【感想・ネタバレ】オーバードーズする子どもたち なぜ、「助けて」が言えないのか?のレビュー

あらすじ

薬物依存症の臨床現場では、10代患者が急増しています。その多くは覚醒剤や大麻ではなく、「市販薬」です。子どもたちはつらい感情を和らげようと市販薬をオーバードーズし、いつしかそれを手放せなくなっています。
わが国の薬物対策は長らく「ダメ。ゼッタイ。」のスローガン一辺倒で、使用者をさらし者にし、排除してきました。その背後にある「生きづらさや困りごと」には目を背け、気づかないふりを決め込んできたわけです。いま私たちは、そのツケを突きつけられています。(「はじめに」より)

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Posted by ブクログ

そんな彼女が、身近にいる。
ODの後、周りは彼女が腫れ物になったかのように接する。
にもかかわらず、彼女自身は何事もなかったかのように、むしろOD前よりもけろりと明るく「良い子」になる。
彼女の周りの多くの人が、そこに戸惑っていた。
「なかったこと」にはとても出来ない。でも今彼女は「落ち着いている」ようにみえる。どこに「ふとしたはずみ」が転がっているのかわからない。
彼女を大切に思う周りの人たちは、芯から安らぐという心の状態から果てしなく遠ざかってしまう。
この本を読んで、彼女のOD後の心情に、ほんの少しだけかもしれないが近づけたように思う。

今までのODやリスカの本とは明らかに異なる。
今までのどの説よりも、しっくりとくる。
徹頭徹尾、目の前の子どもに寄り添い、そこから組み立てられた言葉が並んでいると感じる。

大人、必読。

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2025年10月31日

Posted by ブクログ

『オーバードーズ』『リストカット』…辛い気持ちを抑制する為にこういった行動に走る子どもへの寄り添い方が書かれている本です。昔のように『ダメ、ゼッタイ。』といういわゆる人に寄り添わない態度ではなく、『してもいいから相談もしてみよう』というソフトな対応をしていこうという著者の考えに感銘を受けました。市販薬の濫用やリストカット…突然見たら思わずギョッとしてしまうような行為ですが、それが短期的といえどその人の命を守っている保護因子であるということにも驚きです。
辛く苦しい事ではありますが、そういった人々を支えるには長期的に考えて計画を立てていかなければならないという現実をしっかりと書いた本となっています。
コロナ禍を機にどんどん増加している自殺者数に対して、我々大人が子どもたちへ(もちろん大人も)、どう対応していくべきか、それを考えるキッカケをくれる著書でした。

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2025年12月04日

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