井上雅彦のレビュー一覧
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ゾンビテーマということで全体的に「親しい人のゾンビ」がテーマの作品が多い。
ゾンビの腐敗・損傷描写や何より作品の濃度もあわせて、まとめて読むと食傷気味。
作品単体ではいいんですけどね。
ゾンビとの共存する社会を描く作品が多く、ゾンビ映画のようなゾンビは意外と少なかったかな。
気に入った作品
・ゾンビはなぜ笑う(上田早夕里)
ゾンビ視点と外部視点、ピアニストゾンビ
・ESのフラグメンツ(空木春宵)
ゾンビ視点と外部視点、ゴスロリゾンビ
・風に吹かれて(久永実木彦)
ゾンビ風船、横暴な軍人、きれいなゾンビ作品
・肉霊芝(斜線堂有紀)
人体実験できる植物のような肉塊、肉霊芝の言い伝えと真実
・猫に卵を抱かせるな(黒木あるじ)
火車、イタリアンマフィア、ゾンビ化能力、ゾンビ映画
・骸噺三題 死に至らない病の記録(牧野修)
連作、不死のメガロドン、ゾンビの社会活用 -
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異形コレクション、というアンソロジー群に初めて触れたのはいつの頃で何がきっかけだったか。
もはや朧げながら、おそらくは20年近く昔でたしか『伯爵の血族』という吸血鬼をテーマにした一冊であったと思う。
その妖しげな物語の数々を手に取り。
風に吹かれた種がやがて流れ着いた場所で根を張るように、同じ著者の他の本を求め…
私の嗜好に幾分かの影響が与えられたか、それとも既に嗜好は形作られていたからこそ惹かれたのかと…
自分語りはさて置きまして。
本をテーマにしたアンソロジーですね。
異形コレクションの良いところは、それぞれの作品の冒頭に井上雅彦氏の解説があり、そこからさらに先の世界を垣間見ることができる点にもあります。
知らない世界を覗き見るのは読書の醍醐味の一つでしょう。
この中で印象に残った作品は二つ。
一つは柴田勝家氏の『書骸』
本を剥製にするという奇想。
それが本当にあり得るかもしれないというリアリティ。
こういうアプローチもあるのかとワクワクさせられました。
もう一つは
澤村伊智氏の『恐 またはこわい話の巻末解説』
架空のアンソロジー本の作品解説という体裁なのですが…紹介されるお話がいずれも面白そうでしてね。
面白そうなのに読めないんですよ。
存在しないから。
読めず
触れず
存在せず
人の想像の中に佇む影のような物語こそ、蠱惑というものかもしれません。
ちょうどある種の人々がネクロノミコンを求め、ついに現出させたように。 -
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ネタバレ毎回毎回まじかぁ、、、って気持ちになった。こんなはずじゃない!
全て読み終わり、BadEndも面白いよねと思わされた。全部救いがないのもやるせ無い気持ちになるけど。
大好きな櫛木理宇さん、道尾秀介さん、辻村深月さんがいたので購入。櫛木さんは安定に最高、霊的な怖さより人間の怖さを感じた。道尾さんは短い中で2、3回ひっくり返されて気持ちが良すぎる。足元がぐらつく感じが心地よい。辻村さん流石だなーと思った、短いのに読み応えありすぎる。
新名智さんの「今頃、わが家では」良かった。強迫的に不安になってしまう気持ち分かるーっていうのと精神的に病んでるのかなって思わせといてのまさかの!
全て楽しく読めました! -
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ネタバレ15人の作家さんの短編集で、今回は「屍者の凱旋」というテーマ。
今回も背筋さんの名前が入ってる! あ、最近気になってる芦花公園さんも入ってるし、なんやかんや言いながら惹きつけられてる平山夢明さんのお名前もある…
というわけでお迎えしました。
でも「屍者」だからゾンビなんだろうな〜、ホラーは好きだけどゾンビはちょっと苦手だしな〜って、お迎えしときながらしばらく積読。それで、本の整理をしないといけない状況になった最近、ようやく読み出したんだけど。
一つ一つのお話は短いのに、異形コレクションの短編は毎回なんか中身が濃いというか、読んだ後すぐ次のお話に行けない、余韻がすごくて気持ちが落ち着くまで時間がかかるというか…
そんなんで、今回も1話ずつタイトル気になった順に読みました。
印象的だったのは、
織守きょうやさんの「ハネムーン」
最東対地さんの「コール・カダブル」
織守さんのは、THEゾンビっていう感じのが出ては来るんだけど、お話の流れとしては恋愛もの(だと思う)。この二人には幸せになって欲しい… でも多分、悲しい結末にもなりそうな雰囲気が漂っている終わり方にも見えて…切ない。。
最初、先に読んだ芦花公園さんの作品と少し似てるなぁとも感じだけど(主人公がお相手のお世話をするとことか)、それはほんとに最初だけで、2人の関係性は違うし何より結末が全然違った。
