荻原規子のレビュー一覧
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流し読み。私にはどうも、好きなファンタジーと苦手なファンタジーがあると感じていて、その違いがまだ言語化できないのだが、この著者のいう「思考型ファンタジー」と「感覚型ファンタジー」という分け方は少しヒントになったかもしれない。ユングの類型論から思いついた分類らしい。
著者いわく、日本ではじめに評価されたのは思考型の方で、『モモ』や『ソフィーの世界』などドイツ系作品だった。感覚派の著者は失望していたが、そこへやってきた「ハリー・ポッター」シリーズ、そしてその勢いに乗って認知が広がった『指輪物書』などは、完全に感覚型ファンタジーだということで、そのブームに肩入れしたい思いだそうだ。
なるほど、そういうことでいうと私は思考派で、苦手だなと感じるファンタジーは感覚型なのかもしれない(ユングに従えば、感情型や直感型のファンタジーもあるだろう、との言及も少しだけあった)。こんなことを言って著者と対立しようなどというつもりは毛頭なくて、この分類という発想を示してくれてむしろありがとうと思っている。「ファンタジー」というジャンルではくくりきれないと、お互い(?)感じていることがわかった。 -
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ネタバレ本作は『風神秘抄』の続編? だとか。読んだのは随分前なので、どんな内容だったか自信がありませんが、先に本作を読んだ母曰く、『風神秘抄』を読んでいないとちょっと唐突に感じるところがあったとか。大丈夫かなぁ。
と、不安を抱えつつ読み始めます。
『第一章 流刑の地で』
頼朝が主人公ですね。この辺りは割と史実がはっきりしているので、小説にした時どのくらい創作を入れ込めるものか、難しそうではあります。
綺麗な文章だなぁ、と改めて思います。読みやすいし、難しいことは書いていない。それでも五感が文章を捉えますし、繊細な線で景色を見られる。
『第二章 祭りの夜に』
荻原規子さんの描かれるヒロイン、こうだよなぁ! と蘇ってきました。『西の善き魔女』を思い出す。『風神〜』も読んだんですけどね。シリーズとして長かったので、記憶にしっかり焼き付いているのでしょう。
頼朝と言えば女装のエピソード有名ですもんね。そう言えば馬からも落ちてたな。
『第三章 権現の参詣』
時政は田舎の領主らしい裁量の持ち主として描かれていて、どこか憎めませんね。公平とまでは言いませんが、自分ごとと他人ごとがハッキリ彼の中では別れていて、ちょっと狸。頼朝のことを青二歳のぼんぼんと見くびっているところが、都合よくプラスに働いている。
嘉丙のイメージは半海一晃さんで脳内再生されるようになりました。彼も地に足がついていると言うか、俗物的だからこその救い的存在になっていますね。神話の外にいる。神官と言いながら。現実を生きているので、物語が湿っぽくなり過ぎない。良い塩梅です。
『第四章 神竜と蛇と』
読み始めた時、あとこれだけのページ数で物語終わるのか?! と疑わしく思いましたが、完結しました。
全編通して意外とあっさりした物語だったのですが、結末までには思ったより登場人物に移入していたらしく、ほろりと来てしまいましたね。
そこは恐らく荻原先生の腕、御業でしょう。
スッキリとした読後感。草の香りが吹き抜ける感じです。
『これは王国のかぎ』の時も思ったけれど、別れの爽やかさとちょっとした切なさが気持ちいいんですよね。名残惜しいけれど。幕。 -
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ネタバレ= 澪標
光源氏28歳。都で復権。帝(源氏の兄)が,藤壺の宮との不義の息子の春宮に譲位して,朱雀院となる。
新帝が年若いため,引退した葵の上の父が摂政となり,源氏は内大臣となる。
承香殿の女御の息子が次の春宮に立つ。
明石の君に娘が生まれる。
源氏は,弘徽殿の大后にはあれこれ世話を焼くが,不遇時代に冷遇された紫の上の父(兵部卿宮=藤壺の宮の兄)だけは許さず,冷たく当たる。
御代代わりのため,斎宮も交代になり,前斎宮の母・六条御息所ともども京に戻ってくる。
六条御息所が息を引き取る前に娘(前斎宮)のことを源氏に託し,源氏は娘を引き取り,帝に入内させる準備を進める。
= 絵合
朱雀院は,前斎宮を自分の元に来させたがっていたが,源氏は藤壷の宮とも相談して,結局帝に入内させる。
帝には権中納言(かつての頭中将)の娘が入内していたので,帝の寵愛をめぐって競合が生じた。
権中納言側と源氏側とで,絵の優劣を競う会などが催された。
源氏は出家したいと考えているが,帝がもう少し大人になるまでと封印している。
= 松風
源氏31歳。
二条院の東院が完成し,花散里の君が移り住む。
東の対には明石の君を住まわせる心づもりをする。
しかし,明石の君は都に住むのに気後れし,明石の君の母の祖父の古い屋敷が大堰川のほとりにあったので,そこを整備して母と移り住むことにする。
源氏は,明石の姫だけでも二条院に引き取りたいと考える。
紫の上も,幼い子を可愛がる性質なので,乗り気になる。
= 薄雲
源氏は明石の君を説得し,明石の姫を引き取ることにする。
太政大臣(葵の上の父)が亡くなる。
続いて,藤壷の宮も病に伏し,37歳の若さで亡くなる。
