あらすじ
第62回講談社児童文学新人賞佳作受賞作、待望の書籍化!
●主な内容
広島県尾道市に住むイルキは、親戚から"イルちゃんは、せいちゃんにひっつきもっつき(人にべったりくっついて離れない)じゃのう"と言われる中学一年生。
しかし大好きないとこのせいちゃんは、多発性硬化症という難病にかかっており、体だけでなく心も弱っていた。
そんなせいちゃんがある日、「映画が観たいのう」とぽつりと漏らす。だがせいちゃんは、頑なに映画のタイトルを言おうとしない。
せいちゃんの望みをかなえてあげたいが、しかし──もやもやを抱えたイルキは、大阪出身の大人びた同級生・ハジメと知り合う。
ハジメの力を借りて、どうやらその映画はせいちゃんが大学時代に作っていたものではないかと突き止めるイルキ。
しかもその映画はいま、京都で上映しているらしい。
少ない軍資金。何やら事情があるらしい同級生。不安と期待を抱えた二人の、京都までの旅が始まる!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
主人公のイルキがいとこの零した願いを叶えるべく、
中学校の同級生のハジメと、尾道から京都へと目指すお話です。難病で一日を家で生活するいとこが以前つくった映画を見つけるために、イルキとハジメがお互いを尊重し助け合う姿が本当に素晴らしかったです。
岡山弁と関西弁で最初は戸惑いましたが、段々愛着が湧いてきて会話のテンポも心地よくなりました。また、方言がキャラにしっかりと馴染んでて個性を作っていたと思います。いつの間にかに夢中になって読み進めていました。イルキとハジメ、この2人が大好きな登場人物で、また読み返したいと思う作品です。
Posted by ブクログ
2021年講談社児童文学新人賞佳作。会話文が広島弁とこてこての大阪弁なのは、作者が広島生まれで、大学が大阪だったからだろう。私にとって馴染みのある言い回しはすっと入ってきて、読みやすかったし共感性が増した感じがする。
多発生硬化症を発症した映画好きの従兄弟がポツンともらした「観たいな」の一言から、映画を探し出し、尾道から京都まで強行突破の日帰り旅行を敢行するイルキ。同行は大阪から引っ越してきたハジメ。彼らを取り巻く日常はさらりと表現されているためか、2人の感情面がより浮かび上がっているように思った。
大切な友と出会えて、冒険してしまえるのも10代。大人とは違う見方、彼らからではの視点、、、昔を思い出しました。
Posted by ブクログ
男たちの友情にフォーカスされている気持のよい話
途中まで主人公の性別がわからなかった(挿絵からだいたいわかるが)
難病あり小さな旅ありどつきあいありと要素を並べてみるとコテコテだが、方言と映画がアクセントになっている
ハジメがいやに大人びているのが若干ご都合主義感はある
ラストは唐突に感じたが、やさしい気持ちが受け継がれるという描写と考えれば必要といえる
Posted by ブクログ
難病のいとこが小さく呟いた願いを
拾って、握りしめたイルキくん
関西出身のハジメくんと、青春18切符の旅に出る!
めっちゃ岡山弁満載!!!+関西弁
馴染みのない人は、脳内でどうやって再生されるんだろう?こてこてのイントネーションで、ぜひ!!
Posted by ブクログ
児童書。
多発性硬化症になった従兄弟のせいちゃんのために、観たがっている映画を探し当てて届けたイルキ。
方言がうまく使われていて、温かい気持ちになった。
「ヒッツキモッツキ」って、可愛すぎて日常使いしたいくらい。
Posted by ブクログ
映画を、大切なものを、見つけに行こう。
イルキのいとこ「せいちゃん」は難病を患っている。ある日、せいちゃんが映画が見たいと言った。配信でもやっていないその映画のDVDを手に入れるために、イルキはハジメと一緒に京都を目指す。
父が心を患って、母の故郷である尾道に移ってきた、大阪弁を忘れないハジメ。2人で青春18きっぷを使って尾道から京都を目指す。イルキの父のわかったような態度が印象的。たどり着いた京都と、出会えた監督。みんな何かを抱えて戦っている。だから相手がしんどいときには、寄り添うのだ。それだけでいい。