明野照葉のレビュー一覧
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バンコクを舞台にした人間模様を背景に、一人の男の葛藤を描いた作品。明野照葉、得意の家族愛や泥臭さについても触れている。
面白かった。
さて前提知識
小乗仏教:悟りの川を自ら泳いで渡って彼岸に辿り着いた者だけが救われるとい思想
大乗仏教:みんなでいっしょに船に乗り彼岸という悟りの岸に渡りましょう的思想
タイは、小乗仏教
タイ人気質を表す言葉にサヴァイとサヌックがある。サヴァイは、OK、fineというニュアンス。サヌックは、funといった面白さ。これにマイ・ペン・ライ(Dont mind) を加えると三拍子揃った感じ。これで日本のビジネスマンは胃を悪くする。
3つのセリフが印象的だ。
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Posted by ブクログ
再読。
大手商社の総合職として10年、34歳にして「島流し」、中華料理のチェーン店「シノワズリ」に出向させられた夏季。
急成長を遂げた「シノワズリ」の仕組みにとともに、若き取締役 渡辺真理の手腕に羨望と疑念を抱く。
多数の外国人を雇用しての効率的な経営、裏社会を匂わせる面白さ。
突出したところがなく中途半端にいい人であるが故に、そんな役回りを与えられてしまう主人公に自分を重ね合わせて、仕事をする上での気持ちの持ち方になるほどと思うところが多かった。
2014.7.12
再読。
帯にある「目立たない女が、いちばん怖い」とは実はそうかも。
飲食産業の女性取締役でありながら没個性、慌てず騒がず仕 -
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稲本家の三姉妹。
長女の真子は、几帳面な性格で容姿はよくないが若くして結婚して、中学生と小学生の子供を持っている。旦那は、出張ばっかりで家にいない事が多く家事と子供の面倒を見る専業主婦。
次女の聖美は、きつい顔立ちの独身で一人暮らしをしている。常に仕事が忙しいからと仕事が恋人のような女性。
三女の美善は、ふっくらとした顔立ちで30台まじかの独身。定時で終わる楽な仕事をしていて実家で父親と暮らしてる。
ある日、父親から「実家に来い」と三姉妹に召集がかかった。
すでに大人として、別々の人生を送っていた三姉妹は、性格もバラバラで普段から会ってなかった。
困惑しつつ、実家に集合した三姉妹 -
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明野照葉さん 文庫書下ろし作品
プロローグから不穏な空気感満載で、遺影の女性は誰なのかが気になり、ドキドキしながら一気読みでした。
明野さんの作品は全て読んでいますが最近の著書は以前の物より平凡な作品になった印象を持っていました。
けれど本作はクセ&毒に加え、「魔」まで持った人物が登場し久々のイヤミスサスペンスを堪能出来ました。
主人公はOA機器を扱う会社で働く西原早季ですが、主役を上回る感の温子の存在が大きく、又早季が好きになった恭平と言う男もかなりの「魔」を感じる人物で恐ろしかった。
ラストに向かっての展開は思いも寄らない物で意外性もあり飽きずに読めました。
エロとイヤミス -
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ネタバレ沙和子は、自分が作り上げた沙和子を、完璧に演じている。努力もしていて向上心もあるのだけれど、どこか歪。
シナリオがあり、自分が主役で、評価をする観客も自分自身。自分と関わる者はコマにすぎず、勝手に動くことは許さない…。
意識せずに演じられること、シナリオ通り演じられたことにこそ価値があると思っている。
端から見たら神経すり減らして苦しくて、そこまでやらなくてもと思うのだけれど、彼女はそれを存在価値だと言い切る。
何故そこまで、できるのか、やろうとするのかー。
沙和子が「沙和子」になった理由が最後の方に出てくるがそれを踏まえた上でまた最初から読むと沙和子の並々ならぬ決意、行動の一つ一つ -
Posted by ブクログ
両親と同居、自宅通勤者の「風見窓子」は、30歳を越え両親に『結婚をして独立を』と言われる日々。ある日、勤務先の40歳台独身の上司「有磯潮美」から声を掛けられ「結婚しないの?」と言われます。話をするうちに潮美の実家に誘われる窓子。潮美の実家は家族経営の、食堂兼居酒屋の『磯家』。窓子は、潮美の家族やお客様、潮美の幼なじみ等との交流を深める程「磯家」に行くようになります。やがて窓子は、刺激を受けながら心境が変わり始め家族や結婚について考えていくようになります。題名の「家族トランプ」は読み進めて意味が解るのですが、私はこの小説が読みやすく展開もテンポも良いと感じました。