あらすじ
生の意義を把握するためとあらば悪魔に魂を売りわたすことも辞さぬファウストにとって自己救済はいかにして可能だったか。――ゲーテ(一七四九―一八三二)は若くしてこの大作を書きはじめ、完成までにほとんど全生涯を費した。そして脱稿のあと「私の今後の生活は全くの贈物のような気がする」といって深い悦びを語ったという。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
あらゆる古典の中に古典として引用されるゲーテ。そのゲーテの『ファウスト』の第1部。
ゲーテは、20歳から構想を思案し、24歳から書き始めて82歳でこれを完成させた。そして83歳に没した。
ゲーテは城に住み、緑と静謐に囲まれ閑暇に満たされて、毎日ワインを大量に飲んで執筆していたようだ。
ところどころで散りばめられている人生の本質が立ち現れてくるような鋭い言葉。
ゲーテはこの第1部を酷評し、第2部にこそ満足しているという評価のようである。
第1部のクライマックスは言葉にしにくい、シェイクスピアとはまた一味違った悲劇の深みを感じる。
第2部が楽しみだ。
Posted by ブクログ
ずっと前に授業で読んだ、クリストファー マーロウ版のDr Faustusより、ゲーテ版ファウストのほうが登場人物たちが生き生きしてて面白かった。特にメフィストフェレスと旅に出てから。なんでもできる、どこへだってゆける、究極の自由。
下品な悪ふざけも多いけれど、聖書、哲学、伝承、シェイクスピアの引用がたくさんあって、ヨーロッパ文化の豊かさを感じました。当時の(設定は16世紀?なのにゲーテの生きた18、19世紀の慣習が出てきたりして間違ってる、とも書いてあったけど)倫理観も見えたり。
古本だったので前の持ち主のメモが残ってて、それを読むのも楽しかった。解説じみたことから、ここの表現が綺麗、とか、そりゃ悪魔だからな!とか、独り言みたいなことも。
とはいえ、理解しきれないこともあって、まだまだ未熟だなあと反省しつつ、いつか読み返したい、そしてお待ちかね、ギリシア神話の世界に飛び込む第2部が楽しみです。
Posted by ブクログ
ゲーテが24歳で書き始め、82歳で書き終えた作品。
迫力がありますし、
主人公のファウストと少女グレートヘンとの恋愛は
美しくせまってきます。
学問の無力に絶望したファウストは、
悪魔と契約を結ぶ。
享楽の世界に堕ちるのか、
それとも、精神は正しさを失わないのか、
賭けである。
神は悪魔の賭けを許した。
さて、ファウストは。
Posted by ブクログ
面白い!ツルゲーネフのファウストを読んで以来気になっていたファウスト。読んでみました。面白かった!天界の会話とファウストの思想が面白い。文章が硬くてもぐいぐい読めてしまいます。
Posted by ブクログ
私が「悪魔に魂を売り飛ばした人間」というモチーフを好きになった原因の本。
とにかく悪魔メフィストフェレスが魅力的。あとどんなに頑張ってもご主人様に満足いただけない不憫な子。彼は今までの物語に出てくる悪魔と違って、複雑な感情を持った存在である。
彼は彼なりの思想を持ってファウストと向き合い、格闘している。その姿はひどく人間じみている。最後には負けちゃうんだけどね。
この作品の中で彼は神の「必要悪」でしかないので、あのオチしかなかったのだろう。不憫だ。
Posted by ブクログ
ウェルテル。若い男。故郷を離れて暮らしている。ウェルテルは滞在先で、若い女シャルロッテと恋に落ちるが、シャルロッテにはすでに婚約者がいる。ウェルテルの苦悩は絶望へと変わり、自殺に至る▼世の中のいざこざの原因になるのは、奸策(わるだくみ)や悪意よりも、むしろ誤解や怠惰(5/4)。大抵の人間は大部分の時間を生きんがために働いて費やす。そして、わずかばかり残された自由は、それが恐ろしくて、それから逃れるために手段を尽くす(5/17)。文学が作り出す虚構のイメージどおりに序列をつけるなら、ぼくらは最底辺に位置づけられる(10/20)。理性をもつ前か、理性をなくした後でなければ、人間は幸せになれないのだろうか(11/24)。ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテGoethe『若きウェルテルの悩み』1774
