荒木あかねのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ無人島・徒島にある海上コテージを訪れた友人同士7名。樋藤はリンチに遭った先輩の復讐として他の6人の殺害を計画していたが、自身が手を下す前に友人たちが惨殺されていく。第一部では徒島での事件。第二部ではその3年後に大阪を舞台とした事件が語られる。
すごい物語だった。第一部は本格ミステリっぽく、徒島の地図、海上コテージの図が描かれていて、『そして誰もいなくなった』、『十角館の殺人』を想起させるような設定。それでいて、殺人を計画していた樋藤が探偵側に回るというまさかの状況となる。正直第一部の設定と展開だけで一冊作れるんじゃないかと思うんだけど、どんどんどんどん人が死んでいって、九城を名乗った漁師が犯人だと判明し、そいつの指を食いちぎって樋藤は海へ身を投げる。
死体の第一発見者が連続して殺されていくという状況に対しても、理論的に納得のできる説明がなされ、またそれが友人を想うが故というのもなんとも言えない。なぜ舌を引き千切られていたのかについても、過去のリンチ事件と全く関係のない答えが用意されていて、九城への疑いを全然抱けない展開だったのもすごい。
そして唐突に第二部が始まり、舞台も大阪に変わる。
大阪市のクリーンセンターではたらく横島真莉愛は、いつものゴミ収集作業をしていると、バラバラ死体が入った袋を見つけてしまう。大阪では第一発見者が次々と殺害されているという事件が起こっており、その連鎖に真莉愛は巻き込まれていく。
突然舞台も時間も変わって大阪での連続殺人事件にフォーカスが当たる。しかしそれを調査していくうちに3年前の事件との関連が見えてくる展開に引き込まれた。そして真莉愛と刑事の如子のバディ感は前作を思い出す。真莉愛は直情的で、如子は理性的。この復讐の連鎖のような物語の中で、如子が復讐について真莉愛に諭すシーンは印象的で、許せないと思うことは自然なことで大事なこと。でも決して独りよがりな感情で人を裁いてはいけない。この法治国家は数えきれない経験と議論の上で、さらに現在も議論を続けることで成り立っている。一部の最後で樋藤が「人が人を傷つけることを、正当化してはいけない」と語っている。復讐に走った樋藤が最後の最後に気付いたことが第二部でも語られ、復讐という動機が連鎖するこの物語で、この言葉は染み入る。
真相が明らかになってからのラストシーンも劇的で、これも前作を彷彿とさせるような展開だった。序盤の引きからラストシーンまで夢中になって読み進められる読み応え抜群のミステリだった。 -
Posted by ブクログ
もうすぐ隕石がやってきて、地球が滅亡する。
そんな世界で発生した殺人事件に、特異な女性バディが挑む終末ミステリーでした。
私は、SFならまだしも、ミステリー作品を読んで「この世界にいってみたい!」と思うことがこれまでありませんでした。そう思ったのは本作が初めてです。
どうせもうすぐみんな死ぬ、という世界設定が魅力的なだけでなく、そんな状況の中で生きる人々の葛藤や信念、選択には心動かされるものがありました。
捜査がどんどん進み登場人物が増えていく展開の良さ、荒れ果てた世界なのにため息が出るほど美しい壮観の描写は、何度でも味わいたいほど痛快でした。
デビュー作で江戸川乱歩賞を受賞した荒木あかねさん。本作を読んで大ファンになりました。2作目の「ちぎれた鎖と光の切れ端」も読んでみたいです。 -
Posted by ブクログ
無人島のコテージで次々に行われる連続殺人。
コテージでの殺人計画を実行する為に、友人たちと旅行へ
そこで、起こり始めた計画外の殺人。
淡々と1部が殺人が起こり終結していくストーリー。非常に読みやすく面白い本でした!
