【感想・ネタバレ】スマホ時代の哲学 失われた孤独をめぐる冒険 【購入者限定】スマホ時代を考えるための「読書案内」付きのレビュー

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Posted by ブクログ

(2024/04/27 6h)

表紙絵を担当されているイラストレーター森優が好きで手に取った本。内容すごく好きだった。

特に、アンデシュ・ハンセン『スマホ脳』に懐疑的な意見を投げかける視点が新鮮でおもしろかった(p.138 の辺りです)。


全体を通して著者めっちゃエヴァ大好きやな!って伝わってきた。わたしも好き。

しかも劇場版ではなくて、アニメ版からの引用。わたしはアニメ版を一度しか見たことがないので、本書の内容を踏まえてもう一周したくなった。理解を深めたい。

ほかにも、『燃えよドラゴン』『弱キャラ友崎くん』や最近のドラマなど、幅広いエンタメから哲学に絡めた楽しい講話が盛り沢山で、とっつきやすい本だった。


わたしはニート引きこもりだから時間も無限にあって「孤独」を満喫するのには適した環境にあるかも。

働くひとはマルチタスクにこなさないといけないことばかりで悩殺されて、哲学する暇ないんじゃないだろうか。

仕事をして自立しながらも、「寂しさ」から逃れて「孤独」の時間を得ることのできるひとって素晴らしく有能だと思う。とんでもない難易度。

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2024年04月29日

Posted by ブクログ

【目次】

第1章 迷うためのフィールドガイド、あるいはゾンビ映画で死なない生き方
第2章 自分の頭で考えないための哲学―天才たちの問題解決を踏まえて考える力
第3章 常時接続で失われた“孤独”―スマホ時代の哲学
第4章 孤独と趣味のつくりかた―ネガティヴ・ケイパビリティがもたらす対話
第5章 ハイテイションと多忙で退屈を忘れようとする社会
第6章 快楽的なダルさの裂け目から見える退屈は、自分を変えるシグナル

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2024年04月11日

Posted by ブクログ

たまたまなんだけど、直前に読んだ「さみしい夜にはペンを持て」と同じように、自分の時間、一人になる時間の大切さが書かれた本だった。本質的には同じことを書いているような気がするけど、視点や書き方が違う。「考えないのってそんなに悪いこと?」の考えることをより深めていく感じだった。
まあまず「自分で考えること」の危うさを指摘してくるんですけどね! 確かに自分で考えることって美化されがちだけど、結果出てくるものって良くて平凡、下手すると状況を悪化させるようなものも多い……。ではどうするのか? というと、自分を疑うことから始めるわけですが、ただただ疑心暗鬼になっても仕方がないので、考える技術を哲学から学ぼう、と繋がっていくのですね。
その技術の学び方として、知識だけでなく「想像力」もセットで学ばないといけない、という話が面白かった。想像力とは、知識の使いどころや使い方のこと。
この学び方、小説書く人は結構日常的にやってる気がするんですよね。資料読みのとき、お話のどういうシーンで使おうとか考えながら読むわけなので。
そして、そうやって他の誰かの考え方をインストールすることで自分の中に他の視点を持った自分を持つことで、自分自身と対話できるようになる。一人だと対話できないもんな……。
後半はスマホで常時ネットワークと接続される時代に、どうやって「自分の時間」を取り戻すか。エヴァンゲリオンの加持さんがスイカを育てているシーンを引用して〈趣味〉を持つこと、趣味を通して孤独になること、孤独の中でもやもやと向き合うこと。
これやっぱり私としては「小説を書くこと」なんですよね! あ~、書きたくなってきた~! 連続して書きたくなる本に当たったの、そういうタイミングなのかもしれないな。

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2024年02月15日

Posted by ブクログ

今自分がモヤモヤしてた部分を文章で表現して頂いた感覚が強いです。まさに孤独を避けるためにソーシャルな部分に没頭することで避けてきた感じがあります。一方でわ自分と向き合わないと、仲間といい話もできないんですよね。自分と向き合う時間を意識的に増やしつつ、仲間との時間を楽しんで行こうと思いました。良い本でした!

