ゲーテのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
絶望名言のゲーテを思い出し、新刊?に並んでいたこちらを読んだ。当時流行したとかあらすじは知っていたが、改めて読むと、手紙(しかも一方的)の内容でウェルテルの激化する気持ちが語られる様が面白い。これがもう少し時代が進むとブリジャートン的に不倫などの話になるんだろうが(いや不倫の話は出てこなかったか)、当時定められた婚姻に囚われてこの話に共感した人が多かったということか。
主人公さておき、大勢の幼い妹弟を残して早逝した母の代わりに母親役を全うしようとするロッテの健気なことよ。国を問わず寿命の短かった時代にはこういう状況が多かったのだろうが、家族を守るという遺言、そこにはアルベルトと結婚することも含まれていたわけだが、母の言葉に絡め取られたロッテという当時の女性の立場の弱さを思わずにいられない。 -
Posted by ブクログ
この作品を最初に読んだのは高校1年の夏、何十年も前だ。当時の感想は記憶にほとんど残っていないが、あまり読みやすい訳ではなかったことだけは覚えている。
ほんらい、シュトゥルム・ウント・ドラング(疾風怒濤)文学の嚆矢とされるこの作品、煩悶するウェルテルの暑苦しさが伝わってこないと面白くはならないのだ。その点ではこの新訳は大変な成功である。
しかし、と20世紀を通過した読者の私は思う。
書簡体という、18世紀末に流行したこのスタイルは、テクストがヴェルターその人からは一歩引いているように読めてしまう。ウェルテルはその胸の内を、友人ヴィルヘルム宛にしたためる。ヴィルヘルムの返信は作中に登場しない(ここは通常の書簡体と異にする点で、その分ウェルテルの語りの独白っぽさが強調される)。さらに読み進めると、書簡の編纂者は手紙の受取人のヴィルヘルムでもない何者かであることが判明する。読者は、いくつかの枠を通して彼の熱情こもる手紙を読んでいるのだ。このメタな感覚は、ゲーテが執筆当時に意図したものではなかっただろう。時代が移り、読み手は変わった。だがウェルテルの叫びは今なお響くものがある。 -
Posted by ブクログ
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe、1749年-1832年)は、ドイツの詩人、小説家、劇作家、科学者、政治家であり、ドイツ文学や哲学における巨人として評価されています。ゲーテの幅広い知識と深い洞察力により、彼の作品は文学だけでなく、自然科学、哲学、美術など多方面にわたって影響を与えました。代表作には、『若きウェルテルの悩み』や『ファウスト』があり、ロマン主義やドイツ古典主義を代表する作家です。
生涯と活動
ゲーテはドイツ・フランクフルトの裕福な家庭に生まれ、幼い頃から文学や語学に触れて育ちました。法学を学び、その後も詩や劇、小説を執筆しながら、自然科学の研究にも没頭しました。特にヴァイマル公国の宮廷に仕えた時期には、政治や行政にも関わり、同地で多くの重要な作品を生み出しています。
主な作品
•『若きウェルテルの悩み』(1774年): 若者の激しい恋愛とそれに伴う苦悩を描いた書簡体小説です。実際の失恋体験と友人の自殺をもとにしたこの作品は、発表後に爆発的な人気を呼び、ヨーロッパ全土に「ウェルテル旋風」を巻き起こしました。この作品は感情表現の自由を強調したロマン主義文学の先駆けとされます。
•『ファウスト』: ゲーテの生涯にわたる大作であり、2部構成の悲劇です。学者ファウストが悪魔メフィストフェレスと契約し、知識と快楽を求めて冒険する物語で、人間の欲望や救済、善と悪の概念が深く掘り下げられています。この作品はドイツ文学の頂点と見なされ、多くの作家や芸術家に影響を与えました。
•『イタリア紀行』: ゲーテはイタリアへの旅を通して古典主義への関心を深め、古代ギリシャやローマの芸術に触れ、自然の美しさや感性を重視する姿勢を確立しました。この旅での体験が彼の作品に大きな影響を与え、後期のゲーテの美意識を支えました。
