壁井ユカコのレビュー一覧
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至高の美少年ながら母に遺棄された過去を持ち、“犯罪者の遺伝子”に傾倒する春野。父が愛好するアニメキャラクターの実体化として作られた少女レイ。遺伝子操作を拒絶する両親を持つ“遺伝子貧乏”清田ーー16歳の夏に出会った3人は、反発しあい傷つけあいながらもかけがえのない友情を築いていく。
遺伝子工学が発展し、子どもの容姿の“デザイン”が可能になった仮想現代を舞台に、社会によって歪められた少年少女の屈折や友情を描く、著者渾身の青春ストーリー。
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電撃文庫の『カスタム・チャイルド』の続編っちゃー続編。でも舞台が一緒なだけで登場人物は全然違います(前作のキャラも出て来ますが)。
前作の -
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Posted by ブクログ
ネタバレ列車の旅から船旅へ。
ハーヴェイの保護者っぷりにニヤニヤ。
前作はハーヴェイの辿って来た過去がメインでしたが、今作ではキーリの過去についても少しずつ触れられています(幽霊だけでなく不死人まで引き付ける体質なのか)
「トリ・ペリ」と「砂の上の白い航跡」が個人的に好きな話です。
「トリ・ペリ」は、続きを意識してキーリ自身にもスポットを当てている中でも、ハーヴェイの過去を振り返っていく前作の雰囲気に近いせいか、ハーヴェイがいろいろと痛々しい中でほっとできるインターバル的な話。
「砂の上の白い航跡」は、キーリの母親のエピソードが涙なしには読めませんでした。トリ・ペリと同じく、愛しい人にま -
Posted by ブクログ
ネタバレこの本のレビューを見ていると「中学のときに出会った」という方が多いですが、わたしも中学のときに出会って衝撃を受けた一人です。
主役3人が、旅を通して「生きる」(既に死んでいる人もいるけど、敢えて「生きる」)意味・目的を発見・再発見していくさまが、中学生くらいの心に響くのかな、とも思ったり。
退廃的な「惑星」を舞台に、「生きている」少女・キーリと、「死なない」青年・ハーヴェイ、「死んでいる」ラジオの憑依霊・兵長が旅をする話。
化石燃料のスモッグと黄砂で灰色と黄色に染まった空気が見えてきそうなくらいの風景描写と、ちょっと捻くれた性格の三人称がとても好きです。風景描写と心理描写が一体となっ -
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Posted by ブクログ
もう、なんか電車で涙が出そうになったほどに、痛々しかった。
そして最後に救いがないです。
あぁ、ほんとにこんなに痛々しい青春ものは初めて読みました。
心に響く言葉が沢山あって、それは人間の歪んだ部分であったり、いつも目を逸らしている自分であったりが頭によぎるから。
それは物語の中の、春野がどうだからというわけではなくて自分とどこか重ねて見てしまうから本気で電車で泣きそうになりました。
遺伝子工学が進んでいる現代で、カスタムチャイルドのような世界が出来上がる可能性はゼロじゃない。
そんな妙なリアリティが読者を物語の中に引き込みます。
最初は、トランスジェニックを肯定するこの世界を否