム解読のクレイグ・ベンダー
「わたしが金を求めるのは、ただ好きなように研究したいから」
ビタミンC発見のセント=ジョルジ
「発見というのは、誰もがみてきたことを観察することと、 -
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プロローグから、著者に関わるかなりショッキングな事情が語られる。著者の伯父2人と従兄が精神疾患の病にかかっていて、祖母はその一生を通して彼らを守り続け、父は身近に彼らの姿を見て苦しんできた。そのため、遺伝、病気、正常、家族、アイデンティティといったテーマが、著者の家族の会話の中に繰り返されていたという。そのような個人的事情をも抱えた著者が、「遺伝子」の誕生と、成長、そして未来について、物語ったのが本書である。
上巻の第一部から第二部では、メンデルのエンドウ実験による遺伝法則の発見とダーウィン進化論との交差、ゴールトンによる優生学の提唱、アメリカにおける断種手術、そしてナチスによる民族浄化 -
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前著『医師が死を語るとき』では、脳外科医としての日々の医療や、友人医師を助けるためのネパールでの奮闘やウクライナにおける活動といった、医師としての著者がどのようなことを感じ、考え、治療に当たってきたかが第一の読みどころであったが、気に入って購入したオックスフォード運河沿いのコテージのリフォーム作業に勤しむ愉しさを語るマーシュ先生の姿も微笑ましかった。
そんなマーシュ先生が前立腺がんの診断を受けてしまう。医師として多くの患者に対してきたマーシュ先生であったが、今回は自らが治療を受ける老いた患者の立場になった。”死”を身近に感じるようになってからの死への恐怖が率直に語られるほか、死について著者 -
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病気の成り立ちを、細胞、血液、分子生物学、そしてがんと分かりやすく解説してくれたもの。
著者は極力普通のオッチャン、オバハンが理解できるように書いてくれたらしいが、専門用語の理解はかなり難しく読み進めるのには骨が折れた。語り口は申し分なく平易ではあったが。
もとより病気の種類は山のようにあるので、全部について触れるわけにはいかないので、今や二人に一人はなるがんについての解説におよそ2章を割いている。
要は、老化と共にがん化する細胞が出てくるのは避けられないし、がんの形態も様々なので薬が効くやつ効かないやつ等、ある意味運次第ということらしい。
がん治療も進歩しているが、がん細胞もその進化を -
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2020年、COVID-19が席巻した世界では次々と社会の歪みが露呈した。そのコロナ期とポストコロナ期に、次世代の若者たちがどう生きるべきかを内田樹をはじめとした様々な年代の言論人たちが語る。
内田さんが声をかけて集まった様々な分野の今をときめく著名人たちがコロナとコロナ後の世界をテーマに執筆しました。内田さんのセレクトだけあってみんなけっこう尖っていて(偏っていて)どれも読み応えのある内容でした。中学生向きということで平易な文章で一編が短いのも読みやすくていいと思います。そしてみんな分野が違うので、コロナ期というものを違う角度から見ているのも面白い。また、分野が違っても結局、多くの著者が今