乾くるみのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「乾くるみ」の連作ミステリ短篇作品『蒼林堂古書店へようこそ』を読みました。
『カラット探偵事務所の事件簿2』、『塔の断章』、『スリープ』、『セカンド・ラブ』、『六つの手掛り』に続き「乾くるみ」作品です。
-----story-------------
書評家の「林雅賀」が店長の蒼林堂古書店は、ミステリファンのパラダイス。
バツイチの「大村龍雄」、高校生の「柴田五葉」、小学校教師の「茅原しのぶ」―いつもの面々が日曜になるとこの店にやってきて、ささやかな謎解きを楽しんでいく。
かたわらには珈琲と猫、至福の十四か月が過ぎたとき…。
「乾くるみ」がかつてなく優しい筆致で描くピュアハート・ミステリ。
-----------------------
「林」四兄弟シリーズの第3弾あたり、次男の「林雅賀(はやしまさよし)」が店長のミステリ専門の古書店・蒼林堂古書店に集まる面々が謎解きを愉しむ作品です、、、
「雅賀」は「ガガ」とも読め、「林」は「リン」とも読めるので、「ガガーリン」を意識した名前に間違いないんでようね… 本作品には、徳間書店のPR誌『本とも』に2009年(平成21年)1月から2010年(平成22年)2月の間に連載された作品がまとめられています。
■1.秘密結社の集い
・林雅賀のミステリ案内―1 ヒッチコックと推理小説
■2.アルプスの朝陽
・林雅賀のミステリ案内―2 邪魔が入らない場所
■3.都市伝説の恐怖
・林雅賀のミステリ案内―3 土俗信仰から都市伝説へ
■4.マネキンの足跡
・林雅賀のミステリ案内―4 日常の謎
■5.通知表と教科書
・林雅賀のミステリ案内―5 長編連作とつなぎの作品
■6.臨光寺池の魔物
・林雅賀のミステリ案内―6 誘拐ミステリの世界
■7.転居通知と名刺
・林雅賀のミステリ案内―7 共同住宅が舞台のミステリ
■8.鉄道模型の車庫
・林雅賀のミステリ案内―8 鉄道事故とミステリ
■9.謎の冷蔵庫メモ
・林雅賀のミステリ案内―9 名探偵と犯人の対局室
■10.亡き者を偲ぶ日
・林雅賀のミステリ案内―10 故人の想いを探る
■11.楽天的な愛猫家
・林雅賀のミステリ案内―11 猫と童話とミステリ
■12.塔に住む魔術師
・林雅賀のミステリ案内―12 謎の墜落死
■13.転送メールの罠
・林雅賀のミステリ案内―13 ミステリアスな女性
■14.解読された奇跡
・林雅賀のミステリ案内―14 あの人は正体不明
店長の「林雅賀」、店長と同級生の「大村龍雄」、高校生の「柴田五葉」、小学校教師の「茅原しのぶ」の4人に、途中からは「五葉」の同級生「木梨潤一」が加わった5人のメンツが毎月一度、蒼林堂古書店で顔を合わせ、100円以上の売買でサービスしてもらえるコーヒーを飲みながら、ミステリに関する蘊蓄を語り合い、身近に起こったことの謎解きを愉しみます… 物語の中で、登場人物が購入するミステリ作品や、会話に出てくるミステリ作品がさりげなく紹介される感じで、本書をきっかけに色んな作品を読みたくなるような、そんな作品、、、
また、物語の最後には『林雅賀のミステリ案内』として、物語の中に出てきた作品や話題に関連したミステリ作品が紹介されているのも嬉しいですね… ミステリのガイドブックとして使える作品でした。
個人的には、、、
『林雅賀のミステリ案内―1 ヒッチコックと推理小説』で紹介された、「泡坂妻夫」の『花嫁のさけび』や「石沢英太郎」の『ヒッチコック殺人事件』、
『林雅賀のミステリ案内―2 邪魔が入らない場所』で紹介された、「アガサ・クリスティ」の『そして誰もいなくなった』や「綾辻行人」の『十角館の殺人』、「東野圭吾」の『ある閉ざされた雪の山荘で』、
『林雅賀のミステリ案内―6 誘拐ミステリの世界』で紹介された、「エド・マクベイン」の『87分署シリーズ キングの身代金』や「原りょう」の『私が殺した少女』、「東野圭吾」の『ゲームの名は誘拐』、
『林雅賀のミステリ案内―7 共同住宅が舞台のミステリ』で紹介された、「横溝正史」の『白と黒』や「江戸川乱歩」の『屋根裏の散歩者』、「泡坂妻夫」の『亜愛一郎の狼狽』、
『林雅賀のミステリ案内―10 故人の想いを探るで紹介された、「横溝正史」の『犬神家の一族』、