自然科学への関心
ゲーテは文学だけでなく、自然科学にも強い関心を抱いていました。特に色彩理論を追求し、『色彩論』を発表しました。この中で、ニュートンの光学理論に反対し、色は光と闇の相互作用から生まれると主張しました。また、植物学や解剖学の分野でも研究を行い、植物の「原植物」や骨の「中間顎骨」などに関する理論を提唱しました。
ゲーテの影響
ゲーテの思想と作品は、ドイツ国内外の文学や哲学に多大な影響を与えました。彼のロマン主義的な感性と古典主義への傾倒は、後のドイツ文学やヨーロッパ文学における重要な基盤となり、ニーチェやトーマス・マン、フリードリヒ・シラーといった作家や思想家に大きな影響を及ぼしました。また、ゲーテの作品は音楽や美術など他の芸術分野にもインスピレーションを与え続けています。
ゲーテの遺産
ゲーテは、個人の内面的な葛藤や、人間としての成長を描き出す作品を通じて、普遍的な人間性への洞察を深めました。その思想と文学的手法は、現代でも文学研究や哲学、芸術の分野で参照されており、彼の名前は「ドイツ古典主義」の象徴として語り継がれています。 -
Posted by ブクログ
571P
『ファウスト』は、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの代表作であり、ドイツ文学の金字塔とされる悲劇です。ゲーテが約60年をかけて完成させたこの大作は、彼の文学的成長と哲学的思想が反映されており、特に人間の欲望、道徳、救済、そして死後の世界に関する深い探求が行われています。『ファウスト』は、全2部から成り立ち、非常に複雑で多層的な構造を持っています。
あらすじ
第一部
『ファウスト』の物語は、学者であるファウスト博士が登場するところから始まります。ファウストは自らの知識に満足せず、人生の意味を求めて絶望し、死にたいと思っています。その絶望的な思いの中で、彼は悪魔メフィストフェレスと契約を交わします。メフィストフェレスはファウストに対して、地上の快楽を提供し、最終的には彼の魂を引き取ることを約束します。ファウストは若返り、さまざまな冒険や恋愛を経験しますが、最終的には彼の追い求めた快楽や自己中心的な欲望が破滅的な結果を招くことになります。
第二部
第二部では、ファウストの精神的成長と探求が描かれ、より哲学的かつ象徴的な要素が強調されます。ファウストは数多くの時代や場所を旅し、神々や精霊との対話を通じて、自らの存在意義を求めます。最終的に、ファウストは自己超越を果たし、天国への昇華を迎えることになります。彼の魂は、単なる自己中心的な欲望から解放され、神の恩寵を受け入れることで救われます。
主なテーマ
1.人間の欲望と追求
『ファウスト』は、人間の欲望とその限界を描いています。ファウストは知識、愛、快楽、力などさまざまなものを追い求めますが、その追求がどれも満たされることはなく、最終的に彼は魂を失う危機に直面します。ゲーテは、人間が持つ無限の欲望と、それがもたらす破滅的な結果を描きながら、最終的には人間の精神的な成長と道徳的な探求が重要であることを示しています。
2.善と悪、メフィストフェレスの役割
メフィストフェレスはファウストの悪魔的な側面を引き出し、彼を誘惑する存在ですが、同時に物語全体を通じて道徳的な対立と成長を促す役割も果たします。メフィストフェレスはただの悪役ではなく、ファウストの成長における重要な試練を提供し、最終的に彼の救済に貢献します。この二元的な性格が『ファウスト』の哲学的な深みを生んでいます。
3.救済と人間の精神的成長
『ファウスト』の核心テーマの一つは、救済と人間の精神的成長です。ファウストは物質的な成功や快楽を追い求める一方で、最終的には自己超越を果たし、精神的な救済に至ります。ゲーテは、知識や物質的な成功を追求することだけが人生の目的ではなく、精神的な成長と人間の内面的な探求が最も重要であると伝えています。
文学的影響
