松本俊彦のレビュー一覧
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困った子は困っている子
この言葉がすごく印象的だった。
昔教室で悪さばっかりして先生も泣かしてた子、学童終わりにお母さんがその子をおうちに一緒に車で送っても、いつもその子の家は夜になっても誰もいなかったのがすごくこわかったのを思い出した。
あの子は転校して行ったけどそのあとどうなったんだろう、シンナー吸って歯がボロボロだった先輩はどうなったんだろう、あの子は本当は摂食障害だったのかな、色んなことを思い出して考え直した本だった。
依存はいつも私たちの人生にぴったりくっついてはいるんだろうと思う。依存性になるか、嗜好で終わらせられるか、私だって危なかった時がたくさんあった
誰にでも起こりうるからこそ敬遠しない、気を使いすぎない、特別に思わない、でもしんどかったよねいつでも話してねって言ってくれる人がいてくれるだけできっと一線を超えなくて済む
いつも一緒に泣いてくれたり笑ってくれたり、黙ってご飯誘ってくれたり、話聞いてくれた友人たちに本当に感謝だ
頼れることは大きな財産だよなあ
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【目次】
はじめに
第Ⅰ部 自分を傷つける生き方を理解する
1.死ぬためじゃないし、アピールのためでもない
2.「鎮痛薬」としての自傷
3.それで本当に問題は解決していますか?
4.「死への迂回路」としての自傷
5.「嫌なことを忘れたい」——物質乱用・依存と過量服薬
6.「食べるのがこわい」「食べるのがとまらない」——摂食障害
7.自分を傷つける関係性
第Ⅱ部 自分を傷つける生き方から回復する
8.自傷の状況を観察する
9.自傷にいたるパターンと対処法
10.現在の生活を見直す
11.もしも精神科医にかかるなら
12.自分を傷つける生き方から回復するためのヒント -
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ネタバレ自傷当事者としてこの本を読みました。
まさに、この本に書いてあるようないきすぎた自傷により(それはもはや自殺企図の体をなしてしまったわけですが)入院中の身です。
病棟の本棚にあったこの本を、ふと手に取ってよかったといまでは心から思っています。
「失敗をおそれないでください。大切なことはあきらめないことです。大事なことは、ゆっくりとよくなることです。急ぐ必要はないのです」
何度も自傷をやめよう、と思ってはそれでも衝動を抑えきれず、やりきれない気持ちになっていた自分にしみこむような言葉がたくさんありました。
身体的な自傷への具体的な対処法から精神的な部分のケアの方法、果ては精神科医の選び方なんてところまで内容は多岐にわたり、共感したり納得したりしながら読み進めました。
この本が「刺さらない」自傷当事者、または家族をはじめとしたサポーターもいると思います。けれど、この本を必要としている人々がきっとたくさんいることも確かだと思います。読んでよかった。そう思える本でした。 -
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松本先生の本はどれを読んでも面白い。医学と患者の狭間で悩み戦い続けている姿を見て、自分も頑張ろうと勇気をもらえるので、定期的に読みたいと思える内容だった。
「人は裏切るけど、シンナーは裏切らない」これは松本先生の中学の同級生の言葉。このことばを聞いて、自分の頭をガツンと殴られた感覚だった。シンナーだけにかぎったことではなく、他の薬物やアルコール、リストカットなどの事象行為。さまざまなものに当てはまる。
人に依存できないからこそ、何かに依存する。とは理解していたものの、反対に言えば、人は裏切るからだということに思いもよらなかった。
そう考えた時に、自分が今まで安易にかけていた言葉が走馬灯のように思い出された。
何かあれば相談してください。そう言った言葉をかけたっきり何も音沙汰のないことが多い。うまくいって本当に相談事がない人もいるかもしれないが、おそらくはほとんどが、どうせ相談しても解決にならないと思って何も言ってこない、あるいは、相談への敷居が高く声をかけづらい。そんなことがあるような気がした。
そんなことを思い出した一方で、自分の持つ時間も限られているため、安意に意識して改善していこうとも思えない。
そんな自分の力のなさを自覚させられたのだった。
このような感じで、心に突き刺さる言葉がたくさんあり、読み終わった後には気力がかなり消耗したものの、考えるきっかけになった、私にとってとても貴重な内容だった。 -
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本書で取り上げられているのは”嗜癖障害”(addiction)という、とても重たい問題なのだが、著者が精神科医師として様々な患者たちと向き合ってきた経験を通して感得し学んできたことを率直に発言しているところに心打たれたし、特に薬物のことについては大いに啓発されるものがあった。
