誰がために医師はいる――クスリとヒトの現代論

学術・語学 6位

誰がために医師はいる――クスリとヒトの現代論

2,860円 (税込)

14pt

ある患者は違法薬物を用いて仕事への活力を繋ぎ、ある患者はトラウマ的な記憶から自分を守るために、自らの身体に刃を向けた。またある患者は仕事も家族も失ったのち、街の灯りを、人の営みを眺めながら海へ身を投げた。いったい、彼らを救う正しい方法などあったのだろうか? ときに医師として無力感さえ感じながら、著者は患者たちの訴えに秘められた悲哀と苦悩の歴史のなかに、心の傷への寄り添い方を見つけていく。同時に、身を削がれるような臨床の日々に蓄積した嗜癖障害という病いの正しい知識を、著者は発信しつづけた。「何か」に依存する患者を適切に治療し、社会復帰へと導くためには、メディアや社会も変わるべきだ――人びとを孤立から救い、安心して「誰か」に依存できる社会を作ることこそ、嗜癖障害への最大の治療なのだ。読む者は壮絶な筆致に身を委ねるうちに著者の人生を追体験し、患者を通して見える社会の病理に否応なく気づかされるだろう。嗜癖障害臨床の最前線で怒り、挑み、闘いつづけてきた精神科医の半生記。

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誰がために医師はいる――クスリとヒトの現代論 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    非常に魅力あふれる先生の人柄が感じられた。
    薬物に対する誤った認識(即中毒、即ゾンビ人間)は私も持っていた。そして実はアルコールの方が社会的にも内臓的にも有害ということも知った。
    世の中のアルコール愛飲者の多くは依存症ステージⅠ〜Ⅱの人がほとんどなのではないだろうか。
    アル中のイメージがステージⅤの

    0
    2025年09月04日

    Posted by ブクログ

    松本先生の本はどれを読んでも面白い。医学と患者の狭間で悩み戦い続けている姿を見て、自分も頑張ろうと勇気をもらえるので、定期的に読みたいと思える内容だった。

    「人は裏切るけど、シンナーは裏切らない」これは松本先生の中学の同級生の言葉。このことばを聞いて、自分の頭をガツンと殴られた感覚だった。シンナー

    0
    2025年07月22日

    Posted by ブクログ

     本書で取り上げられているのは”嗜癖障害”(addiction)という、とても重たい問題なのだが、著者が精神科医師として様々な患者たちと向き合ってきた経験を通して感得し学んできたことを率直に発言しているところに心打たれたし、特に薬物のことについては大いに啓発されるものがあった。

     著者の言わんとす

    0
    2025年06月17日

    Posted by ブクログ

    薬物使用者とそうではない人の壁は思っていた以上に薄いものだということを感じました。また、教員をしているので、薬物乱用防止教室の話は納得感がありました。また、リストカットやオーバードーズの生徒が増えているという実感があり、なぜ彼ら彼女たちはそのような行為に走ってしまうのか疑問をもっていました。過去のト

    0
    2025年06月07日

    Posted by ブクログ

    非常に、面白かった。エッセーは苦手だと思っていたが、このエッセー集は本当によかった。アディクションとその背景、彼の見つけた問題の核、見つけるまでの苦い思い出、色々と夢中になって読んだ。

    0
    2025年05月10日

    Posted by ブクログ

    覚悟を持って書かれた文章だと感じた。
    薬物よりアルコールに依存する方が身体へのダメージが大きいのに、なぜお酒は合法なのか。薬物を使ったことを罰するより、使わざるを得ないほど追い込まれているその人を、どうやって支援していくかを考えるべきではないのか。

    今の法律が絶対ではない。場所が変われば正義も変わ

    0
    2025年03月13日

    Posted by ブクログ

    昔、アルコール依存症の患者に対してひどい対応をしてしまった自分をいつまでも悔いています。その反省からアディクションの本を読んだりしながら、この方に辿り着きました。ここに書かれた依存症の方たちはもしかしたら自分だったかもしれない。そんな思いが自分の中にいつも流れています。心が弱いとか、犯罪者だとか、そ

    0
    2025年03月01日

    Posted by ブクログ

    著者の経験を元に書かれているからか内容がとても頭に入ってきやすい。難しい題材にもかかわらず、とても読みやすい本であった。
    依存症の原因、個人の背景にアプローチし、解決を目指す。その方法があたりまえであるとなる社会に遅くとも10年以内にはなってほしい。

    アディクションの反対はしらふではなく、コネクシ

    0
    2024年12月01日

    Posted by ブクログ

    なぜ精神科医の書くエッセイはこんなに面白いのか。
    『刑務所の精神科医』しかり当たりしかない。その考えに共鳴でき知識を学べるだけでなく、読み物として抜群に面白い。

    筆者は薬物依存の専門家。
    まず冒頭のシンナー氾濫の中学時代の述懐から引き込まれる。
    他の精神疾患と違って薬物治療ができない依存症治療の難

    0
    2024年11月17日

    Posted by ブクログ

    依存症、嗜癖障害の正しい知識を啓蒙、発信してきた医師による半生記。
    こんな面白い人だったとは。精神科医ってやはり内科や外科の王道の医師とはなんか違う。はぐれものとでもいうか。
    以下、印象に残ったフレーズなど。
    ・困った人は困っている人。
    ・「ダメ.ゼッタイ。」が依存症者を孤立させ、回復から遠ざけてい

    0
    2024年08月30日

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