いとうあつきのレビュー一覧
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2021年講談社児童文学新人賞佳作。会話文が広島弁とこてこての大阪弁なのは、作者が広島生まれで、大学が大阪だったからだろう。私にとって馴染みのある言い回しはすっと入ってきて、読みやすかったし共感性が増した感じがする。
多発生硬化症を発症した映画好きの従兄弟がポツンともらした「観たいな」の一言から、映画を探し出し、尾道から京都まで強行突破の日帰り旅行を敢行するイルキ。同行は大阪から引っ越してきたハジメ。彼らを取り巻く日常はさらりと表現されているためか、2人の感情面がより浮かび上がっているように思った。
大切な友と出会えて、冒険してしまえるのも10代。大人とは違う見方、彼らからではの視点、、、昔を -
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ここは、天空遊園地まほろば。もう会えなくなってしまった人と再会できる、そんな遊園地。
王様のブランチの本のコーナーで特集されていて気になって手に取りました。最初の説明が全てで、亡くなってしまいもう会えない大切な人、その人に会うことができるとしたら。というお話。5つの話の短編集。事故で突然亡くなってしまった父親、付き合っていた元彼、親孝行もできないまま亡くなってしまった父親、突然亡くなった親友(お笑い芸人で元相方)、戦時中に亡くなった兄など主人公もそれぞれ違うのでそれぞれに感情移入できた。読みやすいし、これは中学生とか若い子にも読んで欲しい作品だった。個人的には3作目の親孝行の話が好きかな。親 -
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『あなたが、最後に会いたい人は誰ですか?』
私が最後に会いたい人は誰だろう?
ただ、ここでいう最後に会いたい人というのは、自分が死んだ場合で、自分の死を知らない人に限る。そうなると会いたい人なんているのだろうか?
この物語は、現実にはあり得ない話である。3章からなる連作短編集で、それぞれの登場人物が死んだ時に案内人が現れ、最後に会いたい人は誰かと問う。そして、最後の1日に会いたい人に会わせてくれるのだ。
どれもこれも素敵な物語。案内人の谷口に、後輩の佐久間が『ハッピーエンドとアンハッピーエンドの物語、どちらが好きですか?』と問うのだが、私はやっぱりハッピーエンドの物語が好きだ -
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『ルドルフとイッパイアッテナ』の斎藤洋さんの著書。
都合の良い話や、たいしてドキドキしない事件など、盛り上がりに欠ける印象が後半まで続いていましたが、ラストで全てが伏線だったことがわかり感心しました。
帯の「見えること、見えないこと そのはざまでもの思う少年の日々」という一文に、目に見えるものが全てではないというテーマを期待しましたが、まさかの心霊が見える友達が出てきて、見えるってそっち?と少し期待はずれ。
でもそれも含めて、最後に色んなことがつながる楽しさがあります。
ミステリーとまではいかないけど、児童書としては子どもにはよいかも。