京極夏彦のレビュー一覧
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【一言感想 鬼】
意味のない物事に意味を付け加える事や、
無関係な物事を繋ぎ合わせる事で、
得体の知れない虚妄を作り上げてしまう
【一言感想 河童】
相手や他人はこういう人だと決めつけても、
自分だけがそういう風に思い込んでいるだけで、相手の本心や考えは違っている
【一言感想 天狗】
自分の価値観が常識であり、
普遍的で絶対的に正しいという考え方は傲慢
冷静に公平であろうとする"中禅寺敦子"と、周囲を客観的に見れるが大人になりきれていない"呉美由紀"が巻き込まれていく怪事件を描いた、中編三作品がまとまった書籍
文章量は多いけれども、登場人物の心情が細かく描かれているので、推理小説だけではなく純文学的な側面があると個人的には思っている
冷静で丁寧に明かされていく推理に、感情的ながらも全体を俯瞰したような演説など見所が沢山あるので、読後はかなりスッキリするのでは無いかと思う
京極夏彦さんの作品は、"妖怪"という名前と存在はなんとなく知ってはいるけれども具体的なことは知らないということに準えて、自分自身の中の知っていそうでその実あまり詳しく言語化出来ないようなことを、代わりに言語化してくれるような作家さんなので、個人的に読んでいて楽しめる作品が多く感じる -
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ケンヤが「死ねばいいのに」と言いたい気持ちはわからないでもない。「じゃ殺してくれ」と言われたらどうするのだろう。まぁそんな話ではないけれど。
たとえば、京極堂シリーズとか巷説百物語シリーズなど、作者の長い薀蓄や、初めてお目にかかるような妖怪変化についての熱い興味や知識に出会っていると、今回のような、ダイレクトに発射されたような題名にショックを受ける。
これはどうにかして読まねばならない、でも、もしかしてこれまでのイメージが。
どんなイメージかといわれても困るけれど。シリーズのほかには「嗤う伊エ門」しか読んでないけど。
でもファンであってよかった。実に面白かった。
何気なく過ごしている日常の、隠れた深い心の底をあからさまに見せられるような作品だった。
話はそれるが、いつかテレビで言っていたが、大阪人の喧嘩で一番恐ろしいのは、相手が平静な態度で「それから」という時だと。
手も出さず、大声も出さず、「それから」「それから」という。
「舐めとんのかぁ」「それから」「殴ったろか」「それから」
果てしなく突っ込まれ、振り上げた手を一度は振り下ろしても、二度目は空しくなるような問いかけ。
それからって?ええと?と自問し始めたりする。振りかざしたこぶしがいつの間にか喧嘩の原因よりも言葉の迷路に振り下ろすことになりそう。ということで。
そういったような物語なので、これも一気読み。
独り暮らしの亜佐美という女が殺された、首を絞められていたので殺人事件だった。部屋は荒らされてもいなくて、抵抗して暴れた様子も無い。警察は手詰まりだった。
ケンヤという若者が、アサミについて知りたいとあちこち訪ねていた。
一人目はまずアサミの上司から始まって6人目で終わる。ただ彼はアサミとはどんな女だったのかだけを知りたがっている。
アサミ死にましたよねー
亜佐美が死んだのはショックだったなーと。
だから、どうだと言うんだ。
「俺別に悪気ねぇし、でもこういう人なんすよ自分。あんたのこと責めてる訳じゃねぇすよ。ただ、話聞きたいって言っただけですから。そんなにいやならいいっすよ」
と言い、また、彼の自己紹介風で言えば
「好きなこととかねぇし。有名になりてぇとか金欲しいとか思わねぇし。人と比べてどうとか、そういうのもねぇし」
「俺、頭悪いしもの知らねぇし、」というようなことをいいながら質問する。
二人目は、隣の部屋の女、同じ派遣先で働いたこともあるという。彼女はアサミはいい子でもてていた、という話をする。
三人目は、ヤクザで。
母親が借金のかたに20万でおれの兄貴に売り、10万で買った。アサミは俺の持ち物だった、DVといわれてもいいが殴ったときも、この暮らしがアサミは幸せだといっていたという。
四人目は母親で、まずまず裕福な家庭で育ったが、20歳で妊娠して出産、子供のアサミは母親が育てた。懐いて可愛い、いい子だったという。
五人目は担当警察官。
マズいんすかね。尋き回んのは…
「だって不謹慎だろうよ。娘さん殺害された家に行って、見ず知らずの君が殺された娘さんのこと根掘り葉掘り訊いたりしたら…
