いとうあつきのレビュー一覧
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同シリーズの従来作にはない、イラストと文学の融合の仕方だった。最初のページから、ウィリアム・モリスを連想するような装飾性に引き込まれた。色彩の鮮やかさも、同シリーズの中で際立っている。屹立する巌に向かって、ハルロオと呼びかける、その情景の豊かさ、ページをめくるたびに違った表情をもって現れる。
同シリーズはこれまで、名作古典文学の文章と、それにどう関係するのかわからないイラストレーターの趣味のようなイラストとが、ただ併存しているように思えるものが多かったが、本作は、両者がきちんと融和して一塊となり存在していた。文字の色や配置にもデザイン性が高い。書籍のデザインとしてとても良い一冊でした。 -
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ネタバレ去年の「天空遊園地まほろば」が素晴らしかったので、今年も続編が出ると聞いて楽しみにしていました。
今回は4話の短編でしたが、どれも素晴らしくて目頭が熱くなりました。
・記念日のスケートリンク:主人公はテレビ局のプロデューサーで毎日毎日忙しい日々を送っていたが、あるとき、自分が企画した番組が大ヒット。いちやく局を代表するプロデューサーになった。プライベートでも結婚して子供ができて幸せな日々を送っていたが・・・
・ヒーローの急流すべり:主人公は看護師免許はあるのに無職の女性で実家で暮らしていたが、主人公の姉が実家をリフォームすると言い出す。自分は実家から追い出される恰好になってしまって・・・
・宇宙への観覧車:主人公は中学生でSF小説を教室で読んでいてみんなとはうまく交流できていない。また主人公は宇宙に興味があった。教師の中で話が合う先生が一人いたが、その先生は突然学校を辞めてしまう・・・
・ペンフレンドのフラワーガーデン:主人公は日本をこよなく愛するフランス人女性で、20年前から日本語の勉強をして自身の日本語力を上達させるために日本人女性と文通をすることになった。実際に日本へ旅行していろんなものを見て食べて、していた。20年ぶりに文通相手の日本人女性を探すが・・・
4話ともストーリーの展開の仕方が自分にはピッタリ来ました。エピローグの「念願の人と再会してからの永遠の別れ······その気持ちは、シチカにも痛いほど理解できる。自分もその辛さを経験したからだ。」っていうのは、去年の5話目の話のことですね。去年はシチカが見守っているよ、だったのが今回はすみれが見守っていくということでストーリーは終わります。
素晴らしい作品でした。今年読んでて良かった小説です。 -
購入済み
あ〜あ、すっきりした!
読後のすっきり感はぜひ子ども達に読んでもらいたい本の一つになっていると思います。
小説家としてのデビューとさらには「2024年ちゅうでん児童文学文学大賞」の受賞、ほんとうにおめでとうございます。教壇に立って子ども達の成長を見守ってきた経験が生きているとはいえ、読んでいる途中で「よく書けているなぁ、うまいこと表現するなぁ」と思いわされてしまいました。尚俊君が聞いたらきっとびっくりするのと同時にとっても喜んでくれることでしょう。
大人になってすました顔をしていたり、偉そうにしているたり、しわくちゃになっていても人はみんな子ども時代があるもの。あの時代に散々たくさん失敗して持った辛い気持ちや負の気持ちを経験しています。その中でナオコがああやって乗り越えたり、人との関係を作って成長してくれたのをみると、自分ができなかったことやりたかったことをして成長していってくれて、ほっとしてすっきりした読後の感想が残りました。
これから成長していく子ども達には、現実ではたくさんうまくいかないことがあるけれど、ナオコのようにできることもあるんだという経験を小説の中で経験してほしいと願います。
ぜひ一人でも多くの方に手に取って読んでもらいたい一冊です。
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黒塗りのキッチンカーとフェンス上のイルミネーションに囲まれて、生成色と水色のサーカステントが六つ
サーカステントの内装もふかふかした毛足の長い花かご模様の濃紺の絨毯につやつやしたアンティークのテーブルと椅子、テントを支えるポールにはシャンデリア、目を惹く絵画に大小のランタン
そしてなんといっても素敵なお料理…♡
ハーブを詰めたファルシ
サーモンのタルタル
ブルーチーズとくるみのポテトサラダ
心が満ち、お腹も満たされたら憂き世のなかでも乗り越えていける
それがビストロつくし
素敵なお話とともに一文字一文字噛み締めたくなる料理の描写が最高!!
さすが料理を作品に取り入れることが多い作者さま✨
でもね…
私としてはおっとりマイペースなシェフコートと体型からシロクマを思わす侑吾としっかりとしてしなやかにギャルソンを務めるネコを思わす颯真のきょうだいの物語として推したい!!
似ていると言われることはないけれど、根っこが似ているきょうだい
本当に素敵なお話
オススメです!! -
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母親が酒とギャンブルで仕事をしない要さんに愛想を尽かして出て行った。
僕は、小学5年から学校も行かずに住所不定で借金取りから逃げている要さんと公園とか高架下とか、どこかの女の人の家を転々としながら生きている。
要さんは、本当の父であるはすだが、認知していないから苗字が違うようだ。
逃げた女の子どもだが、不憫だから一緒に居ると同居させてもらっている女の人に言う要さんに置き引きをして来いと言われるのは嫌だった。
ある日、当たり屋をしろと言われ…。
学校に行きたいけど言えないことやしてはいけないことを強要される辛さに嫌になる毎日だろう。
だが、財布を落としたおばあさんやラーメン店主は、少年の心の内をわかっていたのだろう。
勇気を出すことで変わってくる。
どうしても親が正しくて、信じたいと思うから一歩が進めないのだろうが…
悪魔が誰か、やっと気づいたから動けたのだと。
学校に通わず連絡のとれない子どもを『居所不明児童』という。
知らないだけで近くにもいるかもしれない。
それはけっこう多いのかもしれない。
声をあげなければ、それはわからないのが情け無いのだが、どうしようもないと済ましていいのだろうかと思った。
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Posted by ブクログ
一般書の小説では、居所不明児の出てくるものを読んだことはあるが、YA世代向けの本で居所不明児が一人称で淡々と自分の境遇を語る読み物は初めて読んだかもしれない。
ギャンブルで借金のある夫に愛想を尽かして出て行った母。実の父親なのに、義父として可哀想な子供を育てている設定で愛人宅に転がり込む無職の要。要の愛人。ろくな大人が出てこない。
学校に行かせてもらえず、父親と住む場所が転々と変わる一輝。自分の名前の漢字を忘れないように時々ノートに書く姿を想像するだけで切なくなる。
心の中の悪い自分と戦う一輝。どうしてこんな心優しい少年が辛い目に遭わなければならないのかと、読んでいてこちらも辛くなる。
世の中、悪い人たちばかりでないのが救い。
大人が居所不明児についての理解することはとても大切だけど、同世代の子供たちが、学校に行きたくても行かせてもらえない子がいることを知ることはその何倍も大切な気がした。