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2024年01月28日

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自分自身への過剰な関心は、自分の中にあるたくさんの声を押し殺して、自分の中にある対立や矛盾をなかったことにして、「今の自分が自分の声だと思っているもの」を増幅させかねない。
現代は孤立がないため、孤独になれない、孤独とは自分と自分が対話するために必要なものであり、寂しさのせいで、快楽的な娯楽で感覚を麻痺させて、孤独の暇をなくしている。孤独は自分自身の対話を通して自己を作り上げていくプロセスともゆえる。
好意と敵意のいずれも、寂しさの現れであり得る。

もっと感情を働かせるために、そしてもっと自分らしく感じるために、私達は接続する。ところが、どんどん接続しながら、私達は孤独から逃避している。そのうちに、隔絶して自己に意識を集中する能力が衰えていく。ひとりきりで考える習慣がないと、自信をもって堂々と自分の考えを話題にのぼらせられなくなる。協調する力がつちかわれない。革新も生まれない。それは常時接続によって衰えていく、孤独を味わう能力を要するものだからだ。
(シェリー・タークル)
寂しさに振り回される時、人は一人ぼっちだ。自分の心から多様な声が失われ、たった1つの声だけを発する一枚岩の人間になってしまう。一枚岩の人間は、自分の中の目立った声を反響させて増幅し、自分の内面ばかり気にするか、他者の声に飲み込まれそれを「自分の声」と同一視してしまう自体になりかねない。寂しさは他者を求めているようで、実際には自分が依存したり都合よく扱ったりできるような限りでの他者を求めているという点で、自分への強い関心の延長線上にある。スマホが可能にするマルチタスキングや諸々のつながりは、こうした自意識を刺激し、増大させるところがある。

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2023年11月10日

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ネタバレ

・スッキリは老廃物だけでなく、苦い良薬まで一緒に排泄してしまう。あなたの人生の栄養になるようなものが、下水に流れていってしまう(東畑開人)
・一問一答で動いちゃいねぇんだ世の中は!(カイドウ)
・私たちがするべきなのは、自分なりに理解することではなく、その人の概念やシステムを使えば、景色がどんな風に見えるのかを把握すること
=ある知識をどんなノリで使っているかという想像力とセットで学ぶこと
・書き手の意図を追究するというより、書き手の提示した概念や思考パターンの可能性を追究していく辺りにこそ、哲学の見所の一つがある
・問題やテーマ、目的、そして相手や状況に応じて、適切な想像力を選び出せばいい
・他者の想像力を自分のわかる範囲に落とし込み、自分みたいな想像力に塗り替えては意味がないので、自分の中に多様な他者を住まわせることで豊かな想像力を持てる
・哲学を歩くときのしおり
①考えることにも練習は必要(すぐに結果を得ようとしない)
②使われている通りの言葉遣いをする(独自の使い方はしない)
③その哲学者の想像力に沿って読む(日常の語感を投影しない)

■常時接続の世界で失われたもの
・孤立…他者から切り離されて何かに集中している状態⇒マルチタスキングによる注意の分散により孤立が喪失

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2023年09月10日

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この本を読んで、すっきり!ああ!理解みたいにはなかなかならないと思う。
それこそが本書で言うような、ネガティブケイパビリティなのだと思う。
何度も繰り返し、考えて咀嚼する。

すごく好きな本だった。
例えはキャッチーなのに、急にずいぶん遠くのことを話したりする。
概念的な話と、具体的なことが行ったり来たり。
その緩急もよかった。

趣味とどう向き合うか考えた。
私は文章を書くことが好きだから、
こうやって読んで感じだことをちゃんと表現していきたい。
ここには、いいねの欲しさなんてない。
またまた公開しているだけ。

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2023年08月29日

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すごく勉強にもなったし、思い当たりグサグサ刺さる所もあった。すごくわかりやすく書いてくれていて読みやすいけど、難しい。わかるけど難しい。
スマホを手放せない。ならば、どのようにスマホ(他媒体にも)と付き合うか。「自分」と付き合うか。
色々な本、アニメ、映画を例に書かれていて、読む&見るをまだしていないものは触れたいと思った。
何となくだけど、バランスが大事なのかなぁと考える。まだまだちゃんと読み込めてないところがあるので、ゆっくり、何度も読もう。面白い。

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2023年03月20日

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哲学はすぐに分かるわけではないし、今の時代のインスタントを好む風潮では慣れ親しむのは難しい。スマホによる弊害はいくらでも叫ばれているがスマホが無くなることはなく、無くならないことを前提に考えなければならない。
孤独は決してダメなものではなく、むしろ孤独な中での自己対話によって自分の気持ちに向き合うことができる。自己対話によって寂しさを理解し得るのだが、その自己対話をしないことで寂しさの発露を外に求め、攻撃する。現代のSNSによる誹謗中傷はこれに通ずるのではないか?
たくさんの気づきがある本だった。