〇ウェルテル。裕福な家の出身。法律を学ぶ。豊かな感性。青いテイルコート(ジャケット)、黄色いウェストコート(ベスト)。
〇アルベルト。シャルロッテの婚約者。良識の人。ウェルテルの恋敵。
ファウスト博士。老人。信仰心なし。研究室に閉じこもり、自分を卑下し愚痴を言う毎日。そこに悪魔メフィストが現れ、欲望・享楽の世界に誘い出す。ファウスト「賭けをしよう。私が享楽に溺れ、ある瞬間、私が"止まれ、お前はいかにも美しい"と言えば、お前は私の魂を奪うがいい」▼魔女の薬でファウストは青年に若返る。気力が湧いてきたファウスト(中身は老人)は、美しい少女グレートフェン(=マルガレーテ)14歳に恋をし、妊娠させる。少女の兄が怒ってけしかけてきたので、ファウストは少女の兄を殺害。少女の母も死んでしまう。少女はファウストの子供を産むが、子供を水に沈めて殺してしまい、その罪で牢獄に入れられる。ファウストは、グレートフェンを牢獄から助け出そうとするが、グレートフェンはわが子を殺した罪の意識に苛まれ気が狂っていた。グレートフェン「赤ちゃんにお乳をあげなくちゃ。一晩中、この子を抱いていたんですよ」「お墓のことは任せますね。母を一番いい場所にして、兄をそのすぐそばに、わたしのを少し離してつくってください。でもあんまり遠くしないで」「神よ、わたしをお救いください。ハインリヒ(=ファウスト)さん、わたしあなたが怖い」。悪魔メフィスト「(この女は罪により)裁かれた」。天上の声「(この女は)救われた」。グレートフェン、天に召される▼皇帝から「ギリシア神話の女神ヘレネを見たい」と言われたファウストと悪魔メフィスト。女神ヘレネの霊を呼び出す。ヘレネの美しい姿を見たファウストはまたも恋をし、妊娠させる。産まれた息子オイフォーリオンは、父ファウストと同じように欲望・享楽を追い求め、「もっと高く登るんだ、もっともっと広く見渡すんだ」と、高い岩から空中に身を躍らせ、イカロスのごとく墜落して死亡。その姿は消え、光が天空に登っていく▼ファウスト「わたしはあらゆる欲望・享楽を尽くしてきたが、満足はしない男だ」。幽霊が現れて「お前は満ち足りながら、飢えに悩んでいる。未来を待ちうけるばかりで、成熟することがない」と言うと、ファウストに呪いをかけ、ファウストは目が見えなくなる▼盲目のファウスト「土地を開拓しよう。自由な土地に、自由な民と暮らす。その瞬間、こう呼びかけてもよかろう。"止まれ、お前はいかにも美しい"」。禁句を発したファウストは絶命。悪魔メフィスト「可哀そうなこの男は、くだらない空っぽな瞬間を引き止めようと願った。しかし時には勝てず、砂の中に倒れている。針は落ちた。事は終わった。過ぎ去ったのだ。過ぎ去ったということは、初めから無かったのと同じだ。無かったのに、何かがあるかのようにぐるぐる回っている。俺は永遠の虚無の方が好きだ」。ファウストの魂が天使たちに連れられ、天に昇っていく。ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテGoethe『ファウスト』1790
〇ワーグナー。ファウストの助手。人造人間ホムンクルスを作り出す。ホムンクルスはファウストをヘレナのいるギリシア世界へと導く。ヘレナに触れて爆死したファウストを生き返らせる。
〇ヴァレンティン。グレートフェンの兄。
〇妖精パック。シェイクスピア『夏の夜の夢』から。
〇妖精アリエル。シェイクスピア『テンペスト』から。
〇灰色の女「憂愁」。ファウストに息を吹きかけ、盲目にする。
※ヴァルプルギスの夜。魑魅魍魎たちの乱痴気騒ぎ。
■どん底まで究めてみよう。私は君のいう虚無の中に一切を見出すつもりだ(ファウスト)(6255)。
■お前たちが褒めようが、悪口をほざこうが、ただ「ごもっとも」といっておく(道化)(5230)。
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテGoethe『ヴィルヘルム・マイスターの修行時代』1795
〇ヴィルヘルム・マイスター。豪商の息子。演劇に興味。
〇マリアーネ。若い女優。ヴィルヘルムはマリアーネと恋仲になるが、別の男がいることを知り、距離を置く。不遇の死を遂げる。
〇フェリックス。ヴィルヘルムとマリアーネとの間にできた息子。
〇ミニョン。イタリア出身。サーカス団の少女。ヴィルヘルムは冷酷なサーカスの団長からミニョンを買い取る。