著者の言わんとすることは「あとがき」にまとめられている。
「この世には、よい薬物も悪い薬物もない、あるのはよい使い方と悪い使い方だけ。そして、悪い使い方をする人は、何か他の困りごとがあるのだ……「困った人」は「困っている人」なのだ、と。だから、国が薬物対策としてすべきことは、法規制を増やして無用に犯罪者を作り出すことではない。薬物という「物」に耽溺せざるを得ない、痛みを抱えた「人」への支援が必要なのだ」
「ダメ。ゼッタイ。」の薬物乱用防止キャンペーンの中で育ってきて、覚せい剤というと幻覚や妄想で人を殺傷したり、フラッシュバックが起こってしまうといった犯罪や悪いものというイメージとしてしか捉えてきていなかったし、すべてを治療という枠組みで対処することが適当なのかという疑問は残りはするものの、依存に陥ってしまう一人ひとりの患者の苦しみを少しは理解することができたような気がする。 -
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タイトルの二人による往復書簡。
松本俊彦さんの依存症に関する専門家としての知見は自分には新鮮で、依存症に対する「本人の意思の弱さ」的なステレオタイプを覆されて目から鱗の連続だった。
・人は皆何かしらに依存している弱い生き物
・依存性薬物使用経験者のうち依存症の診断基準に該当するのは1割程度。人間は飽きっぽい動物。どんな気持ちがいいものでもすぐに飽きてしまう。「一度やったら人生終わり」は大げさ。
・薬物、ゲーム、ギャンブルに執着する人たちは快感からではなく苦痛の緩和からそうしている。快感は飽きるが苦痛の緩和は飽きない。
・「最大の悲劇はひどい目に遭うことではなく、ひとりで苦しむこと」。自助グループの効果は仲間たちとつながれることにある。
・レバーを押すと麻薬が投与される檻にネズミを入れるとネズミはレバーを押し続けるが、これは薬物に依存してそうしているのではない。檻の中で孤独だからそうしている。仲間たちと同じ檻に入れると麻薬には見向きもせずに仲間とじゃれ合ったり交尾したりする。麻薬の摂取経験があってもそう。この実験は、依存症の本質は孤独にあることを示している。
・発達障害やPTSDの人たちは依存症に対して親和性が高いが、そういう人たちはえてしてコミュニケーションに困難を抱えているため人とつながるのが苦手で孤立しやすい。
・「自立とは依存先の分散」
・依存症は人を死に追いやる危険性があるものの、それがあるからこそ「しんどい今」を生きられている面もある。「アディクションは長期的には自殺の危険因子だが、短期的には保護因子として影響する」
・今や薬物依存症外来を訪れる患者の半数は、医薬品という「逮捕されない薬物」「取り締まれない薬物」で困っている人たち
・一般に薬物規制をむやみに強化すると、闇市場が繁盛するとともに、以前よりも危険な薬物が流通するようになる。
・依存症問題を家族だけで解決しようとするのは危険。
・「家族は病気の温床」
・「死にたいくらいつらい現在」を生き延びるのに依存症になるのは最悪ではない。少なくともただちに死ぬよりはマシ。しかし依存症に頼って延命するだけでは長期的には死が近づいてしまう。 -
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薬物使用者とそうではない人の壁は思っていた以上に薄いものだということを感じました。また、教員をしているので、薬物乱用防止教室の話は納得感がありました。また、リストカットやオーバードーズの生徒が増えているという実感があり、なぜ彼ら彼女たちはそのような行為に走ってしまうのか疑問をもっていました。過去のトラウマや、精神的苦痛を身体的苦痛に置き換えているのだと学ぶことができました。専門知識が乏しい我々教員としては、精神科への受診を保護者に勧めることもあります。ただ、精神科医の方々も試行錯誤を重ねて、患者さんと向き合っており、万能な解決策はないのだと思いました。アルコールも含めた薬との良い付き合い方を実践していきたいです。
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依存症の専門医による薬物の依存性と歴史の話。初めて知る話が多く面白かった。
ユーラシア大陸にはアルコールと茶、アフリカ大陸にはコーヒー、アメリカ大陸にはタバコ、人類は薬物とともに生きてきた。
本書の主張は以下の3点に集約される。
・薬物の違法/合法は医学的にではなく、政治的に決定される
アルコールが合法で大麻が違法なのは薬学的ではなく政治的な理由による。
・「よい薬物」も「悪い薬物」もなく、あるのは「よい使い方」と「悪い使い方」だけ
所謂「よい薬」であるはずの処方薬や市販薬も使い方次第でさまざまな健康被害を引き起こす危険性がある。
・「悪い使い方」をする人は何か別に困りごとを抱えている
労働環境や家庭環境や戦争など過酷な状況に置かれている人がそれを耐えるために薬物に頼っているケースが少なくない。
