松本俊彦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
依存症という言葉に引っ掛かりがあるなら、まず手に取るべき書籍。
動機としては自分自身依存していると自覚のある行為をやめたいモチベーションがあって、依存症について調べたかったのがきっかけ。
結局依存は治療するものではなく、いかに上手に人生のパートナーとして付き合っていくかということに尽きるなと思った。
一つの答えとして「別のものに依存する」こと。語弊があるかもしれないが、シンプルに言うとそういうことだと思った。
社会生活を営むのに支障が出るような依存には、医療の力を借りながら周囲の人間がチームで向き合っていくしかない。ゆえに孤独は一つ大きな障害になるのだなと思った。 -
Posted by ブクログ
薬物依存症患者の治療を専門とする精神科医である松本氏による著書。
薬物依存症の真の姿を知る意味でも、また、人間としての医者を知る意味でも、とてもよい本だと思います。
覚せい剤や大麻よりも、アルコールの方が薬物として悪質、というのは、みんなが知っておくべきことだと思いました。
この本にもある「世界最古にして最悪の薬物」という表現は、そのことを浸透させる意味で、とてもよい表現だと思います。
「困った人」は「困っている人」とか、「人間は薬を使う動物」とか、「ダメ。ゼッタイ。」では絶対ダメとか、示唆に富む言葉も多く、とても勉強になりました。
「薬物依存」は、なかなか重いテーマだと思うのですが、そういったテーマを読みやすい形で文章や言葉にできる著者は、本当に力のある精神科医なのだと思います。 -
Posted by ブクログ
非常にためになる内容だった。
今後の勉強にぜひ活かしたい。
✏「自傷は他者に対するアピール的意図から行われる」といったことを支持するエビデンスなどどこにもない。
エビデンスが明らかにしているのは「自傷の96%は、ひとりぼっちの状況で行われ、しかも、そのことを誰にも報告しない」ということである。
✏自傷は、わが国の10代の若者のおよそ1割に見られる、ありふれた現象であるが、周囲の大人はそのことに気づいていない。
✏自殺とは「苦痛しか存在しない世界からの脱出」であり、自傷とは「苦痛に満ちた世界に耐え忍ぶこと」である。
その意味では、自殺を考える者の脳裏にはもはや絶望しかない一方で、自傷を考える者の脳裏には、まだ多少とも希望が残されているといえるのかもしれない。
✏繰り返し身体的虐待という肉体的苦痛を受けている子どもは、その度に脳内でエンケファリン(脳内麻薬の一種)産生が刺激されるために、いつしか生理学的な痛みにたいして鈍感になる。
結果的に、静かな環境で孤独に過ごしている時には、逆にエンケファリンは減少するために、被虐待児は相対的なエンケファリン離脱状態に陥り、不安と緊張が増大した状態に置かれる。
このような状況において、自傷はエンケファリン産生を高める刺激として機能し、緊張と不安を軽減させる。
✏繰り返し手術や医学的処置をウケなければならなかった経験があること、あるいは、先天的な身体的奇形をもっていることが、後年の自傷に関係するという指摘がある。
こうした経験は、身体に傷をつけることに対する抵抗感を減弱させたり、自らの身体に否定的なイメージを抱きやすくさせたりして、自傷の発言を準備すると考えられる。
✏【自傷と解離の関係】
幼少期に虐待やネグレクト、あるいは友人からのいじめや激しい家族間暴力の目撃といった体験をしてきた人は、怒りや恥の感覚、あるいは恐怖に耐えるために、解離による「心理的無感覚状態」となる習慣を身につける。
このような人にとって、自傷には「不快感情→解離による無自覚→自傷による痛みや血液といった知覚刺激→現実感回復」という「反解離効果」があるといえる。
✏【自殺行動の対人関係理論】
人を自殺にいたらしめる究極的な危険因子
①身に着けられた自殺潜在能力…自傷、拒食・過食、物質乱用・依存といった自己破壊行動を通じて獲得する「身体の痛みに対する慣れ」
②所属感の減弱…「自分の居場所がない」「誰も自分を必要としていない」という感覚
③負担感の知覚…「自分が生きていることが周囲の迷惑になっている」、「自分がいないほうが周囲は幸せになれる」という認識
→これら3つの要因の総和が一定の水準を超えたとき、人は自殺を決意する。
✏自傷は自殺とは異なるが、自殺関連行動である。
✏彼らの自殺リスクを高めている究極的な要因は、リストカット自体ではなく、辛いときに援助を求めることができないこと、あるいは、助けてくれる大人がいないことにある。
✏「あなたが切ると私の心が痛い」などと、相手に理不尽な罪悪感を抱かせる発言も好ましくない。
それは相手の問題を援助側の都合にすり替える発言になっており、第一、もし本当に「心が痛い」のだとすれば、そのように距離が取れない援助者のあり方自体が問題とされなければならない。