怒るだろう。それでなくたって哀しいのに、殺人だぞ、しかも未解決だ。怒られなかったか。」
と正攻法で言いきかすが
「何度言ったらわかってくれるすか。俺、頭悪ィし態度悪いしもの知らねーし、学歴も免許もねーし、学習もあんまりしねーから、まず採用されねーし、されてもすぐクビになるんすよ。客と顔見知りになる程、耐久性ねーってか」
「なら何だ」
「だから友達っすよ」 云々
とストレートこの上ない質問がつづいているうちに、聞かれた方は関係の無い自分の不満を話したくなるような雲行きで、とうとう日ごろの鬱憤までしゃべりだす。
どの人も、アサミの話から愚痴になり、現実は自分の思い通りにいかないものだという、そこでついに、ケンヤは切れてというか呆れて、それなら
死ねばいいのに
といってしまう。
六人目がキーマンで、質問を受けるケンヤのその後の生き方になる。
そうだったのかと。
人って知ってみれば謎だらけ。 -
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ネタバレ目次
・馬癇(うまかん)
・気積(きしゃく)
・脾臓虫(ひぞうむし)
・蟯虫(ぎょうちゅう)
・鬼胎(きたい)
・脹満(ちょうまん)
・肺積(はいしゃく)
・頓死肝虫(とんしかんちゅう)
長屋に住む、何を生業にしているのかよくわからない青年(本草学者)久瀬棠庵が、病を虫になぞらえて事件を解決する、連作短編集。
この棠庵という男、頭はいいのだが人の心の機微がわからず、言葉も文字通りの意味でとらえてしまうので、何かと意思の疎通が難しい。
悪気なく失礼なことを面と向かって言って憚らないのである。悪気がないから。
毎日様子を見に来る大家の息子(実質大家のようなもの)である藤介が、時折置いてけぼりになりながらも、徐々に彼とのつきあい方を覚えて、結果的にはいい助手のような役割を果たしている。
この二人のやり取りがとぼけていて、読んでいて面白いのなんのって、てっきりシリーズ化するのかと思ったが、最後の事件では嘘を吐くことのできない棠庵に変わって、藤介が大家としての目配りと、今までの事件での棠庵の示唆から事件を解決してしまったので、この一冊で終わりかもしれない。
でも、棠庵の許嫁(世間の勘違い)であるお登勢が、事件解決後も長屋に居座っているから、まだ何らかの続きを書くこともありだな、とも思ったり。
タイトルの病葉というのは、棠庵が自身のことをそう思っていることから。
心というか気持ちというかが欠けている。
虫に食われた葉のように。
今だったら発達障害とくくられるのかもしれないけれど、この当時そんな言葉も概念もなかったのだろうから、これは結構辛い自省である。
それに対して藤介は言う。
「あたしも病葉だよ。あんたより欠けは多いけどもね――」
ひとりひとりどこか違ったところが欠けた存在であると認め合えれば、世の中はもっと寛容になるのかもしれない。 -
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今回の特集は、昭和に流行ったオカルトについてと小泉八雲さんの2本立てで、ユリゲラーさんや つのだじろうさんのインタビューも掲載されていました。
先月「緊急検証!THE MOVIE」を読んだばかりの私には、ユリゲラーさんが立て続けに出てきたから、懐かしいというよりも「ブーム再来!?」って勘違いしてしまいそうになる(笑)
加門七海さんが当時のご自身のことを「心霊現象のみに強い関心を抱いていた」って仰られてたけど、考えてみれば私もそうだったかもしれない。オカルト全般というより、心霊と超能力に惹かれてたから、夏休みには毎年「あなたの知らない世界」とかワイドショーの心霊写真特集を友達と観たりしてたし、ユリゲラーさんとか清田くんの出てる番組を口を開けて観てた記憶があります。
だから、オオケンの鼎談や三上さんと黒史郎さんの対談は、物凄く興味深かった。中岡俊哉さんの心霊写真集、背表紙見るだけでアホみたいに怖がってたのを思い出して懐かしかった〜
友達のお兄さんが持ってて、本が差してある本棚の前通るのさえも怖かった小学生でした(笑)
あと、これは今までの怪と幽でも思ってたことなんだけど。
村上健司さんの怪食巡礼のコーナー、いつも(って言っても3冊しか読んでないんだけど)写真が美味しそうでほんとに困ります(笑)
今回紹介されていた「かっぱめし」もそうで、いつか山梨に行ったら味処まんぷくに行きたい。。 -
