井上雅彦のレビュー一覧
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【収録作品】「蔵書の中の」 大崎梢/「砂漠の龍」 宇佐美まこと/「オモイツヅラ」 井上雅彦/「静寂の書籍」 木犀あこ/「蝋燭と砂丘」 倉阪鬼一郎/「雷のごとく恐ろしきツァーリの製本工房」 間瀬純子/「書骸」 柴田勝家/「本の背骨が最後に残る」 斜線堂有紀/「河原にて」 坂木司/「ブックマン-ありえざる奇書の年代記-」 真藤順丈/「2020」 三上延/「ふじみのちょんぼ」 平山夢明/「外法経」 朝松健/「恐またはこわい話の巻末解説」 澤村伊智/「魁星」 北原尚彦
「本」をテーマにしたオリジナル・アンソロジー。
正確に理解できない(したくない)作品もあるし、ほぼ怖い。ここにでてきた人たちのよう -
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十五人の作家による短編集。
「異形コレクション」の復刊とのことで、奇妙な味、あるいはホラー、ファンタジーが揃っている。
「夕鶴の里」は、かの「鶴の恩返し」「鶴女房」、舞台「夕鶴」を下地にした、恐怖の物語である。
知らない土地で助けられ、うつらうつら……。
夢現の中見たものに叫びが止まらない。
山に潜む異形のもの。
いったいなんなのか。
閉鎖的な、しかし開かれた村に潜む恐ろしい物をえがいている。
「ルボワットの匣」は人を死に至らしめる、決して開けてはならぬ箱のことである。
一家に代々語り継がれる人殺しの箱。
しかしその箱を開いた時の旋律はなんとも甘美な調べだという。
その箱が災いを成す理由、 -
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先月出たダーク・ロマンスのほうが全体的に好みの話は多かったけど、こちらも面白かった。
特に好きだったのは以下の四作。
『砂漠の龍』
異国のファンタジーものかと思いきや、舞台は現代に代わり…と思いがけない展開で面白かった。
『本の背骨が最後に残る』
本となった人間が、己が語るストーリーが間違えて記憶されていると判断された場合焚書させられる世界の話。
版重ねが面白かった。詭弁も極めれば…。
『河原にて』
冒頭の子育てすることの辛さは現実味が強くて読んでてげんなりしたけど、切ないながらも良い話だった。
『魁星』
これを最後にもってきたのはさすがだなぁと。
締めにふさわしい話だったとおもう。 -
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かなり久々のホラー物です。
最初から感じていたのが読みにくいということ。文の流れがスムーズじゃなく、どことなく途切れた感じが気にかかりました。けれど、内容は面白かったです。とくに海の聖域の話や臨海学校の話には引き込まれるものがありました。
<ネタばれ>
1度読んだだけじゃ理解できなくて読み返したりもしたんだけど、未だにわからない事があります。それはバックベアードの正体です。これはそもそも正体が誰か、とかそんなことを気にして読むものじゃないのかもしれないけど、頭が堅いのでそのことばかりすごく気になってしまいました。
夜中に読み返してみてすぐに後悔。夜中に読むものじゃないですね。 -
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死の床で父が語った母との思い出【わが愛しの口裂け女】、「マンションに出現する落武者」の意外な正体【飢えている刀鋩】、「ばね足ジャック」に親友を殺された女性記者は怪人を追うが……【怪人發条足男】、いじめられっ子の幾人は図書室で、読んではいけないという噂の本を見つける【みるなの本】他、「都市伝説」をテーマとした書下ろし9編を収録したアンソロジー。
このシリーズ?の中では収録作品が短め。中にはテーマとの関連づけがちょっと強引じゃないかと思えるものもあったが、それはそれで。友成純一の【悪魔の教室】はおなじみ「学校の怪談」がモチーフだが、いかにもこの作家らしい、しつこくも乾いたスプラッタ描写がいい味を -
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農家を営む主人公が手がけることになったある仕事【闇仕事】、築き上げてきたエリートの経歴は、その「指」のなせるものだった【ブラインドタッチ】、近江安土城城下の村、家族等二十余名を斬殺した男。信長がその男の口から聞いた話とは【戦場にて】など、“闇”をテーマとした短編7編と、監修者と井上雅彦氏(作品でも参加)の対談を収録したアンソロジー。
正直「異形コレ」の二番煎じという感がしなくもないが、そちらの監修者が参加し、しかも対談までやっているんだから、ある意味じゃシリーズの一環と言えなくもないか……。作品自体はなかなか楽しめるし、水準も高いと思う。