『ファウスト』は、その哲学的・文学的な深さから、後世の作家や思想家に大きな影響を与えました。特に、カフカ、ニーチェ、ヘーゲルなどがその思想を取り入れ、また音楽や演劇にも多大な影響を与えました。例えば、メフィストフェレスのキャラクターや「ファウスト的」という言葉は、文学や哲学で広く使われるようになり、人間の限界と欲望を描く上での重要な基盤となっています。
結論
『ファウスト』は単なる悲劇ではなく、人間の存在や道徳、知識、愛、救済についての深い哲学的探求を含んだ文学作品です。その多層的なテーマや構造、キャラクターの心理的な描写は、ゲーテの人生と思想の集大成として、今もなお多くの読者や学者に影響を与え続けています。
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe、1749年-1832年)は、ドイツの詩人、小説家、劇作家、科学者、政治家であり、ドイツ文学や哲学における巨人として評価されています。ゲーテの幅広い知識と深い洞察力により、彼の作品は文学だけでなく、自然科学、哲学、美術など多方面にわたって影響を与えました。代表作には、『若きウェルテルの悩み』や『ファウスト』があり、ロマン主義やドイツ古典主義を代表する作家です。
生涯と活動
ゲーテはドイツ・フランクフルトの裕福な家庭に生まれ、幼い頃から文学や語学に触れて育ちました。法学を学び、その後も詩や劇、小説を執筆しながら、自然科学の研究にも没頭しました。特にヴァイマル公国の宮廷に仕えた時期には、政治や行政にも関わり、同地で多くの重要な作品を生み出しています。
主な作品
•『若きウェルテルの悩み』(1774年): 若者の激しい恋愛とそれに伴う苦悩を描いた書簡体小説です。実際の失恋体験と友人の自殺をもとにしたこの作品は、発表後に爆発的な人気を呼び、ヨーロッパ全土に「ウェルテル旋風」を巻き起こしました。この作品は感情表現の自由を強調したロマン主義文学の先駆けとされます。
•『ファウスト』: ゲーテの生涯にわたる大作であり、2部構成の悲劇です。学者ファウストが悪魔メフィストフェレスと契約し、知識と快楽を求めて冒険する物語で、人間の欲望や救済、善と悪の概念が深く掘り下げられています。この作品はドイツ文学の頂点と見なされ、多くの作家や芸術家に影響を与えました。
•『イタリア紀行』: ゲーテはイタリアへの旅を通して古典主義への関心を深め、古代ギリシャやローマの芸術に触れ、自然の美しさや感性を重視する姿勢を確立しました。この旅での体験が彼の作品に大きな影響を与え、後期のゲーテの美意識を支えました。
自然科学への関心
ゲーテは文学だけでなく、自然科学にも強い関心を抱いていました。特に色彩理論を追求し、『色彩論』を発表しました。この中で、ニュートンの光学理論に反対し、色は光と闇の相互作用から生まれると主張しました。また、植物学や解剖学の分野でも研究を行い、植物の「原植物」や骨の「中間顎骨」などに関する理論を提唱しました。
ゲーテの影響
ゲーテの思想と作品は、ドイツ国内外の文学や哲学に多大な影響を与えました。彼のロマン主義的な感性と古典主義への傾倒は、後のドイツ文学やヨーロッパ文学における重要な基盤となり、ニーチェやトーマス・マン、フリードリヒ・シラーといった作家や思想家に大きな影響を及ぼしました。また、ゲーテの作品は音楽や美術など他の芸術分野にもインスピレーションを与え続けています。
ゲーテの遺産
ゲーテは、個人の内面的な葛藤や、人間としての成長を描き出す作品を通じて、普遍的な人間性への洞察を深めました。その思想と文学的手法は、現代でも文学研究や哲学、芸術の分野で参照されており、彼の名前は「ドイツ古典主義」の象徴として語り継がれています。 -
Posted by ブクログ
本屋さんに行ったときもう少し和訳が柔らかいのがあったのでそちらがおすすめかもです…。
私が読んだのは少し言葉遣いが旧いこちらですが、今使われてる言葉で読んだ方が心にすっと入ってくると思います。
ウェルテル現象という言葉があるぐらい当時の若者は感化された作品なだけあって、感ずるものがあります。まださらりとしか読めていないので時間をかけて味わいたい作品だなと思いました。
