【感想・ネタバレ】サマーサイダーのレビュー

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年10月30日

倉田ミズ、三浦誉、恵悠の幼馴染3人組の、眩しくて痛くて切ない夏の記憶。通り過ぎてゆく思春期、蝉の生涯、夏、どれもが一瞬で弾けてしまうその様をサイダーに例えているのかもしれない、と思った。それでも最後まで恋心はなくならなくて、ぶどうの匂いの話、ミズはちゃんと覚えていて。三浦誉君が大好きになってしまいま...続きを読むした。ナイフみたいに尖っていて、周りにぶつかるたび自分も傷ついていく。闇の中で彼がミズと触れ合うシーンは本当に官能的で美しくて、忘れられないシーンの1つ。蝉がまた鳴き始める頃になったら、きっと読み返すんだと思う。懸命に青春を生きた彼らの夏を、忘れないでいたい。

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Posted by ブクログ 2015年04月05日

過疎化によって統廃合した日暮市立ひぐら西中学校最後の卒業生の
三浦誉(みうら・ほまれ)、恵悠(めぐみ・ゆう)、そして紅一点の倉田ミズ。
幼なじみの三人は校内の備品を発展途上国の学校に寄付しようという女性教師、松沢千比呂(まつざわ・ちひろ)の呼びかけにより、
高校一年生の夏休みに再び母校に集まることに...続きを読む
やがて三人を一年前の夏に封印したハズの罪の記憶が呼び覚ます…。

いやはや、コレはぶったまげたなぁ~っ!
最初はただの三角関係の恋愛ストーリーと思いきや、
いくつもの謎を孕んだまま
次第にサスペンス的展開へと流れ込み、
ついにはホラー映画真っ青のトラウマ描写の連続に撃沈!

しかしそこで終わらず最後には切なく胸を打つ、
秀逸な青春小説として物語を締めてくれるこのチカラ技(笑)

ファミレスと思って気軽に入ったら、
豪華なフルコース料理が出てきたみたいな
意外性と言えば分かってもらえるかな(笑)。

小学校二年生の夏休み、
探検隊を組織して変死体を探しに行く子供たち。
三浦と倉田の甘い秘密。
ぶどうの飴の香りのする異性の匂い。
蝉にとりつかれた先生。
二人を繋ぐ甘美な「罪」という名の共有。
そして我が子のためなら他者を踏みにじることを躊躇しない母という存在の怖さ。

壁井さんの作品を読んだのは今回が初めてだったけど、
いやもう、ツボを突かれすぎてしまって、もはや冷静ではいられないくらい(笑)
個人的にはこの世界観大好きです。

登場人物は、
猫背でうつむきがちの文化系男子で、いつも何かにイラついている
高校一年生の三浦誉(みうら・ほまれ)。
スポーツ推薦で私立高校に進んだ
180センチを越える体格の一年生男子、恵悠(めぐみ・ゆう)。
小悪魔的魅力を発揮し、ダメ男になぜか惹かれてしまう高校一年生の少女、倉田ミズ。
20代後半の小柄で可愛いく、生徒にも人気のある女性教師、
松沢千比呂(まつざわ・ちひろ)。
一年前の夏休みに変死体で発見された三浦たち中学三年の担任だった佐野青春(あおはる)。

登場人物は少ないけど、それぞれのキャラが立っているので飽きずに読ませるし、
おそらく福井県であろう地方の方言がキャラに命を与え
ミステリアスさを増すいい効果を上げているし、
切実な青春の苦しみや焦燥感をビビッドに描きだす壁井さんの文体や瑞々しい会話もホンマ心地良いのです。

大人でも子供でもない、学生という困難な季節。
体の異常をひた隠しにし、
早く何かを成し遂げなければと焦燥感に駆られる三浦の姿が本当に切なく胸を焦がす。

けれども、傷付くこともなく、
なにもしないで打ち勝てる闘いなんてあるわけないのです。
苦悩しあがき続けた者だけが手にできる一筋の光。
そんな青春を生きた少年少女たちの未来に、幸多からんことを。
そしてそんな物語に出会えた奇跡に最大の感謝を。

