あらすじ
薬物依存症の臨床現場では、10代患者が急増しています。その多くは覚醒剤や大麻ではなく、「市販薬」です。子どもたちはつらい感情を和らげようと市販薬をオーバードーズし、いつしかそれを手放せなくなっています。
わが国の薬物対策は長らく「ダメ。ゼッタイ。」のスローガン一辺倒で、使用者をさらし者にし、排除してきました。その背後にある「生きづらさや困りごと」には目を背け、気づかないふりを決め込んできたわけです。いま私たちは、そのツケを突きつけられています。(「はじめに」より)
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Posted by ブクログ
そんな彼女が、身近にいる。
ODの後、周りは彼女が腫れ物になったかのように接する。
にもかかわらず、彼女自身は何事もなかったかのように、むしろOD前よりもけろりと明るく「良い子」になる。
彼女の周りの多くの人が、そこに戸惑っていた。
「なかったこと」にはとても出来ない。でも今彼女は「落ち着いている」ようにみえる。どこに「ふとしたはずみ」が転がっているのかわからない。
彼女を大切に思う周りの人たちは、芯から安らぐという心の状態から果てしなく遠ざかってしまう。
この本を読んで、彼女のOD後の心情に、ほんの少しだけかもしれないが近づけたように思う。
今までのODやリスカの本とは明らかに異なる。
今までのどの説よりも、しっくりとくる。
徹頭徹尾、目の前の子どもに寄り添い、そこから組み立てられた言葉が並んでいると感じる。
大人、必読。