谷川嘉浩のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
1.今回の読書体験について
初めて、疑問や文句、本になぞらえた自分の体験を書き込みながら読んだ。
この体験は割と楽しかった。
少しとっつきづらさもあったが、最後まで読めたし、自分の中で咀嚼できたのは、この読み方だったからだと思う。
2.読む前の期待と、読んだ後の感想
初めは「寂しくなりたくない……」という気持ちと、「哲学」というワードに惹かれて読んだ。
結果として、これを読んだからといって、寂しくなくなる方法が分かったかというと、別にそんなことはない。
でも、少しだけ、孤独という状態を豊かだと捉えることや、豊かな孤独を目指そうという気持ちにはなった。
あと、実生活に役立つかどうかではなく、普通に面白かった。
この本でたくさん紹介されている哲学の考え方や、本も面白かった。
薄々私が感じていたことが、こんなふうに言語化、体系化されているんだーという興味深さ。
私の日常と、ポストフォーディズムの繋がりが分かったこと。
特に良かったのは、
* 自分に起きていることを、著者や哲学的視点を通して理解できたこと。
* 一番分かりやすく面白かったのは、「エヴァってこんな深い話なの!?」と思えたこと。
3.マルチタスキングと、自分の体験
例えば、私とマルチタスキングについて。
ストレスに耐えるために、単調な刺激で感覚を飽和させる。そうすると、その刺激以外への感覚や嗜好が麻痺するので、自分を守ることができる。
その一番分かりやすい刺激だけに、その時間はのめり込む。
スマホ、ジャンクフード、ネット小説、ショート動画などなど……。
私は、牛丼とかラーメンを貪りながらネット小説を読む、みたいなのが好き。
落ち込んだ時とか、めっちゃ疲れた夜のバイト帰りとかによくやっていた。
でも、普通に考えて、別々に行った方が味わえるだろうし、そもそも、あの時間でなんであんなに自分が満たされるというか、リラックスできるのか、ちゃんと把握していなかった。
おそらく、過剰な刺激で感覚を飽和させて、他のことを考えなくてよくなるからだな。
そう考えると、私にとっては恋愛も、マルチタスキング状態にして、自分の思考を使い切るために行っているものかもしれない。
4.『イン・ザ・メガチャーチ』との繋がり
朝井リョウは『イン・ザ・メガチャーチ』で、推し活などで自分の時間や余力、「自分を使い切る」ことの気持ちよさを書いていたけど、これもマルチタスキングをして、他に意識が行かなくなるっていう、この状態のことを指していたんだろう。
そうすると、なるほど、そこで言われていた以下の内容がより理解できる。
「使い果たしてまで得たい価値が推しにあるのではなく、私達は自分を使い果たしたい」
私はこれを、現実逃避みたいな話や、自分の可処分時間、労力をできるだけ価値に変えたいっていう、資本主義? 現代? 特有の感覚だと理解したんだけど。
現実逃避は現実逃避だけど、その一歩先の「感覚の飽和による他の感覚への麻痺」っていう効用を求めていたのかもしれない。
そうすると、私は牛丼を食べながらネット小説を貪り読むのが好きなので、その感覚を自分と接続してめちゃくちゃ理解できた。
5.エヴァンゲリオンの解釈が面白かった
また、エヴァンゲリオンについて。
「エヴァは哲学だ」って言っている人の話を聞いたけど、そこまで私には理解できなくて、
「えー、意味深な演出を深読みしてるだけじゃない?」
とか、
「私にはエヴァを理解できないのかなぁ」
とか思っていた。
私に理解できていなかったのは、むしろ哲学ですね。
この本を通じて、エヴァの一つの解釈がするっする入ってきて、「あそこどんな意味なんだろ?」みたいな引っかかっていたところが、「こういうことかー!」って、すごく雪解けをした。
もう一回、見直したいレベル。
「分人」の考え方と、「ポストフォーディズムと使徒が襲来しているエヴァ世界を重ねて捉える」ってアプローチで、目から鱗が沸きました。
(わざと誤用表現をしてる)
6.最近、本を退屈に感じてしまう理由
あと、最近、本を退屈に感じちゃう瞬間がある理由も分かったなぁ。
退屈について
今触れている内容が面白いか、面白くないかではなく、スマホのような単調な刺激から離れて慣れざるを得ないことを、退屈だと感じるのではないか。
こう捉えるとマジでしっくりくる。
面白い本を読んでいるという認識はあるのに、なぜ退屈というか、耐え難く感じる瞬間があるのか不思議だったが、こういうことねー。
本以外の、勉強とか、料理とか、「やったらまぁ楽しいんだけどなー」みたいな退屈な作業もこれだなー。
7.孤独とネガティブ・ケイパビリティについて
あとは、孤独とかモヤモヤする時間とか、そういうものを通して、自分自身を豊かにして満たされていく、みたいな話だと思うんだけど……。
現代の耐え難き苦痛から、過剰な刺激や接続を通じて逃げることを全部否定しているわけではなくて、余裕のある範囲で、もっとネガティブ・ケイパビリティで、モヤモヤしていこう、みたいな話だった。