特別有名な作品ではないけれど、
埋もれてしまうには勿体ない、
とても面白く秀逸な青春ミステリーだと思います。

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Posted by ブクログ 2018年07月28日

独特の一人称三人称の切り替わり、男2人に女1人の組み合わせ、性格もそんなに似てない彼らが見つけた夏休み、「先生」の秘密。真夏の一瞬の儚さ、ふと通り過ぎる日陰の風、肌に当たるサイダーの冷たさ。

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Posted by ブクログ 2015年01月09日

最初は本当にいかにも青春小説で、この三角関係はどうなるのだ?と無邪気に読んでいたのですが・・・・
途中からなんか雰囲気が変わりまして・・・

予想のだいぶ斜め上方向のホラー風味だった(笑)

でも面白かったです。
とにかく雰囲気が良くて、3人のヒリヒリするような感情や、それぞれの想いなど、青春小説と...続きを読むして良かった!!屈折した男子高校生ってのが私には新鮮で良かったですね~。

ホラー風味は・・・・
まぁそこまで怖くはなくて、むしろSF風として私は読みましたが。とりあえず、これ夏のお話ですが冬の間に読んで良かった!と思います。これを夏に読んだら○○が怖くて外出できない!!って意味では十分ホラーですね・・・

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Posted by ブクログ 2014年08月09日

面白かった。くすぶる青春三角関係ものとおもいきやSFホラー。市川春子の繊細で妖しげなイラストがマッチしててよかった。ちょいぐろと虫が苦手な人にはお勧めしません。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2014年08月09日

まず一言、夏の空気の中で読めて良かった!小説に恋愛要素をあまり求めたことが無かったけど、気づいたら三浦とミズのもどかしい関係の先が知りたくてしょうがなくなっていた。夏の暑さとか気怠い感じとか、表現がすごく好きな感じだったなぁ。でも、アオハルは結局何者だったのだろうか…はっきり分からない辺りがますます...続きを読む怖い。母親は誰でも千比呂になり得るということに気づかされた時、母親とは何か考えさせられた。何より、単純そうに見える恵と、その恵の善意を辛いと感じている複雑な三浦の関係に、切なくなった。壁井さんの他の作品も読んでみたい!

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Posted by ブクログ 2014年07月06日

幼馴染みの同級生男女三人が、偶然か必然か廃校舎に揃った時、世にも恐ろしい出来事が起きるというホラー青春小説。
これから夏本番。嫌でも蝉の鳴き声を浴びながら、息子に付き合って蝉採りしないといけないのに、もう気持ち悪くて触れないよ!っていうぐらい、恐怖の余韻が残る。

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Posted by ブクログ 2014年06月16日

表紙市川春子だよって教えてもらったから買ってみた。予想の斜め上すぎる展開。ああこれなら市川春子だよなーって同時に納得。

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Posted by ブクログ 2022年10月30日

とにかくジャケ買い。青春ものかなと予想しながら読み進め、確かに3人の青春の痛みがあった。夏に読みたくなる小説があるけれど、本作もある意味思い出すことになった。どう着地するのか期待しながら読み思いもよらぬ展開で少し唖然とした。
虫が苦手な方は読み進めることができないんじゃないかな、、。

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Posted by ブクログ 2021年09月01日

夏の終わりにぴったりのタイトルかなと手にする。
何回かの夏に絡み合うトラブルと幼馴染み達。季節感を感じる文章でした。
壁井さんの描く少年達はどの作品でも愛情を感じます。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年08月28日

表紙と挿絵を市川春子が描いている、というだけで興味を持って読んだ本です。

表紙やタイトルからは全く読み取れませんが、虫がキーになる話ですので、虫が苦手な方は慎重に読んだ方がいいと思います。
主人公が悪夢にうなされるところや3人で車に乗って山に向かったところなどはけっこう気持ち悪く感じました。

