ゲーテのレビュー一覧
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中世ドイツのファウスト伝説をゲーテが独自の解釈を交え戯曲化したもの。
対照的な錬金術師ファウストと悪魔メフィストフェレスが、恐ろしくもどこか滑稽で、矛盾に満ちたやりかたで自らの生の意味を探し求める。
いま世の中にあるもののどれほど多くがここにルーツを持っているのだろう。何か途方も無い気持ちに襲われる。200年経ってなお親しみやすさと斬新なみずみずしさを湛えているのは圧巻である。
「光」≒「快活な理性の力」≒「神」 という図式のようなものは、日本にいるとどこか空々しいけれど、この世界でははまり過ぎるくらいである。それほど闇と混沌からのイメージの氾濫は激しく、光溢れる南欧への憧れという -
Posted by ブクログ
読めば読むほど味が出てきます。
「前狂言」の章で、大勢の人を楽しませるにはどうしたらよいか。それならいろいろな物を詰め込んでみればいい。そうすればきっと何かしら一つは好みのものを見つけてもらえる。とあるように、盛りだくさんの内容です。だからこそ1回読んだだけでは味わいきれず、ただすごいすごい、という感じで終ってしまいます。
さすがゲーテだけあって詩句も見所の1つです。訳者さんの腕もあるんだろうけども、切ない恋の歌から珍妙な魔女の詩までテンポもセンスもよく楽しめました。中でも「グレートヒェンの部屋」の章でグレートヒェンが詠ってる詩は格別です。
主人公であるファウストは私からすると -
Posted by ブクログ
ネタバレファウストとメフィストーフェレスの知識欲求の追求の旅は小世界から大世界へと舞台は移り変わる。話の展開がポンポンと変わりよくわからないところがある。ギリシャ神話の神々の会話には何がなんやらでとてもついていけない。相変わらずのファウストの無理難題な要求に対してぼやきながらも応えるメフィストのやりとりは楽しい。メフィストが契約完了によりファウストの魂を手に入れようとしたところ、天使たちが色じかけでメフィストから横取りして天国へと連れ去ってしまったが、悪魔以上にしたたかな悪魔だと思った。以下ネタバレ
第1幕 皇帝の居城に舞台は移り、国が乱れ国庫は底を突いていると歎いているところにメフィストが道化とし -
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「岩波文庫『色彩論』リベンジ」でもないけれど(?)、これも手に入れました。自然科学か否か、という分類はもはや気にならず、「文字にて書かれたもの」として対峙しようという構えにて臨みましたし、そういう意味では、岩波に接したときほどの敷居は感じませんでした。……で、私は、未だに(おそらくは生来)自然科学(の或る分野)には弱いんだなぁ、って、思い知りました。思い知ることができただけでも幸いです。プリズム分光器を作ったこともあるから、ちょっと自信あったんだけどな、その程度じゃダメか……。色々あれこれ「色ごと」は、大好きなのに。だから、これらゲーテの著作は大事にとっておきます。