最後の方なのですがロッテが可哀想ですね!(幼稚園児並の感想)ウェルテルはロッテや周りの人達に一生消えない傷を残して去っていきました。きっとウェルテルはロッテの心の中の住人になれたことでしょう。罪深いですね! -
Posted by ブクログ
なぜもっと早く読まなかったのだろう。
現代の日本人作家の小説を、わたしの人生が最も大変だった若き日々にいくつか読んだだけで、どうせ文学なんてほとんどが恵まれた環境に生まれたのに感性が繊細だったために苦しいやつらがその恵まれた環境を土台に、自らの苦しみをつらつらと表現しているものか、または売れるために少数の誰かの確かな苦しみをも自らの小説の仕掛けや設定として不誠実に利用するような、大衆迎合の権化かのどちらかなのだろうだなんて、文学に諦念と怒りを抱いている場合などではなかった。
ゲーテってすごいね。さまざまを内包していた。
ゲーテだって小説を書く環境があったというだけである程度以上恵まれていたことは事実だと思うけれど(たとえば、戦時下で爆弾が頭上から注がれているそのときに小説なんてものは書けないだろう)、そんな小説の致し方ないその成立要件の一つである恵まれ、作者の特権性を忘れさせるくらい、そんなのは関係ないってくらい、その才能と思考と小説がかたちづくる世界に圧倒された。
優れた文学は、その自らの成立要件の一つである特権性を読者に感じさせず、それどころか、読者に世界や人々との一体感を与えるものなのだとこの歳になってやっと実感できた。
人生の早くに拗ねたせいで、出会うのが遅くなってしまった。
文学への諦念も憤りも取り払い、この世界には信頼に足るひとかけらのなにかがあるのかもしれないと思えた、そんな一冊だった。
もっと、本を読もうと思った。 -
Posted by ブクログ
「ひとが人生のうちでこの本に心を動かされることがなかったとしたら、それはあまり良いことではないだろう」とゲーテは語ったらしい。「こんなにあなたを愛した私を、あなたは決して憎めない」と、ロッテへの純粋な愛と信頼を貫き通した彼の儚い人生についてのこの小さな記録は、到達不可能な憧れに一身を捧げる(シェリーが星と蛾のたとえで美しく言い表したような)愛の喜びと、それの裏側でしかない悲哀を同時に提示し、我々の生に暗くも美しい影を落としている。ウェルテルはロッテの元を静かに立ち去るべきであっただろうか。ロッテはだけれど、確かにウェルテルに想いを寄せていたし、ウェルテルは、ただのエゴイズムから最悪の結果を招いたわけではない。愛そのものが純粋だとしても、その純粋さそのもののゆえに、ひとは、その純粋な愛を保ち続けることに耐えることができないのかもしれない。愛が美しくそして純粋であればあるほど、それを心のうちに保つにはあまりにひとは弱すぎる。
-
Posted by ブクログ
圧倒的。
青春期特有の人が持つまっすぐな心と純粋な感性にここまで肉薄し丁寧に描写した作品は数少ない。
現代の人はすぐに詩的な物言いに触れるとポエマーだの病んでるだの言う。
TwitterやSNSで安易に自らの心のうちを吐露してる人ももちろん大概だが、人の心のめんどくささだったりどうしようもなさを、一方的に俯瞰から見ては冷笑的なコメントをする人が多い現状はそれはそれで色々辛い。
ウェルテルは書簡体、つまりとても個人的なもので、本来は触れてはいけない人の「真実」が描かれる。彼の希望と絶望がそこに克明に記され、それを読んだ僕たちが魂の奥底で何かを動かされる。
ウェルテルは死んだがゲーテは生き返った。 -
Posted by ブクログ
