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酒,お茶にコーヒー,煙草,処方薬や市販薬……私たちはアルコールをはじめ,様々な「薬物」とともに生きている.なぜ人は薬物を求めるのか.乱用に至る人々の背後にある苦しみや生きづらさとは.精神科医で依存症研究の第一人者が,身近にある薬物の歴史や私たちの暮らしとの関わりを語る.好評ウェブ連載,待望の書籍化!
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Posted by ブクログ
依存症の専門医による薬物の依存性と歴史の話。初めて知る話が多く面白かった。 ユーラシア大陸にはアルコールと茶、アフリカ大陸にはコーヒー、アメリカ大陸にはタバコ、人類は薬物とともに生きてきた。 本書の主張は以下の3点に集約される。 ・薬物の違法/合法は医学的にではなく、政治的に決定される アルコー...続きを読むルが合法で大麻が違法なのは薬学的ではなく政治的な理由による。 ・「よい薬物」も「悪い薬物」もなく、あるのは「よい使い方」と「悪い使い方」だけ 所謂「よい薬」であるはずの処方薬や市販薬も使い方次第でさまざまな健康被害を引き起こす危険性がある。 ・「悪い使い方」をする人は何か別に困りごとを抱えている 労働環境や家庭環境や戦争など過酷な状況に置かれている人がそれを耐えるために薬物に頼っているケースが少なくない。 「人類に最も大きな健康被害をもたらしている薬物のビッグスリー」はアルコール、タバコ、カフェイン。ビッグスリーほどの深刻な問題をもたらしていないにも関わらず厳しい規制の対象とされてきたリトルスリーがアヘン(オピオイド類)、大麻、コカ。本書を読むと大麻の規制はめちゃくちゃ政治的な理由で呆れる。大麻よりアルコールの方が有害な薬物なのに(「あらゆる違法な薬物をしのいで、「最悪の薬物」」)合法なのは政治的、社会的理由による。 アルコールにせよ、カフェインにせよ、タバコにせよ、歴史上幾度も施政者が規制しようとして失敗してきたのには理由がある。大勢で集まって酒やコーヒーを飲み、タバコを吸うことは「同士や部族の結束を固く」する。人は社会的動物、互いにつながろうとする。そのよい触媒となる薬物を規制しようとするならば猛烈な反発を招くのは必然で、施政者の失脚にもつながりかねない。また規制したところで人々は別の、場合によってはより危険な薬物で代用しようとするため効果が薄い。 最終章で紹介される幻覚成分シロシビンによるうつ病治療の研究が進んでいるという報告は「よい薬物/悪い薬物」の区別がいかに的外れかを示す。シロシビンには人為的にマインドフルネス状態を作り出し、人間の意識を改変する効能がある。すでにオーストラリアでは治療薬として承認されているという。 自分は酒は月に二三杯、タバコはやめて8年。摂取するとだるくなる、吸える環境が減る一方、金がもったいないなどの理由から、今後の人生でこの二つの薬物と深く付き合うことはもうないと思っている。カフェインだけは別で、寝起きに飲まないと頭が回らない。ルイボスティーに変えて断とうとしてみたがぼーっとしてしまいつらかった。本書を読むと長生き効果や心臓疾患への罹患リスクを減少させるなど養生効果があるみたいなのでやめなくていいのかなと。うまく付き合っていきたい。
【目次】 1.本当に有害な薬物とは? 2.アルコール(1)ストロング系チューハイというモンスタードリンク 3.アルコール(2)人類とアルコールとの戦い 4.アルコール(3)人間はなぜ酒を飲むのか? 5.カフェイン(1)毒にして養生薬、そして媚薬 6.カフェイン(2)人類とカフェインの歴史...続きを読む 7.市販薬 セルフメディケーションは国民の健康を増進したか? 8.処方薬 医療へのアクセス向上が作り出す依存症 9.タバコ(1)二大陸をつないだ異教徒の神器 10.タバコ(2)社会を分断するドープ・スティック 11.「よい薬物」と「悪い薬物」は何が違うのか?
