ゲーテのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
主人公ウェルテルが、友人ヴィルヘルムに宛てた書簡形式で構成された作品。ロッテという女性への熱烈な恋心が吐露されています。彼女には婚約者(アルベルト)がいます。にもかかわらず、ウェルテルにも心惹かれている。いわゆる三角関係です。ウェルテルには恋の悩みの他に、職業が定まらないという辛い現実があります。
最初の方の手紙は、ロッテへの好き好きオーラ出まくりですが、後半は悩み深くとても重苦しい内容です。恋は盲目、恋の病という言葉が想起され、ウェルテルの心が、どんどん病んでいくのが読み取れました。
読み進める中で、自分の経験が思い出されてきました。
学生時代、恋愛がうまくいかず、入院するまでになってしまった友人がいました。治療を経て自分自身を取り戻すことができて良かったのですが、ウェルテルは違います。破滅に向かっていってしまうのです。
私は、人生において恋愛は必要だと思うのですが、一歩間違えると恐ろしいこともあるというのも現実です。一対一の恋愛でも色々ありますが、三角関係となるとさらに難しい。ウェルテルはロッテの婚約者を、敬愛しているところが複雑です。
私は20代の頃に、結婚を前提として付き合っていた人と別れることになった経験があり、とても辛かったです。共通の知人を通じてその理由を知り、“理由を言わないことも優しさなのか”と自分なりに納得し、時間をかけて立ち直っていった、苦い思い出があります。でも、“辛い気持ちを1人で抱え込まずに言ってほしかった”と今も思います。
ウェルテルの場合は、自分の気持ちを全て手紙に書き残しており、分かりやすいといえばそうなのですが、残されたロッテはどんな風に自分の気持ちを整理したのだろうと考えてしまいました。
ウェルテルの最期は、衝撃的で悲し過ぎました。生きることの悩みは人それぞれであり、その重さも違います。それでも私たち人間は自然の中の一部であり、“生かされている”ということを決して忘れていけないと思います。(自分に言い聞かせています。)
最近、自死が扱われている作品、『杉森くんを殺すには』『こころ』(夏目漱石)を読みました。自死を選ぶに至った当事者の気持ちも辛いのですが、残された人も深い傷をおうということ、再認識しました。
『杉森くんを殺すには』の作品のメッセージ、“自立とは依存先を増やすこと”が思い出されます。究極になったときに、助けを求める勇気があれば、死ではなく生きる方に、気持ちのベクトルが向いていくのではないか。そんなことを感じました。
本書の解説には、初版と改訂版との違いが説明されており、勉強になりました。
-
Posted by ブクログ
ネタバレちょっと昔に読んだから、思い出しながら書くけど…
ウェルテル効果という心理学用語がある。メディアが自殺を報道すると、その後自殺率が高まるということらしい。
この本を読んで同じように自殺する人が増えたことからそう呼ばれているんだって。
そんな感じで、これを読む前から結末は知っていた。結局ウェルテルは最後に叶わぬ恋が原因で死んでしまうのだ。そこまでどうやって向かうのか、どんなことに苦しんでいたのかをみつめながら読んだ。
ウェルテルは既婚のロッテを好きになってしまい、もう、病的に好きになってしまう。ロッテしかいない、と思い込む。でも結婚してるから諦めるしかなくて、死んでしまう。
何がすごいって、ウェルテルはロッテに自分と付き合うように迫ったりだとか、ロッテの夫をばかにしたりとかしないのだ。ただストーカーなら、相手やその家族を攻撃したりするだろう。でも、”本当に愛している。”満たされない心は矛先となり、ただただ、耐えられない苦しさや、激しい攻撃は自分へと向く。だから、最後に自殺という方法を選んでしまうんだと思う。
でも、そんな愛って本当に愛なのかな?
燃え上がるような恋をしている最中って、たしかにあの人じゃなくちゃ絶対だめだ。この世にあの人の代わりはいない。一生他の人を愛せないと思い込むんだけど、意外とそうではなくって。
恋の激しさも数年したら落ち着いてきたり、また、別れて新しい人に出会えばこの人じゃないとだめだって、もう一度思うもんじゃない?
