壁井ユカコのレビュー一覧
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現代日本に似ているようで、全く違った世界観。
遺伝子工学による操作が当たり前のように行われる中で、価値観も異なる子供達の物語。
冒頭のところで、主人公の倫太郎少年の衝撃的な展開から始まる。
春野といえば、壁井さんのNO CALL NO LIFEに出てくる春川を思い出す。
なんとなくふわふわしていて、つかみ所のない感じといい。。。にている。
春っていうのが好きなのかな。。。
これはSFなのかな。。青春小説なのかな。。。特殊な設定なので、SFだけど、描かれているのは青春の葛藤みたいなところですが、親とか友達とか、ありがちな成長期の悩みに加えて、遺伝子による悩みというか、重大な問題がところどころ暗い -
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Posted by ブクログ
ネタバレ表紙のキーリ、上下少し斜めの角度から見ると泣きそうな顔するんですよ。
前作の終わりにハーヴェイと別れ、今作はそこから1年半後。
大人しくハーヴェイを待つキーリではなく、今度はベアトリクスと共にハーヴェイの行方を追って旅をします。
キーリは、ハーヴェイに保護されていた頃よりも外見も性格も少しずつ大人びてきて、クールでドライだけどお人好しなところはハーヴェイにそっくりです。
ハーヴェイのしぐさや癖をあれこれ覚えているところにもぐっときます。
1年半というブランクも大きいもので、少しぎこちない関係になっていく二人の心情の表現にとても共感できます。特にキーリ。離れているうちに思いが募 -
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ネタバレ今回は旅ではなく、街に住む話。
旅をしていようが同居して住んでいようが二人(と一体)のテンションには一見違いはないですが、「普通の暮らし」をすることで、二人の間にある考えの違いが明確になってきます。考えの違いというよりは、理想と現実の溝を思い知らされて二人ともどうしたらいいか分からない、という感じかも。
一つ所に留まって、親のように優しい人に出会い、アルバイトもして、心のどこかで「ずっとこのままでいたい」と思っているキーリ。
そんなキーリを「普通の女の子」だと言って、なんとか「普通の暮らし」に帰してやりたいと思う反面、彼女への執着が抜けないハーヴェイ。
お互いにその素直な気持ちを言 -
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Posted by ブクログ
貴方はデザイナーズ・ベイビーという言葉をご存知だろうか?
胎児の遺伝子を操作する事であらゆる病気の発生を予め防ぎ
同時に容姿・能力を自分の思いのままにする事ができる
いわゆる人間のカスタマイズ化の事である
そしてもしそれがビジネス化し身近なものになったとしたら
貴方は子供に施したいと思うのだろうか?
親のエゴで人工的に生み出された完璧な子供(トランスジェニック・チャイルド)
何もなされなかったが故に貶められた遺伝子貧乏(ジーンプア)
理想追求のため人体改造を繰り返したが故に堕ちた遺伝子中毒者(トランスジャンキー)
遺伝子工学が発展した社会が生み出した者達は果たしてどのような物語を紡ぐのだ