そして2部は1部での登場人物との関わる人々が次々に登場してストーリを進めていく。
人は絶対に人を殺してはいけない。
殺されていい人などいない。
警察官が言った言葉で記憶に残っている一文。
善人が殺された時の殺人事件と前科持ちが殺され時の殺人事件。前者の方を一生懸命に行う警察官は信用されない。殺人事件には変わりがないのだから…
という内容を読み、仕事は違えど何に対しても一生懸命に働く警察官。かっこよかったです! -
Posted by ブクログ
えぐおもしろかった。
直近で読んだ夕木春央さんの『方舟』の作品のようだなという印象を受けました。あまり本を読んだことない私なので、閉鎖された状況で犯人がわからないままの連続殺人という設定はよくあるのかな?と思いました。
ただ、本作品は犯人視点で物語が始まったので、ん?犯人ここにおるやんって思いました。しかし、そんな矢先に殺人が起こり、おっとおっとまじかね、と思っていたら、その後の展開があまりにもすいすいと進んでしまうので、まだ半分も読み終えていないのに物語終わってしまうのではないか?と、この後何が綴られていんだ??と思いました。
2部構成になっている本作品は、第2部で主人公が一転してお話が変わりますが、散らされたいくつかの伏線のような内容が私の想像を大きく膨らませて、第1部との繋がりに気づけたときなどは、とても楽しかったです。
1部も2部もクライマックスは、怒涛の勢いで読み進めました。タイムリミットが刻々と迫ってくるような、やばいぞと、鬼気迫る登場実物たちの気持ちが伝わってきて、私のページを捲る手も何故か時間に追われるように、早く読まないと、と焦りながら読んでしまいました。
たまにこれなんて読むのだろうという文字があったり、知らないお話が出てきたりした時は、あまりスラスラ読めませんでした。私の知らなかった世界に触れられたようで嬉しかったです。
解説を読んで、『此の世の果ての殺人』も近々読みたいなと思います。
荒木あかねさんの作品に出会えてよかったです。
2026.5.30-2026.6.21 -
Posted by ブクログ
前作は、そこまで刺さらなかったけれど、今作は私のど真ん中に刺さった。
二部構成の一部だけでも、ハラハラわくわく面白いのに、二部に突入したら新しいと思いきや、積み重ねていく感じと、徐々に繋がっていく感じ。
私、すごく好きでした。
なにか既視感あるな、と思う場面でも、進むにつれて違う側面が出てきたり。
二転三転では無い、二重三重の経過がとても面白い。
私は今まで、土地だったり仕事だったり、色々な事の説明文的な描写があまり好きでは無くて、適当読みしてしまいがちだったけれど、何故だかこの作品ではそんな事を感じなかった。
伝統だったり有名だったりなミステリを踏襲しつつ、凄く新しい、新たなミステリを読んだ感覚だったと思う。
荒木あかね作品のファンになった。次作が楽しみ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ・同好のSHE
憎いあいつを殺すために乗り込んだ夜行バスで財布盗難が発生。
疑われた私を嬉々として庇う女性の正体は?
・震える箱
「隣の女の貧乏ゆすりに腹を立てた」映画館で起きた傷害事件の真相に、“妙な被疑者”専門の取調官が挑む。
・置き去りイヤリング
東海道新幹線のパーサーが見つけた片方だけのイヤリング。
不可解な落とし物はある犯罪に繋がっていて……
・答え合わせ
雪の上で血を流していた継父。
彼の最後の言葉は、僕へのメッセージなのか、犯人を示すヒントなのか。
・おむこさんは殺人鬼
婚約者は連続殺人鬼?
ただの浮気者?
「困ってるなら話を聞くよ」元探偵のおばあさんとの隠密調査の結末は。 -
Posted by ブクログ
すべて 「だから捨ててと言ったのに」 という一文から始まる25編のショートショート。
1行目は同じでも作家さんによって不穏な雰囲気だったりファンタジー寄りだったり、話のテイストが様々で面白かったです。
お気に入りだったのは以下の作品。
重政の電池 / 荒木あかね
武士のような言葉を話す犬のお話…?と思いながら読んでいったらあれよあれよと展開が変わっていて、最後はなるほど…!と思いつつ心が温かくなる一編でした。
海に還る / 多崎礼
普段ファンタジーはあまり読まないけれど、読みやすく世界観に引き込まれました。
切なさの残る読後感も好みでした。
猟妻 / 谷絹茉優
真実を知ってからもう一度最初から読み直すと、何気なく読んでいた一文の捉え方も変わって二度楽しめました。
活躍されているバンドでは作詞もされているとのことで、歌詞を拝見したら言葉遊びがとてもお上手で驚きました。
タイトルの「猟妻」も別の意味がかかっているのかなと思ったり…!
指輪の幽霊屋さん / 最果タヒ
女性同士の特別な関係性の物語がとても好きなので、不穏な話が多めのこの本でこんな物語が…!?と嬉しくなりました。
こういう関係性、とても好きです。