あらすじ
特別奨学金までもらって進学した美術大学を中退し、母親の地元で働くことになった遠野真亜梨は、移動の電車の中で不思議な青年に出会った。社内の盗難事件の容疑者にされていた彼は、全身黒づくめので、虫眼鏡、虫取り網に胴乱を持ち、昆虫学者ファーブルのような出で立ちだった。刑事から、彼の持ち物であるスケッチブックを間違って渡された真亜梨はそこに記されていた観察記録に目を奪われた。そこには聞いたことのない生き物が、未来の死体の周りでスキップすると書かれていた……。不思議なもの達が生息する村で真亜梨とファーブル君のペアが謎の事件を解決する。
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Posted by ブクログ
『ファーブル君と真亜梨の妖精謎解きミステリー』
他の人が見ることのできない妖精を、観察し記録しているファーブル君。そのノートを元に妖精の絵を書くことができる真亜梨。二人の力で、身近で起きた事件を解決していく、ファンタジー風ミステリー。二人合わせてコナン君、そんな雰囲気がよかったです。
Posted by ブクログ
ファーブルというと昆虫記が思い出されるが、この作品のファーブル君は人間には見えない妖精?のようなものが見えていて、主人公が絵として表現することで事件の謎が分かるというファンタジーのようなミステリ短編集。
結末に向かって謎が押し寄せてくる感じでした。
井上雅彦というと異形!というイメージがあるが、この作品は非常に読みやすく、一般層にもおすすめできる作品ではないだろうか。
Posted by ブクログ
推理小説もファンタジーも両方好きだがミックスされた作品を読んだ体験はあまりないかもしれない。彩野辺という町の描写がとても美しくて魅力的。私も行ってみたいな。そしてこういう小さな町の中というある種隔離された空間で起こる小事件を解決していく作品良いよね。例えばジョジョ4部、カードキャプターさくら等…。続きが出そうな終わり方なので続編も期待。
Posted by ブクログ
お伽話のようにメルヘンチック、だけれど少しばかり恐ろしいような気もする「妖精」たち。実際には存在しないはずのそれを視ることができるらしい謎の青年ファーブル君。彼が見ているものはいったい何なのか。そして妖精たちの物語になぞらえて、現実の事件の真実が思いもよらないところから語られる、ファンタジックな要素もある連作ミステリ。
読み始めた雰囲気としては、ファンタジー路線かなと思いましたが。たしかに雰囲気はファンタジーながら、きっちりとミステリ。一見甘やかに見える空想の世界に潜む、鋭いとげのような現実の手掛かりが効いています。幻想的な空気に流されてふわっと読んでいたら、まさかこんなところに真相があったのか! という驚き。事件そのものには超常的要素はまったくないのですが、それでもこのファンタジックな読み心地は何とも心地よくって不思議です。とても美しい一冊でした。