松本俊彦のレビュー一覧
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依存症というものは私にとって遠い存在で、当事者の人々がどんなことを考えたり思ったりしているのかの一端を知ることができて良かった。
「はじめに」で松本俊彦さんが「個人的には、人が健康に生きるためにはある程度の不健康が必要なのだ、と声高に叫びたいくらいです。」と書いているのが印象に残った。健康な方が絶対いいじゃん、として一蹴するには重たい気がして。また、人が薬物依存になるのは、快感ではなく苦痛の緩和の効果によるのでは、というのがとても腑に落ちた。それを踏まえて考えると、依存症の人を頭ごなしに叱りつけることなんかできないよなと思った。
「私がオークションの入札に夢中になっているあいだ、私は確実に -
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こちら、タイトルを見て「うん。やめられないよね」と思って気になって読んだ本です。酒もたばこも。
依存症に関しての一冊だったのですが、これが本当に興味深くて興味深くて。「はじめに」で松本俊彦先生が「あまりにも大胆な、横道さんの「心のパンツ」の脱ぎっぷりでした」と書かれていて、どういうこと?と読み進めて言ったら、もんのすげぇ大胆な「心のパンツ」の脱ぎっぷりでした。それほど横道誠さんは色々開示してくださっていて、そこから展開されていく依存症の話がとても面白かったのです。
また、二人共文章の雰囲気が違うのがとてもよくて、テンポよく読めました。
この二人の往復書簡「ヘイ!マコト」「ヘイ!トシ」から始 -
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ネタバレ依存症に関する往復書簡。往復書簡というものに慣れてなくてどうも上滑りして読むのに苦労したのだけど(著者ではなく読み手の自分のせい)、とても面白かった。
依存症について、知っているようで全然知らなかったんだなということが多かった。例えば、違法薬物を使用したとして依存症になる人はその中の1割だとか、セックス依存症や買い物依存症は病気として正式な認定がされていないとか。とくに前者は、「薬やめますか?人間やめますか?」で薬物の恐ろしさを散々テレビ番組等で刷り込まれた人間としては驚き。酒だって飲んでる人全員がアルコール依存症になるわけじゃないでしょ、と言われてもやはり薬物は違うのでは?とこの本を読んだ -
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精神科医・松本俊彦氏と文学研究者・横道誠氏の往復書簡形式による、依存症について語った本。
(特別対談として、田中紀子さんが巻末で対話形式参加しています)
御二方が「当事者目線」で語る内容は赤裸々で、編集さんたちから「大丈夫かな?」と心配されるほどだった様子……
往復書簡の形式をとったことで、
よくある対談形式とは違って、話が流れたり横道にそれて本筋がわかりにくくなる(あるあるですよね?)ことが抑えられていて読みやすく感じました。
本書が訴えていることを私なりに解釈すると、
・依存事態が悪いというよりも、依存の背景を知ることが大事(自己治療的な依存が大半)
・誰もが、なにかに依存していて、 -
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精神科医の松本先生の優しい視線と治療に向かう姿勢。先生自身のコレまでの経験から固まってきた医師としての心意気に胸打たれました。
困った人は、困っている人。
薬を出し話を聞くだけの治療ではなく、その人の人生に寄り添う治療の大切さ。
精神科医が処方する薬によって依存症患者が増える、、という事実にもきちんと向き合い、ご自分の仕事でも薬を減らすようにしている経緯。詳しく、読者にも納得できる書き方でした。
私も子供にたくさん薬をお願いする時がある。精神科ではないけれど、気をつけなくてはと思った。
日本での依存症患者さんへの偏見はひどすぎるな。
知らん奴がガタガタ言うて、心に傷を負って薬物に頼るしかなかっ -
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物質依存(薬物、カフェイン、アルコール、ニコチンなど)
行為依存(ゲーム、ネット、買い物、性行為、自傷など)
「やめたいのに、やめられない」
依存症の正体とは?
14歳の世渡り術シリーズとして、中学生に語りかけるように身近っぽい事例を挙げて平たくやさしく、それでいて、しっかりと依存症のしくみと歴史なども説明してくれています。
『否定される関係、支配される関係、本当のことをいえない関係。3つに共通しているのは「自分を傷つける関係」だということです。依存症になる人の多くは、日々こうした関係の中に身を置き、自分を大切に思う気持ち、人を信じる気持ちを失っています。彼らが人に頼れないまま、一人でも -
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タイトルだけ読んで、毒物の雑学本かなあと思って手に取り読んだら違った。後になってサブタイトルに気づいて、なるほどと納得した。
薬物に良い悪いはなく、あるのは良い使い方悪い使い方だという論が展開している。著者が喫煙者と言うこともありタバコに関してやや擁護的なのが、なんか人間ってしょうがねえなあなどと感じた。幼少期に喫煙者の父のタバコ臭とだらしない汚しように嫌な経験をしているから、タバコ擁護者には良い感情がないからこの項目には賛同出来なかったが、他の項目はかなり興味深く面白かった。
著者は精神科医なため、薬物そのものの歴史については正確だと思うが、歴史的社会背景については推測の語が多いように