明野照葉のレビュー一覧
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再読。
面白かった。
石屈日和は文具メーカーで働く30歳。創業者の孫であり、職場では恵まれた立場、親戚から格安で借りた高級マンションに住み、好意を寄せてくれる男性もいる。
刺激を求めて始めた毒舌ブログ、個人を特定するのは簡単であり、何が災いするのか、恐ろしい世の中だ。
2013.5.13
そこそこ恵まれた人生を送っている30歳独身女性、本人も運がイイと自覚しており、このまま人生が進んでいくものと思っていたが思わぬ落とし穴が。
主人公、脇が甘すぎるのだが、恵まれて育っただけに人を羨んだり疑ったりすることがない。
さらって読めて面白ろかった。 -
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一種独特で不穏な空気感が物語を最初から最後まで
包み込んでいました。
主人公牧丘南欧子34歳、つまらない仕事にくだらない恋人
まさにさえない日常に怠惰な生活
自分の人生はこんなハズじゃなかった・・・。
そんな思いになってしまうのはきっと彼女が小学生時代の
輝かしい過去を忘れられないからだと思う
人はそんな経験をしてしまうと今の自分の姿、境遇を
容易に受け入れられないものかもしれない。
そんな彼女の心の隙をつくようにヘッドハンティングの申し出が
舞い込みます。契約の内容は破格の報酬と不思議な仕事内容
うまい話には何とやら・・で彼女も最初は疑い悩みますが
彼女の背中を押すような事柄もあり南欧 -
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こわ〜〜〜。
最初はまったくよくわからなかった。
主人公・夏季の焦りはまだわかる。
でも、その夏季がいらつかされている、後輩にあたしはいらつけなかった。
そこでちょっとだけ世界に入れず。
主人公達が関係するやり手の女性、真理のすごさは伝わった。
限りなく主張がなく、こだわりもなく、
周りに主張なくとけ込む人と言うのは、いそうでいない。
ニンゲンはおそらくは、誰かと違う存在でありたいベクトルを志向するはずだと思うから。
真理の目的がそれをこえて、
自分の存在の主張以上の大きなものに向かっていたというのはナットク。
さらにそこにこそ、彼女の求めていたものがあったと言うのも。
でも、そ -
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34歳のマンネリ化した毎日をすごすOL南欧子に、ある日高額で彼女を雇いたいという誘いが来る。それには知性と美貌と教養が必要とあって、まず自分を磨きあげることが条件とされていた。「マイ・フェア・レディ」のように、期日までダイエットをしエステに通いマナーを学ぶ南欧子。それらの費用は全部誘った雇い主持ち。
そして、契約書にサインをし、南欧子は正式にこの誘いを受け入れたが、そこには実は周到なワナが仕組まれていた。
女性とはこんなにも執念深いものか。
小学生の頃に受けた心の傷から復讐を誓い徐々に相手を追い詰めるやり口は、確かに女性独特の復讐の手段かもしれない。
殺人も脅しも何もないミステリーだが、その -
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幸せに暮らしていた従兄弟が、愛する子供や妻を殺して心中する。その従兄弟の遺品を親族の代わりに受け取った主人公阿部隼人は、従兄弟が残したメモを見て、自分が最近見ている悪夢と同じような夢に苦しめられていることを知って驚く。阿部の彼女も同じ夢を見ていることを知り、更に、二人の祖先の故郷が同じであることを知る。彼らの周囲で、夢に出てくる女が出没し、悪夢は進化していく・・・。
主人公側のストーリーと、夢にでる女側のストーリーが交互に進んでいく形式で、謎も少しずつ明らかになるところが面白い。
ちょっと、原因に納得性が弱い感じもするが、そんなことよりも物語が醸し出す妖しさに、ついつい読み進めてしまう作品。 -
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密かに忍び寄る、日常の違和感。
ぎしぎしと、というよりもわずかにきしみ、
いつの間にか気付いたらそこにあった、壁のわずかな亀裂のような。
あるいはふとしたときに気付く、こんなところにあったかしら?というシミのような。
正直読後感は悪い。
明るく描かれた家族がふと、次の作品で追い込まれている苦しさ。
降臨、と言うタイトルからむこうの世界の、あるいは宗教のような、
超・次元の話を想像したのだがそれはまるで違っていて。
しんしんと胸に詰まってゆく、見えない汚濁。
すごく怖くて、本当に気持ちの悪い、優秀作。
特に最後の一作は、ぐらっと揺れるような、底冷えのする、悪意にやられた。 -
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再読。
タイのバンコク、アパートの一室。
男は、全身を切り刻まれ、鮮血に染まっていた。
子どもの炉から優秀で、バブル崩壊後に会社の命によりバンコク赴任した男の転落。
バンコクを味わいたくて読んだが、それよりも過去を引き摺らないで生きる、心に突き刺さる内容だった。
2017.7.26
バンコクで沈没している人々の生活を読みたくて再読。
面白かった。
バンコクに滞在しその日暮らしのシュウ、周りの日本人のようにタイの気風に溶け込めず、かといって日本に帰ることもできない。
前回ほど怖いとは思わなかった。
心の闇を抱え、流されるままの人生。
シュウの奥底にある本質、人となりが興味深かった。
2010