ただ、私はすでに毎日、辛くてモヤモヤして、陰気で考えすぎで、そこから刺激を用いて逃げているからなぁ……。
この作者のいう「モヤモヤを抱える習慣がない人」では、おそらく無さすぎて、あまり日常に活かせるものがなかったかも。
でも、創作の趣味などを通じて、自分を見つめたり、納得いくまで繰り返したり、そうしたものが無駄でないという認識を得られたのは楽しかった。
8.パスカルについて
あと、パスカルの言うことがもっともではあるにしろ、日常に取り入れるには、真顔すぎて辛いのはマジでそう。
人間のあらゆる趣味は、人生の苦しさから逃げている、みたいなね。
そんなこと言われたら泣いちゃいます。
9.著者について思ったこと
正直、なんとなくいけすかない人だなーとは思った。
なんか、「巷に溢れるこんな人がいますがー」みたいな入りが多いけど、「あなたもそうなんじゃないの?」と思わされることが多かった。
あと、学ぶ側の姿勢に厳しくて、チェリーピッキングとかは特に非難していたんだけど、なんか言っていることは分かるけど、それを教える側が言うのって、なんかずるいなーと思ったりした。 -
Posted by ブクログ
接続過剰な時代にあって、あえて「孤独」の道をすすめる。確かに、私たちはいつもあくせくと「つながって」いる。そして、瞬時に判断して反応している。そんな過剰なコミュニケーションからは距離を取って、「結論づけず、モヤモヤした状態」にとどめておくこと(ネガティブ・ケイパビリティ)。自己啓発かいわいが要求する「本当の自分」を求めるのではなく、孤独の中で考えること。
これは、「終わりなき日常を生きる」(宮台真司)ことであり、「暇と退屈の倫理学」(國分功一郎)でもある。そして哲学入門に最適。知の巨人との対話を通して、現代にも通じる考えを磨く、その実践を見せてくれる。 -
Posted by ブクログ
現代人がすぐに手を伸ばしてしまうスマホ。この依存と中毒性。それに打ち勝つものは「孤独と趣味をもつことの楽しさ」。
受動的に取り入れたいものでなく、ただ流れてくるものをキャッチするのではなく、
孤独に耐える力、もやもやする事柄に対する感覚を育てること。
要所要所に、エヴァンゲリオン作中の「もやもや」や「趣味を持つ事」への話や、哲学者の言葉が散りばめられている。
自分の中での静かな成長を感じられる瞬間、向き合ってじっくり内省できる空間こそが、現代人の最大の嗜好とも言えると感じた。
孤独を愛し、もやもやと生きる心のゆとり、を説いた一冊であると言える。
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Posted by ブクログ
パスカル『パンセ』の引用部分が面白かった。文章にも和らぎや軽みがあって、尖ったことを言っていても読みやすい。
「他人の頭で考える」「ネガティブ・ケイパビリティ」など、前提として言っていることにもけっこう頷ける。単純すぎる一元論や極端な二元論に陥らず、多様な視点を頭に入れ、バランス調整しつづけることは確かに大事だと思う。
ただ、その後の着地点は自分とはあんま合わないなぁ、と思った。
エピクテトスの引用が何度か出てきたのでストア派が好きなのかしら。あとがきの「自分という『物語』を所有し、主役でいようとする力」みたいな一節とか、実存主義の影響を受けてるっぽいのも、「え、実存主義?いまさら??」となった。
どうせなら構造主義も絡めた話もしてほしかった。
共同体思想っぽいところも含めて、思考体力おばけのバイアスというか、人文系肩肘界隈の香りがぷんぷんしたw
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Posted by ブクログ
ネタバレ忌み嫌われ者と向き合う
本書は私たちがいつ使い始めて、いつ使い終わったかすらわからないスマホがある時代に自分と向き合うことの必要性について考える本。
私たちが忌み嫌ってきた寂しさ、退屈を通して自分と向き合う。何かわからないモヤモヤに対して創作等を通じ様々な感性を育てていくことを理解した。それが自分の場合には毎日の日記で消化されていると考えた。
個人的にこの本は難しく感じたが、きっと哲学の入門書くらいの難易度なのだろう。 もしこの本で孤独や退屈に対峙したくなったら「幸せな孤独」を読んで欲しい、かなり有用であり表現もわかりやすいのでおすすめである。 -
Posted by ブクログ
スマホが手放せなくなり、常時接続が当たり前の時代、孤独の時間を作ることが難しく、辛い気持ち、モヤモヤした気持ちから容易く逃れられる、薄く繋がったSNSに容易く頼れる時代、そこで吐き出してもなんか虚しい、虚しいのは繋がりが軽いから、それは「寂しさ」につながる
辛いことがあった時、孤独になって静かに自己に語りかける、でも、自己の中にたくさんの多様な自分を置いて語り合おう、そのうえで仲間と話そう、そんな内容だったかなと思います
哲学のお話なのでどうしても難しいついていけないところもありましたが、「孤独」な時間を作ることの大切さを知れたことはとてもありがたかったと思いました