ファウスト博士。老人。信仰心なし。研究室に閉じこもり、自分を卑下し愚痴を言う毎日。本を読んで知識を増やしても、生きている世界そのものには触れられない。そこに悪魔メフィストが現れ、欲望・享楽の世界に誘い出す。ファウスト博士「賭けをしよう。私が享楽に溺れ、ある瞬間、私が"止まれ、お前はいかにも美しい"と言えば、お前は私の魂を奪うがいい」▼魔女の薬で老人ファウストは青年に若返る。気力が湧いてきたファウストは、美しい少女グレートフェン(=マルガレーテ)14歳に恋をし、妊娠させる。少女の兄が怒ってけしかけてきたので、ファウストは少女の兄を殺害。少女の母も死んでしまう。少女はファウストの子供を産むが、子供を水に沈めて殺してしまい、その罪で牢獄に入れられる。ファウストは、グレートフェンを牢獄から助け出そうとするが、グレートフェンはわが子を殺した罪の意識に苛まれ気が狂っていた。グレートフェン「赤ちゃんにお乳をあげなくちゃ。一晩中、この子を抱いていたんですよ」「お墓のことは任せますね。母を一番いい場所にして、兄をそのすぐそばに、わたしのを少し離してつくってください。でもあんまり遠くしないで」「神よ、わたしをお救いください。ハインリヒ(=ファウスト)さん、わたしあなたが怖い」。悪魔メフィスト「(この女は罪により)裁かれた」。天上の声「(この女は)救われた」。グレートフェン、天に召される▼皇帝から「ギリシア神話の美女ヘレネを見たい」と言われたファウストと悪魔メフィスト。ヘレネの霊を呼び出す。ヘレネの美しい姿を見たファウストはまたも恋をし、妊娠させる。産まれた息子オイフォーリオンは、父ファウストと同じように欲望・享楽を追い求め、「もっと高く登るんだ、もっと広く見渡すんだ」と、高い岩から空中に身を躍らせ、イカロスのごとく墜落して死亡。その姿は消え、光が天空に登っていく▼ファウスト「わたしはあらゆる欲望・享楽を尽くしてきたが、満足はしない男だ」。幽霊が現れて「お前は満ち足りながら、飢えに悩んでいる。未来を待ちうけるばかりで、成熟することがない」と言うと、ファウストに呪いをかけ、ファウストは目が見えなくなる▼盲目になっても歩みを止めず、未来を切り拓こうとするファウスト「土地を開拓しよう。自由な土地に、自由な民と暮らす。その瞬間、こう呼びかけてもよかろう。"止まれ、お前はいかにも美しい"」。禁句を発したファウストは絶命。悪魔メフィスト「可哀そうなこの男は、くだらない空っぽな瞬間を引き止めようと願った。しかし時には勝てず、砂の中に倒れている。針は落ちた。事は終わった。過ぎ去ったのだ。過ぎ去ったということは、初めから無かったのと同じだ。無かったのに、何かがあるかのようにぐるぐる回っている。俺は永遠の虚無の方が好きだ」。ファウストの魂が天使たちに連れられ、天に昇っていく。ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテGoethe『ファウスト』1790
■どん底まで究めてみよう。私は君のいう虚無の中に一切を見出すつもりだ(ファウスト)(6255)
■お前たちが褒めようが、悪口をほざこうが、ただ「ごもっとも」といっておく(道化)(5230)
■こういう鳩どもが蛇みたいに噛みつく(5350)
※ヴァルプルギスの夜。ハルツ山地ブロッケン山の山頂付近で魔女・悪魔・怪物・亡霊などが酒を飲み、歌い、踊る。ファウストは少女マルガレーテ(信仰心, 無垢)を妊娠させ、その母と兄を殺害したあと、狂乱と混沌に身を委ねようとする。青白い、死んだような少女の幻影を見る。
*財政危機に陥った皇帝に対して、メフィストは地下に眠る財宝を担保に、紙幣を発行することを提案。人々が紙幣を使い始め、経済が活性化。金そのもの(実体)ではなく、価値があると信じることによって(実体のない)ただの紙が富として機能し、それによって人々の欲望が解放される。
〇神。「善い人間は暗い衝動に動かされても正しい道を忘れてはいない。人間は努力する限り、迷うものだ」(320)。常により高いものを求め、迷いながらも努力し続けるファウストの姿勢を高く評価。※でもファウストがダンテ神曲に出てくるなら、地獄第二圏(色欲の罪)、煉獄第一環(高慢の罪, 罪人ニムロデ)あたりでは。
〇ワーグナー。男。ファウストの助手。学識はあるが、生きた世界を知らない。人造人間ホムンクルスを作り出す。ホムンクルスはファウストをヘレナのいるギリシア世界へと導く。
