いとうあつきのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
乙女の本棚シリーズから、横光利一さんといとうあつきさんのコラボ作品「春は馬車に乗って」です。なんともきれいな色使いのいとうあつきさんのイラストは、とってもステキです!
内容は、肺の病に侵され余命わずかな妻を看取る夫のお話です。病に苦しみ、夫にあたるしかない妻…夫も妻に振り回されながらも妻に寄り添い続けた結果、妻も自身の病を受け入れられるようになっていく…。最期は、妻に春いっぱい感じられるスイトピーを抱かせ、「この花は馬車に乗って、海の岸を真っ先きに春を撒き撒きやって来たのさ。」と…。
「キューブラー・ロスの死の受容」というものがあります。「否認 怒り 取引き、抑うつ、受容」…この5段 -
Posted by ブクログ
横光利一、初めて読む作家。病気治療中の妻と、それを支える夫の、静かな日々の話。
締め切りのある仕事を抱えながら、もっと構って欲しがる妻の看病との両立でいっぱいいっぱいになり、時おり衝突しながらも支え合う姿は、第三者である読み手の私たちの目にはそれでも仲睦まじく映る。
部屋から見える庭の松の葉、鈍い亀、ダリヤの球根、野の猫、水平線、遠くの光る岬。それらすべての情景描写が美しかった。
春がくるということが、これほどよろこばしいことのように思えたのはずいぶん久しぶりな気がする。
「まア、じっとしてるんだ。それから、一生の仕事に、松の葉がどんなに美しく光るかっていう形容詞を、たった一つ考え出すのだね -
Posted by ブクログ
小学生にしてはちょっと冷静すぎる翔。友だちの涼も大人っぽく冷静。
二人の日常にちょっとした事件が起こり、二人で解決していく。
翔には最近、時間差で音や声が聞こえる現象が起こるが、このことが事件解決のきっかけにもなるの。
視覚と聴覚の時間差、人には聞こえないことが聞こえるということか。
事件解決後に翔の父親が動物園で語った言葉が印象に残った。
「正義っていうのは、守るものがあってこそで、何を守るかによって、正義はかわってくる。」
同じ事象でも見る側によって全く反対になってしまうこともある。
何が正義かなんて軽々しく言えないと改めて考えさせられた。
こういうことを子どもに語れる大人って大事だ。
翔