✏今後エスカレートする可能性を伝える時、「あなたはきっとそうなるはずだ」と決めつけるような言い方はすべきでない。「あなたは違うかもしれないが、私の経験では〜」といった伝え方が好ましい。
✏非自発的入院という、いわば「自己決定権の剥奪体験」が、退院後の自殺リスクを高める可能性がある。
✏自殺念慮者や自殺未遂者の援助においては守秘義務の原則は適用されない。
もしも家族と連絡を取らないまま対応し、その後まもなく自殺既遂もしくは再企図となった場合の訴訟リスクは大きい。
✏「自殺しない契約」は、信頼できる人との継続的な援助関係を前提として初めて効果を発揮する。
✏若者の自殺既遂者を調査した結果わかったこと
①30歳未満の若い自殺既遂者は、中高年以上の自殺既遂者の場合に比べると、自殺直前に明確な精神科診断がつくような人が少なかった一方で、自傷経験者が多かった。このことから、子どもの自殺予防という観点から自傷に注目することの大切さがわかる。
②家族に精神障害を抱え、現在精神科治療中であるといった人が多い。このことは、精神科医療関係者は、自分たちが治療を担当している成人の患者だけでなく、彼らの家族にも注意を払う必要があることを示している。
✏自殺のリスクが高い子どもの背後には自殺のリスクが高い大人がいる。
✏自傷に及んだことのある子どもにとっては、薬物に様々な弊害があることをしっていてもーいや、知っているからこそー一種の自傷として薬物に手を出す可能性がある。
✏「命の大切さ」を訴える生命尊重教育は好ましくない。これは、本来、メンタルヘルスの問題である自殺予防教育を道徳教育にすり替えてしまっている。
「命を大切に!」といった話を聞かされた後には、「命が大切ならば、どうして自分はこんな目に合うのだろうか」と混乱し、人に相談するどころではなくなる。
✏自傷する生徒にとって一番のゲートキーパーは友人だが、自傷の発見が友人だけに留まる限り、返って本人が孤立したり、自傷が伝染してしまい適切な支援に結びつかないことが多い。
✏もしも友人から「秘密にして」と頼まれても、その通りにしてはいけない。彼らには専門家の助けが必要である。
✏最も「自傷的」な行動とは、リストカットでも薬物乱用でも摂食障害でも危険な性行動でもありません。それは「悩みや苦痛を抱えたときに、誰にも相談せずに一人で抱え込む」ということなのだ。
✏だからこそ、いかにして子どもたちの援助希求能力を高めるのか、といった議論こそが、自傷・自殺予防教育で重視されるべきなのだ。
✏信頼できる大人の条件
①子どもの問題行動を叱りつけず、冷静に理由を聞こうとする姿勢がある。行動の背景事情に関する情報を収集できる。
②問題を1人で抱え込まず、気軽に相談できる専門家やその他の援助者のネットワークを持っている。 -
Posted by ブクログ
依存症について学びたいと思いこの本を読みました。
読み始めてから、思春期の世代(14歳)に向けた本であることに気づきました。
そのため、その世代に語りかけるような、わかりやすい言葉を選んでいるため読みやすいです。
どんどん量が増えていく、やめようとすると禁断症状が出るといった依存症の怖さや、ドーパミンの仕様についてはすでに知識がありました。
しかし、依存症がどうして起きるかの根っこの部分である「孤独」「悲しみや怒りを抱えながらもどうしようもできない状況」「今の自分を否定する気持ち」といった部分が依存症を引き起こすということはこの本で知りました。
そこに関連した楽園ネズミと植民地ネズミの実験結果も興味深いものでした。結局は人と人との繋がり、自分を否定しないで受け入れてくれる存在、ありのままの自分を認めることができるのが大切なのだと学びました。
過去常識と言われていたことが現在はありえないこととされている、勉強しすぎたり本を読みすぎたりしていても依存症とは呼ばれないのはある意味不思議、国が違えば規制内容も違ってくるという、思い込みを外すような視点も与えてくれて、若者向けの本とは言えども学びが多かったです。 -
Posted by ブクログ
ゲーム依存だなって思って買ったこの本。
自分のゲーム依存に対してもそうだけど、それ以上に自分以外の依存症に対する人への目線が変わった。
依存症になる人って、心が弱い人なのかなってそう思ったけどそうじゃないんだって分かった。そりゃあそうか。
「困った子は困っている子」本書に書かれていた言葉ですごく好きな言葉。
何かに依存しないとやっていけないくらい、現実が苦しい。それは孤立してしまっている現状なんだと。自分のことを誰も分かってくれなくて、誰も理解してくれないことからくる孤独感が、依存へと繋がっているんだと知った。
僕は僕で、ゲームをやり過ぎてしまうことを重く受け止めすぎるのではなく、気軽に向き合っていこうと思うし、大事な人には素直に話していこうと思う。
そして周りで何かに依存していて、それに悩んでいる人には、支えになってあげたい。その依存を否定するのではなく、受け入れてそして、少しずつ前を向けるようになるまで、一緒に歩んでいける人でありたいと思った。 -
購入済み
国立精研の松本俊彦先生が監修!
