松本俊彦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
依存症専門医が、自らの医師人生を振り返りつつ、人間の考察を深めた大変興味深い本。素晴らしい読書体験だった。
小田原の少年時代。不良たちと体罰教師、暴力による支配、暴力の後ろ盾を失ってヤンキーにこびる教師たち。喫煙とシンナーとの遭遇。こうした実体験から、「ダメ。ゼッタイ」を訴える薬物防止教育の無意味さを説得力をもって描き出していく。
自傷行為とは、「痛みをもって痛みを制する」行為なのだという(p56)。本当のどうしようもできない痛み、トラウマから、気を逸らす。アディクションの本質がここにある。そう、生きるために、不健康さや痛みを必要とする人がいるのだ。痛いほど分かる真理だ。
著者自身が、