坂岡真のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
待ちに待った鬼役の続き。
前作では鬼役の座を退き、影の鬼役となった蔵人介。 そのまわりも時と共に周りを固める顔ぶれも変わり、なにか寂しい気がしていました。
上方へ医者修業中の息子鐵太郎が江戸に蘭学広めるためのミッションでやってきたものの、実は他にも目的があり、意中の女性の消息を追って来た。とそこまで読んだとき、過去何度かすぐに女の子に好意を持つが実を結ばずだったので、こりゃまた最後はその流れかと思っておりました。
不思議なものでシリーズを読んでいると、なにか鐵太郎が自分の親戚の子供でもあるかのように、その成長と、今後の活躍を見守りたくなります。
今回は新鬼役さんの毒見場面も少なく、やっ -
Posted by ブクログ
3つの独立した短編。個人的には1冊丸々長編の方が読み応えがあって良さそうに思うのだが。
・3分坂の殺し
南町奉行所の又兵衛は街歩きの途中で、片手を落とされた奇妙な屍体に出会う。対応していた北町の同じ例繰方の根張与力に出会い、追い出される。浪人が犯罪者にされそうになり、又兵衛のお節介が始まる。敵と思った根張与力は・・
犯罪の陰に幕府の有力者。
・赤札始末
火付を狙って商家に貼られる赤札が、又兵衛の御用部屋の机にも貼られていた。巻き込まれて行く又兵衛。こちらも大身旗本が陰に。
・駱駝の瘤
江戸で駱駝の見世物があり、又兵衛一家も見物に。この駱駝がいつの間にか行方不明に。一方、若い娘達も大勢行方 -
Posted by ブクログ
ここのところ時の経過を感じる、蔵人介の心情。
鬼役(表も裏の役目も)を次へ渡す日が近づくにつれて、若い頃の単にお役目果たすことだけに忠実に生きてきたが、ここにきて自問自答は避けられず、蔵人介の周りも同じく年齢を重ね、いろいろ先を考える時にきている。
今回が個人的には一番良かった気がします。勧善懲悪の部分でなく、あらがえない時の流れの中の人の思いと人の一生。
最後の方は、もっと頑張ってくれ、なぜに。。。といった感じでしょうか。
畳の上、せめてもの救いです。
そんな中ある意味時の流れにぶれない男、串部。 凄腕ながら天下太平的な。
そして衰えを知らない志乃さまでしょうね。 -
Posted by ブクログ
『六郷川の仇討ち』では、男の格好をし父の仇討ちを決心した娘が中心になる話だが、卯三郎に助っ人を頼んだり、もしや行く行くは二人が恋仲になり夫婦になるのではと思っていたのです。 蔵人介、鬼役の嫁が弓の達人であるように、跡継ぎの嫁もしかるべきかと。 が、とんだ読者の先走りでした。
しかし、なぜ、ここでまさに”慟哭!!”
このシリーズの清涼剤のようなお父上孫様が、なぜに。
おようさんは、さすが元粋筋。 握り飯を持たせ手を振る。
あ、涙です。 親子の絆。 わしの倅をを舐めるなよ、と。くわっと二つの盃ですよ。
とにかく読んでください。 孫兵衛かっこいい。