安部公房のレビュー一覧

  • R62号の発明・鉛の卵(新潮文庫)

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    途中入り込みにくい篇もあったが、最後の鉛の卵にて、やはりこれ、という結末。「スカッとしない展開」という意味でスカッとする転換劇。気づくと安部公房の論理のすり鉢状の砂に飲み込まれている。

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    2023年03月12日
  • 第四間氷期(新潮文庫)

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    半世紀以上の時を経て、2020年代の我々こそ切実に読む物語ではないだろうか。
    私が最初に読んだ2006年ごろ、世間はweb 2.0の頃で、深層学習や機械学習以前。作中の「予言機」はまだ荒唐無稽なものとして捉えていた。
    しかしchatGPT等のLLM(大規模言語モデル)と呼ばれるAIが現実に存在する2024年の私には、「予言機」は切実さを感じる存在で、明らかに2006年よりも、このお話自体の内容が切実に迫ってくる(chatGPTは予言のための機械ではないが、予言機はchatGPTのように未来を「生成」し、作中人物と対話している)。
    64年の歳月を経ている作品が、直近約20年を挟んで、こんなにも読

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    2024年09月15日
  • 人間そっくり(新潮文庫)

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    火星人についてのラジオ番組の脚本家の家に、自称火星人の気違い男が訪ねてきて、自分は本物の火星人だと思うか、自称火星人と名乗る気違いだと思うか、気違いだと思ってるんだろ、証拠を見せろ、、うんちゃらかんちゃら、、やってるうちに、まんまと相手の話術に乗せられ、とうとう自分が火星人だと言わされてしまう。
    相手の話術もすごいけど、なぜ引き返せなくなったのか、、
    結局、アイツは誰だったのか、、何が目的だったのか、、、
    そもそも夢だったのか?
    最初はどうなるのかと、展開や会話がおもしろかったけど、読んでるこちらまで、だんだん訪問者の口車に乗せられているような気がしてきて話をすっ飛ばしたくなる笑

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    2023年02月16日
  • 人間そっくり(新潮文庫)

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    SF作家に熱烈なファンが来訪してくる。来訪者の妻の電話によりグッと引き込まれ、来訪者が異常者なのかどうなのか主人公と同じ目線で判断する楽しさがあった。意味不明ながらも筋の通った論理を展開する所は安部公房らしくて読んでいて楽しかった。

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    2022年12月17日
  • 水中都市・デンドロカカリヤ(新潮文庫)

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    『友達』の原題にもなった『闖入者』が抜けてて素晴らしい。
    他収録作はシュールレアリスム寄りだが、安部公房作品では相対的に取っ付きやすい部類かもしれない。

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    2023年01月04日
  • 無関係な死・時の崖(新潮文庫)

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    表題作と『なわ』は一読の価値あり。
    砂の女と同時代の作品集にという事で、不条理・不愉快要素が強く自分は大変楽しめた。

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    2023年01月04日
  • 他人の顔(新潮文庫)

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    ヤマザキマリさんが阿部公房を紹介してたのでよんだ。
    本当は砂の女を読む予定だったけどなかったので。
    文学的な文章は慣れてないので読みづらかったけど、とりあえず読み切ってよかった。
    人の本質は顔だけじゃないという本人だけれど、顔に対してのコンプレックスや偏見を一番感じとっているのが自分でもがいているのが読んでいて痛々しい。
    もし自分だったら、、こんなくどくどと言い訳せず
    整形技術も上がっている時代なので整形するだろう。
    ただ、仮面を作っている過程が具体的でなおかつゾワゾワするような感覚になった。
    また読んでもっと深く理解したいと思った

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    2022年10月31日
  • 友達・棒になった男(新潮文庫)

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    『棒になった男』のシュールさ、『友達』の理不尽さ、『榎本武揚』のコミカルな会話劇と、バランスよく安部公房的作品が入った充実の1冊。

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    2023年01月13日
  • R62号の発明・鉛の卵(新潮文庫)

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    人間と人間以外のモノとの境界があいまいになるようなSFものが多い短編集。人間がロボットにされる「R62号の発明」、人間のような犬が出てくる「犬」、人間がただの棒になる「棒」、人間が塊になる「変形の記録」など。
    安部公房にしては読みやすいし分かりやすい。

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    2022年09月06日
  • 他人の顔(新潮文庫)

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    安部公房の、昭和39年に刊行された長編小説。
    フランスでも高い評価を得た作品で、
    日本では映画化もされているそう。

    顔に蛭が蠢くような醜いケロイドを負ってしまい
    "顔"を失った男が、
    妻の愛を取り戻すために仮面を仕立てるという
    ストーリー。

    科学者である主人公が研究を重ねて
    "他人の顔"である仮面を作り上げていく過程が
    とても興味深く、面白い。

    またその中で彼が自身に問い続ける
    "顔"というものの意味、概念について
    深く深く考えさせられる。

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    2022年08月18日
  • 第四間氷期(新潮文庫)