「人類に最も大きな健康被害をもたらしている薬物のビッグスリー」はアルコール、タバコ、カフェイン。ビッグスリーほどの深刻な問題をもたらしていないにも関わらず厳しい規制の対象とされてきたリトルスリーがアヘン(オピオイド類)、大麻、コカ。本書を読むと大麻の規制はめちゃくちゃ政治的な理由で呆れる。大麻よりアルコールの方が有害な薬物なのに(「あらゆる違法な薬物をしのいで、「最悪の薬物」」)合法なのは政治的、社会的理由による。
アルコールにせよ、カフェインにせよ、タバコにせよ、歴史上幾度も施政者が規制しようとして失敗してきたのには理由がある。大勢で集まって酒やコーヒーを飲み、タバコを吸うことは「同士や部族の結束を固く」する。人は社会的動物、互いにつながろうとする。そのよい触媒となる薬物を規制しようとするならば猛烈な反発を招くのは必然で、施政者の失脚にもつながりかねない。また規制したところで人々は別の、場合によってはより危険な薬物で代用しようとするため効果が薄い。
最終章で紹介される幻覚成分シロシビンによるうつ病治療の研究が進んでいるという報告は「よい薬物/悪い薬物」の区別がいかに的外れかを示す。シロシビンには人為的にマインドフルネス状態を作り出し、人間の意識を改変する効能がある。すでにオーストラリアでは治療薬として承認されているという。
自分は酒は月に二三杯、タバコはやめて8年。摂取するとだるくなる、吸える環境が減る一方、金がもったいないなどの理由から、今後の人生でこの二つの薬物と深く付き合うことはもうないと思っている。カフェインだけは別で、寝起きに飲まないと頭が回らない。ルイボスティーに変えて断とうとしてみたがぼーっとしてしまいつらかった。本書を読むと長生き効果や心臓疾患への罹患リスクを減少させるなど養生効果があるみたいなのでやめなくていいのかなと。うまく付き合っていきたい。 -
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【目次】
1.本当に有害な薬物とは?
2.アルコール(1)ストロング系チューハイというモンスタードリンク
3.アルコール(2)人類とアルコールとの戦い
4.アルコール(3)人間はなぜ酒を飲むのか?
5.カフェイン(1)毒にして養生薬、そして媚薬
6.カフェイン(2)人類とカフェインの歴史
7.市販薬 セルフメディケーションは国民の健康を増進したか?
8.処方薬 医療へのアクセス向上が作り出す依存症
9.タバコ(1)二大陸をつないだ異教徒の神器
10.タバコ(2)社会を分断するドープ・スティック
11.「よい薬物」と「悪い薬物」は何が違うのか? -
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リストカット、摂食障害、様々な依存性など、自傷行為といっても多種多様ある。
精神科医の側から、すぐに自傷行為そのものをやめなくていい。その行為に至った背景に目を向けよう。ともすれば止めさせようという家族や支援者もいるかもしれない。
しかし自傷行為そのものには、辛い現実を孤独に耐えようとする当事者なりの対処法なのだ。それを取り上げるべきではない、ただ長期的には悪影響がある。
だからこそゆっくりでいい、何度でも躓いてかまわない。
周囲の人間や色んな技術を会得して、何とかあなたの人生が良くなりますように。
という願いのようなものを感じた。
当事者にも支援者にも何度でも読み返して欲しい作品だと思う。 -
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ネタバレ思えばあの学生時代の勉強会と言い、私はかなり初期から依存症について近い場にいたと自負している。とはいえ、遠ざかってかなり経つというか、この本を読んで驚くことがたくさんあった。そりゃ何十年も経っているんだもの。変わるとこもあるよなぁ。特に『ハームリダクション』について。昔は断酒しかない、と学んだけど、量を減らして生き延びるという方法があるとは。そして依存症になるには育った家庭環境だったり、発達障害による生き辛さがあったり、自殺せずに済むために何かに依存して何とか生き延びているということ。やっぱこういう系の本も読んでいたいものだ。
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依存症の項目がいくつかあったんですが、まあ数としてはやや足りませんが、依存症の本質という点においてば充分に読む価値があります。
私はリスカ組じゃなくて買い物依存なんですが、こうして読んでみるとリスカ組に近いメンタリティですね。
誰にも依存することが出来ずに生き残るために1人で戦ってきた人間、それが依存症患者の正体です。
ことに、自傷癖については自傷ノートをつけろという、なかなか有効そうなアイデアが書かれていて、実際効果はあったようです。
それは病院に行ければラッキーでしょうが、この種の苦しみの根本は、金を払えば治る,などという簡単なものではないです。
本質を知ることで、「あなたはこの世にあなたしかいない」という事実を受け止めて欲しいです。