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2023年03月05日

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返事をするためじゃなく、相手を理解するために話を聞きなさい、と注意されたのを思い出した。スマホを一旦置いておいて、作る系の趣味に没頭する時間を作ってみようかなと思う

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2024年03月11日

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エヴァや燃えよドラゴンなどエンタメを引用してくれるので、その部分は引き込まれるし印象にも残るのだけど、話が前後したり逆説みたいな言い回しが多くて読むのが大変でした。

本書ではモヤモヤをすぐ解決しようとせず、とことんむきあうべきと主張されているのですが、一方で哲学を含めて他の人の考えをインストールすることも言われている。それこそインスタントなふるまいなのでは?とどうしても矛盾を感じてしまいました。
哲学を理解しようとしても、初心者にむけた『3分で〇〇』といったインスタント書籍が目立つからですかね。
モヤモヤとスッキリのバランスを取るのは難しいけど、とにかく本一冊読んだだけで簡単にわかったような気にならない、ということは意識してみようかな。

この書籍をテーマにした読書会で、インスタントなコミュニケーションの話題になりました。SNS時代はすぐ解決を導きたがるインスタントな人が多いわけですが、親・部活・上司など「教えるほうも」すぐに答えを与えてしまう行為はインスタントだよね。という話がなかなか興味深かったです。
「ウチはウチ!ヨソはヨソ!」とか「つべこべ言わずにやれ!」って理不尽でモヤモヤさせるけど、大事なことだったんだな。

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2024年02月16日

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毎日多忙でバタバタしており、急な休みはスマフォを触って虚しくなって一日が終わるという私の心情をまさに分析した本だと感じた。
また、なんだか居心地の悪さを生み出すモヤモヤこそが大切でということを知ることで、日常の生活においてメタ認知することに繋がってきた気がする。
特に孤独と趣味について、趣味が孤独を作り、その孤独が自己との対話を担うという点が特に興味深い。

個人的には筆者の筆致が優しくて、心地よかったこともある。

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2023年11月04日

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スマホにつなぎっぱなし、SNS見っぱなしでは、寂しさは募るだけ。一人で何かを作る趣味を持とう。
言ってることはどこにでもある内容だが、そこに至る引用(有名な哲学者からエンタメアニメまで)がなかなか読ませる。
いくらか、うーん?そうかな?って思うこともまた哲学書の醍醐味。

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2023年10月23日

Posted by ブクログ

だーっと話が進んでいくことに私の頭は追いつかなかったけれど、それでいいのだと思う。つまり、「感じた」ものがあった。映画「君たちはどう生きるか」を観た人の感想が二分されているのを興味深く思っていたけれど、その事とこの本は近いところにある。私のなかで。

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2023年09月11日

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行きつけの書店に平積みされていたことと、哲学者についての入門書よりも現代的問題を哲学的に解釈することの必要性を感じていたため購入。また、著者の谷川嘉浩氏が1990年生まれの若手哲学者ということで、『現代思想入門』の著者である千葉雅也氏のように、若い世代特有の新しい視点や価値観に触れられるかもしれないという期待もあった。

本書は、スマホを中心としたスマートデバイスがネットに常時接続されている現代社会を「スマホ時代」と表現し、そのような情報が氾濫する時代に生きる現代人が不確実な社会を生き抜く際の考え方や行動指針を、哲学的見地から平易な言葉で述べられている。

単に「脱スマホ」を説くのではなく、スマホによるネットへの常時接続生活は止められないと認めたうえで、著者がいうところの「ゾンビ映画ですぐ死ぬやつ」のようにならないために、2500年もの間蓄積された哲学の知見を"インストール"するという論調は若手らしく斬新であった。

「これからは不確定な時代だから、他人が言っていることを鵜呑みにせず自分のアタマで考えていかなければ生きてはいけない。だから哲学や歴史などの教養(リベラルアーツ)を学ばなければいけない。」という言説は巷にあふれている。
しなしながら著者は、不確定な時代だからこそ、2500年分の哲学の問題解決に対する知見を取り入れることで、可能な限り自分のアタマ"だけ"で考えずに哲学者の考えを踏まえて問題解決に取り組むことが必要であると逆説的に持論を展開する。

