壁井ユカコのレビュー一覧
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主人公のキーリは、教会の寄宿学校に通う14歳の少女です。霊感が強く、他の人には見えないものが見える彼女は、クラスメイトたちから避けられており、唯一の友人は幽霊のベッカだけでした。
ある日、彼女はイースタベリの駅前で、「不死人」の青年ハーヴェイと、ラジオの憑依霊「兵長」と出会います。不死人とは、兵士の死体に、超高純度のエネルギーの結晶である「核」を、心臓の代わりに埋め込まれた者たちのこと。80年前の戦争で、死なない兵士として作り出され、現在は「核」を狙う教会に追われる身となっています。
ハーヴェイは、炭化銃を装備した教会兵たちの目をかいくぐって、兵長を戦争で亡くなった兵士たちの眠る墓場に送る -
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遺伝子操作によって、親の思い通りの子どもを作れるようになった日本。
けれども、そんな才能を持って生まれてきても、環境が伴わなければ、思った通りには育たない。
遺伝子操作を受けずに生まれてきた才能のない清田と、恵まれた可能性をもって生まれてきた春野、容姿のみを求められて生まれてきた冬上。3人は互いの魅力に惹かれ、行動を共にするようになる。
そんなお話でした。
久しぶりに壁井ユカコさんの小説を読みました。
昔はこの人の作品ばかり読んでいたのに。
本当に、この人は、ダメな魅力をもつ男の人を書くのが上手い(笑)。清田や、冬上ばかりではなくて、読者である私も惹かれていくのです。これまで読んだ中でも、 -
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舞台は1970年代に遺伝子産業革命が起こり、異常なまでのスピードで遺伝子工学が発展した現代日本。
ノリとしては三嶋と少女マドカの心の交流を描いた作品だが決してそれだけを主軸にしているわけではなく、むしろこの物語の主軸は遺伝子操作そのものではないかと感じた。
爬虫類マニアによって先天的にトカゲの鱗を持つことになった哲郎、親によって金髪碧眼に生み出された挙句気に入らないと捨てられたススキ、永遠の美しさを保つために遺伝子改造を行い続ける三嶋の母親。この他にも大勢の遺伝子改造に囚われた者達が登場する。彼らはただ日常の風景としてそこに存在している。私には三嶋とマドカの物語もその日常の一片に見えたの -
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高校3年生の佐倉有海(さくら・うみ)の携帯の留守番電話に、「はるかわまひろ」という男の子からのメッセージが届けられます。男の子は、サンタクロースに当てて、「おかあさん」をうちに届けてほしいという願い事を送っていました。不審に思った従兄の佐倉航佑(さくら・こうすけ)は、メッセージの発信先をたどろうとしますが、男の子のの電話番号は現在使われていないとのこと。
そんなある日、有海は航佑と同級生で、留年したため2度目の高校3年生となっている春川真洋(はるかわ・まひろ)と出会います。過去にトラウマを抱えた有海と春川は、お互いの欠落部分に惹かれるようになります。
やがて有海は、携帯電話メッセージを送っ -
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この巻で鳥籠荘シリーズは完結です。
ですが、これは後日談とスピンオフのまとめという。
山田家の話、ジョナサンの話、さらに山田家の話、キズナ帰還、そしてスピンオフ、という構成です。
第1話の山田家の話、第2話のジョナサンの話は短編として掲載、更にその後の山田家の話とキズナの帰還はエピローグなのでショートショートです。
そこにスピンオフが半分くらい(あとがき曰く)になってます。
第1話は華乃子と祥太が初めてふたりきりで過ごす話
第2話はジョナサンの病院での日々
エピローグ1は華乃子と祥太の卒業式の朝
エピローグ2はキズナがオーナーとしてロンドンから帰還した話
スピンオフはキャラだけ使った、原作とは -
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ネタバレ鳥籠荘第5巻です。
メインストーリーについてはこの巻で完結のようです。
第1話は夢オチ、第2話は山田パパの中身のお話、第3話は由起と有生の話、第4話は双子の老人をきっかけとしたキズナと有生の話、第5話は鳥籠荘の人々がいなくなって、主人公三人の話が大体解決して、みんな居なくなった話。