ウェルテルはまだかなり若いから、初めての恋だから、こうなってしまったのかなぁ。可哀想だ。こんなに人を深く愛せるのであれば、もう少し生きていれば、ロッテとじゃなくても絶対に幸せになれる道はあったと思う。
ちなみに、日本ではあまり聞かないが、海外だと失恋は自殺の原因の多くを占めるらしい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ少しだけ読んだことはあったが「淋しい夜のページをめくれ」がきっかけで再度手に取る
初めてのゲーテの作品
とことんウェルテルになりながら、気持ちを想像しながらじっくりじっくり読んでいった。
小説というよりも詩に近い印象を受けた。
ロッテを初めてみて、天使だと思った。とか
ぼくはまるで神が聖者たちのためにとっておいたような幸福な日々を送っている。
とか、浮かれっぷりがすごい、現代と何も変わらない感情に、人間の普遍性を感じる。
このさきざきがどうだろうと、ぼくは人生のよろこびを、最も清らかなよろこびを味わったんだとか
死亡フラグすぎる
身を引こうとするウェルテル
それでも吸い寄せられるように会いに行ってしまうウェルテル。
奪うでも無く、殺すでもなく、身を引く。それができればどんなに良かったか。
できないからこそ、もがき、苦しみ、最後の選択をする。
恋の悩みの話だと考える人もいるかもしれないが、
一つの愛なのではないかと感じた
この本を今の歳で味わえて良かった。
A+ -
Posted by ブクログ
洗練された美しい文章がすごく良い。
苦しいほど切実な恋心が言葉を変えながらたっぷり200ページで描ききられていて、まるで演劇を観ているようだった。
「不機嫌というやつは怠惰と全く同じものだ。」という言葉に感服した。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ゲーテ自身の絶望的な恋の体験を作品化した書簡体小説で、ウェルテルの名が、恋する純情多感な青年の代名詞となっている古典的名作である。許婚者のいる美貌の女性ロッテを恋したウェルテルは、遂げられぬ恋であることを知って苦悩の果てに自殺する……。
多くの人々が通過する青春の危機を心理的に深く追究し、人間の生き方そのものを描いた点で時代の制約をこえる普遍性をもつ。 -
Posted by ブクログ
※追記予定
ログライン
・人妻のロッテに恋した若きウェルテルが、葛藤し悩んだ末、自殺を選択する話。
構成
起:ロッテとの出会い
承:人妻に恋する葛藤。ロッテを忘れようとする
転:自分にはロッテしかいないが、叶わぬ恋にもがき苦しむ
結:皆が幸せになれる残された手段が自殺だと結論づける
技法
・書簡体小説
私自身、書簡体小説を読むのは初めてだったので、これを技法に入れていいのか迷ったが、個人的には目新しいモノであったのでここで書かせてもらう。主人公の手紙で物語が進むので、内面的描写が必然的に多くなっており、それが本作の内容とマッチしていると思う。また手紙の送り先が親しい友人であり、本音を伝える描写が多くなっていた。
・作中に編者が出てくる
本作は2部構成で、2部半ばから「編者」という第三者目線で物語が進む。編者がウェルテルの手紙と共に、状況説明を添えてくれる。この編者は現実世界での編者(編集者)という意味ではなく、物語上での編者である。この編者を出すという発想が凄く面白い。手紙を元に物語が進む「書簡体小説」では、主人公視点でしか物語が見えないため、どうしても内容の偏りが出てしまう。けれど、編者という第三者を出したことによって状況整理がされ、物語の深みを更にコクした。
作品の売り
・画期的かつ普遍的である内容と内的告白の書簡体小説
当時の18世紀からしたら画期的であった内容の小説だが、その内容は誰しもが感じたことのある普遍的出来事でもあった。更に内的告白という書簡体形式も相まって、人々の共感を多く寄せた。
どうして売れているのか
・散文小説における悲劇文学の先駆者
本作の解説部分にも書かれているが、出版された18世紀では芸術や文学の本質的機能は「人を楽しませることと有益であること」とされていた。そんな中で、恋愛の葛藤による自殺という題材は画期的であった。今でこそネットが発達して共感する場面が多いが、当時からしたら手が届きそうで届かない痒いところを掻いてくれる作品だったのだろう。だからこそ、主人公の考え方に共感と賛同し、後を追うように自殺し「精神的インフルエンザの病原体」とまで言われた。
・
個人的感想
評価 ★3.8
・まさにタイトル通り(若きウェルテルの悩み)の内容であった。ウェルテルに感情移入はあまり出来ないが、気持ちは痛いほど分かる。というか伝わってくる。本作は手紙形式で進んでいくので、読者としてはウェルテルから手紙を受け取る友人目線で物語が進むので、必然的かもしれない。正直、私は1回読んだだけでは全てを理解することが出来なかったので、もう1度読み直し、再び感想を書きにここに来る。 -
Posted by ブクログ
1700年代の詩人、ゲーテの代表作の一つ。
若きウェルテルは見た目麗しく、社交も才覚も備えており、周囲からも寵愛を受けていた。
そんな優秀な若者であるウェルテルはある日、ある女性に恋をする。
しかしその相手は既に夫がいる。
それでも止められない自分の感情に苦悩し、その悩みはどんどん深まっていく。
ここまで深く思慕できる相手に巡り合えたのは幸福であると言えるかもしれないが、決して実らない恋に精神が崩壊されるのであれば、本人の魅力が乏しく容易に相手にされなくなる方が幸せだったのかもとも思える。
おそらく10代後半か20代前半の若者だから仕方ないかもしれないが、ちょっとあまりに情動に左右されすぎて周りが見えてないので、元々精神的に不安定なものを抱えた主人公だったのかもしれないが。
容易に不倫するような人に読ませたい本ではある。
現代でも人の心の動きとして学ぶことのある本であった。 -
Posted by ブクログ
生涯を通して人智の宝庫を掴み取っても結局は何も知らないということが分かっただけ
肉体の翼は閉じていることが多く精神の翼だけは羽ばたこうとバタつく
無邪気さと無垢なるものは時の渦に飲み込まれてひとつひとつ挫折に変わり
太陽に背を向けて冷たい霜を胸であたためたくなると復讐の女神メゲラが囁く声に耳を傾けてしまう
人間は努力する限り迷うもの
人を欺く仮面の群に繋がれ怯える心
恐怖と希望は最大の敵
寂寥という虚無のなかで一切を見つける
救いや慰めはいらない 困難な危険を恐れないファウストの勇気がその鎖を断つ
詩のこころは美の調和をもたらす
子供のころに聞き慣れた歌が地獄の淵から引き戻す
胸から溢れ出て全世界を再び心の中に入れる
非精神的である無感動の意識は浅く留まり
揺すぶられる感動を必要としている戦慄する魂だけが前進していく