『林雅賀のミステリ案内―14 あの人は正体不明』で紹介された、「東野圭吾」の『白夜行』や「宮部みゆき」の『火車』、「泡坂妻夫」の『亜愛一郎の狼狽』、
等々、読んだことがあり好きな作品や、読むつもりでストックしている作品が紹介されているのは嬉しかったですね… 読みたい本が増えちゃったなぁ。 -
Posted by ブクログ
「乾くるみ」の近未来SF作品『スリープ』を読みました。
『カラット探偵事務所の事件簿2』、『塔の断章』に続き「乾くるみ」作品です。
-----story-------------
テレビ番組の人気リポーター「羽鳥亜里沙」は、中学卒業を間近にした二月、冷凍睡眠装置の研究をする“未来科学研究所”を取材するために、つくば市に向かうことになった。
撮影の休憩中に、ふと悪戯心から立ち入り禁止の地下五階に迷い込んだ「亜里沙」は、見てはいけないものを見てしまうのだが。
どんでん返しの魔術師が放つ傑作ミステリー、待望の文庫化。
-----------------------
SF作品ですが、ミステリ要素の強い作品でした… いやぁー、本作も見事に騙されました、、、
というか、30年後の世界に同一人物が二人現れ、パラレルワードモノか? と思わせておいて、実は… という展開が愉しめました。
■一章 科学のちから
■二章 未来科学研究所
■三章 冥府の王
■四章 覚醒
■五章 逃避行
■六章 追跡
■七章 異変
■八章 蝉の命
■九章 胡蝶の夢
■十章 アリサは眠る
■解説 香山二三郎
物語は2036年から始まります… 30年前のテレビドラマ「科学のちから」に出演していた天才美少女"ひらめきの天使"こと「羽鳥亜里沙」が紹介され、舞台は30年前の2006年に遡ります、、、
「科学のちから」には、のちのノーベル物理学賞受賞者「戸松鋭二」を始め、数人の中学生レポーターが出演しており、その中でも「亜里沙」は際立った存在だった… しかし、彼女は番組終了の2ヶ月前に降板し、その後、TV界から姿を消していた。
2006年2月、「亜里沙」は「科学のちから」の取材でつくばにある未来科学研究所を訪れる… そこでは、特に有人宇宙船による恒星間飛行を可能とするための技術開発や研究が進められており、冷凍睡眠もそのひとつで、彼女はその試作機TSC-7を目の当たりにするが、ひょんなことから研究にまつわる秘密を知ってしまう、、、
その現場を見ていた所長の「八田」は、冷凍保存前の身体のデータを解析するMFT高解像度スキャナーの試し撮りをさせてほしいと彼女に依頼… 彼女も被写体の第一号になることを承知し、装置に付随した寝台に横たわる。
だが、一瞬ののちに目覚めると、そこは2036年の世界だった… 「亜里沙」に付き添っていたのは、かつての仲間「戸松鋭二」で、彼は彼女が何故そこで目覚めることになったのか経緯を説明する、、、
それによると彼女は「八田所長」の罠にはまって冷凍保存される羽目になったが、その後冷眠に関する法整備の影響で患者の解凍は禁じられてしまった… それを承知で解凍し、罪に問われることになった「戸松」と「亜里沙」は逃亡生活を始める。
「亜里沙」は冷凍状態で寝ていたことから、感覚的には一瞬で30年を飛び越した感覚… まさにタイムスリップしたような状態だった、、、
そこは、濡れた身体や衣類を一瞬にして乾かす仕組みがあったり、紙幣の肖像画が変わっていたり、ゴムマスクによる精巧な仮面が愛用されていたりと、生活面で随所に変化があり、社会的にも大統領制や道州制が採用されたり、首都機能が北海道に移転されていたり、新関東大震災が発生したり、自衛隊が軍隊になっていたりと、大きな変化を遂げていた… 「戸松」と同じく「科学のちから」の出演メンバだった「鷲尾まりん」が陸軍情報本部国家公安部の一員としてふたりの追跡に加わり、新しい事実が判明していきます。
そして、冷眠していたはずの「亜里沙」のもうひとつの人生が示され… これはパラレルワールドか!?と、思わせておいて、最後にサプライズが待っていました、、、
そもそも『スリープ』って、タイトルがミスリードを誘う仕掛けになっているもんなぁ。
行き過ぎた科学を利用して人間が生命を操ることによる悲劇… 人類が自らの手で作り出した初めての人類の哀しい結末… 切ない物語でしたね。 -
Posted by ブクログ
面白かったぁ、、、さすがです。乾くるみ。
短編ながら毎度毎度、えぇー!!ーー!!!!