〇ナターリエ。「美しいアマゾネス」。貴族出身。ヴィルヘルムに想いを寄せる。
人は役立つ人間しか評価しない。他人の評価を喜ぶのは、自分を道具扱いすることである▼人生は愚者にとって困難に見えるとき、賢者には容易に見える。愚者にとって容易に見えるとき、賢者には困難に見える。ゲーテ『格率と反省』
苦しみが残していったものを味わえ。苦難も過ぎてしまえば甘美である▼憎しみは積極的な不満であり、嫉妬は消極的な不満である。したがって嫉妬は憎しみに変わる▼虚栄は軽薄な美人に最もふさわしい。ゲーテ『格言集』
人は各種各様の旅をして、結局、自分が(前から)持っていたものだけを持って帰る。ゲーテ
他人のことを語りながら、自分のことを語っている。ゲーテ 遺構
一人で石を持ち上げる気がなかったら、二人がかりでも持ち上がらない。ゲーテ
+++++++
賢者ナータン。サラディンから「ユダヤ・キリスト・イスラム教」の中で真の宗教はどれかと聞かれ、ナータンは答える。真の宗教は人種・民族・血統・国家・階級を超えたもの。3つの宗教は和解・共存できる。互いに寛容・慈悲の心を持て。私たちは〜教徒である前に人間。ゴットホルト・エフライム・レッシングLessing『賢者ナータン』1779 ※啓蒙思想
〇ナータン。ユダヤ人。金持ち商人。昔、キリスト教徒に家族全員を殺される。にもかかわらず、キリスト教徒の孤児を育てている。
+++++++
フランツ。伯爵の子。容姿が醜く、足に障碍。父親はフランツを嫌い、優秀な兄カールを偏愛。フランツは性格が歪み、父と兄を怨む。ある日、フランツは謀略により、兄を家から追放する。しかし、兄カールは盗賊団(義賊)の首領となり、弟フランツを追い詰める。フランツは首を吊って自殺する▼カールは許嫁(いいなずけ)の女アマーリエと暮らし始めるが、盗賊団の部下たちから「あなたは変わってしまった」と責められる。カールは自ら死を望むアマーリエを刺し殺し、自首する。フリードリヒ・フォン・シラーSchiller『群盗ぐんとう--圧制に抗して』1782
冗談を言ったものが自ら笑えば、冗談はすべてを失う。フリードリヒ・フォン・シラーSchiller『フィエスコの叛乱はんらん』1783
未来はためらいながら近づき、現在は矢のように飛び去り、過去は永遠に静止している。フリードリヒ・フォン・シラーSchiller『諦観』1786
傭兵隊長ヴァレンシュタイン。三十年戦争でカトリック(神聖ローマ皇帝)側の司令官として、プロテスタント側のグスタフ・アドルフ(スウェーデン王)を撃破。しかし、ヴァレンシュタインが英雄視されるようになると、皇帝はヴァレンシュタインの力を抑え込もうとし始める。ヴァレンシュタインは、敵側のスウェーデンと通じて、皇帝に反旗を翻(ひるがえ)そうとするが、計画が皇帝側にばれてしまう。フリードリヒ・フォン・シラーSchiller『ヴァレンシュタイン』1799
幸福には翼がある。つないでおくことは難しい。フリードリヒ・フォン・シラーSchiller『メッシーナの花嫁』1803
ヴィルヘルム・テル。スイスの弓の名手。オーストリアがスイスを支配するために送り込んだ代官ゲスラーに目を付けられ、テルの息子の頭の上に置かれたリンゴを1発で射貫いてみよと言われる。テルは矢筒から2本の矢を取り出し、1本の弓でリンゴを見事に射貫いて見せた。もう1本は万が一失敗したときに、ゲスラーをその場で射殺するためのものだった。テルは逮捕されるが、護送船から抜け出し、ゲスラーを暗殺、スイスの英雄となる。フリードリヒ・フォン・シラーSchiller『ヴィルヘルム・テル』1804
自分を知りたいなら、他人がいかに行動するかを見よ。他人を理解したいなら、自分の心を見よ。フリードリヒ・フォン・シラーSchiller『諷刺詩』
友情は喜びを2倍にし、悲しみを半分にする▼人間一人一人はみな利口で分別ありげだが、集団になると馬鹿が出てくる。シラー
***********
※古典主義。理想の追求。
Posted by ブクログ
新しいタイプのプロレタリア文学です。無理難題をふっかけて、納得するまで金を払わないわがままなクライアント。それに翻弄されて右往左往する個人事業主。やっと報酬がもらえると思ったら、上から目線で売り上げを搾取していくお上。メフィストフェレスカワイソスと思ったのは、私だけではないはず。
Posted by ブクログ
