谷川嘉浩のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
接続過剰な時代にあって、あえて「孤独」の道をすすめる。確かに、私たちはいつもあくせくと「つながって」いる。そして、瞬時に判断して反応している。そんな過剰なコミュニケーションからは距離を取って、「結論づけず、モヤモヤした状態」にとどめておくこと(ネガティブ・ケイパビリティ)。自己啓発かいわいが要求する「本当の自分」を求めるのではなく、孤独の中で考えること。
これは、「終わりなき日常を生きる」(宮台真司)ことであり、「暇と退屈の倫理学」(國分功一郎)でもある。そして哲学入門に最適。知の巨人との対話を通して、現代にも通じる考えを磨く、その実践を見せてくれる。 -
Posted by ブクログ
現代人がすぐに手を伸ばしてしまうスマホ。この依存と中毒性。それに打ち勝つものは「孤独と趣味をもつことの楽しさ」。
受動的に取り入れたいものでなく、ただ流れてくるものをキャッチするのではなく、
孤独に耐える力、もやもやする事柄に対する感覚を育てること。
要所要所に、エヴァンゲリオン作中の「もやもや」や「趣味を持つ事」への話や、哲学者の言葉が散りばめられている。
自分の中での静かな成長を感じられる瞬間、向き合ってじっくり内省できる空間こそが、現代人の最大の嗜好とも言えると感じた。
孤独を愛し、もやもやと生きる心のゆとり、を説いた一冊であると言える。
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Posted by ブクログ
パスカル『パンセ』の引用部分が面白かった。文章にも和らぎや軽みがあって、尖ったことを言っていても読みやすい。
「他人の頭で考える」「ネガティブ・ケイパビリティ」など、前提として言っていることにもけっこう頷ける。単純すぎる一元論や極端な二元論に陥らず、多様な視点を頭に入れ、バランス調整しつづけることは確かに大事だと思う。
ただ、その後の着地点は自分とはあんま合わないなぁ、と思った。
エピクテトスの引用が何度か出てきたのでストア派が好きなのかしら。あとがきの「自分という『物語』を所有し、主役でいようとする力」みたいな一節とか、実存主義の影響を受けてるっぽいのも、「え、実存主義?いまさら??」となった。
どうせなら構造主義も絡めた話もしてほしかった。
共同体思想っぽいところも含めて、思考体力おばけのバイアスというか、人文系肩肘界隈の香りがぷんぷんしたw
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Posted by ブクログ
ネタバレ忌み嫌われ者と向き合う
本書は私たちがいつ使い始めて、いつ使い終わったかすらわからないスマホがある時代に自分と向き合うことの必要性について考える本。
私たちが忌み嫌ってきた寂しさ、退屈を通して自分と向き合う。何かわからないモヤモヤに対して創作等を通じ様々な感性を育てていくことを理解した。それが自分の場合には毎日の日記で消化されていると考えた。
個人的にこの本は難しく感じたが、きっと哲学の入門書くらいの難易度なのだろう。 もしこの本で孤独や退屈に対峙したくなったら「幸せな孤独」を読んで欲しい、かなり有用であり表現もわかりやすいのでおすすめである。 -
Posted by ブクログ
スマホが手放せなくなり、常時接続が当たり前の時代、孤独の時間を作ることが難しく、辛い気持ち、モヤモヤした気持ちから容易く逃れられる、薄く繋がったSNSに容易く頼れる時代、そこで吐き出してもなんか虚しい、虚しいのは繋がりが軽いから、それは「寂しさ」につながる
辛いことがあった時、孤独になって静かに自己に語りかける、でも、自己の中にたくさんの多様な自分を置いて語り合おう、そのうえで仲間と話そう、そんな内容だったかなと思います
哲学のお話なのでどうしても難しいついていけないところもありましたが、「孤独」な時間を作ることの大切さを知れたことはとてもありがたかったと思いました -
Posted by ブクログ
現代社会は、スマホでいつでもつながれる常時接続の世界である。
スマホのわかりやすい刺激によって、不安や退屈、寂しさをごまかし、「画面越しのつながり」に頼りすぎている。
こうしたつながりは反射的であり、深い対話や自己との対話を奪う。
本来、人が一つのことに集中して没頭する「孤立」や、自分自身と向き合う「孤独」の時間が失われている。
孤独は大切な時間であり、自分と向き合う時間を取り戻そう!
・哲学に惹かれる人は、多かれ少なかれ、生きることの不器用さに心当たりのある人。
・哲学は、どんなタイミングでも、誰にとっても必要とされるものではないという性質を持つ。まさかのタイミングにちゃんと思い出せるように、哲学をそばに置いておくこと。
・哲学なんて役に立たないと思う人は多いでしょう。けれども、そんな声などものともせず、どんな老舗企業よりも長く、大学が存在するよりも遥か前から、哲学というコンテンツは変わらずヒットを飛ばし続け、ざっと2500年ほど受け継がれてきた。
・現代人は自分が迷っていると思っていない。しかし、自分が迷っていると自覚しない迷子ほど厄介な迷子はいない。
・教養を身につけろと言っているひとたちのなかには、単にイントロ当てクイズを薦めているひとがいると思います。大事なのは音楽を聴く生活のはずなのに、イントロを聞いたらすぐ局がわかるような知識の鍛え方をしていて、それが教養だと思っている。そうではあくて、音楽のある生活を送るのが、教養があるということ。
・私たちがするべきなのは、自分なりに理解することではなく、その人の概念やシステムを使えば、景色がどんな風に見えるのかを把握すること。
・想像力の豊かさは『自分の内側に他者を住まわせて行くこと』を指している。ただし注意すべきなのは、多様な人間が自分の中にいるということは、それらの間微妙なすれ違いがあり、従って対話がある。
・自分の中に多様な他者がいる状態、つまり多様性に富んだエコシステム(生態系)を作ることが、『豊かな想像力を持つ』という言葉の意味するところ。
・精神科医のアンデシュ・ハンセンが紹介する社会調査によると、SNSなどを通じてソーシャルネットワークに時間を使えば使うほど幸福感は減退する。
・スマホを捨てればいい、ソーシャルメディアを止めればいいという単純な話はできない。この種の議論は単純すぎる。
・人間は気晴らしするだけに留まらない。気晴らしの諸活動を通して、つまらない虚栄心や承認欲求を満足させようとしている。
・虚栄心や承認欲求を指摘する論法は、他者を傷つけるために磨かれた議論ではない。『結局人は承認欲求のために動いている』『自慢するためにやったんでしょ』『そう言っているのは認められたいからだ』などと指摘して悦に入るような人間のことを、パスカルは『最も愚かな者』と呼んでいる。こういう人間も結局は気晴らしに終始して、醜い虚栄心をこじらせている。
全体的にスマホを悪としてない姿勢はあるものの、私たちがスマホで埋めているのは情報不足ではなく「孤独」だと明言していることだけは肚落ちできなかった。ただの中毒症状でしかないのに。