...続きを読む作物を別の創作物に例えるのは良くないと思いつつも言ってしまうと、読み進めるにつれ乙一の「夏と花火とわたしの死体」のようだと感じました。
こちらはそこに仄かな恋愛要素とSF(?)の要素が混じっているのですが。
日常(田舎の子どもの暮らし)のリアルな描写と一連の蝉に関する非現実的な描写が調和しているとは思えませんでした。
主人公である倉田の様々なことに対する感度が非常に鈍感で、読んでてイライラしました。
佐野に対しても"普通は"おかしな言動をする人間には近づかないように思いますが、倉田は何度も二人きりで接触し、そのたびに危険な目に合っています。
もちろん、特に未成年に対し、成人が性的な目的で近づくのはあってはならないことだし、加害者が悪いのですが、そうなることが倉田には予見できたのでは?と思ってしまいます。
予想できることに対し、何の対策もせず自ら火に飛び込みに行く倉田の気持ちがさっぱりわかりません。
心身に危険が及ぶ可能性のあるものに、それらを犠牲にしてまで近づく行為を子ども特有の好奇心です、で理解するのは難しく、また、そうであったとしてもなぜ倉田が佐野に強く興味を持ったのか、の理由がほしいと思いました。

倉田は佐野の言動に動揺する態度を見せるものの、それを強く否定することはせず、あまりにも普通に接するため、異常である佐野の存在が正常であるように思えてしまいます。
倉田の態度によって現実と非現実の対比がうまくいっていなくて、蝉に関する一連のことがとってつけたような異物感を生んでいるように思いました。

登場人物3名の中で、わたしがいちばん苦手なのが倉田のようなタイプです。時点で恵。
恵は三浦もたびたび触れている通り、無神経で自己中心的な思考であるからなのですが、その分ストレートで裏表がないとも思います。
倉田の気に入らないところは、たとえば三浦に対して心配する素振りを見せ、恵や教師に隠していることを教えてほしいと言いますが、実際のところ心配しているわけではなく、単に好奇心や幼馴染の中で自分だけが仲間外れにされている疎外感を解消したいだけなんだろうな、というところです。
それを三浦が心配だから、と言い訳する、かつそれに自分さえ気づいていないところがいやらしいな~と思います。
人が言いたくないこと、隠しておきたいことを強引に知ろうとする気持ちもわかりません。
知られたくないと思っていることを知ろうとするなんて、他人の領域に土足で上がり込んで物を強奪していくようなものなのに、そこに気付けないのも鈍感で、恵とはまた別の意味で自己中心的だと思います。

三浦は好きな相手に病状を知られ、嫌われたり同情されたりしたくなかったのだと思いますが、倉田はそういうタイプではなく、むしろ相手が自分を頼ってくることを喜ぶタイプのように思います。
蝉の抜け殻を一緒に集めてくれた一件から何となく気にするようになっていて、そのころからなんとなく好きだったのだと思いますが、(三浦の病気のことを知りたがっていたのも、好きな人のことは何でも知りたいという気持ちもあったのかも)三浦が病気だとわかり、より一層わたしが支えてあげなくちゃ!と気持ちが盛り上がったんじゃないかと思います。
本人はそれを好意だと思っていますが、実際は支配欲とか庇護欲のようなたちの悪い気持ちのように感じて、倉田に対し嫌悪感を抱きました。
三浦はそのような目を向けられることが嫌なんだと思いますが、好きな相手からの一見好意に見えるものであれば嬉しく受け入れてしまい、気付いた時には色々な意味で倉田がいないと生きていけない状況になっているような気がします。
でもまだ高校生だし、大学生になったり社会人になったりする頃には佐野のことも千比呂のことも記憶から薄れ、まったく関係のない人と付き合っていたり、結婚したりしているかもしれないけど。
子どもの(未成年の)頃の体験や経験は尊いものだし、その人の人格や一生のベースになるようなこともあるでしょうが、大人になってから直面することはスケールも質も比べ物にならないので、お金も駆け引きも絡まなかった昔の思い出は途端に陳腐に思えてしまうでしょうから。