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    現代日本の作家である安部公房(1924-1993)による本作は日本初のSF長編小説とされる、1959年。

    自由とは、現在の同一性に閉じているのではなく、未来という差異へと開かれてある、ということ。未来とは、現在からの延長ではなく、現在との断絶である、ということ。則ち、自由とは、自己否定への可能性、自己(暫定的有意味)が非自己(根源的無意味)へと転じる可能性であり、そこには自己(暫定的有意味)の背面に穿たれた非自己(根源的無意味)の亀裂が予め前提されている、ということ。未来とは、自己(暫定的有意味)にとっての非自己(根源的無意味)を時間軸上に投影したものである、ということ。僕らがひとつの連続体

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    2022年07月24日
  • 人間そっくり(新潮文庫)

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    ただの狂人か、火星病の地球人か、地球病の火星人か、何ひとつ確かなことは分からない。読んでいて不安になってくるような、自分の存在がふわふわしてくる感じがする。

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    2022年07月13日
  • R62号の発明・鉛の卵(新潮文庫)

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    寓話的、SF的な発想に溢れた短編集。ドロドロとしたグロテスクな世界を奇妙なほど淡々と現実感を持って物語が押し寄せてくる。主人公の内面に入りすぎず、あくまで物語を現実の価値観の対比物、思想の耐久性を試す実験場としている感じがした。

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    2022年05月20日
  • 人間そっくり(新潮文庫)

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    脚本家の男のもとに火星人を名乗る男が訪問してくる。
    そこからはじまるやりとり。
    果たしてこの世界は現実なのか、寓話なのか?自分は何者なのか?
    読んでいるこちらまで自分の存在があやふやになってしまうような作品。

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    2022年05月10日
  • 飢餓同盟(新潮文庫)

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    自分達を不幸にする社会構造をひっくり返すという目的のために存在していた筈の手段が、目的へとすり替わっていく。
    最近も頻繁に見かける類の狂気かと思う、元は高い使命意識を持っていたであろう人々が、目的と手段を履き違えて頓珍漢な声を荒げ、白い目で見られる様は。
    そしてその活動すら、金持ちの金稼ぎに利用される様も、どこかで見覚えがあるなと思ってしまうのは穿った考え方だろうか。

    花井が革命に執着する気持ちはなんとなく分かる。
    飼い慣らされている、誰かに人生を掌握されているという、八方塞がりで前進も後退もしないことへの焦燥感だろうか。
    現状に甘んじていた方が楽であるにも関わらず、それでも八方塞がりからの

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    2022年04月23日
  • 第四間氷期(新潮文庫)

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    難解な作品が多い安部公房の中ではたいへん読みやすい一冊。
    未来を予言できる機械が、やがて自分を追い込んでいってしまう。50年前に書かれたとは思えない現代的SFホラー。

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    2023年04月09日
  • 他人の顔(新潮文庫)

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    中学時代に読んで以来の再読。
    顔にダメージを負うだけで自分が自分でなくなってしまうのには十分なのに、顔を差し替えても自分のままでしか居られない。
    考えてみれば当たり前のことだけどかなり辛いことだとおもった。

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    2022年03月08日
  • 第四間氷期(新潮文庫)

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    知らずに読んだけれど、日本で本格SFをやったハシリだとか。
    奇妙な世界にいつのまにか巻き込まれていくストーリー展開は、これまで読んだ安部公房作品に通じるものがある。

    当初は自分自身が開発した未来予言機の研究存続のためにやっていたことが、最終的には、人工生物とか、地球そのもののあり方が変わるかもしれない未来予想とかに繋がっていくのは予想外。
    読みやすいけれども濃厚なSF描写と、自分の認識が揺らいで混乱させられる世界観で、脳がこねくり回された。この読み味はやっぱりすごいし、唯一無二だと思う。
    演劇と小説を行き来する作家だけあり、舞台でやっても映えそうなセリフと、シュールさもよかった。

    未来予言

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    2022年01月10日
  • 水中都市・デンドロカカリヤ(新潮文庫)

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    安部ワールド。唸るほど詳細で素晴らしい描写と、おぞましく突飛な物語。これをシュールレアリスムというのか前衛的というのかはわからないけれど、読み進めるほどにあぁ天才の書く小説とはこういうものだとガンガン打ちのめされる。付いていけない。

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    2021年11月30日
  • 他人の顔(新潮文庫)

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    研究所に勤務する僕は実験中の爆発事故で顔一面に大やけどを負い、ケロイド瘢痕を隠すため顔全体を包帯で覆う日々を過ごす。人間同士のつながりの窓である「顔」の復元を考え、特殊ゴムを使用した覆面を思いつく。見放されたと感じている妻にも別人として迫るがその結末は意外にそっけない。愛というものは互に仮面を剝がしっこすることか。そのために仮面は必要か?

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    2021年11月02日