中世ドイツのファウスト伝説をゲーテが独自の解釈を交え戯曲化したもの。
対照的な錬金術師ファウストと悪魔メフィストフェレスが、恐ろしくもどこか滑稽で、矛盾に満ちたやりかたで自らの生の意味を探し求める。
いま世の中にあるもののどれほど多くがここにルーツを持っているのだろう。何か途方も無い気持ちに襲われる。200年経ってなお親しみやすさと斬新なみずみずしさを湛えているのは圧巻である。
「光」≒「快活な理性の力」≒「神」 という図式のようなものは、日本にいるとどこか空々しいけれど、この世界でははまり過ぎるくらいである。それほど闇と混沌からのイメージの氾濫は激しく、光溢れる南欧への憧れという生理現象が彼らの美学を形成する原動力になっている。
読んでいる数日間、寒くて薄暗い雨の日が続いたので、久しぶりの晴れ間にやたら有り難さを感じたのはファウスト効果だったかもしれない。
これを読む前にはギリシャ神話を少しかじっといた方が楽しめると思う。中世キリスト教的世界観もかもしれないが、現代日本に生きているだけでこちらは結構馴染みがあるもののようだ。
Posted by ブクログ
読めば読むほど味が出てきます。
「前狂言」の章で、大勢の人を楽しませるにはどうしたらよいか。それならいろいろな物を詰め込んでみればいい。そうすればきっと何かしら一つは好みのものを見つけてもらえる。とあるように、盛りだくさんの内容です。だからこそ1回読んだだけでは味わいきれず、ただすごいすごい、という感じで終ってしまいます。
さすがゲーテだけあって詩句も見所の1つです。訳者さんの腕もあるんだろうけども、切ない恋の歌から珍妙な魔女の詩までテンポもセンスもよく楽しめました。中でも「グレートヒェンの部屋」の章でグレートヒェンが詠ってる詩は格別です。
主人公であるファウストは私からするととても素直な人のように思えます。自分が知りたいことに対しては懸命に努力し、自分が求めていたものが得られないと知ると深く絶望し、グレートヒェンに恋をした時はただひたむきに愛をかかげる。とても真っ直ぐな人だと思います。その真っ直ぐさは人間の一番美しい部分の一つなんではないでしょうか。ただ、それは純粋であればあるほど、他人を気にかけないエゴになってしまいます。
実際のところ、私たちは自分の気持ちのみに忠実に生きていくことはできません。社会の制約が、また人との関わり合いがそうすることを拒みます。それでも、その純粋さを究めた人、それこそがファウストです。彼の姿にはそういった美しさがあります。しかし、その陰では犠牲になったものも多く、それが故にこの物語は美しさを伴う悲劇なのです。
Posted by ブクログ
オペラを少しみてから、歌のすばらしさに感動して
本編を読んでみたくなりました。
誰もお前さんたちの話なんか聴きたがりはしないよ。
わたしたちはもう少し高望みなのさ。
なぜって、人の心を本当に動かすのは、
やはり心の奥底から出てきたものだけだからね。
Posted by ブクログ
古典ということで、結構敷居が高いイメージだったけれど、ファウストは意外と人間味のあるどこにでもいるようなおじさんだという認識を得るに至りました。
あとは状況描写が美しい。
想像力が乏しい私ですが、光景がおのずから脳裏によぎります。
原文で読むとなおいっそうすばらしいんだろうな。。
その反面、話や場の展開についていけなかった。
wikiで振り返って、なるほどと納得。
あとはギリシャ神話しらないので後半は結構苦痛。
Posted by ブクログ
ゲーテ(1749‐1832)はこの大作を24歳で書きはじめて82歳で書きおえ、83歳で没した。詩人の天才をもってしても完成に殆ど全生涯を要したのである。『ファウスト』第1部では、学問の無力に絶望した大学者ファウストが悪魔メフィストの助力を得て官能的享楽の限りをつくそうとするが、それは心清き少女グレートヘンの痛ましい悲劇におわる。
Posted by ブクログ
あらゆる学問を極めたものの空虚さを抱くファウストが、悪魔メフィストフェレスと契約を交わし世を謳歌する。メフィストフェレスとはどの人間でも持つ秘められた感情である、と感じた。人間の生をテーマにしたようなモノは結構好きで、小難しい文章で長々と書かれたこの本も、結構スラスラ読めてしまった。
Posted by ブクログ
タイトルと「時よ止まれ、汝は美しい」だけ知ってたので読んでみたけど、面白い!
