井上雅彦のレビュー一覧
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「星新一ショートショート・コンテスト」でデビューし、以後も活躍を続ける作家・井上雅彦監修による、全編書き下ろしのテーマ・ホラーアンソロジーのシリーズ。それが「異形コレクション」。1998年にスタートして以来、2011年の48巻(!)までそのすべてを氏が企画・監修し、総勢200人以上の作家が参加した伝説的なシリーズながら、震災の影響を受け、その後は長く企画を見送られていました。
しかし昨年、9年ぶりに満を持してのシリーズ再開が発表され、49巻目となる『ダーク・ロマンス 異形コレクションXLIX』は、大きな反響とともに迎えられました。
ホラーアンソロジーを謳うものの、その収録作は幻想ファンタジーにSF、伝奇にミステリと常にバラエティ豊か。モードファッション界でトレンドだった「ダーク・ロマンティック」に着想を得たという今回のテーマ――『ダーク・ロマンス』への豪華な執筆陣によるアンサーもまた、いずれ劣らぬ粒ぞろいの作品群です。
ヴィクトリア朝時代イギリス。芸術家の卵たちが暮らす屋敷にやってきた、肖像画を描いて欲しいという黒い面紗(ヴェール)で顔を隠した貴婦人を巡る不穏な昔話(「黒い面紗の」篠田真由美)。“ホラー映画の現場で怪現象が起こる”ホラー映画を撮影する現場。相次ぐトラブルやスタッフの降板により製作は遅れに遅れ、「呪われている」と噂される映画の参加オファーを受けた編集マンは、映像に不可解な影が映り込んでいることに気づく(「禍 または2010年代の恐怖映画」澤村伊智)。草原の民である部族に生まれた少年は、毒草を飲まされ倒れているところを美しく艶やかな謎の青年・ゲンギケイに助けられた。東の国から逃げ延びてきたというゲンギケイは乗馬や狩り、話術にも長け、以来部族に溶け込んでいたが……(「兇帝戦始」伴名錬)。小さく貧しい港町で、異形生物の化石掘りとその加工で生活する紗奈。街の外の世界と学問への憧れを抱く少女は、浜辺で出逢った見知らぬ女性に「あなたのような子を探していたの」と告げられる(「化石屋少女と夜の影」上田早夕里)。
他、菊地秀行や平山夢明に真藤順丈と、ベテランから新鋭まで贅沢な顔ぶれが並ぶ、目眩がするほど絢爛たる、まさに“異形”のショーケース。
昨年は記念すべき50巻となる『蠱惑の本』が、そしてこの6月には早くも51巻『秘密』も刊行されるとのことで、スタイリッシュにリニューアルされた装幀とともに、今後がさらに楽しみなシリーズ。震えて待ちたい。 -
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お伽話のようにメルヘンチック、だけれど少しばかり恐ろしいような気もする「妖精」たち。実際には存在しないはずのそれを視ることができるらしい謎の青年ファーブル君。彼が見ているものはいったい何なのか。そして妖精たちの物語になぞらえて、現実の事件の真実が思いもよらないところから語られる、ファンタジックな要素もある連作ミステリ。
読み始めた雰囲気としては、ファンタジー路線かなと思いましたが。たしかに雰囲気はファンタジーながら、きっちりとミステリ。一見甘やかに見える空想の世界に潜む、鋭いとげのような現実の手掛かりが効いています。幻想的な空気に流されてふわっと読んでいたら、まさかこんなところに真相があったのか! という驚き。事件そのものには超常的要素はまったくないのですが、それでもこのファンタジックな読み心地は何とも心地よくって不思議です。とても美しい一冊でした。 -
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異形コレクションはこれがはじめて。
どれも面白かった。
中でも好きだったのは以下の5つ。
『ルボワットの匣』
一族に伝わる美術工芸品をめぐるモダンホラー。
忌まわしい匣の正体とは…。
『禍 または2010年代の恐怖映画』