1話は華乃子視点だけど、オチでキズナも見ていたってのが面白かった。すべてが逆転したような夢の世界。
2話は、山田パパの不思議な生体が中心ですね。
3,4,5話は前巻からつながっている主人公3人のお話ですね。
3話で一応の由起とキズナは仲直り、4話で有生とキズナは亀裂が入り、5話で大団円?というところでしょうか。
大 -
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ネタバレ第4巻後半1冊目ですね。
山田家と加地家の話と、有生&由起の妹達の話、へれんのフィアンセの話、鳥籠荘の将来の話の4本に挿話として皆子の話が入っています。
1話目は山田パパがお見合いをするという話で、華乃子がむくれているところで、加持君のママと一緒になっていろいろ解決しちゃいます。
お見合い自体は山田パパの風貌が風貌なので…お察し。
紹介してくれた人は見えていないというオチ。
2話目は有生&由起の妹たち「ひより」と「こかげ」に有生、由起、キズナが振り回されるお話。
ここで有生と由起が大喧嘩して、それが4話まで引きずられて、更にそのままという…。
ひよりとこかげは、由起と有生と似たり寄ったり。
ど -
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ネタバレ今回は番外編1本、有生&由起がらみ2本(実質3本)という構成。
一応1本目の主役は3話に絡んでくるんですけどね。
主役の3人がほとんど関わらない、お伽話を実現しようとする女の子とそれに巻き込まれる女の子の第1話、有生&由起の過去話の2話(2エピソード構成)、有生と由起のキズナがらみの話の3話の構成です。
2話だと有生が由起を女の子と勘違いして、由起は有生を男だと思っている状況かと思ったら3話で由起は有生をお嫁さんにとか言っていたので、お互いに勘違いしていたのかなと。
1話目は軽いサイコホラー、2話目は普通の過去話と若干重たいサイコホラー、3話はラブロマンスというところでしょうか。
一応ことごと -
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ネタバレ衛藤キズナという少女が中心になって、鳥籠荘と呼ばれるアパートでの日常風景というところでしょうか。
一応はラブロマンス的な話なんでしょうかね。
衛藤キズナと浅井有生との。
基本的にまともな人物は出てきません。
レギュラーである主人公衛藤キズナは元不良少女のヌードモデル、浅井有生は偏屈の画家、井上由起は女装家だったりするし、1話のジョナサンは脳障害、2話のサチはキズナの仲間だった不良少女、3話の山田華乃子はうそつき少女に、そのパパは年中着ぐるみ、4話のミナコは空間恐怖症と、登場人物のことごとくがクセモノばかりです。
基本的にしんみりした話ばかりですね。
ハッピーエンドは無いですが、いいお話ばかりで -
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終わりに向かってなのだけど、静かな光に包まれた1冊だった。主人公(主にハーヴェイ)に厳しい本作だったけど、予想より穏やかなラスト、総決算。もっと鬱エンドもあり得ると思っていた。キーリは聖母に変身。しかし、こうなるしかないと分かってはいても、特にベアトリクスは大好きだったから、悲しい。兵長も。
ハーヴェイは、最後の最後まで誰かの為にボロボロになって、許して、感謝して…。昔はキーリと一緒に彼に恋するのみだったけど、今読むとこの人ほんと凄いなという畏敬。あと壁井先生のタイプなんだなあ…としみじみ思う。
優しくて切ない、諦めも含んだ、しかし十分に希望のある結末だった。2人の「その先」が幸せであるように -
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最初は本当にいかにも青春小説で、この三角関係はどうなるのだ?と無邪気に読んでいたのですが・・・・
途中からなんか雰囲気が変わりまして・・・
予想のだいぶ斜め上方向のホラー風味だった(笑)
でも面白かったです。
とにかく雰囲気が良くて、3人のヒリヒリするような感情や、それぞれの想いなど、青春小説として良かった!!屈折した男子高校生ってのが私には新鮮で良かったですね~。
ホラー風味は・・・・
まぁそこまで怖くはなくて、むしろSF風として私は読みましたが。とりあえず、これ夏のお話ですが冬の間に読んで良かった!と思います。これを夏に読んだら○○が怖くて外出できない!!って意味では十分ホラーですね -