いとうあつきのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
乙女の本棚シリーズ。
タイトルやピンクの背表紙から、明るいお話を想像していましたが全く逆。結核を患い死期が近づきつつある妻と、それを支える夫の、閉塞感の漂う暮らしを描いた作品でした。
病で気が滅入り、夫に当たってしまう妻。それを受け止めるしかない夫。そんな事、言わなくていいのに⋯と思ってしまいますが、体が辛く更に治る見込みも無ければ、お互い心が荒むもの仕方ない事です。最後の明るさは、妻の体が楽になったという事なのでしょうか。
初めて読む作家さん、初めて見るイラストレーターさんの作品でした。苦しい内容ですが、表情のない男女のイラストがよく合っていました。
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Posted by ブクログ
初めましての作家さん。
美味しい物語を書かれているようです。
ちょうど、そういう感じの物語を読みたかったので手に取りました。
サーカステントにキッチンカー
シロクマのようなシェフと
猫のようなギャルソン(2人は兄弟)
マダム ウイが亡くなったと知らせが来た。
彼女との約束を守るために「翁」を探す旅に出る。
旅先での人々との出会い。
美しい芸術作品。
美味しい料理。
フランス料理は全く詳しくないですが、目一杯想像して、
芸術も詳しくないですが、螺鈿の重箱が美しいのはわかります。
そんな感じで想像して楽しんで、美味しい料理と人との出会いで、心が温まる時間をもらいました。 -
Posted by ブクログ
サーカスのテントのような移動式の
不思議なビストロを舞台にした
ほっこり美味しい連作短編集。
料理の腕はいい兄と、経営手腕のある弟。
ふたりの定番の掛け合いも良いスパイスだ。
兄の独立を援助してくれた謎の老人を探して
援助してもらったという人たちを
訪ねて歩くロードムービー要素が「横糸」
でも、仕事で忙しくて疲れたOLや
彼女の好みに合わせようと
背伸びしている青年や
夫婦関係に悩む男性などなど
たくさんの人々の心とお腹を満たす
いつもよりちょっと手の込んだ一皿が
登場するのです。
そうして縁をたどっていった先に…。
うーん、やっぱり素敵なビストロ。