何にも分からずに先に見たヤン・シュヴァンクマイエル監督の「ファウスト」のあのシーンはここか!と自分の中で繋げられた。
後半にあの有名な台詞がどんな場面で飛び出てくるのかが楽しみ。
Posted by ブクログ
知識を得たいがために悪魔に魂を売ったとあらすじがあるが、そんな表現本文の中にあったか?
ファウストがこの世に飽きて、より刺激を求めて悪魔に魂を売ったと私は解釈してる。
悪魔ってやっぱり怖い。
Posted by ブクログ
特段面白い!ってとこはあんまないけど、緩く面白さがずっと続く。噛めば噛むほど味が出る感じ。
まぁ古いし外国のだし読むのは大変。ある程度読み進めれば慣れてくるけど。
読み終わった時の達成感が凄い。
Posted by ブクログ
読むのに少し苦労するが、読み返してみたい作品。
知識の無力さに失望したファウストが、悪魔メフィストに導かれてあらゆる喜劇と悲劇を経験する。
最後はグレードヘンが死に際でも神への信仰を捨てず、魂は救われる。崇高で純粋な彼女の死に様は美しくすらある。
Posted by ブクログ
予備知識なしで読み解くのは難しいと感じた。
「天上の序曲」の場面で、神はファウストのことを「しもべ」だと言っている。
ファウストが学問を究めつくした学者で、なお世界の真理を知り尽くしたいと願っているから「神のしもべ」なのだろうか。すべてを知ることは神に近づくことだから?
とにもかくにも、この神の「しもべ」発言によってファウストは悪魔メフィストに目をつけられてしまう。
グレートヘンに対してはお気の毒としか言いようがない。巻き込み事故みたいなものだろう。
書斎の場面が好き。メフィストとファウスト、メフィストと学生の対話がおもしろい。
Posted by ブクログ
ファウストの道徳的行動、または書物の中のものでなく、自然や動物を重要視する視点は、なんとなくそうだなと思いました。学生に語るシーンは印象的でした。
Posted by ブクログ
厭世哲学者の苦悩を非常に共感しながら読んだ。これは人生の意味に悩んだものなら一度は深刻に対峙する苦悩であろう。引き込まれて読み進めると、第一部はあっという間に終わってしまう。無論、善と生との合間に引き裂かれるこの部のラストは十分な読み応えのあるものだし、豊かな指摘表現はゲーテと訳者の面目躍如である。しかしながら、まだやや物足りなさが残る。これ以降を読み進めるのが楽しみだ。
Posted by ブクログ
ゲーテが24歳から死ぬ直前までかけて書いた本。プロット自体は面白いけど、全体としてそこまで面白いとは思えなかった。黒澤明の「生きる」の下敷きになってるのかなと思われる。
Posted by ブクログ
『数学大明神』に『ファウスト』のペンタグランマ(五芒星)の話が出て来たので、どこで出てくるのか確認したくて読んでみました。
この作品の本当の良さをわかろうとしたら1回読んだくらいでは駄目かもしれません。私は1回読んだ所、初めて夏目漱石を読んだ時みたいな気持ちになりました。これが教科書に載る程のものなの?みたいな…。(なので★3つです)
原文は脚韻を踏んでいるので、日本語で読むと訳の分らん所が原作では美しい韻律となって人々の心を打つのだと思います。…つまり、何が言いたいかと言うと、邦訳を読む場合、細かい部分の意味を取ろうとすると先に進めなくなってしまうと思います(少なからず脚韻のために嵌めこんでる言葉もあると思いますので、意味だけでは理解に限界があると思います)。私は思いっきり流して読みました。流したら流したで読めるものです。
行間で重要な出来事が起こっていて、舞台上ではそれからかなり時間の経過したシーンを描くと言う独特なスタイルも、この話を読みにくくしている原因かと思います(これが文学上いいのか悪いのかは私にはわからない)。