特に、本書の中核概念である「孤独」について、哲学者であるハンナ・アーレントが「一人であること」について提唱した「孤立(isolation)」「孤独(solitude)」「寂しさ(loneliness)」の3つの様式に基づきつつ、読者がイメージしやすいように「燃えよドラゴン」や「新世紀エヴァンゲリオン」のエピソードを用いながら孤独と向き合うことの必要性を説く論調は、若い著者ならではの発想であろう(ただ、個人的にはどちらの作品もあまり観たことがないので、作中の具体的な場面を想起しながら読み進められなかったのが残念だが)。

著者は、ゾンビ映画で死なない生き方を実践するためには、いったんコミュニケーションや刺激の波から距離を取ることで「孤独」を志向し、あえて対話やつながりを目指そうとしないことだとしている。そのことが、かえって適切な対話やつながりをもたらすのではないかというのである。
そして、孤独をつくりだす具体的な手段として、「何かを作ったり育てたりする活動としての趣味」を提示している。終わらない趣味を持つことで初めて、自分との対話が生まれるのだ、と。

ともすると、この論調は「スマホを捨てて独りで趣味に没頭すべし」と読者に捉えられかねないが、趣味とは単なる"気晴らし"のための刹那的で消費するだけの活動ではなく、予測不能な事態や納得できず"モヤモヤ感"が残ることも許容しながら、自分なりに試行錯誤していく活動であるとしているところが本書の特徴であろう。
そして趣味の中で立ち現れる"モヤモヤ感"に対し、結論づけずにそのままの状態で留めておく能力を「ネガティブ・ケイパビリティ」とし、他者を安易に"自分のわかる範囲"に回収することなしに他者の経験を理解したり、未知を学んだりするときに必要な能力であるとしている。
これは言うまでもなくこれからの不確定な時代を生き抜いていくうえでの必要不可欠な能力であろう。

本書は全体を通してプラグマティズム的アプローチを採用しながらも、ニーチェ、パスカル、ルソーなどの古典的哲学者の重くて深い言葉だけでなく映画やアニメのセリフも引用し、時にはスティーブ・ジョブズの名言すら批判するスタイルなので、ある意味軽快で読みやすい。
しかしだからといって内容も軽いというわけではなく、"イイ感じに答えをすぐ教えてくれるAI"との対話が圧倒的に増えていくこれからの時代に、自分自身との対話の時間を確保するという本書の提案は、むしろとてつもなく重く困難に思えてしまう。

ネットやスマホに依存する"繋がり過多"の現代社会を生き、そして人との関わりや働き方など根本から考え直さざるを得なかったコロナ禍を経験したからこそ、本書は"自分自身との関わり合い"について再考するきっかけとなった。
また、「自分の内なる声に従え」「答えは自分の中にある」といったフレーズにみられる自己完結的な思考に陥るリスクについて知ることができたことも、折り返し地点を過ぎた残りの人生を生きていくうえで大きな収穫だったといえる。

あえて時間に追われて多忙な(もしかしたら多忙を自ら作り出しているだけかもしれない)すべてのビジネスパーソンに勧めたいと思える一冊であった。

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2023年07月12日

Posted by ブクログ

スマホが手放せない現代人の抱える問題点を、歴史ある哲学の視点からアプローチしつつ、ゾンビ映画、エヴァや、燃えよドラゴンなど、エンタメ系の喩えを引用しながら理解を促している。
孤独、といってもこの本の中での孤独の意味合いは少し異なっているのだが、孤独の必要性、大切さ、自己との対話の重要性を説いている。
やや難解に感じたが、読んで良かった!!と思える読後感。本で提唱されている、こういう問題について考え、向き合うの大事だよね、と思えた一冊でした^ ^

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2023年06月22日

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ネタバレ

私にはちょっと難しい内容だったけど、スマホ悪!てなわけでもなく、どのように共存していくか哲学的に書かれていて良かった。

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2023年06月07日

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ネタバレ

スマホから得られるインスタントな刺激、スタンプを交わしあうライトなやり取り、暇つぶしがより一層退屈や寂しさを加速させ、どうしようもない承認欲求が肥大し…あーーーあるあるですよね...という問題と向き合うにはどうしたらいいのか、というおはなし。

ゾンビ映画や燃えよドラゴン、ヱヴァンゲリヲンなど例に挙げられるものが親しみやすく、それでいて哲学者やその考え方についてもしっかりと紹介されていてここから冒険をはじめるのにぴったりな本だと思った。