これはすごい!
保健所の精神保健に関する漫画は、今まで無かったと思います。
保健所の同じような部署にいる身としては、かなりリアルだと思います。
なんと、あの国立精神神経医療研究センターの松本俊彦先生が監修しています。
個人的にも、出てくるキャラの対応方法も、勉強になるな〜と見ております。
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Posted by ブクログ
『誰がために医師はいる』を読んでから読んだ。
主旨は『誰がために』と同じであるが、こちらは中高生向きなので、薬物依存よりゲームやリストカット、カフェイン依存や摂食障害が中心に書かれている。
また文章も構成も中高生にわかりやすいように書かれている。
リアルなエピソードとともに、患者である若者がどのように回復したかもきちんと書いてあるので、読んでいて希望が持てる。
親は子どもが依存症になると、心配のあまりゲーム機やスマホを取り上げたり、嘆き悲しんだり、「二度とリストカットしない」と約束させたりして監視する。しかし、それがいい結果を招くことはない、ということがこれを読むとよくわかる。悩んでいる親にもぜひ読んでほしい。
特にリストカットがやめられなかった女の子が、行動記録をつけることで、自分がどんなタイミングでリストカットしたくなるのかを理解し、感情を吐き出せるようになって変わった、というくだりは感動的。こういうことは親ではできないなと思う。「リストカットしてもいいよ」とは言えないから。やっぱり松本先生のような学識と経験と愛情のあるお医者さんに(親には言えないようなことを聞いてもらいながら)継続的にやったから回復できたのだと思う。
依存症になった人を「切り離し、辱め、排除するのか。それとも心の痛みに寄り添い、回復を支援し、もう一度迎え入れるのか。」(p207)
今私たちに問われているのはそこだと思う。
イラストがとても良かった。(秦直也)
こういうYA向けはマンガ・アニメ風のイラストが多い。つまり中高生が好きな絵柄。
でも、これはモノクロのネズミで依存症患者を描いている。人間でなくてネズミなので、生々しくない。ビールを飲むネズミ、ゲームをするネズミ、カプセルがいっぱい詰まったリュックを背負うネズミ。
これが人間だったらどんなに可愛い絵柄でもいたましい気分になっただろう。
とくにいいなと思ったのが、大きな絆創膏を2つ背中に貼ったネズミ。自傷を表しているのだと思うけど、なんだか可愛い。自傷をする人の繊細さを描いているようにも思える。このイラストレーターに頼んだ編集者のセンスも素晴らしい。 -
Posted by ブクログ
14歳に向けて書かれたものだけど、いろんな年代のたくさんの人に読んでみてほしい本だな、と。
薬物やゲームやリスカ…いろいろなものへの依存症があるけれど、そこに陥るそもそもの原因はなんなのか。それは本当に自己責任なのか。晒し者にしたり、責め立てたりすることで解決するのか。
依存症について考えることで、ひとが人の群れの中で生きるにあたっての、あらまほしき姿とはどんなものなのか?ということも一緒に考えることになる、本当に「やさしい」本だった。
しんどい時に、しんどいって話せる人、私は何人いるだろう。しんどいって打ち明けられるような人に、私はなれているかな