〇ヴァレンティン。グレートフェンの兄。名誉。道徳規範。
〇妖精パック。シェイクスピア『夏の夜の夢』から。
〇妖精アリエル。シェイクスピア『テンペスト』から。
〇灰色の女「憂愁」。ファウストに息を吹きかけ、盲目にする。
***
ウェルテル。若い男。故郷を離れて暮らしている。ウェルテルは滞在先で、若い女シャルロッテと恋に落ちるが、シャルロッテにはすでに婚約者がいる。ウェルテルの苦悩は絶望へと変わり、自殺に至る▼世の中のいざこざの原因になるのは、奸策(わるだくみ)や悪意よりも、むしろ誤解や怠惰(5/4)。大抵の人間は大部分の時間を生きんがために働いて費やす。そして、わずかばかり残された自由は、それが恐ろしくて、それから逃れるために手段を尽くす(5/17)。文学が作り出す虚構のイメージどおりに序列をつけるなら、ぼくらは最底辺に位置づけられる(10/20)。理性をもつ前か、理性をなくした後でなければ、人間は幸せになれないのだろうか(11/24)。ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテGoethe『若きウェルテルの悩み』1774
〇ウェルテル。裕福な家の出身。法律を学ぶ。豊かな感性。青いテイルコート(ジャケット)、黄色いウェストコート(ベスト)。
〇アルベルト。シャルロッテの婚約者。良識の人。ウェルテルの恋敵。
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテGoethe『ヴィルヘルム・マイスターの修行時代』1795
〇ヴィルヘルム・マイスター。豪商の息子。演劇に興味。
〇マリアーネ。若い女優。ヴィルヘルムはマリアーネと恋仲になるが、別の男がいることを知り、距離を置く。不遇の死を遂げる。
〇フェリックス。ヴィルヘルムとマリアーネとの間にできた息子。
〇ミニョン。イタリア出身。サーカス団の少女。ヴィルヘルムは冷酷なサーカスの団長からミニョンを買い取る。
〇ナターリエ。「美しいアマゾネス」。貴族出身。ヴィルヘルムに想いを寄せる。
人は役立つ人間しか評価しない。他人の評価を喜ぶのは、自分を道具扱いすることである▼人生は愚者にとって困難に見えるとき、賢者には容易に見える。愚者にとって容易に見えるとき、賢者には困難に見える。ゲーテ『格率と反省』
苦しみが残していったものを味わえ。苦難も過ぎてしまえば甘美である▼憎しみは積極的な不満であり、嫉妬は消極的な不満である。したがって嫉妬は憎しみに変わる▼虚栄は軽薄な美人に最もふさわしい。ゲーテ『格言集』
人は各種各様の旅をして、結局、自分が(前から)持っていたものだけを持って帰る。ゲーテ
他人のことを語りながら、自分のことを語っている。ゲーテ 遺構
一人で石を持ち上げる気がなかったら、二人がかりでも持ち上がらない。ゲーテ
+++++++
賢者ナータン。サラディンから「ユダヤ・キリスト・イスラム教」の中で真の宗教はどれかと聞かれ、ナータンは答える。真の宗教は人種・民族・血統・国家・階級を超えたもの。3つの宗教は和解・共存できる。互いに寛容・慈悲の心を持て。私たちは〜教徒である前に人間。ゴットホルト・エフライム・レッシングLessing『賢者ナータン』1779 ※啓蒙思想
〇ナータン。ユダヤ人。金持ち商人。昔、キリスト教徒に家族全員を殺される。にもかかわらず、キリスト教徒の孤児を育てている。
*デカメロン
+++++++
フランツ。伯爵の子。容姿が醜く、足に障碍。父親はフランツを嫌い、優秀な兄カールを偏愛。フランツは性格が歪み、父と兄を怨む。ある日、フランツは謀略により、兄を家から追放する。しかし、兄カールは盗賊団(義賊)の首領となり、弟フランツを追い詰める。フランツは首を吊って自殺する▼カールは許嫁(いいなずけ)の女アマーリエと暮らし始めるが、盗賊団の部下たちから「あなたは変わってしまった」と責められる。カールは自ら死を望むアマーリエを刺し殺し、自首する。フリードリヒ・フォン・シラーSchiller『群盗ぐんとう--圧制に抗して』1782