ホラー映画の撮影班たちを襲う怪奇現象。
やっぱり澤村伊智のホラーは安定して面白い。
『馬鹿な奴から死んでいく』
SFホラーアクション。
勢いと、爽快なんだか悲惨なんだかなんともいえない気持ちになるしめかたが好き。
『ストライガ』
ユカリとアオイの視点ですすむ、猟奇的な愛の話。
グロテスクで倫理観がなかなかにやばいが、それでも事の真相が好み。
『いつか聴こえなくなる唄』
SFであり、ロマンティックな話。
平山夢明にしてはグロさもたいしてなく、話も純粋にいい話だなぁと、思ったけど…。 -
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収録作
井上雅彦「デモン・ウォーズ」
田中啓文「糞臭の沼」
友成純一「魔物の沼」
菊池秀行「甘い告白」
井上氏作品:本当にパロディ満載で、井上作品の中ではかなり読みやすい物だと感じた。
田中氏作品:「あぁ、田中さんね、やっぱりねぇ…。」となんとも言えない笑いが浮かぶ一作。
前半の良い意味での「胸が悪くなる」感じも印象的だが、
後半のふざけてるような、真面目なような、スピード感のある展開には引きこまれてしまった。
そして、大爆笑。。。w
友成氏作品:もっとも個人的にインパクトのあった作品。
後半はやや失速感もあったけど、前半までの暗黒緋色の世界に魂は翻弄される。
菊池氏作品:スピード感満載の一作。
さっくり読めて、後味も悪くない。
食後の一服という感じでよい締めになりました。 -
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実は(?)本日引越しでした。世の中、やっぱり何でもその道のプロに任せるのが一番!今日は運送屋さんからガス屋さん、はたまたインテリアデザイナーの方まで「引越し」というテーマでお話ができなかなか楽しい一時を過ごせました。クタクタですけどね・・・。なので今日は引越しに関連付けて「都市」をテーマにした一冊を。
みなさん都市伝説ってご存知ですか?平たく言えば「うわさ」ですが、特に妙に真実味のある奇妙な噂を総称して「都市伝説」と名付けている気がします。良く知られている例として"口さけ女"や"学校の7不思議"なんかがあります。発端はアメリカらしく、まさにそのまま「Urban Legend」。アメリカ発の有名なお話は次の様なものが・・・
ある日、両親がパーティーに出かけ、幼い姉妹二人で一夜を過ごさなければならなかった。姉妹は2段ベッドに寝ており姉が上、妹が下である。両親から「戸締りをしっかりとしなさい」と言われていた姉はその通りに守り、家の窓、ドアすべてに鍵をかけ自分達の部屋へ戻る。妹を寝かそうと思いきや、両親がいないことにはしゃいだ妹はおもちゃを床一面に広げ寝ようとしない。何度も言い聞かせ、ようやく妹をベットに寝かす事ができた。床一面のおもちゃを片づけ、自分も二段ベットの上に上がる。しばらくすると突然姉が「家政婦さんが来た!迎えに行こう!」と言って妹を起こし、外に出ようとする。妹は外に出るなとあれだけ言われたので「嫌だ」と駄々をこねるが、姉は強引に妹を連れて家の外へ飛び出す。そして隣の家まで走り始めた。
隣の家に着き、姉が話したことそれは・・・
「2段ベットと床の間にナイフを持った男が潜んでたんです。妹のおもちゃを片している時、気が付いたんです」。
と、僕が昔仕入れた話はこんなようでした。・・・
ようやく本編、この「都市伝説」をテーマとした9話からなる短編集。口裂け女の話を怪奇的ではなく、ラブロマン的に新たに創作した"わが愛しの口裂け女"。落武者に関する怪談をこれまた別の視点の怖さで描いた"飢えている刀鋩"。学校の怪談の定番を上手く料理した"見るなの本"。死後の不思議な感覚をライトに描いた"名残"、などなど。一瞬「これ都市伝説か?!」と思ってしまうものもありますが、そこは大目に。個人的には、若干苦笑してしまいましたが、ラストシーンが見事な"わが愛しの口裂け女"がお勧め!