また、哲学に対する姿勢として自分なりの解釈はするな、ちゃんと正しく受け止めろ、とあったのが印象に残った。おそらくこれは哲学だけでなくなんでもそうで、受け取ったものを咀嚼するのと曲解するのはちがうのだよなという当たり前のことを再認識。...果たして私はちゃんと受け止められているんだろうか、とおもいつつ。

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2023年05月06日

Posted by ブクログ

・教養は、その場で処理できる程度の娯楽や刺激ととらえられてしまっている。

・現代人は、ゾンビ映画ならすぐに死ぬようなタイプばかり。目先のことだけで判断したり、分かったような事を言う。

・満足できるまでに時間や労力のかからないものばかり蔓延していく。前提知識がなくても、誰でも「すげー!かっけー!いいね!」と言えるようなものばかり。

・景色を見たり、周囲の音を聞いたりするダウンタイムがほとんどない。

・孤独とは、自分と自分自身との対話。

・心の痛みを感じるべき時に、感覚を押し殺さないように。

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2023年04月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ゾンビ映画や、ブルース・リー、エヴァンゲリオンなどとっつきやすい引用で、哲学を“観光案内”してくれる良書でした!スマホがもたらしたものは、延々と続く手のひらのマルチタスクの連続で“快楽的なだるさ”に見を委ねてしまうこと。常につながり“孤立”しないために、自分と対話するために必要な“孤独”な時間を失い、寂しさを覚えている。そんな中、哲学とは、先人の想像力をそのまま(解釈を加えず)インストールすること。自分の中に“自分みてぇなやつ”しかいない状態はいちばんやばい。不可欠な“孤独”な時間をつくるには“趣味”をもつといい。それはなにかをつくる時間のこと。容易に説明しようとしてくれているがどこか難しく、腑に落ちたのかわからないところもあったが、「ドライブ・マイ・カー」の例をトレースすると腑に落ちることが多かった。「ワーニャおじさん」の多言語演劇を演出する、という“趣味”を通して、“孤独”に自己と向き合う時間を持つ。それは妻を失ったことへの“喪の作業”で“正しく傷つく”ために必要な時間だった。スマホを捨てよ、とは決して言わない。スマホを持ちながら“孤独をめぐる冒険”をしよう。この本はそう言っている。

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2023年04月05日

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 考えられた文章なのにすっきりと伝わってくる文章力に「著者さんすっげ〜」となった。
 まず難しい文章をそのまま受け止めるという考え方だ。その反対として、自分の理解できる部分だけを都合よく吸収する方法で「理解する」ことを示す。それは自分のすでに持っている考え方を再確認するだけに終わってしまう。新しい知識がザルを通る水の如く抜け落ちてしまう感覚だろうか。
 普段は情報はそこらじゅうに溢れているから、情報を自分好みにバイキングすることが当たり前だと思っていた。哲学ではそうではないらしい。
 続いて「趣味」の話。パスカルを現代語訳した内容が刺さった。「いえーい。趣味です」と他人に認めてもらうため、自慢するために趣味をする人、またそのような人を「またやってる」と非難する者を愚かものと呼ぶ。人間の心理を見透かした言葉にぐうの音も出なかった。著者の例えは、「スタバでフラペチーノを買うのはスタバで消費する自分を買うためである」って、潔く認めるしかない。例えが的確すぎて降参!
 3つ目、「パレオ・ファンタジー」、「デジタル・ミニマリズム」など正当性を持たせるための極端な意見にツッコミを入れられる視野。そういう言葉に出会っても、よく理解しないまま読み過ごしてしまう。批判的に捉える力って日常のどこにでも潜んでいるのだろうか。
 最後に、自分の内面を一枚岩だと思い込むこと。この危険性は、今の自分が想像した理想以外を排除してしまうことだ。最近その一枚岩が通用しないことを自覚したばかりだったので、重々胸に刻んでおこうと思った。自分の意見が一番だと周りの声を全てノイズと思って、相手に対して斜め上に構えたり、驕った見方をしていることを自覚しつつ、生活すれば幾分も過ごしやすくなるに違いない。
 全体の感想としては、目から鱗というような突飛さはなく、鋭いツッコミはあるものの基本的には「一緒にモヤモヤしようぜ〜」と地に足がついた提案に終始納得させられた。