芦花公園さんのお話も面白かったんだけど、今回は織守さんの切なさに惹かれました。
(芦花公園さんのは後半急に展開が変わる。そっち行くか〜って複雑な気持ちになったけど、タイトルの意味が分かる人には多分最初から筋が想像つくのかも。私は疎いから分からなくて、それはそれで素直に騙されたし面白かった)
最東さんのは、こういう展開に今まで出会ったことがなくて。でも確かに「屍者」ですよね。
愛する人の死に直面した時私ならどうするかな…とか色々考えもしたし、古くからある宗教が下地なのに近未来を想像させる、こういう未来はあり得ないだろうけど起こりそうな雰囲気も漂わしている、そういうところに惹かれました。
「屍者」の捉え方のバリエーションが作家さんによって様々で、読んで良かったです。
ゾンビ苦手だから…って積読したままにしなくて良かった〜
背筋さんありがとう、背筋さんを選んでくださった井上雅彦さんありがとう(異形コレクションで毎回同じこと言ってる笑) -
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短編集。共通のテーマでかかれている。なぜか日本の高原にあるのに、年越しの夜にオーロラが見えるグランドホテル極(きわみ)。オーロラを見たものは幸福になるという噂がある。そして、とんでもない高級ホテルであること、地図にも載っていない。そんなホテルに登場人物たちはかかわります。多くの者は宿泊者。…こんな設定なので、だいたいホラーめいてます。明るい話が好きな人は向いてません。作者が今をときめくミステリ作家多いので、色々読んでみたい人向け。テーマが整っていて、暗めだけど頭がとっちらかずに読みやすかったです。
北沢陶「蛇のナイフ」
仲の悪い夫婦と子どもで宿泊。子どもが仲良くなったのは人なのか?それとも。
澤村伊智「ネーブルサンシャイン」
できの悪い妹と何でも屋をやっている。今回は一緒にホテルに泊まって欲しい依頼者。
背筋「雑な神隠し」
俺は自分の家に恐ろしくて帰れない。そもそも、なにか忘れているような?
坂崎かおる「ミセス・ベルベディア」
車が好きでホテルで車移動などもやっている俺。ベルベディアには奇妙な依頼があった。
王谷晶「大宴会」
宴会のバイトで働いていた私。この宴会の目的はなに?
久永実木彦「ジェイルハウス・ロック」
ライバルから送り込まれてきた刺客を極が排除する方法はブラックファンタジー。ミニチュアハウスのふわふわした感じが怖い。
柴田勝家「扉をひらいて」
先輩からホテルマンのバイトに誘われた俺は何度も失敗してループから抜け出せない。
宮澤伊織「ホテル・リミナル・アスレチック」
怪異体質の私たちはこのホテルでアスレチックをする羽目になる。
平山夢明「237号室」
戦場にいたはずなのになぜかホテルに避難する。
斜線堂有紀「スウィミングプール」
小説家はスランプになると、このホテルで泳ぐ。
篠たまき「雪まつげ」
このホテルのお湯は特別らしい。私はお湯に向いている体質。
芦花公園「イカボドの栄光」
オーロラをみていると私の前から人が消えていく。
空木春宵「見えざる光の、その先の、」
盲目の主人公は妻が望んだこのホテルに来た。チェンバロの音があるべき場所から聞こえないのはなぜなのか?
上田早夕里「忘却のグランデセール」
菓子のコンテストで優勝の自信あったのに、負けた男から俺はあるホテルのカフェ部門へ誘われる。
井上雅彦「極のチェックアウトーあるいは、長逗留の危険」
本を起点にしたような時空がねじれる体験、これは幻?モスラとはなんだったのか。 -
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ネタバレ2003年6月刊の#26『夏のグランドホテル』以来23年ぶりの「グランドホテル」。今回は都心からそう遠くない山間の瀟洒なホテルでの、年越しの一夜という設定での15編。全般を通じ、怖さや驚きよりもどこか哀感と一抹の救いがふわりと漂っていたような読後感。
特に印象に残った5編。
・ホテルの地下駐車場に客から長年に亘り"預かっている"米国製の'58年型プリムス・ベルベディア。年に一度、大晦日にこの車を動かすことを客から依頼されており、その役を任されたバレーパーキング係のカワサキは、ベルベディアを運転しながら、在りし日の父と、そして母との記憶を蘇らせる―(ミセス・ベルベディア/坂崎かおる)。カーラジオの声と共に蘇る閉ざされていた記憶は苦く、ただ物悲しい。
・競合ホテルから破壊工作の密命を帯びて〈グランドホテル 極〉を訪れた朽名は、ホテルのロビーに飾られた精巧なホテルのミニチュア模型が目に留まる(ジェイルハウス・ロック/久永実木彦)。〈グランドホテル 極〉のセキュリティはこうなっているのか。タイトルが三重の意味を持っているのも面白い。ラストは希望の含むバッドエンド、か。
・スランプに陥った作家の"私"はホテルのプールの水中に折檻を受ける女の姿を幻視する。それをきっかけにスランプからは脱出するが―(スウィミング・プール/斜線堂有紀)。作家がグランドホテルに通う動機は、小説家のみならず他のクリエイティブな職種の人全てに共通する怖さなんだろう、と。
