あらすじ
生の意義を把握するためとあらば悪魔に魂を売りわたすことも辞さぬファウストにとって自己救済はいかにして可能だったか。――ゲーテ(一七四九―一八三二)は若くしてこの大作を書きはじめ、完成までにほとんど全生涯を費した。そして脱稿のあと「私の今後の生活は全くの贈物のような気がする」といって深い悦びを語ったという。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
この手の、社会の発展や人類の進歩への貢献活動に人生の意義がある、という結論を持っている人は実際多いと思う。年をとって、ああそのとおりだ、と本当に思えるか知りたい。
Posted by ブクログ
グレートヘンの悲劇から立ち直ったファウストは、
美を追究することで、生の意義を把握しようとする。
しかし、ヘーレナを追うことも悲劇に終わった。
美の追究ではなく、
その次に見出した、生の意義に、しびれる。
ついに、悪魔と交わしたあの言葉を発して、
ファウストは倒れる。
「留まれ、お前はいかにも美しい」と。
賭けにかったと思った悪魔が、
ファウストの魂を奪おうとすると、
天使の光がファウストをつつみこむのである。
最後、ファウストが望んだものには、迫力があった。
最後だけは一気に読んで、
感動の美しさに圧倒された。
たしかに年齢に見合った読み方が出来る一冊であり、
一読の価値がある。
世界の見え方が少し変わってくるような気がする。
Posted by ブクログ
ファウストの第二部。第一部に比べて世界観が広がり、さまざまな場所でさまざまな人種とかかずりあいながらメフィストフェレスのファウストに対する挑戦が繰り広げられる。キリスト教の世界観だけではなく、ギリシャ神話やギリシャの哲人たちも登場し大スペクタクルな作品になっている。全般を通して小説一般よりもずっと神話的な構成になっていて、不思議と本質的な描写につながっていると感じる。トインビーが歴史の研究の中で、ファウストを題材として歴史の「陰→陽」の構図を読み解いているところをみると、さらに深く読み込もうと決意してしまう。しかし文面は簡易でわかりやすいし、話もわかりやすいのでいろんな意味を含めて歴史的にすばらしい作品。
ファウストの最後の一言「このような高い幸福を予感しながら、おれはいま最高の瞬間を味わうのだ」
09/6/3
Posted by ブクログ
最愛の人との別れ、人と悪魔の新たな旅の始まり。
第二部は目まぐるしく移り変わる景色を美しく多彩な表現を用いて我々読者に示す、その事にただただ震えます。一部でもそうだったのですが、ゲーテの文章表現の美しさは素晴らしい。
二部では色んな人間との出会いがあり、一部の愛を知る事が重視されたのとは異なり一期一会の大切さとおもしろさを描いたのではないだろうかと思いました。一部に比べ実に多くの登場人物がそこにはいます、もちろん人だけではなく、ホムンクルスや怪物、神々の類まで。
途中からは自分の最愛の人を求めだす形になっていくがそれが最後に実を結ぶかどうかは読んでのお楽しみ。個人的にラストのオチの付け方はちょっと納得がいかなかったけど・・。
しかし、一部と二部の総量が多くて読むのに苦労した・・。
Posted by ブクログ
ストーリーは楽しく読めたが自分にキリスト教や古代神話・伝説の知識が乏しいので註釈を交えつつ読んでもなかなか理解し難いところはかなり多かった。
本を1冊読むのにも知識や教養が必要なのがよく分かる。
「時よ留まれ、この瞬間は美しい」のセリフを目に出来たのは感無量。うまく言えないけどストーリーをちゃんと追いながら有名なセリフを己の中でちゃんと回収出来たのは感動した。
Posted by ブクログ
内容を十分に楽しむには、キリスト教やギリシャ神話などに関する予備知識が、それなりに必要となる。
そのため、せいぜい註しか読まなかった自分が、この本について多くを語ることはできないし、するべきでもない。
しかし、気に入ったフレーズが一つあったので、初回記念に書き残す。
「自由も生活も、日毎にこれを闘い取ってこそ、これを享受するに値する人間といえるのだ。」
彼のいう、有為な年月や美しい瞬間は、私が理想とするものとは異なるかもしれない。
それでも私は、自分が求めるだけの自由や生活を闘い取らなければならないし、それは、他者との闘いというよりも、むしろ自己との闘いとなるだろう。私は基本的に、他者と争う人生を望まない。
全ては、私が前を向いて生きるために必要なのだ。
Posted by ブクログ
新しいタイプのプロレタリア文学です。無理難題をふっかけて、納得するまで金を払わないわがままなクライアント。それに翻弄されて右往左往する個人事業主。やっと報酬がもらえると思ったら、上から目線で売り上げを搾取していくお上。メフィストフェレスカワイソスと思ったのは、私だけではないはず。
Posted by ブクログ
ファウスト第二部は、第一部は全然分かりやすかったなーと思うくらい抽象度が上がっている。ファウストとメフィストフェレスの登場シーンはがくんと減って、さまざまな精霊が語る言葉のイメージに人間の悲劇を読み取っていくんだろうけど、雰囲気で読み流す。
様々な欲望は常に悲劇の道を辿る。真の喜びは人々の喜びのために尽くすこと。
そして女性性は赦しの象徴なのだろうか。
Posted by ブクログ
これを読み終わってからずっと後に気づいたことだけども、この小説からの引用とかパロディはなんと多いことか・・・!