喫煙者の精神科医の語るアディクション論として、喫煙者側としてはありがたくも面映ゆい主張などもあるが、文字通り身近な薬物を取り上げてそれらの個別的な特性などを学べることに実生活上のメリットもあろうし、人と依存との関係性やそれを取りしまる行政の振る舞いを歴史上の出来事の中で見比べたうえで、今後の我々の薬...続きを読む物との付き合い方というものについても考えさせられることも多い。
読みやすい薬物と人間の社会史、みたいな本です。 この読みやすさで、薬物と人間の関係がその有害性でなく社会が規定しているという大きな話がまとまっていることに価値を感じました。
精神科医の著者による、ビッグスリー(アルコール、カフェイン、タバコ)を中心とした身近な薬物を臨床的立場から考察している一冊。 薬物依存が広がる仕組みの解説から始まり、ストロング系チューハイの凄まじさを皮切りにアルコールについて、歴史は浅くとも浸透したカフェインについて、ODなどの社会的課題を抱える市...続きを読む販薬について、撲滅されつつあるタバコについて、良い薬物と悪い薬物について…が語られています。 それぞれの章が独立して光る内容ですが、当事者として語られているタバコについては更に重みが加わります。 読者が読み進めるとともになんとなく思い描いていた答え、薬物に良し悪しはなく使われ方次第であるという結論に導かれます。 薬物の合法か違法かは、医学的にではなく政治的に決定されるのです。
アルコール、カフェイン、タバコ、市販薬や処方薬、そしてアヘン、コカイン、大麻など依存性の薬物と人間との歴史を紐解き、それぞれの特性を論じていきます。市販薬や処方薬への依存乱用やアヘン、コカイン、大麻はほとんど日常的でないし、カフェインは依存性薬物としてはそれほど強いものではないので、焦点は自ずとアル...続きを読むコールとタバコになります。著者は愛煙家のようで、たばこ規制にはやや抵抗を見せてますが、少数派は虐げられる運命というのが結論のようです。
タイトルだけ読んで、毒物の雑学本かなあと思って手に取り読んだら違った。後になってサブタイトルに気づいて、なるほどと納得した。 薬物に良い悪いはなく、あるのは良い使い方悪い使い方だという論が展開している。著者が喫煙者と言うこともありタバコに関してやや擁護的なのが、なんか人間ってしょうがねえなあなど...続きを読むと感じた。幼少期に喫煙者の父のタバコ臭とだらしない汚しように嫌な経験をしているから、タバコ擁護者には良い感情がないからこの項目には賛同出来なかったが、他の項目はかなり興味深く面白かった。 著者は精神科医なため、薬物そのものの歴史については正確だと思うが、歴史的社会背景については推測の語が多いように感じられた。
人は追い詰められて限界の域に達しようとする前に、タバコ、カフェイン、酒、くすり等に頼ることになる傾向が強い、 本著では、身近な薬物とは何かを問い、結論として日常の食品から薬からでも薬物はあるということを示し教えてくれている。同時に、追い詰められている人たちに対して社会が積極的に関わる必要性を主張して...続きを読むいる。 さて、本著では違法な薬物はもちろんNGとしつつ、生活の中での薬物という存在に焦点を当てている。子どもから大人まで口に入れるもので本著の言う薬物にお世話になっていない人はいないだろう。カフェインは色々な飲み物にも入っているし、本著では例に挙げられない程の膨大な数の薬物は存在しており、それらを全て排除するのは不可能で、本著もそれを良しとしいない。 本著では、日常での依存という薬物と、それらを選択する私やあなたへの心身状態が助けが必要なのではないかという問いも含まれている。本著において、個人を救済するよりも社会としてどう救済するかを主張しており、それ程、社会に心身状態が不調になっている構造を露にしている。 全世代に共通する病に向けて警鐘と助けと介入を必要とする内容の書であると言えよう。
2025/11/01 2025年15冊目。軽い文体で読みやすかった。身近にある依存性のある薬物(タバコ・カフェイン・酒・くすり)についての書籍で、個人的にはカフェイン・くすりのみだが、なるほどなと思った。(著者がベビースモーカーということもあり、タバコについての記述はバイアスかかっていると思った)
様々な薬物について歴史を振り返りながら書かれていた。違法薬物が何故違法なのかについての部分はなるほどなと思った。
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身近な薬物のはなし タバコ・カフェイン・酒・くすり
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松本俊彦
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