あらすじ
ある朝、勤勉な主婦・文枝は何もしない女になっていた。家事一切はもちろん、パート仕事にも行かず、一日、家にいるだけ。文枝は、何もしなくてもいいという、神のお告げを受けたらしい。困った家族は、叔母の花枝に依頼し、文枝を預かってもらうのだが……。(表題作) 心の隙間に宿る闇が、人びとの日常を次第に蝕む恐怖を描く、連作小説!(『痛いひと』改題)
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Posted by ブクログ
密かに忍び寄る、日常の違和感。
ぎしぎしと、というよりもわずかにきしみ、
いつの間にか気付いたらそこにあった、壁のわずかな亀裂のような。
あるいはふとしたときに気付く、こんなところにあったかしら?というシミのような。
正直読後感は悪い。
明るく描かれた家族がふと、次の作品で追い込まれている苦しさ。
降臨、と言うタイトルからむこうの世界の、あるいは宗教のような、
超・次元の話を想像したのだがそれはまるで違っていて。
しんしんと胸に詰まってゆく、見えない汚濁。
すごく怖くて、本当に気持ちの悪い、優秀作。
特に最後の一作は、ぐらっと揺れるような、底冷えのする、悪意にやられた。
Posted by ブクログ
意外に皆様が低評価なのは、
いわゆる、わかりやすいオチがない、余韻を持たせた終わり方が多いからでしょうか。
私は嫌いじゃないし、面白かったと思います。
ぞわっとした小さな怖さがお好きな方には良いかもしれません。
Posted by ブクログ
強迫神経症3連続。これは短編集で、全編通してのキャラクタはなし。
これを書くんで、パラパラめくって見て気づいたんだが、この作者、最終ページ読んでみても、全体のスジが思い浮かばないな。通しで読んで初めて面白いというテクか。
"全編通してのキャラクタはなし"なんだが、何編かはニアミスするのが妙にワクワクしたな。
Posted by ブクログ
きっと人間の奥底にはこんな精神が潜んでいるのかもしれない。短編集なのだけど、最初と最後の小説は、同じ人物が登場する。ホラーなのかミステリーなのか。心が読めてしまったり、羨望の女性が、実はとんでもない人物だったり、元彼女の幽霊に悩まされていた男のトラウマだったり。妄想殺人だったり。読み進めていくと奇妙な気持ちになっていく。何かの負の力によって、奥底に潜んでいる負の悪魔が顔をだした、そんな物語だった。負を抱え込んでいる時に読むと、共感できるかもしれない。
Posted by ブクログ
何が正しいのか。何が正常なのか。
読んでるうちにだんだん分からなくなってきた。
他の人の負の感情を読めてしまう人、自分が認めたくないものから逃げるために自分に嘘をつく人、頑張りすぎて突然神のお告げがあったと何もしたくなる人…。
みんな真剣でありながら、自分が異常ではないかとか悩んでいる。
読んでいると「変」と感じることは多かったが、じゃあ、普通ってなんだろう?と考え始めてしまう本だった。