明野照葉のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
若くして人材派遣会社の社長である『姉』の麻生陶子は、結婚寸前までいった男性を後輩の女性に奪われ、精神を病んで製薬会社を辞めた『妹』の久恵と二人暮らしをしている。
表参道にある会社からほど近いマンションに住み、高級ブランド品を身につけ、それに相応しい容姿を持つ陶子に対して、童顔で背が低く、愚鈍な雰囲気の久恵。陶子はそんな久恵をまるで家政婦のように扱い、ときには感情に任せて暴力さえ振るっていた。そこには人生の勝者と敗者としての力関係が、あからさまに存在していた。
それでも久恵は美しい陶子が好きだった。加えて彼女には生活の面でも面倒をみてもらっていたから、久恵は陶子から離れることはできない。陶子にとっても、心地よい日々を送るためや精神のバランスの維持のために久恵は必要不可欠な存在だった。
しかし、ある男性の出現で二人の関係性に綻びが生じることになる。そのとき久恵がとった恐ろしい行動とは。。。
魅力的な外見を持った人。スタイルのいい人。人当たりのいい人。頭が良い人。わたしが誰かを妬みに近い羨望の眼差しで眺めるとき、当人の見えない努力なんかは想像しないことのほうが多い。生まれつき運がいいんだなと思うことのほうが多い。
だけど、確かに身長や顔の造り、骨格など努力で補うことができないことは多いが、人間の魅力というものはそれだけじゃないと考えてみる。魅力的な人はみんな陰で努力しているのだ。その努力を自分のために楽しんで続けられるよう工夫したり、よりよい自分になるために厳しくあるのだろう。
だからわたしは陶子が好きだ。
そして久恵が嫌いだ。
一見女二人のドロドロした物語のように見えるかもしれないが、これはすごくスカッとした話だと思う。
だって、時間が経ったからってすべてが許されるわけじゃない。
ざまあみろだと思った。
Frailty,thy name is woman.
弱き者よ、汝の名は女なり
この小説のタイトルを見たときに、まずこのフレーズを思い出した。
女は弱く、心変わりが早い。
でもタイトルは『汝の名』だ。その名は女ではない。名前は人それぞれあり、その人だけのものだ。どう生きるかは本人にすべてかかっている。
最初は誰かに憧れてマネをしたとしても、努力をして自分のモノにできたのなら、もうそれはマネなんかじゃない、自分自身の本物の力だ。 -
Posted by ブクログ
知り合いにこの著者を勧められて、初めて読んだ一冊。
早くに両親を事故で亡くし、姉妹二人きりで生きてきた。
優しく美しい由紀は、常に美久にとって自慢の姉だった。そんな姉がいよいよ付き合っている恋人と結婚することになった。祝福しながらも一抹の寂しさを覚える美久。
ある日、由紀は突然1週間くらい旅行に出ると言い出す。今までなんでも事前に話してきた二人なのに何故?しかも由紀は、美久だけでなく婚約者にも、旅の日程や行先を告げないまま、一人で出かけてしまった。不安な気持ちになる美久。
そして。
旅行から帰ってきた姉は、別人のようになっていた。
姉を変えてしまったものはなんなのか。
これは演技なのか、それとも今までが演技だったのか。
先がとても気になってどんどん読みたくなるのだが、異常に読み易い(文章や使われている言葉が簡単)のでストレスがない。
でも途中で分かっちゃう。タイトルもタイトルだし。
2時間ドラマにしたら、絶対に面白いはず!
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Posted by ブクログ
ネタバレ「嘘」
幸せな姉妹の生活の崩壊。
由紀は上品で穏やか、仕事も出来て容姿端麗。美久はそんな姉を誇らしく思っていた。だから姉に嫉妬することなく、2人で支え合いながら暮らしてきた。そして、まもなく由紀は結婚して幸せになる。美久はそう思っていたが、一人旅から帰ってきた由紀は、今までの由紀ではなくなった。一体なぜ彼女は変わってしまったのか。
タイトルが嘘であることから、十中八九由紀の豹変には嘘が絡んでいるだろう。明らかになった真相は、確かに嘘があり、それは美久を思ってのものだったのだが、果たして由紀の判断は正しいかったのか。美久も由紀の意図を汲む形で、人生を送っていくことになるのだが、果たして美久もこれで良かったのだろうか。
この2人の気持ちに共感出来るかどうかは分かれそうだ。個人的には、由紀の気持ちは分かるが、だからと言ってこの遣り方はとって欲しくはなかったなと。楽しい思い出があるから別れが悲しくなるのではなく、楽しい思い出があるからこそ悲しみを受け入れて、残されたものは生きていけるのではないか。
恐らく由紀は美久が自分の嘘を見抜くことを予想していたのだろうが、その嘘に気づいてしまった美久は、由紀の気持ちに応えたいとは思いながらも、それは悲しいよ、お姉ちゃんと思ったに違いない。今は良くても数年後、美久はきっと後悔してしまうのではないか。それは相手が仲が良かった、好きだった姉だからこそ、きっと。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ久しぶりの明野照葉。
この人の本って いつもは引き込まれて一気読みなんだけど
これはそうでもなかった。面白くないわけじゃないけど
それほど引き込まれず 休み休み読んだ感じ。
タオのお母さんが登場して 事件が起きてからは 想定外の展開にどうなるの?とページをめくる手が止まらなかったけど それ以前の4角関係?5角関係?6角関係?には さほど興味が持てず。
エピローグを読んで この妊娠が事実なら 本当に筋金入りの魔家族だなと。でも決してイヤな気持ちでなく もはや恐れ入りましたくらいの気持ち。むしろ読後感は清々しい 笑。この強さ このたくましさ この打たれ強さ が むしろ羨ましい。ここまではっきり自分の中の優先順位がはっきりしてて なにがあろうとも 誰にどう思われようとも 自分たち家族以外の誰を犠牲にしようとも 全く揺るぎない。こう生きられたら 生きやすいだろうなと。
登場人物の中では 柴田香織が1番すき。あんまり出てこないけど 笑。彼女と早季のやりとりが良かった。
星3.5