そういう意味で、西洋の古典を読むなら基礎知識としてはずせない小説かもしれません。
この小説自体を楽しめなくても(名言も多くてメフィストのキャラクターもおもしろいので私自身は楽しめましたが)、「これを知っておけばいろいろおもしろいのが増えるぞ!」と思って我慢して読むのをオススメします。
Posted by ブクログ
ずいぶん前に読み終わってたんだけど、感想書き忘れてた。
そしてそのうちにどんな話だったか忘れてしまった・・・
なんとなく、面白かった記憶はあります。
Posted by ブクログ
どうせわからないだろうけど挑戦してみよう。と思って読み始めた一冊。思ったよりは読めたけれども、細部はきっと理解できていない。流れとしては楽しく読むことができた。
Posted by ブクログ
大スケール!幻想的というよりも幻想そのもの。
確かに劇としてこれを見たらすごいだろうなと思いました。
最後はメフィストがちょっとかわいそうでした。
ギリシャ神話を勉強してから読みたかったですね。
Posted by ブクログ
グレートヘンの悲劇からたち直ったファウストは次に美を追求することで生の意義を把握しようとして果たさず、最後に人類のため社会のための創造的活動によってはじめて自己の救済にあずかる…。
Posted by ブクログ
一通り読み終えても、この作品が結局のところ何を言わんとしているのかよく分からなかった。
頭で考えるだけじゃなくて、実際に行動し努力することが大切ということなのか。その行動や努力の方向が結果的に間違っていたとしても、正しいと信じて、あがいて苦しむことこそが「生」の意義。
ファウストという人物が人間的に特別優れているとは思えない。現状に満足できず、耐えず何かを求めて飢えている人物にみえる。いろんな意味で貪欲。
登場人物の中では、第二幕で登場するホムンクルスが好きだ。
Posted by ブクログ
???。これまで読んだ文学作品の中でも理解困難。何が理解しにくいかというと、1.登場人物、場面がイメージしにくい。2.場面がくるくると変わり、かつスピードが速すぎて、内容がつかめない。
Posted by ブクログ
この詩に、とても癒されます。
「花咲く草野に横たわり、疲れきって落ち着きなく眠りを求めている。
妖精の群、優しく小さな姿で、空中に漂い動く。
花、春の雨のごとく、みな人の上に舞い落ち、野に満つる緑の幸
生きとし生ける者の上に輝けば、
姿小さけれど、こころおおいなる妖精たちは、
救うべき人へといそぐなり。
きよらかなるひとにせよ、よこしまなるひとにせよ。
幸なきものを彼らは憐れむなり。
お前たちは、この人の頭を回って空中に漂っているが、
ひとつ、いつもの妖精の流儀でやってくれ。
この人の胸の恐ろしい苦悶をやわらげ
やけつくような厳しい非難の矢を抜き取り
その体験した恐怖から心を救ってやってくれ
夜にはおよそ四つの区切りがある。
さっそく、それを優しく満たしてやるがよい。
終に彼をレーテの河水のしずくでゆあみさせてやれ。
夜明けに近づくまで休んで、ちからがつくと、
引き攣って硬くなった手足もじきに柔らかになる。
こうして彼を神聖な光の中へかえしてやって、
妖精の一番美しい義務を果たすがよい。
風のそよぎ、ほの暖かく、緑つつまれし野辺に満ち
黄昏どき、甘い香りと、霧の狭衣を呼びおろせば、
いましら楽しき平和を声低くささやき、
心ゆすりて稚児の熟睡にさそえ。
かくてこの疲れたる人の眼に一日の門をとざせよ。
夜は早や地上にくだりぬ。星と星とは浄く寄り添い、
大いなる光、小さき火花、近くにきらめき、遠くに輝く。
ここ、湖に映りてはきらめき、かしこ、澄める夜空には輝く。
おおどかに照りわたる月影は、ふかき憩いの幸を護れり。
いく時が早や過ぎ去りて、悩みも幸も共に消えぬ。
予め知れよ、汝は癒えなん。・・」