谷川嘉浩のレビュー一覧
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あなたがいることでこの会話ができる・この発言ができる。
対話ってこうありたいなと思える3人の会話だった。ボキャブラリー自体を引き出し、引き出される関係で柔軟に展開される語りに非常に引き込まれたり、引き出されて視点を調節しなおしたりされる本だった。本書はネガティブケイパビリティというワードから創発される様々な論点(陰謀論、言葉遣い、アテンションエコノミー、SNS、ethic、中間共同体、観察、エピソード)で自由に話されている。
終盤の、「イベントよりエピソードに焦点を当てる」という話は本当に腑に落ちた。別に目立たなくてもいい、自分自身がそこにアテンションを当てて手触りがある、他の人にはあまりアテ -
Posted by ブクログ
YouTubeで著者のインタビューを見て、手に取りました。
めちゃくちゃ面白いです。
衝動を見つけるためには、深い欲望=偏愛に注目することがポイントという視点、自分を振り返ると、私にとっては「秩序を生む」というのが偏愛なのかもという気づきがありました。
高校生の頃、エントロピー増大の法則(世界は放置すると混沌へ向かう)がなぜか心に残った理由も、本屋で勝手に本棚を整理したり、職場でフォルダ整理、特にフォルダの並び方にすごくこだわったり、編み物が好きだったりする理由も、それは全部、無秩序を秩序にすることが好きだから、それが私の偏愛だからなんだと納得しました。なんでも数えることも好きで、日常の家事で -
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令和人文主義の提唱者、「スマホ時代の哲学」が大ヒットの著者である。Podcastで音声発信も精力的。人文学・思想書が一般へアウトリーチするべく活動目覚ましい、感謝である。
本書のテーマはずばり「衝動」を意識した生き方。
衝動って大仰な響きであるが、類似表現である「モチベーション」や一般的な「目的」との差異を詳らかにしていく。最終盤には外在的アプローチや同調圧力に流されない「多孔的な自己」であることの大切さを説く。
捻くれた性格である私は、その「衝動」を持ち得る人って限られた選ばれた存在なんじゃない?と訝しく思ったりするが、そんな読者も想定の範囲内である。「衝動」とは一貫して変容しない確固た -
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SNS依存、スマホをだらだら目的もなく見てしまうのをやめたいと思ってる人に是非読んでほしい。
最初難しいと感じたら3章からでも!!
常時接続世界は「孤独」と「孤立」を奪う。
まともではいられないほど落ち込みショックを受けているのに、平気なふりをする、さっさと忘れて立ち直るのが正しいことなのか?
孤独と孤立を選び、自分自身と対峙することが必要。
なにかをつくる、育てる趣味に没頭することで孤独の時間を確保する。
一人きりで考える習慣がないと、協調する力も革新も生まれない。
まさにSNS疲れしてるから、これからデジタルデトックスしていこうと思った。 -
Posted by ブクログ
とても良い本だと思います。
最初は哲学とはどんなものなのかという、少しとっつきにくい話題から始まります。でも、読んでるうちに、気づけば自分の悩みや、嫌だと思っていることとの重なりが見つかり、さらに自己啓発の危険性や趣味の必要性という思いがけない方向に進み始めます。
数々の著名な哲学者の言葉も引用しながら、読者に寄り添いつつ話が展開されていくので、丁寧な授業を受けているような、カウンセリングを受けているようなそんな不思議な感覚がありました。
読書の意味、というでも興味深く読むことができました。特に2章はどう学ぶのがよいのか、なぜ読書が必要なのかという、私のこれまでのモヤモヤに対する一つの回答 -
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自分も内容を完全に理解できたわけではないけど、今を生きる10代20代の方に読んでもらいたい。
個人の体験としては一昨年くらいにTwitterアカウントを削除してて、その時期から自分に向き合う時間がだいぶ増えたなぁ(画面をスクロールする時間が減ったなぁ)と実感している。
主には趣味のトレーニングに対しての考え方、取り組み方が変わった(身体も変わった)ので非常に良い決断だったと感じている。読書する時間も増えたし!
ただ文中にもある通り、ここまで極端なことはする必要はないかも。
一方でこのような実体験を踏まえると、趣味を通して『孤独な時間を持つ』ことは自分という人間を育むためにはとても有意義であ -
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Posted by ブクログ
自分と同世代の新進気鋭哲学者。
YoutubeやInstagramを無心で何時間も眺めてしまう私は、「快楽的ダルさ」に浸っているのだ。四六時中追立られているプレッシャーからの解放という一時的な処方であるという説明は、実感覚と相違なし。
自己啓発への警鐘は個人的に新しい切り口で学びになった。無理くりのポジティブシンキングから繰り出される自己完結性の気色悪さ。変化の時代に適応し続けるフレキシビリティ。なんて苛烈な世界なのでしょう。
十代のころとか就職活動のころとか、自己分析をしてもやりたいことも自分の強みもなんも出てこない自分を責めてたなーと暗い気持ちが思い出した。
そんな暗澹たる気持ちを少 -
Posted by ブクログ
短絡的な理解、紋切り型の言葉遣い、敵味方思考、バカと言う優越。
この時代をめぐる悪弊の流れに棹さす試み。
たくさんの抜き書きをしました。
願わくば、ネガティブ・ケイパビリティそのものをもっと掘り下げて欲しかった。
しかし、それは自分に託された部分かも知れない。
対話の面白さと限界も感じた。
<ネガティブ・ケイパビリティについての思索>
*どんどん決めて物事を進めていく。進まないのはつらい。ゴールが見えないのもつらい。そんなとき、強権的なリーダーが欲しいと思うが、現れたら現れたで、「自己」への抑圧は本当に苦しい。
*ポジティブ・ケイパビリティの特質を列挙してみる。
・スピード感
・集約的 -
Posted by ブクログ
ジョン・キーツの「ネガティブ・ケイパビリティ」を書名に冠している通り、安易に結論を出さずに、様々なテーマの多面性に光を当てながら三人の哲学者の鼎談が進んでいく。ポラリゼーションや単純化・効率化の加速に違和感を感じていたためか、とても多くの含蓄や示唆を得られた。
・ファクトフルであることを手放しに称揚する危うさ
個人的には、ファクトや真実への立脚や反証可能性を主張するカール・ポパーやハンナ・アーレントの論につい賛同してしまうが、そうではないものを切り捨てることは「愚かさの批判」であるという著者の警鐘は肝に銘じたい。これは、本書中でも引かれている『社会はなぜ左と右にわかれるのか』を読んだ時にも感