表題はサマーサイダーなのに、炭酸と思わしきものが出てきたのは冒頭の体育館のシーンだけであとは出てこず。
蝉の短い一生、人生の中であっという間に過ぎる学生時代、だんだんと失われていく三浦の視力、それぞれの一瞬を次々に泡が生まれてははじけて消えるサイダーに例えているのでしょうか。

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Posted by ブクログ 2018年11月25日

浜松町、談にて一押しの本だったので購入。
前半と後半で雰囲気が大きく変わっていく。
だんだん暗くなる視野狭窄とは逆に徐々に明るさを増す真夏のコントラストが際立つ。

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Posted by ブクログ 2017年06月02日

幼馴染3人のひと夏の物語。タイトルや表紙から、爽やか青春ものというイメージで読み始めたが、ホラーやミステリーの要素もあり、青春のなかに仄暗さや恐怖などといったものが漂っていた。読んでいてゾワっとするところも多々。不器用な少年少女たちの抱える、苦しさや切なさがとてもよく描かれている。「ひとつひとつの個...続きを読む体の存在意義。そんなことを考えるのは人間くらいのものだ」。生まれた瞬間から目的地が決まっているのと、生きながら目的地を探すのとでは、自分にとっての幸せはどちらなんだろうかと考えてしまった。

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Posted by ブクログ 2016年06月17日

基本がキャラ読みなので笑
ちょっと読み進め遅くなってしまいましたが、前半と後半で話の雰囲気が異なっていて面白かったです!

でも描写がグロテスクなんだけど、リアルさもあって怖い(;゜゜)

でも学生の儚げで危うい感じが表現されててすごいと思いました。


グロテスクさがなければ、他の作品も読みたいな...続きを読むぁー

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Posted by ブクログ 2015年08月16日

市川春子のイラストはずるい。
不可思議でホラーでそれでいてひりひりするほど甘苦い青春の夏模様。

佐野の生態とか、市川春子のイラストがなければちょっとぐろくて御免である。
だけど儚くて美しさまで感じてしまった不覚。

三浦と倉田の関係は、とても好きだけどあまりにも恵が残念キャラになりすぎてせつない。...続きを読むどうか救いを。

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Posted by ブクログ 2015年06月05日

夏休み、廃校になった母校で幼馴染の3人(男2女1)が各々の悩みを抱えながらボランティア活動をする。
その中で封印した1年前の記憶を思い起こす・・・

予想の斜め上を行く着地点。

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Posted by ブクログ 2015年02月02日

とにかく「蝉」が強く印象に残った作品でした。

最初は高校生の青春ミステリーかと思い読み始めたのですが、かなりのホラー小説でびっくりしました。
少年少女期特有の不安定さや三角関係にときめきつつ、最後にはどこか寂寥感を感じたお話でした。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2014年12月13日

夏の暑さがみせた、白く弾けて何も見えない夢。

とんだホラーだよ! 三浦のキャラクターが好み、とか思っていたら、超グロテスクでした。夏に読まなくてよかった。

なんてことない日常に潜むサスペンスかと思いきや、ファンタジー要素が入ってきて、そしてホラーです。でも着地点は日常の世界。本当は、世界のどこか...続きを読むにいるかもしれない、「人と違う」存在。三浦も恵も、挫折を抱えているところが魅力的で、どっちが本命なんだろうと、どきどきしながら読むこともできます。佐野先生の正体(まあ、確定はしていないけど)もどきどきします。読み出したら一気に読むしかない。この著者の作品は初めてだけど、すごくひっぱられました。

母の本能とか、生存本能とか、そういう理性を上回る利己的なところが本当は一番怖いのかも。

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Posted by ブクログ 2014年09月23日

ドロドロとした後味が残った一冊。
壁井さんの作品だからと読んでみたら、なんとも不気味な物語。
ただ、気持ち悪いという気持ちと同時に、学生3人による三角関係にハラハラしたり。
壁井さんの書く、男女の空気感が好きです。。

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Posted by ブクログ 2014年09月01日

予想外の展開。まさかそんな秘密があったなんて…あとがきにもあったけど、前半と後半で話が全くちがう。誰も悪くないのに後味悪い感じだった。

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