京極夏彦のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
京極夏彦の作品の中では比較的薄い。
厚さは文庫でたったの2センチだ。
さて、時は文明開花:御一新から時のたった明治二十年代。
書楼弔堂(しょろう とむらいどう)という変わった屋号の本屋の物語。
そこにやってくるのは東洋大学の祖、井上圓了や泉鏡花と言った歴史に名を残す人々。
彼らがそこで出会った本は、彼らの人生をさらに高みへ連れていく。
「人が大人になるように、国も文化も大人にならなくてはいかん」(258頁)
「出来ることを出来る範囲で遣れ、出来ないならば大言壮語を吐くな、出来ると云っておいて遣り遂げられるなら、その時は威張っていないできちんと償え」(326頁)
私は管理職ですらない、表彰 -
Posted by ブクログ
ネタバレホラーが苦手なので、初・京極夏彦先生。これは本の話だったから読んでみた。明治時代の、架空の書店の話なのだが、蝋燭の光に照らされた書店の内部や、その主人、丁稚の少年しほるが、この世のものではない雰囲気を持って想像力を掻き立てる。
人が必要としている本はただ1冊、それ以外は皆死んだ本という主人が、本を必要な人に手渡し、生かすために営んでいる、弔堂。
高遠彬という、ご一新で武士の身分をなくした男が狂言回しとなって、物語を進めていく。
弔堂に縁を得てやってくるのは、明治時代の名だたる人たちばかり。一体これは誰だろう?と思いながら読むのも一興。
主人は蘊蓄が多いし、弔堂では多くを語るので、ほぼ会話。しほ