っていう展開。
最初のトランプゲームなんて、始まって2ページ目くらいから、えぇ!?っていうね。笑笑
なんだ!悪魔ってなんだ!?っていう。笑笑
ありえないんだけど、突然そんな展開予想もしなかったわ!の驚きの連続です。
かなり衝撃内容もさることながら、割と主人公たちがゆるいキャラ設定で、友達が死んだりなんだりしても
やっべー
くらいの精神で!笑
凄惨な場面が多いものの、えーーまさかー!!ー!の展開にもびっくりするだけで終われる、びっくり箱のような、なんとも言えないストーリーになってます!
どれもこれも、これどんなことして驚かしてくれるんだ!?っていう冒頭のワクワク感半端ないです。
絶対なんかやらかす!って思ってもちゃんとびっくりできる、ドキドキ断片集!絶対裏切らない、いや、裏切られまくるので是非!一読ー!!!!!!! -
Posted by ブクログ
「乾くるみ」の連作短篇作品『カラット探偵事務所の事件簿1』を読みました。
なかなか読書時間が確保できないので、短篇集がイイなぁ… と思って選択しました。
「乾くるみ」作品は初めてですね。
-----story-------------
あなたの頭を悩ます謎を、カラッと解決いたします!
高校の同級生「古谷(ふるや)謙三」が探偵事務所を開くことになった。
体調を崩していた「俺」は、その誘いを受け新聞記者から転職して、「古谷」の探偵事務所に勤めることにした。
探偵事務所といっても、浮気調査や信用調査などは苦手としているようだ。
出不精の所長「古谷」を除けば、実質的な調査員は「俺」だけになってしまうので、張り込みや尾行などといった業務もろくにこなせないのだ。
ではいったい何ができるのかというと――実は≪謎解き≫なのだ。
作家とファンのメールのやりとりの中から、隠された真実を明らかにしていく『卵消失事件』、屋敷に打ち込まれた矢の謎を解く『三本の矢』、祖父が作ったという三つの和歌から屋敷内に隠されたお宝を掘り当てる『兎の暗号』、差出人不明の手紙に同封された写真から父の居場所を見つけ出す『別荘写真事件』、団地内に配られた住人の不倫を告発する怪文書の謎を解く『怪文書事件』、「古谷」と「井上」の同級生の結婚式で、新婦の父親から風変わりな相談をされる『三つの時計』の6つの事件を収録。
『イニシエーション・ラブ』、『リピート』で大反響を巻き起こし、練達の愛好家を唸らせつづける著者、待望の連作短篇集。
-----------------------
カラット探偵事務所の「古谷謙三」と「井上」が謎を解き明かす、カラット探偵事務所シリーズの第一作で、「俺」こと「井上」が一人称の『事件簿』を記す形で進む、以下の六篇が収録されています。
■File 1 卵消失事件
■File 2 三本の矢
■File 3 兎の暗号
■File 4 別荘写真事件
■File 5 怪文書事件
■Flie 6 三つの時計
『卵消失事件』は、作家である夫の浮気調査を依頼され、メールのやりとりから隠された真実のメッセージを解き明かす物語、、、
卵と浮気、電車でgo!等、浮気とは無関係そうなキーワードや事象が「古谷」の推理により、結びついて行くところは面白いですね。
『三本の矢』は、謎の三本の矢が旧家に打ち込まれた謎を解き明かす物語、、、
兄弟がお互いを思いやる気持ちから発生した事件… なかなかイイお話しでした。
「この新しいスポーツの、世界で3番目にプレイした人物に、なってみませんか?」という「古谷」の決め台詞が印象に残りました。
『兎の暗号』は、和歌に隠された宝探しのメッセージを解き明かす物語、、、
うーーーーーん、難し過ぎた… ついていけませんでした。
『別荘写真事件』は、別荘で写された写真を頼りに、生き別れた父親の消息を探る物語、、、
月って、北半球と南半球では、逆さまに見えるんですねぇ… 考えたこともありませんでした。
クロスワードを埋める内容にもなっていて、とても凝っていましたね。
『怪文書事件』は、団地で次々に発生した不倫を告発する手紙の真相を探る物語、、、
この事件は、珍しく「古谷」ではなく「井上」の活躍が目立ちます。
『三つの時計』は、文庫版での書き下ろし作品で、時計の謎を解くとともに、「古谷」や「井上」の学生時代からの付き合いも明らかになる物語、、、
時計の謎は姉のことを心配した、妹達が引き起こした事象だったのですが、それよりもなによりも、エンディングにすっごいサプライズが用意されていて、とても楽しめた作品。
まさかねぇ、、、
「俺」こと「井上」がねぇ… 見事に騙されました。
全般的に謎解きが中心で、ドロドロした人間関係とは無縁の作品なので、その分、リアリティはありませんが、頭の体操ができる軽いミステリーとして、気楽に読めました。