冗談を言ったものが自ら笑えば、冗談はすべてを失う。フリードリヒ・フォン・シラーSchiller『フィエスコの叛乱はんらん』1783
未来はためらいながら近づき、現在は矢のように飛び去り、過去は永遠に静止している。フリードリヒ・フォン・シラーSchiller『諦観』1786
傭兵隊長ヴァレンシュタイン。三十年戦争でカトリック(神聖ローマ皇帝)側の司令官として、プロテスタント側のグスタフ・アドルフ(スウェーデン王)を撃破。しかし、ヴァレンシュタインが英雄視されるようになると、皇帝はヴァレンシュタインの力を抑え込もうとし始める。ヴァレンシュタインは、敵側のスウェーデンと通じて、皇帝に反旗を翻(ひるがえ)そうとするが、計画が皇帝側にばれてしまう。フリードリヒ・フォン・シラーSchiller『ヴァレンシュタイン』1799
幸福には翼がある。つないでおくことは難しい。フリードリヒ・フォン・シラーSchiller『メッシーナの花嫁』1803
ヴィルヘルム・テル。スイスの弓の名手。オーストリアがスイスを支配するために送り込んだ代官ゲスラーに目を付けられ、テルの息子の頭の上に置かれたリンゴを1発で射貫いてみよと言われる。テルは矢筒から2本の矢を取り出し、1本の弓でリンゴを見事に射貫いて見せた。もう1本は万が一失敗したときに、ゲスラーをその場で射殺するためのものだった。テルは逮捕されるが、護送船から抜け出し、ゲスラーを暗殺、スイスの英雄となる。フリードリヒ・フォン・シラーSchiller『ヴィルヘルム・テル』1804
自分を知りたいなら、他人がいかに行動するかを見よ。他人を理解したいなら、自分の心を見よ。フリードリヒ・フォン・シラーSchiller『諷刺詩』
友情は喜びを2倍にし、悲しみを半分にする▼人間一人一人はみな利口で分別ありげだが、集団になると馬鹿が出てくる。シラー
***********
※古典主義。理想の追求。 -
Posted by ブクログ
ネタバレGoetheの赤 -2009.03.09記
以下はゲーテ「色彩論」における<赤色>談義だ。
「青や黄を濃くしてゆくと、必ずそれとは別の現象が一緒に生じてくる。色彩というものは、最高に明るい状態でも暗い翳りをもつものである。したがって色彩が濃くなれば、ますます暗くなってゆくのは当然である。しかしながら、色彩が暗くなるにつれて、同時に色彩はある輝きを帯びてゆく。
この輝きをわれわれは「赤みを帯びた」という言葉であらわしている。この輝きがだんだん強まってゆき、高昇の最高段階に達すると、圧倒的な力を示す。強烈な光を見た場合には、網膜に真紅を感じる漸消現象が生じる。プリズム黄赤色は-朱色-は、黄色から生じたものだが、黄色を想起する人はほとんどいない。
赤という名称を用いる場合には、黄や青を少しでも感じさせるような赤は除外し、完全に純粋な赤を考えていただきたい。たとえば白磁の皿の上で乾かせた純正のカーマイン-紅色の絵具のような。古代人の言う真紅が青の側に近いものであったことはよく承知しているが、赤という色彩にはその高貴な威厳のために私はしばしば真紅という名をあたえてきた。
真紅が生れてくる課程をプリズム実験で見た人は、真紅には現実的にも可能的にも他のすべての色彩が含まれているとわれわれが主張しても、牽強付会の言とは思わないであろう。
黄と青の、この二つの極が赤に向かって高昇し、合一するところに、理想的充足と名づけてよいような真の平静さがあらわれると考えることができる。実際、物理的現象においては、それぞれ合一を目指して準備し、一歩一歩進む二つの相対する極がついに出会ったところで、赤という全色彩現象中で最高の現象が生じるのである。
この色彩は、その性質ばかりではなく、その作用も比類がない。この色彩は厳粛で威厳に満ちているというばかりでなく、慈愛と優美を併せ持っているという印象を与える。赤が暗く濃ければ厳粛で威厳があるものになり、明るく淡ければ慈愛と優美に満ちたものになる。このように老人の威厳と若者の感じの良さとが一つの色彩の中に包みこまれているのである。」