ただ、この作品でとても興味深かったのが、この時代のドイツになお残っていた迷信の類に関する記述でしょうか。日本の昔話にはない発想力にいたく刺激を受けました。
Posted by ブクログ
友人に借りたので一回しか読んでません。
話自体はすんげー分りやすい・読みやすいので元ネタ読みたいよ的な動機で読み始めて大丈夫です。
元ネタになるだけあって新鮮味はあまりないかな。
Posted by ブクログ
第一部だけでは楽しめなかった。会話文だけの文章に戸惑い、登場人物も忘れかけた。
第一部の後ろにある第一部•第二部の解説を読み、早く第二部を読もうと思った。
不断の努力により最後に救われるというところが山場らしい。。
神かぁ。あんま興味ないなー。
Posted by ブクログ
結局どんなに知識を得ても、どんなに愉快に遊んでも満たされることはないのかなとか。
当時の出来事の風刺みたいな部分が多いらしくよくわからん部分が結構あった。
筋書きも注釈がないと分かりにくいし読みにくかった。
詩の部分が結構あったので原文で読まないかぎり魅力がちょっと減るだろうし
あんまりお勧めできないかも
Posted by ブクログ
何で?ってくらい最近僕が読む本によく引用されています。
流行ってるのでしょうか?今更?
蟹工船ブームと関係あるんですかね?
ファウスト博士なんてプロレタリアートの対極にいるような人なのに?
まあ、抄訳でしか読んだことがなかったので、改めて読んでみました。
思っていたより読みやすいし、面白い。
私が読んだのは高橋義孝訳なのですが、
太陽は、昔ながらの節で、
兄弟たちの星の群れと歌い競い合い、
その定まった旅の軌道を、雷鳴の歩みで
今日もまた動いて行く。
天使らは太陽の神秘を究むべくもないが、
それを見ただけで勢いづけられる。
不可解で崇高な宇宙の営みは、
天地創造の日と同じに壮麗だ。
という出だしの文章なんて、とても美しくて、名訳ではないでしょうか。
でも、娯楽が多様化している現在において、
もう、今後読む人は減る一方なんだろうなと思わされます。
確かに面白いしためになるけれど、
ドラクエの方が面白いし、
優良なビジネス書の方がもっとためになりますからね。
とても残念なことではあるのですが。
Posted by ブクログ
〜ゲーテ(1749−1832)はこの大作を24歳で書き始め、82歳で書き終え、83歳で没した。詩人の天才を持ってしても完成に殆ど全生涯を要したのである。絶望した大学者ファウストの悲劇とその中から生まれる人類愛という救いを描く、ゲーテの全生涯をかけた大作〜予想していた内容と違っていた。もっとファウストの苦悩が中心かと思えば、一概にそうでも無かった。むしろ個人的には、この作品の主役はメフィストでは無いかと感じた。悪魔なのに、ある意味ファウストよりも人間くさく感じたのは気のせいでしょうか。訳の影響かも知れませんが。いや、この作品において、そもそも主役というくくりで表そうとする事自体が間違いなのかも知れない。余りにも有名で歴史的な名著に感想を載せるのはおこがましい気もするが、素直な感想を。個人的には、この1部には非常に引かれたが、2部には荒唐無稽な部分が多く、イマイチ入り込めなかった。ゲーテの執筆した年齢も状況も違うし、作品場、わざとそう言う表現をしていると言われればそれまでですが、それを踏まえても…う〜ん。ラストも、結構期待していたのだが…。中盤以降の展開が尻つぼみして言った感じが、個人的にはいなめない気がした。ちょっと期待しすぎたかも。また読み返したら違う感想になるのかも知れませんが…。比較的読みやすいし、またいつか読み返してみようと思います。