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2023年04月02日

Posted by ブクログ

孤独と趣味をかけ合わせる考え方はなるほどなと感じた。デジタルデトックスをしろとか、そういう単純な話じゃないところが面白かった。

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2023年03月25日

Posted by ブクログ

「常時接続の世界」において、スマホから得られるインスタントな刺激によって不安や寂しさを埋めようとし、他者への関心を持てずに自分の中に閉じこもる。そうした現代人の特徴を炙り出すとともに、自分のための趣味や楽しみを追求することの重要性を問い直す。読んでいてウッとなるけど、反省とともに光が見える一冊です。

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2023年03月05日

Posted by ブクログ

「孤独」とは何か、その向き合い方について書かれており、まさしく常時接続の世界で生きている自分は、耳が痛くはっとさせられました。
世の中に対してこんな見方・考え方を持っている人がいるのかと驚くばかりでした。

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2023年02月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

スマホ社会にあり、今の私たちはどういう状況であるのか、どのような問題が起きるのか。そしてその中でどのように生きることができるのか。
哲学者やエヴァから引用して、私たちに今できることが語られている。
孤独の中で、自分と対話すること。謎を謎のまま、未消化のまま存在させること。そこから感じられる自分の多面性に気づくこと。そういった目で世界を見ることで、自分本位の他者としてではなく、尊重し信頼し合う他者との関係が築けるのではないかということ…。SNS社会に振り回されないでここまで賢くいられる人がどれだけいるだろうか。完璧に律するのは難しく、バランスなのだろうけど、覚えておきたい。
自分本位になりすぎることへも警鐘を鳴らしている。自己を過度に中心に置き他者を排除した先には、結局自分に都合の良い考えに辿り着くのみ。謙虚さを忘れず、先人達の知恵も借りよう。自分に他者を住まわせるってすごくいい考え方。勉強するって大事だな。
自分の退屈をスマホを使って注意を分散させて、思考すら散逸させている、という指摘は尤もで、耳が痛い…。安易にスマホに逃げるな、ってことですね。

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2024年06月09日

Posted by ブクログ

途中エヴァの話は興味があまりなかったのもあるからなのかよく分からなかった。意識してSNS退会したり、ネット検索しないようにして以前よりはマシになったけどYouTube利用時間はいまだに長いと感じてるので減らしていきたい。みんながデジタル生活してる中、アナログ生活へ逆行していこう。

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2024年04月13日

Posted by ブクログ

個人的に著者のことが好きになれなかったのが残念
やっぱり好きな人の言葉のほうが刺さると実感できたのは良かった

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2023年10月09日

Posted by ブクログ

んー、なんだか言われてることがなかなか頭に入ってこない本。簡単に割り切るなという主張をしてるからだろうか。
寂しさ、スマホでそれを埋めて依存してしまう、作る趣味をもって内面を掘り下げよう、そうすれば自信や信頼が得られるよと、そういう話。
自信を持つことと割り切ることや自己完結することの違いをもっと掘り下げて欲しかった。実は書かれてたのかもしれないけど。簡単に答え、誰かの考えがインプットできる時代、安易にコピーするつもりはなくても自分で掘り下げるのが難しいこともあると思うが、あり方にどんな違いがあるのだろうか。

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2023年08月26日

Posted by ブクログ

未熟すぎてちと難しくいってんなーと思った。
といいつつ、それが哲学なんやろなぁー。
言ってることがわかるような、わからないような、、そんなモヤモヤを抱える、
それが著者さんの狙いなんだろうねぇ

エヴァ:みんな寂しさを抱えている
この寂しさは、他人には、埋められないもの。埋めようとすべきでないもの。
スイカを育てる行為:自分と対話ができる時間を作る
ドライブマイカー
趣味について、自分で管理できるような、長期的に扱う必要があるモノをやってみようと思った。

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2023年04月11日

Posted by ブクログ

Twitterのフォロワーさんが紹介してて興味持ち、購入。

常時スマホなどで繋がる中で、孤独になるにはどうするかというのが主たる点。要所で入る過去の哲学者のメッセージが(著者も突っ込むが)痛切に感じた。

本書が面白いのは、哲学者に留まらずアニメなども交えて話を展開しているところと思う。エヴァンゲリオンの加持さんのスイカ栽培を例に、何かを作ったりするという趣味を持つことの大切さを訴えていくのがとても印象的だった。

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2023年03月14日

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