松本俊彦のレビュー一覧
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保健所って、自殺にも対応されていたのですね。知らなかった。
それにしても毎回毎回、命のかかった人相手の仕事をするなんてすごく大変な現場だなと思います。でも死のうとしている方もいつも限界まで追い詰められている人ばかり。社会そのものを変えていかなきゃいけないよな、と考えさせられる漫画でした。 -
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そんな彼女が、身近にいる。
ODの後、周りは彼女が腫れ物になったかのように接する。
にもかかわらず、彼女自身は何事もなかったかのように、むしろOD前よりもけろりと明るく「良い子」になる。
彼女の周りの多くの人が、そこに戸惑っていた。
「なかったこと」にはとても出来ない。でも今彼女は「落ち着いている」ようにみえる。どこに「ふとしたはずみ」が転がっているのかわからない。
彼女を大切に思う周りの人たちは、芯から安らぐという心の状態から果てしなく遠ざかってしまう。
この本を読んで、彼女のOD後の心情に、ほんの少しだけかもしれないが近づけたように思う。
今までのODやリスカの本とは明らかに異なる。
今 -
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困った子は困っている子
この言葉がすごく印象的だった。
昔教室で悪さばっかりして先生も泣かしてた子、学童終わりにお母さんがその子をおうちに一緒に車で送っても、いつもその子の家は夜になっても誰もいなかったのがすごくこわかったのを思い出した。
あの子は転校して行ったけどそのあとどうなったんだろう、シンナー吸って歯がボロボロだった先輩はどうなったんだろう、あの子は本当は摂食障害だったのかな、色んなことを思い出して考え直した本だった。
依存はいつも私たちの人生にぴったりくっついてはいるんだろうと思う。依存性になるか、嗜好で終わらせられるか、私だって危なかった時がたくさんあった
誰にでも起こりうるか -
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【目次】
はじめに
第Ⅰ部 自分を傷つける生き方を理解する
1.死ぬためじゃないし、アピールのためでもない
2.「鎮痛薬」としての自傷
3.それで本当に問題は解決していますか?
4.「死への迂回路」としての自傷
5.「嫌なことを忘れたい」——物質乱用・依存と過量服薬
6.「食べるのがこわい」「食べるのがとまらない」——摂食障害
7.自分を傷つける関係性
第Ⅱ部 自分を傷つける生き方から回復する
8.自傷の状況を観察する
9.自傷にいたるパターンと対処法
10.現在の生活を見直す
11.もしも精神科医にかかるなら
12.自分を傷つける生き方から回復するためのヒント -
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ネタバレ自傷当事者としてこの本を読みました。
まさに、この本に書いてあるようないきすぎた自傷により(それはもはや自殺企図の体をなしてしまったわけですが)入院中の身です。
病棟の本棚にあったこの本を、ふと手に取ってよかったといまでは心から思っています。
「失敗をおそれないでください。大切なことはあきらめないことです。大事なことは、ゆっくりとよくなることです。急ぐ必要はないのです」
何度も自傷をやめよう、と思ってはそれでも衝動を抑えきれず、やりきれない気持ちになっていた自分にしみこむような言葉がたくさんありました。
身体的な自傷への具体的な対処法から精神的な部分のケアの方法、果ては精神科医の選び方な -
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松本先生の本はどれを読んでも面白い。医学と患者の狭間で悩み戦い続けている姿を見て、自分も頑張ろうと勇気をもらえるので、定期的に読みたいと思える内容だった。
「人は裏切るけど、シンナーは裏切らない」これは松本先生の中学の同級生の言葉。このことばを聞いて、自分の頭をガツンと殴られた感覚だった。シンナーだけにかぎったことではなく、他の薬物やアルコール、リストカットなどの事象行為。さまざまなものに当てはまる。
人に依存できないからこそ、何かに依存する。とは理解していたものの、反対に言えば、人は裏切るからだということに思いもよらなかった。
そう考えた時に、自分が今まで安易にかけていた言葉が走馬灯のよう -
