井上雅彦のレビュー一覧
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異形コレクションついに50巻目。そしてテーマが「本」って。あまりに魅力的すぎる一冊です。まさしく本好きのための一冊。いろいろと恐ろしい本も登場したりしますが、それはそれでやはり魅力的。読んでみたく……なる?
お気に入りは澤村伊智「恐 またはこわい話の巻末解説」。これ自体の物語としての魅力ももちろんなのですが、ここで解説されている架空の物語たちのなんて魅力的なことか。読みたい。これ全部読みたい。
倉阪鬼一郎「蝋燭と砂丘」も、じっくり浸りたい一編。たぶん、怖いといえばこの作品が一番怖かったと思います。俳句もじわじわときました。
斜線堂有紀「本の背骨が最後に残る」も惨いながらも素敵な物語で印象的です -
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「異形コレクション」復活! そしてテーマの「ダーク・ロマンス」ってどういうのだろう、と考えてみましたが。案外と「ロマンス」の概念は広いものなのですね。だけどどの作品にも魅了されてしまうことは間違いなしです。
お気に入りは井上雅彦「再会」。一番最後に収録されているのだけれど、これってシリーズ再開のファンファーレにも思えて、どうしようもなく気分が高揚してしまいました。豪華絢爛なイメージの美しさに圧倒されます。
図子慧「ぼくの大事な黒いねこ」は猫好きにとっては外せない一作なのですが。しかもこの猫ってあれですか! 読む人にとっては恐ろしく感じるのかもしれませんが。しかしそれでもやはり猫は可愛くて魅惑的 -
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吸血鬼テーマのホラー短編集。っていうとワンパターンかと思いがちですが。それがなかなかバラエティに富んでいて、読み飽きません。「吸血鬼」という解釈がかなり広くもあるので、かなりいろいろなテイストの作品が楽しめます。
お気に入りは「祝杯を前にして」。正直なところ、すべて理解できなかったのは残念だけど(ひとえに知識不足)。それでも最低ブラッドベリの「集会」を読んでいればある程度はわかるでしょうか。何とも豪華で、わくわくして、そしてほんの少し切ない作品です。
「吸血魔団」もいいなあ。実に華やかなサーカスの世界が色鮮やかに浮かぶようで。これも怖いというよりは、わくわくして楽しめてしまう作品でした。 -
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異形コレクションアンソロジーLVII
墓地から這い出るもの、闇を彷徨い、群れ集うもの……。多種多様なゾンビが跋扈する世界。
生ける屍を巡る15篇。
ゾンビをテーマにしたアンソロジー。
一言でゾンビと言っても、ホラーからSF、ファンタジー。いわゆる一般的に想像する動く死体というグロテスクなものから、死者との恋や近しい人を亡くした喪失感を描いたもの、ゾンビになった後の自我を描いたもの、ゾンビの存在する世界での人間の醜さを描いたものなど千差万別、15話それぞれの「生きる屍」の物語を楽しめます。
どれも外れなく面白い。
印象的だった話をいくつか紹介。
『ESのフラグメンツ』空木春宵
実験的なペー -
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異形コレクション。「生ける屍者」「ゾンビ」をテーマにしたアンソロジー。
テーマがテーマだけにグロテスクな表現も多いのですが、このアンソロは好みの短篇がたくさん納められているので好きです。
以下印象的だった作品。
久永実木彦「風に吹かれて」
2030年代の未来、死んだ者は腐って朽ちていくのではなく、なぜかふわふわと風船のように浮かぶようになった。墓石に繋がれて色とりどりの衣装を纏った死者たちが空に浮かぶ墓地の墓守を務める男の物語。
グロさも怖さもなく、優しさを感じる物語で一番好きだった。
黒木あるじ「猫に卵を抱かせるな」
死者を復活させる能力を持つ少女マオとその弟を名乗るビョウト。マオの力で