松本俊彦のレビュー一覧
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依存症(特に覚せい剤依存)治療への尽力を続けている、松本俊彦先生が、その考えやその考えに至る経緯を綴った本。
なぜ精神科医が薬をたくさん処方してしまうのか。古来の精神医学の中心疾患であった統合失調症への対処の基本が薬物療法であるところに端を発し、患者の薬効を求める思いと、医師の面倒を回避したいという思いが一致してしまう構造が明らかにされていた。
医療観察の入院施設では、多職種チームによる手厚い医療体制のため、薬の種類・量とも少ない「美しい処方」がなされていると、たぶんほめてあった。
あまり幻聴の内容を聞かないほうがいい、自殺念慮を聞かないほうがいいという「神話」は本当なのか(ドリフ式診療 -
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『誰がために医師はいる』を読んでから読んだ。
主旨は『誰がために』と同じであるが、こちらは中高生向きなので、薬物依存よりゲームやリストカット、カフェイン依存や摂食障害が中心に書かれている。
また文章も構成も中高生にわかりやすいように書かれている。
リアルなエピソードとともに、患者である若者がどのように回復したかもきちんと書いてあるので、読んでいて希望が持てる。
親は子どもが依存症になると、心配のあまりゲーム機やスマホを取り上げたり、嘆き悲しんだり、「二度とリストカットしない」と約束させたりして監視する。しかし、それがいい結果を招くことはない、ということがこれを読むとよくわかる。悩んでいる親に -
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14歳に向けて書かれたものだけど、いろんな年代のたくさんの人に読んでみてほしい本だな、と。
薬物やゲームやリスカ…いろいろなものへの依存症があるけれど、そこに陥るそもそもの原因はなんなのか。それは本当に自己責任なのか。晒し者にしたり、責め立てたりすることで解決するのか。
依存症について考えることで、ひとが人の群れの中で生きるにあたっての、あらまほしき姿とはどんなものなのか?ということも一緒に考えることになる、本当に「やさしい」本だった。
しんどい時に、しんどいって話せる人、私は何人いるだろう。しんどいって打ち明けられるような人に、私はなれているかな -
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①スチュアート・マクミランの薬物依存啓発マンガ2作品と、依存症を専門とする精神科医 ②松本俊彦・③小原圭司による解説をまとめた、啓発的なモノグラフである。
①ではラットを用いた薬物依存モデル「ラットパーク」実験により依存症の経過がコミュニティによる影響を大きく受ける可能性があること、また法的な薬物規制がかえって依存症を増やしてしまう危険性について描かれている。
②は①をうけた解説であり、依存症の本当の問題は薬物の依存性ではなく、コミュニティとのつながりの欠如や孤立が本当の原因であり、また薬物や依存症患者を懲罰的に規制する制度はむしろ依存症を増やすことになり、世界的には「排除から包摂へ」というア -
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自傷を行う人へ書かれた本。
自傷を受け止め、そこに現れる心の動きを説明し、解決策を提示する。
中高生の約1割は自傷をしたことがある
自傷の理由の6割は「不快感情をやわらげるため」
孤独な対処策
孤立している
他人を信じられず、助けを求められない
自分に自信がなく、助けを求められない
つらい記憶も切り離している
→そのため、何がつらくて切ったのか、本人にもわからないことがある
自傷する人は、言葉で自分の気持ちを表現するのが苦手なことが多い
コントロール成功体験
自分を傷つける関係性
- 否定される関係性
- 支配される関係性
- 本当のことをいえない関係性
ちょっと失敗したくらいで自分を -
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当事者(自傷)ではないのですが、生きることが苦しい人々に向ける、松本先生のメッセージに共感しています。
装丁が優しくきれいで、それだけでもほっとします。
読むのは2回目だったのですが、今回は生きるつらさ、困難さを松本先生にとてもわかってもらえている、それが文章から感じられて、それだけで安心しました。
参考になったのは、様々な生い立ち、生きづらさを抱えている人達にとって、行うことについて全てが、自傷傾向になりやすいところがあるといった内容です。 私なりの理解なのですが、健康のためのウォーキングも、早起きも、節約も、何だか実際の自傷ではないけれど、それに似た様相になってしまう。自分を害する、傷つ