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季刊『怪』に掲載されていた連作短編をまとめたもの。小股潜りの又市をどうやら中心に動いているらしい、この連作に登場する組織がいかなるものなのか、どうにもはっきりはしないが、<必殺仕事人>のようなものなのか?表立っては裁きようのない者を仕掛けを通じて「御行奉為(おんぎょうしたてまつる)」わけだけれど、その仕掛けに小豆洗いとか白蔵主とか妖怪がからんでいるところが京極夏彦的なのですね。
話としては、情をかけられた狸が人間の形に変化して礼に訪れるといったことを仕掛けに用いた「芝右衛門狸」が面白いです。狸の仕掛けと悪人退治の結び付け方が奇抜なのですよね。
それとやはり末尾を飾る「帷子辻」が何とも怖い。このテーマは古来よく怪談にとりあげられていますが、ここまで徹底しているのはちょっとないのでは?最後の一行の又市の台詞がなんともいえません。ちなみに、この編でとりあげられている九相詩絵巻は、作中でのものとはちょっと展開のさせかたがちがうようですが、本(※ハードカバー版)のカバーの裏側に入れられています。
余談ですが、帯にある「京極世界、初の映像化」ってのは間違いですよね?ご承知の通り「目目連」という短編がすでに<幻想ミッドナイト>というシリーズのひとつとしてTVドラマ化されています。 -
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世評高い「巷説百物語」がaudible(2025年12月15日)に入ったので、ヤツガレ早速耳を傾けまして御座います。
百物語と云い乍ら七編しか収めては無く、同事務所宮部嬢「三島屋変調百物語」の二番煎じかと思いきや、はや26年も前のお話と聞き、こちらが先と恥入り。而も、実は妖怪譚でさえ無いと云う。
流石、冒頭「小豆洗い」が一番で御座いました。何が一番て、山中深く大雨で避難した小屋に集まった5人の人物正体が一向に判らぬ儘語られ始まる百物語が不思議過ぎて、総てが妖しく怪しいので御座います。
いつも最後の章が謎解の回となっております。よって彼らの仕掛けと種明かしに興味の焦点が移る始末。それでも、江戸時代の世界の不思議は充分、小泉八雲の世界に通じます。庶民の恐い怖い怕い、畏ろしい、虞(こわい)、悲しい哀しいかなしい、そして小さな幸せが一杯なので御座います。
如何せん、各話冒頭「絵本百物語」の引用が気になり過ぎて、ヤツガレ、類書の森を掻き分け探し出して参りましてで御座います。そしたら、なんと京極うじが一筆認(したた)めていたという。それはまた、次の書評にて。
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糞尿屁、小学生が好きな下品な盛り上がりがこんなにもあるんだぞという、全国物産展のような本。トークテーマごとに章が区切られているので非常に読みやすい。
巻頭巻末の文章が素晴らしくよく、トークイベントをそのまま書籍化したものだが、この2つの文章で挟むことで本としての深みを出している。巻頭は「話が面白い人はなぜ面白く話せるのか?」。巻末は「ひどい民話の存在意義について」と、本内容を読まなければ何を言っているのだ?と言うものだが、非常に深く、実になる内容である。(ここで言う実は糞ではない)
本やテレビ等を通じて伝わってくるお話は非常に整備されて健全であるが、悪く言えば毒がない。果たしてそれで本当に良いのであろうか?人にエンターテイメントを提供する人であれば愚問だろう。
あ、こんなに下品でいいんだ。起承転結がなくても相手を笑わせればそれでいいんだ。と会話や読み聞かせるお話は気張らなくてもいいと馬鹿馬鹿しくなるほど理解できる。そんな本だった。 -
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自分のことを何ていうかってとこ私には面白くて2回読み返した笑。ああ怖くない…怖くないよ。皆こんなふうに年老いながらも思考は若い頃から変わらずに目まぐるしく駆け巡ってる。ちょっとばかし若い頃よりも忘れて繰り返してボケ…
イヤ、リフレインしてるけど笑
飛び抜けて目立つ事も成し遂げたこともない
普通、ごくごく普通。
平和ってことだ。
軽く淡々とジワっと面白い一冊
ただひたすら真面目に生きてきてさ
何もない、誰もみてない、私なんて…
なんて思うときがおおいけど。
でもやっぱり何にもなくてもいいんだよ
一生懸命自分なりに生きていけばと思えるよ。
おすすめは私のように薄ぼんやりした人かな笑