・グランドホテル内の〈珈琲店トルシュ〉で年に一度、大晦日にだけ提供される限定スイーツセット。パティシェ占部からの招待を受けてホテルを訪れた俺は―(忘却のグランデセール/上田早夕里)。グランドホテルの魔法はスイーツにも。主人公が選択したのは永く続く甘さではなく、爽やかさを感じるビターな後味だったのかも。
・〈グランドホテル 極〉に長期滞在していると思しき客の一人語りは、やがて……(極のチェックアウト―あるいは、長逗留の危険/井上雅彦)。これはもう監修者だからこそ可能なお遊びたっぷりの一編。あの悪名高いメニューに言及されているのがウレシイw。文字通り、〈グランドホテル 極〉宿泊のおみやげ。
その他の作品は―
・A girl meets A misterious boy.(蛇のナイフ/北沢陶)
・澤村伊智の一人称作品に油断する勿れ。(ネーブルサンシャイン/澤村伊智)
・オーロラにかけた願い事は叶えられていたわけ、だが。(雑な神隠し/背筋)
・狂宴の主賓はホテルの客やスタッフではなく。(大宴会/王谷晶)
・このホテルに来る“お化け”は二つの意味を持つ。(扉を開いて/柴田勝家)
・霊感0の怪談師と怪異を呼び寄せる同居人コンビが迷い込んだのは。(ホテル・リミナル・アスレチック/宮澤伊織)
・戦地とも地続きの今回のグランドホテル。否、ホテル自体が異界なのか(237号室/平山夢明)
・ホテルに“選ばれた”女は強くなる。(雪まつげ/篠たまき)
・オーロラの下で続けられる告解。(イカボドの栄光/芦花公園)
・己の身体とホテル全体が一つになる感覚。(見えざる光の、その先の、/空木春宵)
……過去の〈グランドホテル〉2冊も再読したくなったのに、手元に無いのが何とも無念。 -
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読みやすいホラー短編で読みやすかった!
個人的に好きな作品は
●綾川行人の「再生」
テレビでタレントが、「切れ味の良すぎる包丁で自分の指の一部を切り落としてしまって、しばらく経ったらその切り落とした部分が生えてきたんですよ!」って話してたのを思い出した。
人間の再生力の限界ってどこなんやろう?ってこの話を読んでまた思った(^^)不気味なお話です。
●福澤徹三の「五月の陥穽」
窓際族の影の薄いサラリーマンが屋上で昼休憩してて落としそうになったタバコを拾おうとしたらビルとビルの隙間に落ちてしまって、その隙間に挟まってしまってさぁどうしよう!ってお話。
サラリーマンとしても夫としても影が薄い主人公が気の毒でしたが、臨場感あって、しかも実際に起こりそうな話で面白かった! -
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ホラー。短編集。
テーマは屍者。大体はゾンビ。
テーマが好きすぎて、どの作品も面白い。
グロイ作品から緩い雰囲気の作品も。
基本はグロが好みだが、コミカルなホラーも結構好き。
今読むべきホラー作家の顔触れが分かるのもありがたい。
ビジュアル的には上田早夕里「ゾンビはなぜ笑う」、作品の構造的には空木春宵「ESのフラグメンツ」が印象的。
特に好きなのは以下2作品。
久永実木彦「風に吹かれて」
風に吹かれるし死体。どうしたらこんな発想ができるのか…。『わたしたちの怪獣』でも思ったが、この著者のアイディアは凄い。
斜線堂有紀「肉霊芝」
臓器のなる木。相変わらずエグイ世界観、実はいつもより控えめか? -
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異形コレクションアンソロジーLVII
墓地から這い出るもの、闇を彷徨い、群れ集うもの……。多種多様なゾンビが跋扈する世界。
生ける屍を巡る15篇。
ゾンビをテーマにしたアンソロジー。
一言でゾンビと言っても、ホラーからSF、ファンタジー。いわゆる一般的に想像する動く死体というグロテスクなものから、死者との恋や近しい人を亡くした喪失感を描いたもの、ゾンビになった後の自我を描いたもの、ゾンビの存在する世界での人間の醜さを描いたものなど千差万別、15話それぞれの「生きる屍」の物語を楽しめます。
どれも外れなく面白い。
印象的だった話をいくつか紹介。
『ESのフラグメンツ』空木春宵
実験的なページ構成で紡がれるゾンビ(作中ではフラヌーズ)の少女の話。
ゴスロリ姿でふわふわ街を歩く少女の姿は、ゾンビ小説と思えないくらい退廃的で甘美で美しい。ラストシーンもとても好き。
『ゾンビはなぜ笑う』上田早夕里
ゾンビ(作中では異種)になるメカニズム、ゾンビから見た周囲の認知などの描き方が好きです。悲しいけど優しい、どこか幸せな話な気もする。
『肉霊芝』斜線堂有紀
肉の森のグロテスクな描写、都合のいいように改変されていく記憶と歴史に、人間の弱さが見えて好きです。