さらに,式部卿の宮(朝顔の斎院の父)も亡くなる。
立て続けに大事な人が亡くなる事で,帝は自分に原因があるのではないかと悩む。
源氏が宥めるも,帝は源氏が実の父だという事を知ってしまっており,複雑な心境である。が,自分が知った事を父に知られては気まずいだろうと考え,胸に納め,ますます悩む。帝は源氏に譲位したいと考えるが,いさめられる。
それでも,帝は源氏を太政大臣相当に昇進させる。
前斎宮が二条院へ里下がりをした際,源氏は前斎宮への恋心をほのめかす。
いまだにそういう心情が残っている事に,源氏自身驚くが,以前のようにそこから先には進まない。
= 朝顔
現斎院(朝顔の姫宮)は,父の服喪のために人を降りる。
源氏は,朝顔の姫宮が元の屋敷に戻った事を知り,以前の恋心を再燃させる。
が,朝顔の姫宮は相手にしない。
源氏が朝顔の姫宮に言い寄っている事を噂に聞いて,紫の上は嘆き悲しむ。
= 少女
源氏33歳。
相変わらず朝顔の姫宮にちょっかいを出している。
亡き葵の上の息子が元服する。
源氏は,若いうちにあまり高い位につけるのは良くないと考え,息子を六位につけ,大学寮に入れて勉学を積ませる。母方の親戚にはそれが面白くない。
前斎宮(梅壷)を中宮に立后させる。後の秋好中宮。
源氏は太政大臣になり,右大臣に昇進した元頭中将に執政権限を委譲する。
内大臣には娘(雲居雁の姫)がもうひとりおり,葵の上の息子(冠者の君)と一緒の屋敷で育ったため,非常に仲が良い。2人は,密かに恋文を交わすようになる。
一方で,内大臣はこの娘を春宮に嫁がせたいと考える。
冠者の君と雲居雁の姫の仲が内大臣に知れてしまい,遠ざけられてしまう。
源氏は,冠者の君を花散里の君に預ける。
源氏は六条に新しく邸宅を建て,そちらに移る。明石の君もようやく引っ越してくる。
= 梅枝
源氏39歳。
明石の姫の裳着があり,春宮の元服も行われる。
葵の上の息子は宰相中将(夕霧)となっている。
源氏は夕霧がいつまでも独身である事を心配し,中務の宮の姫との縁談を勧める。
内大臣は,雲居雁の姫と宰相中将を一緒にさせてやった方がよいのではないかと思い始める。
= 藤裏葉
ついに内大臣が折れて,息子(柏木)を使って,夕霧を雲居雁の姫のところへ手引きする。そして晴れて結婚する。
明石の姫が入内する。明石の君がお世話役として内裏に入る。
源氏は太上天皇と同等の位を得,内大臣は太政大臣に,夕霧は権中納言に昇進する。
夕霧と雲居雁の姫は祖母の大宮が住んでいた三条屋敷に移る。
六条屋敷に帝の行幸があり,准太上天皇たる源氏と帝が並ぶと瓜二つである。
横に控えた権中納言も併せて,源氏の血族の栄華を極めた時と見える。
※太上天皇は引退した先帝のこと。略して上皇。院とも呼ばれる。
准太上天皇は,そういう正式な称号があったわけではない。太上天皇に准ずる待遇の意。
= 若菜 上
朱雀院が病を得,出家を急ぐようになる。
出家に当たっては,不遇だった藤壺の女御の忘れ形見である女三の宮の行く末が心配になる。
女三の宮の嫁ぎ先としては,柏木も考えられていたが,この時点でまだ官位が低いため,
見送る事になり。朱雀院のたっての願いで,源氏が引き受ける事になった。
女三の宮の格が高すぎるため,紫の上は自分の今後の立場を思って心を痛める。 -
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ネタバレ和風ファンタジーの名手,荻原規子によって,源氏物語を再編・現代語訳した
シリーズ。
「紫の結び」は,光源氏が見いだした少女,「紫の上」を中心とした巻で構成されている。
桐壺/若紫/紅葉賀/花宴/葵/賢木/花散里/須磨/明石
光源氏を生んだ桐壺の更衣は,身分が低いにも関わらず,帝の寵愛を受けた事で恨みを買い,様々に嫌がらせを受けた挙げ句,病で若くしてこの世を去る。
成長した源氏は,帝の寵愛を受ける藤壺の宮(女御)に母の面影を見いだし,遂に隠れて関係をもってしまう。しかも,藤壺の宮は懐妊してしまい,藤壺の皇子は,それとは知られずに,帝の子供として育てられる。
ことが露見する事を怖れる藤壺は,源氏を遠ざけようとするが,源氏の思いは募るばかり。そんな中,源氏は病を治すために籠もった寺で,藤壺に面影の似た少女を見いだす。そして,その少女をもらい受け,自分好みに育て上げる事に力を注ぐ。これが後の紫の上となる。
源氏には,左大臣の娘という本妻がいたが,プライドが高く,源氏が浮気ばかりするのが気に入らず,なかなか夫婦として打ち解けない。
結局,そのまま,本妻は病を得て早逝してしまう。
そんなことに打ちひしがれつつも,色恋沙汰と縁の切れない源氏は,異母兄の新帝の女官である右大臣の娘に手を出し,それが発覚して弘徽殿の太后の逆鱗に触れ,官位剥奪のうえ,地方に蟄居の身となる。
都に残してきた紫の上のことを強く思いつつも,色恋沙汰に無縁と行かない源氏は,明石の実力者の娘と関係を持つ。その後,都を中心に不可解な天変地異が度々襲い,源氏を大事にせよという先帝の言葉に背いた事が原因だということで,源氏は罪を許され都に戻る。
光源氏は,帝の子供であり,類い稀なる美貌と,様々な才に恵まれたいわば完璧超人。ちょっと出来すぎじゃないかとも思うが,一方で色恋に弱すぎるのが唯一かつ最大の欠点。すべての災厄はそれがためにもたらされていると言っても過言ではない。平安の女性に好まれる物語たる所以なのかもしれない。