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本書で取り上げられているのは”嗜癖障害”(addiction)という、とても重たい問題なのだが、著者が精神科医師として様々な患者たちと向き合ってきた経験を通して感得し学んできたことを率直に発言しているところに心打たれたし、特に薬物のことについては大いに啓発されるものがあった。
著者の言わんとすることは「あとがき」にまとめられている。
「この世には、よい薬物も悪い薬物もない、あるのはよい使い方と悪い使い方だけ。そして、悪い使い方をする人は、何か他の困りごとがあるのだ……「困った人」は「困っている人」なのだ、と。だから、国が薬物対策としてすべきことは、法規制を増やして無用に犯罪者を作り出す -
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タイトルの二人による往復書簡。
松本俊彦さんの依存症に関する専門家としての知見は自分には新鮮で、依存症に対する「本人の意思の弱さ」的なステレオタイプを覆されて目から鱗の連続だった。
・人は皆何かしらに依存している弱い生き物
・依存性薬物使用経験者のうち依存症の診断基準に該当するのは1割程度。人間は飽きっぽい動物。どんな気持ちがいいものでもすぐに飽きてしまう。「一度やったら人生終わり」は大げさ。
・薬物、ゲーム、ギャンブルに執着する人たちは快感からではなく苦痛の緩和からそうしている。快感は飽きるが苦痛の緩和は飽きない。
・「最大の悲劇はひどい目に遭うことではなく、ひとりで苦しむこと」。自助グル -
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薬物使用者とそうではない人の壁は思っていた以上に薄いものだということを感じました。また、教員をしているので、薬物乱用防止教室の話は納得感がありました。また、リストカットやオーバードーズの生徒が増えているという実感があり、なぜ彼ら彼女たちはそのような行為に走ってしまうのか疑問をもっていました。過去のトラウマや、精神的苦痛を身体的苦痛に置き換えているのだと学ぶことができました。専門知識が乏しい我々教員としては、精神科への受診を保護者に勧めることもあります。ただ、精神科医の方々も試行錯誤を重ねて、患者さんと向き合っており、万能な解決策はないのだと思いました。アルコールも含めた薬との良い付き合い方を実
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依存症の専門医による薬物の依存性と歴史の話。初めて知る話が多く面白かった。
ユーラシア大陸にはアルコールと茶、アフリカ大陸にはコーヒー、アメリカ大陸にはタバコ、人類は薬物とともに生きてきた。
本書の主張は以下の3点に集約される。
・薬物の違法/合法は医学的にではなく、政治的に決定される
アルコールが合法で大麻が違法なのは薬学的ではなく政治的な理由による。
・「よい薬物」も「悪い薬物」もなく、あるのは「よい使い方」と「悪い使い方」だけ
所謂「よい薬」であるはずの処方薬や市販薬も使い方次第でさまざまな健康被害を引き起こす危険性がある。
・「悪い使い方」をする人は何か別に困りごとを抱えている
労 -
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【目次】
1.本当に有害な薬物とは?
2.アルコール(1)ストロング系チューハイというモンスタードリンク
3.アルコール(2)人類とアルコールとの戦い
4.アルコール(3)人間はなぜ酒を飲むのか?
5.カフェイン(1)毒にして養生薬、そして媚薬
6.カフェイン(2)人類とカフェインの歴史
7.市販薬 セルフメディケーションは国民の健康を増進したか?
8.処方薬 医療へのアクセス向上が作り出す依存症
9.タバコ(1)二大陸をつないだ異教徒の神器
10.タバコ(2)社会を分断するドープ・スティック
11.「よい薬物」と「悪い薬物」は何が違うのか? -
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リストカット、摂食障害、様々な依存性など、自傷行為といっても多種多様ある。
精神科医の側から、すぐに自傷行為そのものをやめなくていい。その行為に至った背景に目を向けよう。ともすれば止めさせようという家族や支援者もいるかもしれない。
しかし自傷行為そのものには、辛い現実を孤独に耐えようとする当事者なりの対処法なのだ。それを取り上げるべきではない、ただ長期的には悪影響がある。
だからこそゆっくりでいい、何度でも躓いてかまわない。
周囲の人間や色んな技術を会得して、何とかあなたの人生が良くなりますように。
という願いのようなものを感じた。
当事者にも支援者にも何度でも読み返して欲しい作品だと思う