KEY WORD>>平成都市伝説
9人の作家が都市伝説をテーマに物語を作成したオムニバス作品。夜のバス停で助けた女性はなぜか大きなマスクをしていた。助けた後も、会う事を重ねていた二人であったが、その女性には不思議な癖があった。その癖を知った主人公は・・・。口裂け女の物語の恐怖を脇に置いて書かれた作品"わが愛しの口裂け女"より。 -
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テーマが幅広くて『愛』に限らず色々なタイプの話があった
気に入った作品
・ルボワットの匣(黒木あるじ)
封印を解いた時に周囲にいるものを殺す呪物にまつわる話
ラストが鮮やか
・馬鹿な奴から死んでいく(牧野修)
お人好しな魔術医シリーズ第1弾
腹をすかせた野良犬と中華菓子の名前を持つ少女を助けるために魔女に立ち向かう
シリーズ2作目『狩りの季節』のブリーフ提督 のよくわからない世界の原因となった話
・ぼくの大事な黒いねこ(図子慧)
遺伝子操作で作られたスーパーネコを管理する財団に所属する大学生が、財団からネコ回収の命令を受けて、友人とともに回収に向かうロードムービー的な作品
元ネタの『ウルタールの猫』も読んでみようかな
・ストライガ(坊木椎哉)
クレイジーでサイコな百合作品
タイトルのストライガは主人公の一人のとある力に由来
・愛にまつわる三つの掌篇(真藤順丈)
たぶんハッピーエンドなショートショート3編
この中では影の話が一番好き
・いつか聴こえなくなる唄(平山夢明)
少年が家畜種族ノックスの少女を助けたことで、本当のノックスを知り、やがて支配階級との闘争に
少年とノックスの絆と成長の物語・・・と思ったら・・・
・化石屋少女と夜の影(上田早夕里)
化石の町で化石を取って売る少女が、謎の女と出会うことで学問に目覚める
一番のお気に入りで、この話をきっかけに他の上田作品を読みたくなった -
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異形コレクション「グランドホテル極」
今回のテーマは大晦日の夜に宿泊するとオーロラが見えるという噂のあるホテル。過去にも「グランドホテル」「夏のグランドホテル」というテーマの巻も出版されていて、お気に入りの題材のようだ。今回「オーロラ」の設定を持て余してる作家さんもいた印象。このシリーズは分厚いけど短編がたくさん入ってて飽きないし、同じ題材でも様々なお話が読めるので得した気分になれて好きです。
以下お気に入り作品。
背筋「雑な神隠し」
カーテンの影に現れる女の怪異に悩まされる主人公。日記のような形式で過去にさかのぼっていって何があったか判明するという形式が面白かった。
久永実木彦「ジェイルハウス・ロック」
グランドホテルのライバルホテルが刺客を送り込みグランドホテルをつぶそうと画策するが、送り込んだ刺客は誰一人として帰ってこなかった。
これ一番好き。もしかして空を見上げたらさらにその上にもグランドホテルが建ってるのかもしれない。
それにしてもこのシリーズ59冊(現時点での最新作)も出ててすごい。ローマ数字で59はLIXと書くのかと初めて知った。これからもたくさん面白いテーマで続いてほしいシリーズです。 -
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ホラー。短編集。
テーマは"音楽"・"音"。
テーマ的にはあまり興味のないテーマだが、傑作もありました。
毎回ビビらせられる斜線堂有紀さんは、今回は時代小説ということで残念ながらスルー。
特に好きだった作品は以下3作。
平山夢明「楽庭浄土」
相変わらず、良い意味で狂ってます。
空木春宵「h〇le(s)」
個人的ベスト。傑作。
アイディアはバチガルピ『第六ポンプ』収録の「フルーテッド・ガールズ」。
狂気と苦痛が怖い。
久永実木彦「黒い安息の日々」
著者らしい緩めの雰囲気の部活もの。
ラストのスパイスが非常に好み。
著者へのイメージはかなり良い。追いかけよう。